
- 「ビットコインって信用取引はできるのだろうか?」
株式投資をやっている方であればご存知かもしれませんが、仮想通貨投資でも信用取引ができます。信用取引は取引額にレバレッジをかけることで利益を最大化させる取引方法です。とはいえ、
「ビットコインの信用取引とはどういったものなのか?」
「ビットコインの信用取引ってリスクが高いんじゃないの?」
という方も多いのではないかと思います。確かに、レバレッジをかけることで損益の変動が大きくなります。しかし、信用取引でも限りなくリスクを抑えて取引する方法はあります。
それは、レバレッジを低くすることで自分の守りに重きを置くこと。この記事ではビットコインの信用取引についての仕組み、信用取引に付随するリスクについて重点的に取り上げました。
この記事を読むことで、信用取引のリスクを理解し、自分の資産をすべて失うようなことも避けることができます。
目次
1. 信用取引とは取引所から現金や現物を借りて売買すること
最初に述べましたとおりビットコインで信用取引をすることは可能です。
ただ信用取引というのは、取引所が提供している取引方法なので、どの取引所でも信用取引ができるとは限りません。信用取引ができるのは証拠金取引を提供している取引所である必要があります。
みなさんが普段何気なく行っている仮想通貨投資でも、取引所が提供する取引方法や仕組みによってまったく異なるのです。
ビットコインの信用取引では資金を担保として取引所に預け、取引所からそれ以上の資金や現物を借りて取引します。
信用取引には信用買いと信用売りの2つの注文方法があります。
信用買い | 信用売り | |
保証金 |
預ける |
預ける |
取引の仕方 | お金を借りて、現物を買うこと | 現物を借りて、その現物を売ること |
利益 | 購入時より上昇した時点で売却 | 売却時より下落した時点で買い戻す |
信用買いとは、保証金を担保に取引所からお金を借りて現物を買うことです。買ったときの価格が売ったときの価格よりも安ければ、その分の差額が利益になります。
信用売りとは、保証金を担保に取引所から現物を借りてその現物を売ることです。売ったときの価格が買い戻したときの価格より高ければ、その分の差額の利益を得ることになります。
信用取引は、保証金として取引所から資金を融資してもらっておこなう取引方法なのです。
取引所に預ける保証金のことを専門用語で証拠金といいます。
証拠金維持率とは、現在おこなっている取引を継続できるかの割合のことです。証拠金維持率が高ければ高いほど安全に取引できるといえ、逆に低ければ低いほど強制決済のリスクが生じます。
信用取引の決済時に損失が生じれば、証拠金から差し引かれることになります。証拠金が不足してしまった場合、取引を維持するためには決められた期限のうちに証拠金を追加で預け入れる必要があります。これを追証(追加証拠金)と呼び、追証になる基準は各取引所によって変わります。
各々の取引所で決められた一定の証拠金維持率よりも下回った場合、その時点で強制的に損失として決済させられるのがロスカットです。取引所によっては、ロスカットになった場合にロスカット手数料を支払わなければならない取引所もあり注意が必要です。
「証拠金」「追証」「ロスカット」
この3つは信用取引だけでなく証拠金取引を理解するうえでとても重要なワードです。
2. 信用取引のメリットとそれに付随するリスクを把握しよう
信用取引にはもちろんメリットはありますが、リスクも隣り合わせであることを理解しておきましょう。
2-1. 売りからでも利益を狙えるが損失の場合は無限に膨らむ
現物取引では買いからしか取引をすることはできませんが、信用取引では買いからでも売りからでも取引を始めることができます。売りからでも取引ができるということは、その通貨の価格が下がっているときでも利益を狙うことができるということです。信用売りをうまく扱うことで常に利益の最大化を求めることもできます。
しかし投資における売りというのはそんな簡単なものではありません。
信用取引における有名な格言として、「買いは家まで、売りは命まで」という言葉があります。
これは、信用買いは家を失う可能性があるが信用売りは命まで失う可能性がある、という意味です。なぜ売りは命まで失う可能性があるのかというと、損失額が無限に膨らむ可能性があるからです。
信用買いの場合は、最大でも価格がゼロになることなので損失も限定的です。
たとえば価格が100円の通貨を信用取引で1000枚購入した場合、(現在価格-購入価格)×数量=損失額で算出できます。通貨の価値が0円になったとしても(0-100)×1000=10万円となります。
しかし信用売りの場合は、通貨の価格に上限がなくなるので、上がり続ければそれだけ損失が増えていきます。
たとえば購入価格が100円の通貨を150円のときに1000枚買い戻した場合、(購入価格-現在価格)×数量=損失額で算出できます。
150円で買い戻した場合、(100-150)×1000=5万円
300円で買い戻した場合、(100-300)×1000=20万円
1000円で買い戻した場合、(100-1000)×1000=90万円
となります。仮想通貨市場では価格変動の上限がないので、安易な売りは損失を無限に増やし続けることになります。
