
ビットコイン(bitcoin)の取引をしている人にとって、忘れてはならないのが税金です。
特に暗号資産(仮想通貨)は税率が高いこともあり、知らないと損をする可能性が非常に高いです。
そして、株などの取引では証券会社によってはとてもスムーズに税金の手続きがおこなえる場合もありますが、ビットコインの場合は手間がかかる傾向にあります。
納税や確定申告という言葉にピンとこないという方は、本記事で解説する内容をしっかり理解しておくとよいでしょう。
目次
1.ビットコインの税金の仕組みの概要を説明!
最初にビットコインの税金に関して、初心者が必ず覚えておくべき事項をまとめて紹介します。
2章以降でそれぞれの詳細を解説しますので、まず1章で全体的な仕組みを把握しましょう。
1-1. ビットコインで利益が出ると納税義務が発生する
まず基本として、ビットコイン関連で納税義務が発生する条件を把握しておきましょう。
その条件は、「ビットコインを通じて利益を得たとき」です。
トレードの差益をイメージする方が多いと思いますが、それ以外にもマイニング報酬や仮想通貨での決済などが該当します。
確定申告の際に申告漏れが発生しないよう、ビットコインに関するすべての利益を確認しておく必要があります。
1-2. 仮想通貨の税区分は雑所得
所得にはさまざまなものがありますが、それらはいくつかの区分に分けられます。代表的なものでは、以下のようなものがあります。
- 会社からの給料:給与所得
- 副業の収入:事業所得や雑所得
- 株式の配当:配当所得
- 株式の売却益:譲渡所得
これらの所得区分は、それぞれ税率や控除の種類などが違います。
さて、ビットコインで得た利益はどの区分なのでしょうか。
結論として、ビットコインに関する税金は「雑所得」に該当します。
仮想通貨の場合、かかる税率が雑所得の額によって変動する「累進課税」が適用されます。雑所得や累進課税の詳細は後の章で詳しく解説しますので、ぜひご覧ください。
1-3. 節税の方法もさまざま
税金を支払う際に意識すべきこととして、節税があります。人によっては、節税はとても大きな効果がありますので、チェックしておきたいところです。
利確をしなければ税金は発生しない
単純な方法として、保有しているビットコインを利益確定せず持ち続けることが挙げられます。
また、一部の含み損を確定してしまい、合計の利益を減らすことでも税金は軽くなります。
法人となり経費を計上する
他にも、効果が大きい節税方法として、個人事業主や法人となり経費を計上することが挙げられます。
セミナー代や通信費などを経費として計上することで、利益額を抑えることができます。
経費について
経費とは、事業で利益を得るために必要となった支出のことです。ビットコイン関連で経費計上できるものは、以下のようになります。
・ セミナー代、書籍代などの勉強費用
・ コンピュータ、スマートフォン、マイニング機材などの設備
・ 取引手数料
・ 通信費、電気代、事務所代
所得は売上から経費、控除額を引いたものであるため、経費の額が大きいほど所得額は小さくなり、かかる税金も少額になります。そのため、なるべく経費を多く計上する方が節税となるのです。
経営者の方がレシートや領収書を保管しておくのは、経費として支払いをした証明をするためなのです。
このように、ビットコインの税金に対する節税の方法は以下の2パターンになるといえます。
ビットコインの節税方法
- 含み益は保持し、含み損は損切りすることで、合計の利益額を減らす
- 利益を得るために必要となった経費を申告す
(関連記事)
【2020年】仮想通貨の税金対策はこれ! 節税方法7選・脱税したらどうなる?
2. ビットコインで利益を得ると税金が発生する
ビットコインで得られる利益には、取引による差益をはじめ多くの種類があります。税金はそのすべてにおいて発生し、支払う必要があります。
まず、ビットコインで得られる利益には何があるのか確認しておきましょう。
- ビットコインの売買による利益を得る
- ビットコインで買い物をする
- マイニングによる報酬を得る
2-1. ビットコインの売買による利益を得る
まず、ビットコインで得られる利益の代表として、取引をして利益確定することが挙げられます。
この時、ビットコイン/円(BTCJPY)の取引以外にも、ビットコイン/ドル(BTCUSD)、ビットコイン/イーサリアム(BTCETH)などの取引でも同様に税金が発生します。
利益は日本円でなくとも税金がかかるということですね。
2-2. ビットコインで買い物をする
ビットコインをはじめ、仮想通貨は決済手段として優れた特性を持っています。
そのため、将来的には買い物の際に広く利用されることが期待されており、既に一部の店舗やネットショップではビットコイン決済が可能となっています。
例えば、以下のような店舗・ネットショップは既にビットコイン決済を導入しています。
さて、ビットコインで買い物をするということは、ビットコインを商品と交換するということです。
ビットコインの取引で利益確定すると税金の支払い義務が発生すると述べましたが、ビットコインを買い物によって商品と交換することも、利益確定といえます。
受け取るものが日本円のような通貨であるか、商品であるかの違いがあるだけですね。
買い物で扱うビットコインは少額であることが多いため、トレードで動かす資金量と比べると大したことはありません。
しかし、仕組み上買い物でも税金の支払い義務が発生することは覚えておきましょう。
3. 雑所得、累進課税とは
次に、ビットコインの税区分である雑所得と累進課税について説明しましょう。
3-1. 雑所得とは
税金にはいくつかの区分があり、会社員が給与として受け取る給与所得、経営者が事業経営によって得る事業所得などがあります。
ビットコインが該当する雑所得は、上述したような所得に分類されない、いわゆる「その他」の立ち位置になります。
ビットコインの利益以外で、雑所得として計上される所得には以下のようなものが挙げられます。
雑所得として計上される所得
- FX取引
- 先物取引
- アフィリエイト
