
ビットコインなど仮想通貨のレバレッジ取引(FX)で「ロスカット」という言葉を聞いたことはありませんか?
「ロスカット」という言葉には、自分で損失の拡大を防ぐための「損切り(ロスカット)」と、仮想通貨取引所の「ロスカットルール」という2つの意味があります。
こちらの記事では仮想通貨取引所におけるロスカットルールの仕組みと計算方法の解説、取引所の比較をしていきます。
価格変動の激しい仮想通貨でのレバレッジ取引は、大きな損失につながる恐れがあります。
資産の消失を防ぐ安全な仕組みとして「ロスカット」は存在しているのです。
そして、このルールを知らないと想定外のタイミングで強制ロスカットされてがっかりすることも・・・・・・。
こちらの記事を読みロスカットルールを知ることで適切な取引のタイミングをつかみましょう。
1. ロスカットとは損失の拡大を防ぐ仕組み
ロスカットとは、仮想通貨取引所が設定した含み損が一定の損失額を超えた時に強制的に取引が決済されるルールのことです。
1-1. 価格変動の大きな仮想通貨でこそロスカットは必要
一定の条件で強制決済が発動することをロスカットルールといいます。
取引所はあらかじめ証拠金維持率をもとにロスカットするポイントを設定しておき、ユーザーの含み損が膨れ上がった場合、これ以上ユーザーの損失が拡大しないようにロスカットを発動するのです。
ロスカットルールがあるおかげで、ユーザーが大きな損失を被るという最悪のシナリオを避けることができます。
ストップ高・ストップ安がない仮想通貨では特に重要
特に仮想通貨の取引においては、ロスカットの仕組みは重要な仕組みです。
なぜなら、仮想通貨は株式投資と違いストップ高やストップ安の設定がないため、上限なく価格が変動するリスクを持つからです。ビットコインの場合は、短時間に数万円以上の値動きをすることも珍しくないので、ロスカットがなければ、損失が膨らみ過ぎてマイナスになってしまうこともあります。
最悪の場合はサーバーがダウンし、ロスカットの要望をサーバーが処理できない、処理できても発動が遅れるという事態に陥ってしまう可能性もあります。
このようにロスカットルールがあるから必ずしも安全というわけではありません。注文を入れている間、価格変動には常に注視しておくべきです。
1-2. ロスカットはビットコインFX(仮想通貨FX)に適用される
仮想通貨といっても現物取引であればロスカットのルールはありません。
一方、ビットコインFX(仮想通貨FX)と呼ばれる先物取引は仕組みが異なります。
レバレッジ取引(FX)のメリット
レバレッジ取引(FX)は預託金と呼ばれる証拠金を取引所に預け、それを担保にレバレッジをかけて元手の数倍の取引が可能です。
国内取引所では現在最大15倍までのレバレッジに対応しているため、仮に100万円の取引をする場合でも元手は7万円程度しか必要ありません。
レバレッジを使った取引では、相場が上り調子のときであれば少ない元手で多くの利益を獲得できます。
一例を挙げると、1BTC=100万円のとき、レバレッジ5倍、元手20万円で1BTCを買ったとします。
その後ビットコインの価格が110万円に上がれば、すぐに売却して10万円の利益です。元手20万円に対して10万円の利益なので、利回りは50%にも膨らみます。
現物取引では同じ状況でも、元手100万円に対して10万円の利益しかないので、利回りは10%にしかなりません。
このようにレバレッジ倍率が高くなるほど、期待収益性は上昇していくことが分かるでしょう。
リスクも高い
反対に、ビットコインの価格が90万円に下がったときには、元手20万円で10万円もの損失を出したことになります。
レバレッジが高いほど損をしたときの痛手も大きくなるので、レバレッジ取引はハイリスク・ハイリターンと言えるでしょう。
上記の例では元手20万円に対し、一度に10万円もの損失を出したので資産が50%も目減りしています。
仮にビットコインの価格が80万円まで下がれば、含み損は20万円を計上し、この時点で最初の証拠金20万円は底をつきます。
そこでロスカットルールが登場します。
1-3. 一定の証拠金維持率を下回ると強制ロスカットされる
ロスカットが発動するタイミングは証拠金が底をついたときではなく、「証拠金維持率が一定の%を下回ったとき」です。
この証拠金維持率は取引所によって異なります。
証拠金維持率が高ければ安全な取引に繋がり、含み損が出たときに損失額が少なくなるメリットがありますが、強制決済されやすいためにトレンドが好転するまで様子を見ることが難しくなるでしょう。
一方、証拠金維持率が低ければ相場をじっくりと見極めてからの判断がしやすいですが、損失額が確定されにくくなるので強制ロスカットされた時の損失は大きいものとなります。
2. 証拠金維持率を計算してみよう
証拠金維持率の計算方法は取引所によって異なります。各取引所で証拠金維持率のページを参考にすると計算方法を確認することができます。代表的な取引所の計算方法を参考にしてみましょう。
