
ビットコイン投資を行っている方の中には、価格の急落を経験して「このままビットコイン投資を続けていても大丈夫なのか?」と不安に駆られる方も多いのではないでしょうか?
ビットコインの価格が急落すると自己資産も減ってしまうため、不安になるのも無理はありません。ただ、原因と対策さえ分かっていれば、冷静に対処できるはずです。
そこで本記事では、ビットコインが急落する要因と急落への備えについて解説していきます。
目次
1. ビットコイン急落の原因とは?
ビットコイン価格は過去に何度も急落しています。まずは、考えられる原因を整理していきましょう。
1-1. ビットコイン価格が急落する主な原因
ビットコイン急落の原因としては様々なパターンが考えられますが、以下の5つが主要な原因だと考えられます。
要因1. 各国の規制強化
仮想通貨(暗号資産)は、インターネットに接続されていれば、世界中のどこからでも財産的価値を移動させられるため、世界的に規制される方向性で進んでいます。
これら法規制は、仮想通貨が犯罪組織の資金として悪用されないための措置ですが、規制が強化されることで従来通りに取引できなくなる懸念が生じ、ビットコイン価格が急落するケースがあるのです。
要因2. 大口投資家の売却
世の中の投資家は大きく分けると2通りに分けられます。個人で金融資産に投資する「個人投資家」と、巨額の資金を投資・運用する「大口投資家(機関投資家)」です。
ビットコイン価格の急落は、大口投資家が大量のビットコインを売却した際に発生する場合があります。
要因3. 取引所からの不正流出への警戒
仮想通貨の仕組み上、一度送金された資産は取り戻せません。仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンが、過去の取引を巻き戻せない仕組みだからです。
仮想通貨取引所は大量の仮想通貨を管理しているため、高度な技術を持ったハッカーに狙われることが少なくありません。そして、ハッカーによる攻撃(=クラッキング)が成功すると、仮想通貨が外部へと不正に送金されてしまう事件が生じるのです。
取引所へのクラッキングによる仮想通貨の不正流出は、投資家に仮想通貨のリスクを認識させることになり、ビットコイン価格の急落を招きます。事件の大きさによっては、しばらくの間、仮想通貨取引所のセキュリティへの懸念から、仮想通貨の売却圧力が強くなる可能性があります。
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要因4. ハードフォークによる混乱
ブロックチェーンはある時点から2つに分岐し、別々のチェーンとして開発されることがあります。ブロックチェーンの恒久的な分岐を「ハードフォーク」と呼び、ハードフォークが発生するとその上で流通している仮想通貨も分裂するのです。
ハードフォークが発生する前後は、価格が上昇するケースもありますが、ハードフォーク時に混乱が生じると、価格が一時的に急落する場合もあります。
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次のセクション(1-2)で解説するように、過去にはビットコイン以外の仮想通貨のハードフォークを発端として、ビットコインの価格が急落した事例もありました。
要因5. マイニング業者の撤退に伴うビットコインの投げ売り
ビットコインの「マイナー」(採掘者)たちは、ブロックの生成に成功すると獲得できる報酬(2020年1月現在の報酬は12.5BTC)を目的として、コストをかけて膨大な計算を行っています。
ところが、ビットコインのマイナーに求められるハッシュパワーは年々大きくなっており、資本力の無いマイニング業者は脱落せざるを得ません。特に、ハッシュパワーの上昇とビットコイン価格の停滞はマイニング業者の収益性に大きく影響します。
採算が合わず撤退を決めたマイニング業者は、それまでに獲得したビットコインを売却して債務整理をすることになるため、ビットコイン価格の下落圧力となるのです。さらに、マイナーの減少は中期的にはハッシュパワーの下落に繋がり、ハッシュパワーの下落はビットコイン自体のセキュリティを低くします。
その結果、ハッシュパワーの低下とビットコイン価格の低下が悪影響を与えあう、負のスパイラルに陥る可能性があるのです。
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1-2. 事例:過去に起きたビットコイン急落事例とその要因
過去、ビットコインが急落した事例を紹介していきましょう。
