
仮想通貨取引所BINANCEが日本でのサービスを段階的に終了するということを聞いて、不安になっている人は少なくありません。
じつは、BINANCEは過去に米国でもサービスを段階的に終了したことがあり、その後Binance.USが生まれているのです。そのため日本での段階的なサービス停止は、日本版BINANCEが生まれる兆候かもしれません。
そんなBINANCEの現状と今後について、詳しく解説していきます。
1. BINANCEが日本向けサービスを終了?
2020年1月15日、BINANCEが日本居住者へのサービスを段階的に終了することを発表しました。

このニュースを受けてBINANCEからの投資資金引き揚げ方法を解説するサイトなども立ち上がっており、仮想通貨(暗号資産)投資をしている人たちへのインパクトが大きかったことをうかがわせます。
結果的に言うと、2020年5月時点でサービスの段階的終了は実施されていません。
BINANCEのすべてのサービスは、日本居住者でも利用できている状態です。
日本語に対応はしなくなった
BIANCEが2018年1月頃まで日本語対応していたことをご存じでしょうか。
英語表記だったBINANCEのサイトが、言語選択で「日本語」を選択するだけで日本語表記に変更することができたのです。
しかしいまは、言語選択のリストから「日本語」が削除されています。
この理由について、BINANCEのCEOであるChangpeng Zhao氏は「金融庁からの指示に従ったもの」とインタビューで答えています。
参考:Binance CEOが語る日本進出の噂の真相|COINPOST
BINANCEが日本の法令に遵守しているということの現れなのです。
つまり、2020年1月15日のサービス終了のアナウンスも同様に、何らかの法的な問題が絡んでいることが考えられるのではないでしょうか。
いつ使えなくなっても不思議ではない
2018年3月、BINANCEは無登録で営業活動を行っていたと金融庁から警告を受けています。

BINANCEは日本の仮想通貨交換業者の登録を行っていませんので、日本で仮想通貨取引所として営業することはできません。
現在の拠点はマルタ共和国で日本の法律が及ばないところですが、インターネットを通じて数多くの日本居住者がBINANCEを利用しています。
そのため、金融庁が日本での営業と解釈してより強い動きに出る可能性は十分にあるでしょう。
日本居住者が突然BINANCEのサービスを使えなくなるようになっても不思議ではないわけです。
もし、BINANCEに口座を開設しようとしているのであれば、いつでも資金を引き揚げられるように準備しながら使うなど細心の注意が必要になるでしょう。
2. なぜBINANCEは日本向けサービスを終了する?
2018年3月にBINANCEが金融庁から警告を受けた理由は、仮想通貨交換業者の登録を受けていないからでした。
2017年4月に施行された改正資金決済法では、日本で仮想通貨取引所を営業するためには必ずこの登録を行う必要があります。
2020年5月時点では23業者が登録されています。(参考:仮想通貨交換業者一覧)
BINANCEが、日本居住者向けのサービスを終了することで法令遵守する方向に舵を切ったということかもしれません。
しかし、金融庁から警告を受けたのは、2018年3月ですので、それから2020年の1月まで1年と10ヶ月もの間何事もなく日本人を受け入れていました。それが急に方針を変換したのはなぜでしょうか。
それは「資金決済法」及び「金商法取引法(金商法)」が改正され、その施行が2020年5月に迫っていたからだと思われます。
改正金商法では、仮想通貨の管理方法の厳格化や信用取引や先物取引に対する規制の強化が図られています。
この法改正によって金融庁からの圧力が高まることを懸念し、先手を打って日本居住者のサービス終了を打って出たのではないでしょうか。
3. 日本版BINANCEが生まれる?
BINANCEが日本在住者向けのサービスを継続する方法には、BINANCE本家(binance.com)ではなく日本版BINANCEを作って日本の法令に遵守した取引所を開設するという方法があります。
じつは、現在のBINANCEの動きがこちらの方向へ向けて流れている可能性があるのです。
TaoTaoと提携交渉中!
2020年1月17日、仮想通貨交換業者に登録されている取引所であるTaoTaoが親会社のZコーポレーション株式会社と併記の上で「Binanceとの戦略的提携に関する交渉開始のお知らせ」を公開しました。