- フリマ販売
- 原稿執筆料
- セミナー講演料 など
また、社会人が副業で得た利益も、雑所得になることが多いです。
副業は本格的なものであれば事業所得とみなされることもありますが、多くの場合は雑所得として計上されます。
なお、税率や利用できる控除といった面から、雑所得よりも事業所得の方が節税しやすいケースが多いです。
ビットコイン取引を副業としておこなっているという会社員の方もいますが、残念ながらビットコインの利益は特に事業所得とみなされるハードルが高く、ほぼ雑所得となります。
3-2. 累進課税と税金の計算方法
次に、雑所得は具体的にどのように計算されるのでしょうか。
ここで重要なキーワードとして、「累進課税」があります。累進課税とは、簡単に言えば所得の額によって税率が変化するシステムのことです。
雑所得にかかる税金には累進課税が適応されるため、必ず知っておかなければなりません。
累進課税による税率の変化は、以下の表のようになります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(参考)国税庁|所得税の税率
ここで、変動する税率は所得税のみであり、実際はここからさらに住民税の10%が加算されます。
「半分が税金」は所得4,000万以上から
よくいわれる、「仮想通貨で儲けても半分以上が税金に持っていかれる」という話は、所得が4,000万円以上の、合計税率55%の場合です。
税率は人によって全く異なるため、雑所得と累進課税の仕組みをしっかりと理解しておきましょう。
税金の計算方法について、さらに詳しい情報は以下の記事をご参考ください。
▶【2021年版】仮想通貨の税率一覧| 税金の計算方法や基礎知識を解説
3-3. 確定申告について
毎年2~3月に、前年に得た所得などを申告し、納税額を確定するためにおこなうのが確定申告です。
会社員の方にはなじみがない確定申告ですが、副業としての収入が年間20万円を超えたり、ふるさと納税をしていたりすると確定申告をしなければなりません。
当然ビットコインで利益を得ていた場合も例外ではなく、所得額、すなわち総利益から経費と各種控除を差し引いた額を申告しなければなりません。
▶ 【2021年】仮想通貨の確定申告のやり方&損失や盗難のケースは?
4. ビットコインの税金に関する注意点
ここまでで、ビットコインの税金に関して最低限知っておきたいことを解説しました。
最後に、ビットコインの税金に関して初心者が陥りがちな落とし穴などについて述べていきたいと思います。
4-1. 納税しないとどうなるのか?
まず気になることが、ビットコインで利益を得たにもかかわらず、納税をしないとどうなるのか、ということでしょう。
実際、税金の知識がないままビットコインで稼いでしまい、納税をどうすればよいのかわからず、ごまかしてしまおうと考える人はいます。
しかし、結論からいえば納税をごまかすことは脱税、すなわち違法行為です。
また、ごまかしきれる可能性も非常に低く、高確率で税務署からの税務調査が来ます。
税務署の目を逃れることはできない
税務署は仮想通貨取引所に問い合わせ、個人の取引結果を知ることができるため、税務署の目を逃れることはほぼ不可能であると考えた方がよいです。
また、税務調査はすぐに来るわけではなく、数年たった後の場合が多いです。
無申告をしてしまった場合、罰金と数年分の利息が追加で徴収されるため、もともとの税率の高さもあいまってかなりの額を請求されます。
まとめると、以下のようになります。
- 税金の無申告は脱税であり、違法行為
- 税務署の目を逃れられる可能性は非常に低い
- 追徴課税は非常に重くなる場合が多い
納税は国民の義務ですので、しっかりと税金について理解し納税をおこないましょう。
ひとりでは不安だという場合は、仮想通貨に強い税理士に相談するのも有効な手段です。
4-2. 利益が出ているのにマイナスになる場合も!
株取引などでは、「損益通算」という概念があります。
損益通算とは、ある年度で赤字、別の年度で黒字だった場合、それらを相殺したうえで税額を決定できるという制度であり、強力な節税の手段です。
簡単な例では、2019年に200万円の赤字、2020年に500万円の黒字だった場合、損益通算を使うことで2020年には差し引き300万円のみが課税対象となります。
仮想通貨は損益通算が適応されない
しかし、残念ながら仮想通貨においては損益通算の制度が適応されません。
すなわち、2019年に100万円の黒字、2020年に100万円の赤字だった場合、差し引きゼロとはならずに税金を払う必要があります。
タイミングが悪いと大損する
利益が出るタイミングが悪ければ、以下のようなことも起こり得ます。
2019年に4,000万円の黒字であり、2020年に2,000万円の赤字であった場合、一見合計するとプラス2,000万円です。
しかし、実際には2019年に4,000万円×55%の2,200万円の税金が発生するので、合計するとマイナス200万円となってしまうのです。
仮想通貨に損益通算の制度がない以上、利益をすべて再投資しているとこのようなリスクを抱えることになります。ある程度の利益を確定した時点で発生する税金を計算しておき、手元に残しておくようにしましょう。
まとめ
本記事ではビットコインに関する税金について、さまざまな面から解説しました。
税金は、仮想通貨のみならず、労働や投資などのあらゆる経済活動において関連してくる事柄です。システムが複雑なことも多く、敬遠されがちですが、その分しっかりと対策することで多額の節税をすることができます。
面倒くさそうだからと先延ばしにしていると、追徴課税で想像以上の金額をとられてしまうこともあります。
税金についての勉強は、ひとりで学ぶだけでなく、税金のセミナーや勉強会に参加してみたり、税理士に話を聞いてみたりするのも効果的です。
ビットコインで利益を得ることができたら、必ず税金について勉強することをおすすめします。
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