2-1. 証拠金維持率の計算
たとえば、bitFlyer(ビットフライヤー)の証拠金維持率の計算方法は以下の通りです。
■(口座残高+評価損益)÷{(約定価格×建玉数量×証拠金率)+(注文価格×注文数量×証拠金率)}=証拠金維持率
他にもGMOコインの計算方法を参考にしてみましょう。
■(口座残高+評価損益)÷(約定価格×建玉数量×証拠金率)=証拠金維持率
- 口座残高:取引所の口座に用意している証拠金のこと、純資産ともいう
- 評価損益:保有している銘柄の含み益、含み損
- 約定価格:保有している銘柄を買ったときの価格
- 建玉数量:保有している銘柄の数量
- 証拠金率:1÷レバレッジ倍率
- 注文価格:新たに買う銘柄の価格
- 注文数量:新たに買う銘柄の数量
では、実際に具体的な数字をあてはめて証拠金維持率を計算してみましょう。
2-2. 具体的な証拠金維持率の計算
具体的なロスカット事例は数字を当てはめてみると分かりやすいです。参考に以下のようにビットコインを保有していたとします。
- 1BTC=100,000円
- 保有している数量:10BTC
- 購入時の支払総額:1,000,000円
- レバレッジ :5倍
- 必要証拠金 :200,000円
- 口座残高 :500,000円
- その後1BTC=90,000円に下落(評価損-100,000円)
では、GMOコインの証拠金維持率計算式に当てはめてみます。計算式は以下の通りでした。
GMOコインの計算式:(口座残高+評価損益)÷(約定価格×建玉数量×証拠金率)=証拠金維持率
(口座残高+評価損益)の計算
まずは、評価損益の計算をしましょう。
保有している10BTCの購入時の支払い総額は1,000,000円ですが、その10BTCを買ったときの値段(1BTC=100,000円)から、現在は1BTC=90,000円に下落しています。
そのため、現在の10BTCの価格は900,000円です。
「評価損益」は現在の価格から購入したときの価格を差し引いて求めます。
現在の10BTC価格900,000円-購入時の10BTC価格1,000,000円=-100,000円
つまり評価損益は-100,000円です。
もともと口座には500,000円を用意していたので上記のロスカット計算式に当てはめてみると、
■ 500,000円(口座残高)-100,000円(評価損益)=400,000円
(約定価格×建玉数量×証拠金率)の計算
約定価格は「購入したときの1BTCあたりの価格」のことで、ここでは100,000円となります。
また、建玉数量は「購入したときのBTC数量」を指し、10BTC購入していました。
証拠金率は(1÷レバレッジ倍率)で求めることができ、ここまでは5倍のレバレッジを設定しています。
つまり、上記のロスカット計算式の後半に以上の数値をあてはまめると、
■{100,000円(約定価格)×10BTC(約定数量)×(1÷5)(証拠金率)}=200,000円
証拠金維持率の計算
最終的なこちらの計算は、前半の式と後半の式をあてはめた計算式となります。
400,000円÷200,000円=2
計算式の答えは2。わかりやすく%に直すために100をかけましょう。すると200%になります。つまり、上記の条件では200%の余力があるということです。口座に用意している金額が多かったので、多少の損失ではロスカットには至りません。
ちなみに1BTCの価格が60,000円まで下落した場合はどうなるでしょうか。評価損は400,000円になります。
■(500,000円-400,000円)÷{100,000円×10BTC×(1÷5)}=0.5
(100,000円)÷(200,000円)=0.5
答えは「0.5」で、100をかけて証拠金維持率は50%です。もし、利用している取引所が証拠金維持率を50%に設定していれば、この時点で強制的にロスカットが発動します。
2-3. 証拠金維持率は取引所によって異なる
証拠金維持率やレバレッジ倍率などは仮想通貨取引所によって異なります。仮想通貨FXを行う場合は、各取引所の設定基準をしっかりと確かめたうえで、自分に有利な環境を見つけましょう。
証拠金維持率が高ければ損失を最小限に抑えることができますが、早い段階で強制決済が行われてしまうので、トレンドの反転をじっくりと待ちながら投資することは難しいです。
証拠金維持率が低いと、多少の含み損が出ても余裕を持って取引できる反面、強制決済が行われれば大きな損失は免れません。
ここでは取引所ごとの証拠金維持率やレバレッジなどを比較しています。(※2019年8月13日時点)
取引所 |
取引手数料 |
スワップ手数料 |
追証が発動する証拠金維持率 |
ロスカットが執行される証拠金維持率 |
最大レバレッジ倍率 |
bitFlyer(Lightning FX) |
0% |
0.04% |
100% |
50% |
4倍 |
Zaif(信用取引) |
0% |
0.039% |
– |
30% |
7.77倍 |
0% |
0.04% |
– |