2020年1月20日には、BINANCEの公式ブログでもアナウンスされています。

BINANCEのアナウンスで、はっきりと「日本市場での戦略的パートナーとしての交渉」と書かれています。
現状のBINANCEでは日本での営業ができないため、登録取引所であるTaoTaoの力を借りて本格的な日本市場への進出を行おうとしていると考えられるのではないでしょうか。
米国版BINANCEはこうなった!
2019年9月18日(日本時間)、米国版のBINANCE(Binance.US)が新規登録受付を開始しました。
BINANCEはその前の2019年6月に、米国在住ユーザーへのサービス停止をアナウンスしていました。
このときはBinance.US立ち上げの発表後のサービス停止アナウンスでしたが、日本在住ユーザーへのサービス提供終了のアナウンスは日本版BINANCEの登場を予測させるものでしょう。
なにより、アナウンス直後にTaoTaoとの提携交渉開始を発表していることが、日本版BINANCEの準備を始めている証左とも言えます。
日本の仮想通貨に対する法整備は、利用者保護を徹底したもので取引所からすれば厳しい内容になっています。また日本の法令は市場や仮想通貨の進歩に合わせて順次改正されており、2020年5月にも改正金商法が施行されました。
日本在住ユーザーへのサービス提供終了のアナウンスから少し時間が経ってしまっている理由は、そういった日本の状況を踏まえて慎重に準備を進めているためではないでしょうか。
日本版BINANCEは?
日本版BINANCEが立ち上がった場合、本家のBINANCEと何が違ってくるかを予測してみましょう。
日本版BINANCEは当然仮想通貨交換業者の登録がされているはずですので、種々の法律を遵守したものになります。
その結果、本家と比べて以下のような違いが生まれてしまうことになるでしょう。
・取り扱い仮想通貨が減少する
・レバレッジ取引の倍率が4倍(2倍)に下がる
これらの違いはどちらも利用者保護の観点として正しい方向ですが、投資家がこれに魅力を感じるかどうかは難しいかもしれません。
それぞれ、少し詳しく説明します。
取り扱い仮想通貨が減少する
仮想通貨交換業者への登録には、取り扱い通貨の申請が必要です。法律上、金融庁が取り扱う仮想通貨を直接審査することはありませんが、事業者はその適切性を説明する義務があります。
そのため、実質として日本仮想通貨交換業協会の取り扱い仮想通貨として登録されている以外の仮想通貨を取り扱うことは容易ではありません。
日本版BINANCEでは、100種類以上の仮想通貨取扱数というBINANCEの強みの1つが削がれてしまう可能性が高いのです。
レバレッジ取引の倍率が4倍(2倍)に下がる
本家BINANCEのレバレッジ取引Binance2.0では、レバレッジは最大125倍と高倍率になっています。
この倍率の高さはリスクの高さにつながりますので、日本仮想通貨交換業協会ではレバレッジ取引の倍率を最大4倍に自主規制しています。
日本版BINANCEもこれに従うことになるでしょう。
また、金融庁ではこの倍率の上限を2倍にする方針を固めています。
参考:仮想通貨取引、証拠金の2倍まで 金融庁が新ルール|日本経済新聞
結果的に、本家で125倍だったレバレッジが、日本版では2倍に抑えられることになってしまうわけです。
まとめ
BINANCEが日本在住ユーザーへのサービス提供を段階的に終了することが発表されて数ヶ月、現状はまだ利用することができています。しかし、いつサービス終了するかも知れない状況ではありますので、注意が必要です。
- 2020年1月15日、BINANCEは日本在住ユーザーへのサービス提供を段階的に終了すると発表
- 2020年1月17日、TaoTaoがBINANCEとの戦略的提携交渉の開始を発表
- 2020年4月時点ではすべてのサービスが利用可能
これらの動きや米国版BINANCEが立ち上がる前に米国在住者へのサービス提供停止が発表されていることから、BINANCEが日本市場への進出を睨んでいる可能性は高いと思われます。
日本版BINANCEは、日本の法令を遵守した取引所になることでしょう。BINANCEらしさが失われてしまうかも知れませんが、利用者保護を第一とした取引所になるのです。
これからBINANCEの利用を検討しているのであれば、日本版BINANCEを待ってみる方が安全かもしれません。
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