事例1. 中国の規制強化によって起きたビットコインの急落(2017年9月)
ビットコイン価格が上昇トレンドだった2017年9月、中国政府がオンラインでの仮想通貨取引を制限し、さらには仮想通貨を利用した資金調達方法である「ICO」(Initial Coin Offering)の禁止を発表しました。規制強化を受けて、ビットコイン価格が数日で30%以上も急落しています。
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その後、ビットコインはすぐに価格を戻し、同年12月に過去最高値(1BTC=200万円超)を記録しました。規制強化の影響は一時的なものである場合が少なくありません。
事例2. オルトコイン(アルトコイン)のハードフォークの混乱(2018年11月)
2018年11月、ビットコインキャッシュがハードフォークして、「ビットコインキャッシュABC」と「ビットコインSV」に分裂しました。このときはハードフォークの影響もあって、ビットコイン価格が急落したと考えられています。
ハードフォーク当時、ビットコインSVコミュニティの代表的な人物が、「ビットコインキャッシュABCのブロックチェーンに対して攻撃を仕掛ける」「ビットコインの価格を1,000ドルまで下落させる」といった攻撃的な発言をしていました。
一時的ではあるものの、ビットコインSV側のマイナーが、ビットコインキャッシュABCを攻撃するのに充分なハッシュパワーを維持していた(実際に攻撃が可能だった)ため、この出来事は仮想通貨の弱点を浮き彫りにし、信用不安を顕在化させたのです。
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事例3. 大口投資家のビットコイン売却(2019年10月)
ビットコイン価格の急落要因として、もっとも多いのが大口投資家によるビットコインの売却です。
2019年10月23日から24日にかけて、ビットコイン価格が数時間で86万円台から79万円台へと急落しました。このときのビットコイン価格急落の要因を、Googleが発表した量子コンピューターに求める報道が一部の大手メディアであったものの、急落の主要因は大口投資家にビットコインの売却だと考えられます。
現段階の量子コンピューターがビットコインの暗号技術を破れるレベルではなく、さらに急落時には世界最大級の仮想通貨取引所「BitMEX」で大量のビットコインが売却されています。2019年10月の急落は、ビットコインの大量売却によって発生した可能性が高いのです 。
2. 急落もあり得るビットコイン、投資を続けても大丈夫?ポジティブな要因を整理
ここまで、ビットコインが急落する要因を整理してきました。
ビットコインをはじめとする仮想通貨はボラティリティが高く、急落することもあれば、急騰することもあります。その事実は1年間の価格変動チャートを見ても明らかでしょう。以下は、2019年2月〜2020年1月までのチャートです。

価格が大きく変動するビットコインの投資を続けていると、このまま投資すべきなのか不安になることも少なくありません。そこで、ビットコイン価格にポジティブな影響を与え得る要因も整理しておきましょう。
要因1. 仮想通貨取引に関する法整備
日本国内では、2020年前半に「資金決済法」をはじめとする仮想通貨関連の改正法が施行されます。
改正法では投資家保護が前面に打ち出されており、さらには国外でも仮想通貨取引における投資家保護を進める方向性で議論が進んでいるため、このあたりの法整備が一段落すると、投資家側はビットコイン投資に参入しやすくなるでしょう。
特に、大口投資家(機関投資家)が参入しやすくなるため、法規制はビットコインへの投資環境が整備されるという観点からすれば、望ましいことなのです。
要因2. 大口投資家向けサービスの充実
主に国外の話になるものの、2019年以降、大口投資家向けのサービスが本格的に整備され始めています。
例えば、世界最大の証券取引所「ニューヨーク証券取引所」を抱える「インターコンチネンタル取引所」(ICE: Intercontinental Exchange)の子会社「バックト」は2019年9月、ビットコインの先物取引(現物引渡し)をローンチしました。
バックトでは、実績あるICEの資産管理やトレード環境整備のノウハウが活かされているため、大口投資家が参入しやすくなるのです。
また、大口投資家の仮想通貨を管理するカストディサービスも整備されつつあり、投資信託大手「フィデリティ」などが、仮想通貨を安全に保管するサービスを提供しています。トレードや資産管理の環境が整いつつあるため、大口投資家がビットコイン投資に参入する機運は高まりつつあるのです。