75% |
4倍 |
|
0% |
0.04% |
– |
80% |
4倍 |
|
0% |
0.035% |
– |
100% |
4倍 |
|
0% |
0.1% |
– |
110% |
4倍 |
3. 取引所の選び方は自分の投資スタイル次第
ビットコインの先物取引にロスカットルールがあるからといって必ずしも安全に取引できるとは限りません。ビットコインはもともと価格変動率が高いうえに、レバレッジによってほんの一瞬で巨額の損失に膨らんでしまうからです。
このように取引所によってロスカットの設定値に違いがあるため、取引所を選ぶ際は証拠金維持率やレバレッジ倍率を参考にしながら、自分の投資スタイルに合わせて行うようにしてください。
3-1. できるだけ安全に取引したい人
仮想通貨投資でできるだけ安全に取引したい人、リスクを最小限に抑えたいという人は、証拠金維持率が高めに設定された取引所を選びましょう。おおよその目安は証拠金維持率が75%以上の取引所で、数値が高いほど損失が発生した時点で強制決済されやすくなります。
GMOコインやBITPointなどが当てはまります。
3-2. 高いレバレッジ倍率で積極的に取引したい人
レバレッジの効果を最大限に活かし、先物取引をしたい人は証拠金維持率の低い取引所を選ぶと良いでしょう。証拠金維持率が低くなると、なかなか強制決済されないので、最小限の元手が残るまで取引ができます。
しかし、ロスカットが発動するということは、その時点で大きなマイナスを抱えることになるので注意が必要です。
証拠金維持率の目安は30%以下の取引所です。Zaifが当てはまります。
3-3. 安全性と積極性はほどほどが良い人
上記で紹介した取引スタイルの中間を取るときは、証拠金維持率が50%程度のところを選びましょう。
bitFlyerは証拠金維持率50%に設定されています。ただし、追証も80%に設定されているので、ある程度の資金力を確保しておかなければなりません。
4. スワップ手数料や追証も重要
取引所の比較表ではスワップ手数料や追証といった別の用語も出てきました。こうした用語は全て現物取引にはない、先物取引特有のものとなっているので、証拠金維持率やレバレッジと同様に覚えておきたいです。
4-1. スワップ手数料とは金利のこと
スワップ手数料は銘柄を保有しているときに発生する金利のことで、スワップポイントとも呼ばれます。
仮にスワップポイントがプラスのときであれば金利分の利息を得ることができますが、仮想通貨FXのほとんどの取引所はスワップポイントの支払いが制度化されているため、手数料として利息を支払わなければなりません。
たとえば、bitFlyerのスワップ手数料は0.04%ですが、保有している銘柄をその日に決済せず翌日に持ち越せば(ロールオーバー)、1日辺り0.04%分の金利が発生するということです。
つまり、ロールオバーする日数が増えるほどスワップ手数料が高くなっていくため、仮想通貨FXの基本は短期売買となります。
スワップ手数料のポイント
- スワップ手数料は通貨を保有しているほど金利が発生する
- ビットコインFXの場合は通貨を保有する期間が増えるほど金利を支払わなければならない
4-2. 追証とは追加で証拠金を支払うこと
追証(追加証拠金)とは、仮想通貨FXによって損失が発生し追証が発動されるポイントを下回ったときに、追加の証拠金を支払うことで継続して取引できる仕組みです。
追証には期限が定められており、その期間内に証拠金が用意できなければロスカットが発動します。
追証の仕組みをbitFlyerで解説していきましょう。bitFlyerの証拠金維持率は50%に設定されていますが、その損失額に至る前に80%の証拠金維持率になってしまったとき追証が発生します。
【追証のポイント】
- 含み損が追証が発生する証拠金維持率に達した場合、追加の証拠金を支払うことで取引を継続できる
- 追証の期限内に追加の証拠金を用意できなければロスカットが発動
- 追証の設定されている取引所と設定されていない取引所がある
まとめ
今回はビットコインFX(仮想通貨FX)で利用されるロスカットについて紹介してきました。
ビットコインFXではレバレッジを利用して元手資金の数倍以上の取引ができますが、損失を出せば大きな痛手を食うこともあり、最低限の資産を守るためにロスカットが設定されています。
ロスカットはユーザーの資産を守る仕組みなので、安全な印象を受けますが、必ずしもロスカットが優れているとは限りません。
ロスカットにもデメリットはあります。ロスカットがあることで、含み損を計上しながら相場が好転するまで様子を見ることが難しくなるでしょう。
仮想通貨はもともと値動きの激しい金融商品なので、現物取引でも高い収益率を期待できます。
先物取引でロスカットが発動するほど膨大な損失を出すくらいなら、現物取引で堅実に運用する方が賢い選択と言えるでしょう。
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