2-2. レバレッジをかけた分利益は大きくなるが、ロスカットリスクもあがる
信用取引のメリットの一つとして、レバレッジをかけることで少ない資金でも大きな利益を狙うことができます。
現在信用取引のできる取引所でレバレッジをかけることができるのはBitPointのみです。
2018年7月に発表されたニュースによると、日本仮想通貨交換業協会では、レバレッジの最大倍率を4倍以内にしようという動きがあるようです。現在は2高倍率な取引所もありますが、今後は規制されていくかもしれません。
日経新聞「仮想通貨取引、4倍以内に制限-業界団体が証拠金の自主規制案」(2018年7月25日)
信用取引においてレバレッジをかけることで大きな利益を期待することができますが、その反面リスクも大きくなることを理解しておく必要があります。ビットコインを含め仮想通貨市場では一日に5%~10%以上価格が変動することもあり、短期間の間に価格が変動することで損失が膨らむこともあります。そうなると一瞬で証拠金がなくなりロスカットのリスクが大きくなる可能性もあります。
3. リスクを抑える方法
この章では、信用取引でできる限りリスクを抑えて安全に取引するために、
- 大きな損失を出さないための3つのポイント
- 取引所を選ぶ3つのポイント
をご紹介いたします。
3-1. 大きな損失を出さないための3つのポイント
初心者の方のために信用取引で大きな損失を出さないためにはどうすればいいのでしょうか。
信用取引で大きな損失を出さないためには、
- レバレッジを高くしすぎない
- 証拠金維持率を高く保つ
- ロスカットルールを設け、損切りを徹底する
ことで自分の資産が全てなくなってしまう事態を防ぐようにしましょう。
・レバレッジを高くしすぎない
レバレッジを高くすることによって価格の変動が大きくなり、ロスカットのリスクも高まります。レバレッジをかけることによっては、少し逆の方向に価格が変動するだけでもロスカットになってしまうこともあります。
最初のほうはレバレッジになれるためにも最低レバレッジ倍率から始めてみるのもありです。いきなり最大のレバレッジをかけてあっという間に破産してしまうことだけは避けたいところです。
・証拠金維持率を高く保つ
証拠金維持率を高く保つと、ロスカットされにくくなり常に安全圏にいられます。証拠金維持率を高く保つためには、取引口座に資金を多めに入れておきましょう。
・ロスカットルールを設け、損切りを徹底する
信用取引をおこなう際には、あらかじめ自分なりのロスカットルールを設け損切りするポイントを決めておくとよいでしょう。
ロスカットルールを決めるメリットは2つあります。
一つは、損失の範囲が限定されることです。損切りするポイントだけでも決めておけば、それ以上の損失がでることはありません。未然に大きな損失を防ぐことができます。
二つ目は、取引に個人的な感情をいれず自分のルールに則れることです。
仮想通貨投資において、「もうちょっと利益が欲しい」や「損失が出ているけどもう少し様子見」など個人的な感情を入れるのは投資の世界ではご法度。
機械のように取引をし自分のメンタルを鍛え、とっさの判断にも間違えなくなります。
3-2. 取引所を選ぶ2つのポイント
信用取引に適している取引所としては、やはりリスクを最小限に抑えて大きな損失をしないような取引所を選ぶべきでしょう。レバレッジを大きくかけられることは、少額で利益を出すチャンスがありますがその分リスクが高くなるため、初心者の方は低いレバレッジから取引を始めるようにしましょう。
・金融庁に登録されている
金融庁に登録がされている事業所を仮想通貨交換業者といいます。現在仮想通貨交換業者として登録されているのは16社です。最近のハッキング被害の連続や管理体制の強化によって仮想通貨交換業者として認可を受けることが日々難しくなっています。
よって認可を受けるハードルは高くなっており、認可を受けた取引所は無許可業者よりも信頼できます。
・証拠金維持率が高い取引所
証拠金維持率が高い取引所というのは、ロスカットされやすい点が挙げられます。しかし早い段階でロスカットされるので大きな損失が出る可能性は低くなります。
ロスカット率が低いことは、自身で取引の判断に迫られるため初心者の方にとっては難しくなる場合が多いです。
もっと安全に取引するのであれば、証拠金維持率が100%に近い段階でロスカットされる取引所を選ぶようにします。こうすることで大きな損失を出さないことを防げるので初心者の方にとっては良い方法の一つといえます。
もちろん実力者であれば、自分のスキルに任せ証拠金維持率は低くてもよいです。ロスカット率が低い取引所を利用するのであれば、損失が出ても生活に支障の出ない余剰金で取引するようにしましょう。
4.BitPoint(ビットポイント)で実際に取引してみた
(※)2019年7月11日ビットポイントで仮想通貨の不正流出が確認されました。現在全ての取引が停止中となっております。
今回は金融庁の登録を受けているBitPointを使って信用取引のやり方を解説いたします。BitPointは、証拠金維持率100%未満でロスカット発動と基準が高いので、常に高い証拠金維持率を保っておく必要があります。