さらに、アメリカの規制当局の判断次第ではあるものの、ビットコインETF(Exchange Trade Funds)が実現すると、株式などが取引される証券取引所でビットコイン関連商品が取引できるようになり、多くの大口投資家がビットコイン投資に参入すると考えられています。
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要因3. ビットコインの半減期による供給減
ビットコインのマイニング報酬は、約4年に1回ごとに半分になります。2020年5月頃にビットコインの半減期が予定されており、半減期の後はマイニング報酬が6.25BTCになる予定です。
マイニング報酬の半減によって、新規ビットコインの供給量が減るため、ビットコイン自体の稀少性が高くなると考えられています。
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ビットコイン価格は急落することもありますが、上記のようなポジティブな要因もあるため、価格が上昇する可能性は充分にあるのです。
実際に過去、ビットコインは何度も急落を経験しましたが、その後は価格を戻しています。したがって、ビットコイン価格が急落した場合であっても、1章で整理した要因を参考に、冷静に状況を見極めれば良いのです。
3. ビットコイン急落に備える方法とは?
この記事の最後として、ビットコイン急落への備えを紹介しておきます。
急落への備え1. 信頼できる情報源を見つけておく
ビットコイン価格の急落に備える際にまずやっておきたいことは、信頼できる情報源を見つけておくことです。
当メディアも仮想通貨に関する重要なニュースを日々発信していますが、それ以外にも仮想通貨系メディアや大手新聞社、Twitterなどが情報源として挙げられます。
最初のうちは、大手の仮想通貨系メディアを抑えておくと良いでしょう。それらのメディアでは、有力なTwitterアカウントのツイートを引用して、マーケット関連の記事が配信されることがあるため、メディアを起点にしてTwitterでのフォローを増やしていくのがおすすめです。
急落への備え2. 仮想通貨投資は余剰資産で行い、投資先を定期的に見直す
前提として、ビットコイン(仮想通貨)は株式や債券などに比べて、ハイリスク・ハイリターンな金融商品です。したがって、ビットコイン投資は、余剰資産の範囲内で行った方が良いでしょう。
また、どの金融商品にどのくらいの割合で投資するのかを、定期的に見直すのがおすすめです。例えば、景気の見通しが良く、株価が順調に推移しそうな時はリスク資産への投資割合を増やしても良いかもしれませんし、景気が悪くなりそうならハイリスクな資産への投資を控えるのが良いかもしれません。
一部の金融資産が含み損を抱えても、他の資産でカバーできるように、自分のポートフォリオを定期的に見直すことを推奨します。
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急落への備え3. 損切りするラインを決めておく
仮想通貨に投資している人であれば、多くの方が「あと少し様子を見よう…」と思った経験があるのではないでしょうか?しかし、投資においてこの感情は捨てた方が良いかもしれません。
金融資産に投資する際に必要なことは、どのラインで手元の資産を売却するのか(損切りするのか)を事前に決めておくことです。例えば、「投資した時点の価格よりも10%下がったら売る」といった損切りラインを明確に設定しておくと、感情に流されずに売買できます。
そして、自分で設定した損切りルールを守ることで、ビットコイン価格の急落時に必要以上の大きな損失を避けることができるのです。
まとめ
ビットコインはボラティリティが高く、価格が急落するケースは少なくありません。ビットコイン価格が急落する背景には、以下のように様々な原因があります。
- 各国の規制強化
- 大口投資家の売却
- 取引所からの不正流出への警戒
- ハードフォークによる混乱
- マイニング業者の撤退に伴うビットコインの投げ売り
ビットコインの急落に備える上で重要なポイントは、信頼できる情報源を確保した上で、余剰資産の範囲内でポートフォリオに注意しながら投資を行い、損切りラインを決めて守ることです。
以上のように、ビットコイン急落の原因を理解した上で、急落への備えをしておけば、慌てることなく冷静に対応できるでしょう。
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