
仮想通貨ALISは、分散型ソーシャルメディア「ALIS」に投稿した記事の「いいね」数や、「いいね」した記事の評価数に沿って新規発行される珍しい仮想通貨です。
ブログ記事を投稿するともらえるのはいいけど、もらえるALISがどんな仮想通貨なのか分からないので躊躇しているのではないでしょうか?
そんな他にはない「メディア上の記事を中心とした珍しい仮想通貨ALIS」について解説していきます。
目次
1. 記事の投稿でもらえる仮想通貨ALISとは?
ALISは分散型ソーシャルメディア「ALIS」(以降ALISブログと呼びます)上で利用されている仮想通貨です。
イーサリアムのERC20トークンの一種として実装されていますので、以降はネットワークを含めたシステム全体をALIS、配布されるコインをALISトークンと表しましょう。
ALISはALISブログで記事を評価されたり評価したりすることで新規発行されるようになっています。記事の評価そのものが他の仮想通貨のマイニングと同じ扱いになっていると言えるわけです。
投稿した記事の評価数と評価した記事の評価数によって報酬を得られるALISについて、少し詳しく説明していきましょう。
1-1. 仮想通貨ALISとは?
通貨 |
ALIS |
発行上限 |
なし |
時価総額 |
約1億7,400万円(2020年03月)※ |
決済速度 |
約15秒(イーサリアムに準ずる) |
運営 |
株式会社ALIS |
承認方式 |
PoSベース |
公式サイト |
|
ホワイトペーパー |
https://alisproject.github.io/whitepaper/whitepaper_v1.01_ja.pdf |
ソースコード |
イーサリアム上のERC20トークンの1つですので、トークンとして珍しいものではありません。特徴的と言えるのは、次の2点でしょう。
運営企業が存在する仮想通貨
ALISトークンの発行や配布については株式会社ALISの運営するALISブログ上で行われるため、いわゆる中央集権的なものになっています。
投稿した記事への評価によって得られるALISトークンや評価することによって得られるALISトークンの枚数については、株式会社ALISが管理しているわけです。
将来的には、参加者の投票による運営へ移行する意向があるようです。
参考:【ALISのシステム】Ethereum PoAプライベートチェーン:その1
PoSをベースにした「記事評価」というコンセンサスアルゴリズム
ALISのコンセンサスアルゴリズムのベースはPoS(Proof of Stake)です。そのため、ALISトークンを数多く長期間保有している人が決済を承認することができます。
▶【仮想通貨】PoS(Proof Of Stake)とは? PoWとの違い・マイニング方法
ただし、ALISにはPoSのようなマイニングは存在しておらず、記事の評価によって発行されます。
ALISトークンを数多く保有している人は承認者というよりも、「質の高い記事の執筆者」であり「確かな目を持つ評価者」と考えるべきかもしれません。
1-2. 記事投稿と評価でALISをもらう
ALISの新規発行は記事の評価を通して算出されるユーザーの信頼度によって行われます。
株式会社ALISは「人の信頼性の可視化」をビジョンとして掲げており、その実現の形の1つとしてこの評価システムが作られているわけです。
そのしくみを説明しましょう。
信頼度の可視化
ALISの評価システムの要は信頼度の可視化であり、それを表すのが信頼度スコアです。
信頼度スコアは次の式で計算されています。
ALISトークンの保有数 × ALISトークンの保有期間と利用頻度 × 信頼ポイント
信頼ポイントについては、それぞれ以下のように算出されます。
投稿者 |
投稿した記事の評価 |
評価者 |
公開されて初めて「いいね」をした記事のその後の「いいね」数 |
他のSNSと違っているのは、評価者の信頼ポイントでしょう。このポイントはある記事が公開されて最初に「いいね」をした評価者だけがその後の「いいね」の数に応じて得られるようになっています。
そのため、記事を執筆する人だけではなく、読む人も質の良い記事を誰よりも先に見つけようというインセンティブが働くようになっているのです。
信頼度スコアによるALISの配布
一定期間ごとに信頼度スコアを集計し、それに応じて新規発行されたALISトークンが配布されます。
理論的には決済速度と同じタイミングで配布することが可能ですが、一定期間空けてから配布することで不正な評価を判定するタイミングを作っています。
いくらもらえる? 報酬額は?