BitPointでは「Web取引ツール」「BitPoint Advance」という2つの取引ツールを提供しており、これらのツールはそれぞれ、
Web取引ツール:初心者向けでシンプルな取引ツール
BitPoint Advance:中級者以上向けで本格的な取引ツール
となっております。
4-1. BitPointのWeb取引ツールでの注文方法
今回はWeb取引ツールを使った注文方法をご紹介いたします。
BitPointでは「ストリーミング」「シングル」「逆指値」の3つの注文方法があります。
販売所形式と同じように、買値と売値が表示されているボタンが存在しそのボタンを押すだけで注文を入れることができます。
ストリーミング(指値)での注文の場合、そのときに表示されていた価格を優先して約定され、ストリーミング(成行)での注文の場合、約定しやすさを優先するので表示価格からズレが生じる可能性があります。
今回は簡単な注文方法であるストリーミングをご紹介いたします。
BitPointでの信用取引の場合、新規注文を入れるところと決済注文を入れるところは違うページにあるので注意してください。
4-2. レバレッジの設定方法
BitPointではレバレッジ倍率を、「2倍」「5倍」「10倍」「25倍」の4つから変更することができます。
①BitPointのホーム画面で、上部にある「口座管理」欄で、レバレッジコース選択を押します。
②「レバレッジ取引」欄の変更後のレバレッジコースでレバレッジ倍率を選択し、「変更」ボタンを押します。
③これでレバレッジ倍率を変更することができます。
4-3. BitPointの新規注文方法
①BitPointのホーム画面で、上部にある「仮想通貨取引」欄の「仮想通貨取引」を押します。
②上部にある「レバレッジ新規」ボタンを押します。
③注文画面でストリーミングを選択し、数量を入力、「指値」または「成行」を選択し、取引暗証番号を入力したら「買建」または「売建」ボタンを押します。
買建は通貨を買う注文を入れることです。通貨の価格が上がればその差額が利益となります。
売建は通貨を売る注文を入れることです。通貨の価格が下がればその差額が利益となります。
④確認画面が表示されるので、「執行」ボタンを押すと新規注文を入れることができます。
4-4. BitPointの決済方法
①BitPointのホーム画面で、上部にある「仮想通貨取引」欄の「仮想通貨取引」を押します。
②上部にある「レバレッジ決済」ボタンを押します。
③注文画面でストリーミングを選択し、「指値」または「成行」を選択し、取引暗証番号を入力したら「買決済」または「売決済」を押します。
買建で注文を入れた場合は「買い決済」、売建で注文を入れた場合は「売決済」をします。
④確認画面が表示されるので、「執行」ボタンを押すと決済注文を入れることができます。
6. 信用取引は、先物取引・FX取引とどう違うのか
信用取引は証拠金取引の一つですが、先物取引・FX取引も証拠金取引に当てはまります。
この章では、信用取引に対して先物取引とFX取引の相違点を解説いたします。
6-1. 返済期限がある
信用取引では取引所から資金や現物を借りて取引をします。借りたものは返さないといけないので信用取引には返済期限が設けられています。
なかには自動で再借り入れをおこなえる取引所もあり、国内取引所のBitPointは自動で再借り入れをおこなうことができます。
ちなみにFX取引には返済期限がなく、いつまでも保有することができます。
先物取引の場合は、特定の日に特定の価格で購入するという約束をして取引をする方法です。この特定の日を限月と言い、限月がきたら取引は終了します。
6-2. 借入手数料がある
信用取引では、取引所から借り入れた資金や現物に対して借入手数料がかかります。借入手数料は、信用取引した時点で発生し、それ以降は自分のおこなっている取引が維持されている間は日をまたぐたびに借入手数料がかかります。
なかには借入手数料のことを、スワップ手数料やレバレッジ手数料と表記している取引所もありますが中身は同じです。
FX取引でもスワップポイントや、レバレッジ手数料など取引所によって名前は変わっていますが借入手数料と同じような金利があります。
ところが先物取引では特定の日に特定の価格で購入するための権利を売買したにすぎず、取引所からお金を借りて取引しているわけではないので金利も存在しません。
まとめ
- ビットコインで信用取引はできる
- 信用取引とは、担保として取引所に資金を預けて、取引所から資金や現物を借りて取引をする
- 「証拠金」「追証」「ロスカット」は信用取引だけでなく証拠金取引を理解する上で重要
- 信用取引では売りから入ることで価格が下がっても利益を得られる
- レバレッジをかけることで少ない資金でも利益を最大化できる
信用取引とそのリスクについて解説していきましたが、結局はリスクを抑えて安全に取引するためには現物取引のようにレバレッジをかけず買いから始めることが自分の守りを固め仮想通貨投資で生き残っていける投資方法なのでしょう。
私は信用取引について初心者の方には勧めませんが、一つの選択肢として覚えていただければと思います。
信用取引にはリスクがあり、取引するならよく調べレバレッジは低くするようにしましょうね!