ALISの新規発行枚数が報酬になりますので、そこから概算が算出できます。
ALISの年間新規発行枚数は、ALISウォレットに格納されているALISトークンの総数の50%程度になっています。
総発行枚数のうちALISウォレットに格納されているのが概ね20%程度とすると、総発行枚数の10%が1年間の新規発行枚数になります。それを365日で割った数をアクティブユーザー数で割れば、平均報酬枚数が計算できるでしょう。
(参考:ALISで記事を書いたら報酬はいくら貰えそうなの?: ALISの国の不思議)
平均報酬枚数 = 総発行枚数の10%÷365日÷アクティブユーザー数
具体的に2020年3月19日時点の数値で計算してみましょう。
総発行枚数は75,200,000 ALIS※1、アクティブユーザー数は411※2となっています。
(※1Etherscan、※2GoogleAnalytics)
75,200,000 × 10% ÷ 365 ÷ 411 ≒ 50ALIS
あくまでも平均ですが、1記事投稿すると約50ALISの報酬が得られるというわけです。
海外取引所でも入手可能
国内の取引所ではまだ上場されていませんが、海外の取引所では上場されていますのでALISトークンを購入することができます。
1-3. 投げ銭と有料記事
ALISブログには、投げ銭機能と有料記事の設定もあります。
良い記事を見つけたら「いいね」だけではなく投げ銭機能でALISトークンを送ることで、執筆者のモチベーションを上げることができるでしょう。
また、記事投稿時に有料記事設定を行うことで、記事を売ることもできるようにもなっています。
有料設定は記事の任意の場所以降に設定でき、価格も1ALISから10,000ALISまでと柔軟な設定ができるようになっています。
なお投げ銭をする場合+10%多く、有料記事の料金の実収入は設定金額の90%になります。
この差額の10%についてはバーンされるようです。これは、発行上限がないALISトークンのインフレによる価値低下を防ぐ措置と説明されています。
1-4. セキュリティは?
セキュリティは仮想通貨にとって最重要ポイントです。
記事評価だけで新規発行されるALISでは、どんな対策が採られているのでしょうか。
考えられる不正に対する対応方法を紹介します。
ダミーアカウントによる評価
悪意のあるユーザーが複数のアカウントを作って特定の記事に評価を行うのは、容易に起こりうる不正です。
この不正に対しては、ダミーアカウントを容易に作成できないようにすることで対応しています。
具体的にはSMSによる本人確認を実装しています。
複数のユーザーが結託して評価し合う
悪意のある複数のユーザーが結託してお互いの記事に評価を行い合う不正もあります。
この場合、上述のSMS認証は効果ありません。そこで、ALISでは次の2点の対策を採っています。
- 評価者の重複率と、特定期間での評価数やアクセス頻度などを監視する
- 評価者の重複率が高くアクセス頻度が多い場合、信頼度スコアへの影響を小さくする
この対策によって、いつも同じ執筆者に同じ評価者が「いいね」することで特定の人にばかりALISトークンが還元されることも回避することができます。
2. ALISブログを使ってみる
早速、ALISブログを使ってALISトークンをもらってみましょう。
2-1. 登録
ALISブログへアクセスしてください。
右上の[新規登録]をクリックします。
SNSでの登録ができますが、今回はメールアドレスを使って登録してみます。
[メールではじめる]をクリックしてください。
任意のユーザーID、メールアドレスとパスワードを入力して[登録する]をクリックしましょう。
しばらくすると登録したアドレスへ「メールアドレスの確認」メールが届きますので、そこに記載されているURLへアクセスしてください。
登録したメールアドレスとパスワードを入力して[ログイン]をクリックします。
本人確認のため、携帯電話番号を入力してSMS認証を行います。
スキップすることもできますが、SMS認証が終わっていないと記事の投稿やウォレットの使用ができません。
携帯電話に届いたSMSに掲載されている認証コードを入力して本人確認を行います。
本人確認が完了するとプロフィール設定画面になりますので、自己紹介欄を入力しましょう。
自己紹介はあとで入力もできます。
[完了]をクリックすれば、登録完了です。
2-2. 記事の投稿
記事の投稿はとてもシンプルです。
ALISブログの右上にある人型アイコンをクリックして表示される「新規記事作成」を選択しましょう。
記事の作成画面は非常にシンプルで、タイトルと本文を入力するだけです。
入力した文字の修飾は、修飾したい部分を選択して出てくるメニューから選びましょう。
また、本文作成欄の左に現れる(+)をクリックすれば、画像を挿入することもできます。
記事に挿入した画像が、記事のサムネイルにも利用されますので、1枚以上画像を挿入しておくことをおすすめします。
記事が完成したら、右上にある[公開]をクリックしてください。
記事の設定項目がありますので、設定しましょう。
読み手のことを考え、カテゴリやタグは適切なものを設定するようにしてください。
無料記事であれば、ここで[公開]をクリックすれば記事投稿完了です。
有料記事の場合は、記事の値段と有料エリアを設定する必要があります。
金額は1ALISから10,000ALISまで任意に設定できますが、10%がバーンされますので認識しておきましょう。
[有料エリアを設定する]をクリックすると、エリア選択の画面になります。
文節ごとに設定できますので、任意の場所に設定してください。
[公開]をクリックすれば、記事投稿完了です。
2-3. 記事の評価(いいね)
記事の評価については、一般的なブログの「いいね」と違いありません。
記事の左もしくは記事の一番下に表示されるハートマークをクリックすれば、「いいね」することができます。
なお、ハートマークの隣にあるプレゼントマークをクリックすれば投げ銭もできます。
記事の最後には、いいねで得られたALISトークン数や投げ銭の総額が提示されているので、そこからこの記事の人気度が計れるでしょう。
3. ALISの今後は?
仮想通貨としてはまだマイナーなALISですが、今後拡大していく可能性はあるのでしょうか?
データやサービス、ビジネスモデルから考えていきましょう。
ユーザー数は横ばいだけど今後に期待
ALISの発展を占う一番分かりやすいポイントは、ユーザー数でしょう。
コンテンツが流行るかどうかは、それを好きになってくれるユーザーの数にかかっています。
ALISでは、ALISブログの解析結果を公開していますので、そこからアクティブユーザー数の推移を確認できます。
<https://datastudio.google.com/reporting/1w4tIXAc1xSqTgjrwSDzpT9jpcRuOGo6Q/page/6V8Q>
アクティブユーザー数は2018年5月と2019年1月に急増しています。これは、ALISブログのα版とオープンβ版の公開時期に相当しますので、運営が広告を打つなどして露出が増え、お試しで使ってみた人が大量に発生したということでしょう。
つまり、ALISには潜在的な魅力があるため、気になる人が多いのだと言いうことです。
ALISブログの正式版がリリースされれば、また一気にユーザー数が増加するのではないでしょうか。
取引所へ上場の可能性は?
開始1年ほどで上場する計画だったようですが、3年目に突入した現在でも国内の取引所はもとより海外の大手取引所にも上場されていません。
唯一上場しているのは、EtherDeltaのみです。(2020年3月時点)
ただし、この取引所はDEXで流通量が少なく、流動性が小さいため価格への影響は小さいでしょう。
他にCryptopiaとCoinexchange.ioの2つの取引所でも上場していましたが、これらの取引所は破産調停中となっています。
現在の国内の法整備状況などを考慮するとALISが国内の取引所で上場するのは厳しいと思われます。そのため、上場して価格上昇を狙うというのはすぐには難しいのではないでしょうか。
サービスの今後
上場できていなくても、ALISを通貨として使うことができるサービスがあれば一定の価値を得ることができます。
デザインや画像、音楽販売などの個人サイトもありますが、公式の公認サービスとして以下のサイトがあります。
Avacus
仮想通貨の交換や仮想通貨を使った買い物ができるサイトです。
ALISだけではなくビットコインやリップルなどにも対応しています。
ALISTORE
ALIS関連のグッズを日本円のALISで購入ができるサイトです。
公認されていますが、有志が運営しているものです。
日本暗号資産市場株式会社
日本暗号資産市場株式会社は古物市場主の許可を取得しており、ALISを含む仮想通貨5種と日本円を使った決済が可能な古物商向けのオークションを予定しています。
現在は参加する古物商を募集している段階ですが、これが開催されると様々なモノの二次流通にALISが関わることになり、ALISの流動性が上がることでしょう。
(参考:日本暗号資産市場が世界初の暗号資産古物市場開設許可を取得|参加古物商の募集を開始)
なお、Twitter上ではすでに仮想通貨で支払い可能な簡単なオークションを開催しています。
運営の戦略次第
運営がブランディングなどの広告戦略にどの程度力を入れるかで、今後のALISの広がり方が決まってくるのではないかと思われます。
記事の評価機能という意味ではFacebookやTwitterなどが先行していますし、有料記事にはnoteなどのサービスがあります。
しかし、ALISはそれらのビジネスモデルを踏襲しながら「信頼性の見える化」というコンテンツの質を上げ、人と人をつなぐ新たな形を提案したというところに今までにない魅力を持っています。
まとめ
ALISは、ソーシャルメディアとブロックチェーンを密接に連携して「信頼性」という価値を見える化しようという新たな試みです。
この試みが成功すれば、インターネットに氾濫しているブログなどのコンテンツ産業に大きな変化が訪れるかもしれません。
- 投稿した記事のいいねの数や、いいねした記事の評価数によって、ALISトークンをもらえる
- ALISはERC20トークン
- ALISのコンセンサスアルゴリズムはPoSだが、マイニングはALISブログの記事評価によるもの
- ALISブログには、有料記事設定や投げ銭もある
- ALISトークンの保有量が記事投稿者や評価者の信頼度と言える
他の仮想通貨と違って、ALISはブログの記事を投稿したり評価したりするだけで参加できます。
それだけで将来のコンテンツ産業の流れを変えられるかもしれないのですから、1度参加してみるのも面白いかもしれません。
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