
仮想通貨の情報をチェックしていると、「フィアット通貨」や「フィアット建て」という言葉を見かけることがありますが、「フィアットって何だろう?」と思ったことはありませんか?
フィアットとは、いわゆる法定通貨のことで、私たちが普段使っている紙幣をいいます。
「それなら、初めから法定通貨といえば良いのでは?」とも思いますが、仮想通貨業界ではこの「フィアット」という言葉がよく使われています。
そこで今回は、フィアットの意味や使われるシーン、フィアット建て運用のメリット・デメリットについて紹介していきたいと思います。フィアットを理解することは効率的な取引にも繋がりますので、ぜひこの機会にフィアットの知識を身に着けておきましょう。
目次
1. Fiat(フィアット)は国が発行する通貨
フィアットは「Fiat Money」や「Fiat Currency」とも呼ばれていますが、いわゆる国が発行している通貨全般を指します。
それでは、この「フィアット」の意味合いについてもう少し詳しくみていきましょう。
1-1. 世界の法定通貨をまとめてフィアットと呼ぶ
仮想通貨業界では「ビットコインをフィアットに戻す」なんて言い方もしますが、これはビットコイン取引で生じた利益・損失を法定通貨で計算し直すという意味になります。私たち日本人は日本円で計算し直すのが一般的でしょう。
しかし、そうすると「フィアット=日本円」というイメージになってしまいがちなのですが、本来フィアットは各国の法定通貨を指しますので、USドルや元、ユーロといった通貨もフィアットと呼びます。
つまり「ビットコイン→ドル」や「ビットコイン→ユーロ」のように、さまざまな通貨で換金しなおすことを「フィアットに戻す」と言うのです。
1-2. 仮想通貨取引の損益をフィアットで計算する人は多い
私たち日本人の基軸通貨は「円」ですので、仮想通貨取引を行っている人の多く(特に初心者)は含み利益・含み損をフィアット建てで換金する傾向にあります。
しかし、今後仮想通貨がさらに浸透し仮想通貨決済が一般的になった場合、フィアットに対する考え方もこれまでとは一変する可能性があるのです。
そのため、今後の仮想通貨とフィアットの動向は非常に注目されています。
1-3. 現代社会ではまだまだ必要不可欠
仮想通貨は今後さらに普及することが予測されており、近い将来「法定通貨はなくなる」という記事を目にすることも多いです。
しかし、現代社会で生活をするうえでフィアット通貨はまだまだ必要不可欠な存在であり、逆に仮想通貨がこのまま順調に普及するのかというのも不安な部分といえます。
そもそも仮想通貨というのは、従来の金融機関取引における問題点を改善するために誕生した通貨です。そのため、仮想通貨取引においては非中央集権が基本となっており、第三者を挟まず直接取引をすることで「安い手数料」と「送金時間の短縮」が可能となりました。
このような機能は、これまでの金融機関取引に比べてはるかに高い利便性を持ち合わせていますが、機能や市場が成長段階であることから、仮想通貨取引所のハッキング事件や誤送金など、大きなリスクがあるというのも事実です。
つまり、今後数年~10年ほどの間でフィアット通貨がなくなることは考えにくく、しばらくはフィアット通貨と仮想通貨の両方をうまく使い分けて資産管理を行うのが理想的でしょう。
2. 「フィアット」を使うシーン
「フィアット」という言葉は、仮想通貨と法定通貨を区別するために使用されているのですが、具体的にどういったシーンで使われているのでしょうか。
2-1. 「フィアット建て」
フィアットという言葉がよく登場するのが、仮想通貨取引の損益を計算するシーンです。
利益や損失を確認する際は大きく「仮想通貨建て」か「フィアット建て」かのどちらかに分かれますが、どちらで計算するかによって見るチャートが違ってきます。
また、フィアット建てでは「日本円(法定通貨)でビットコインがいくらで購入できるのか」が明確になりますから、金額のイメージが掴みやすく世界各国でも非常によく使われているのです。
2-2. 「フィアット通貨・フィアットマネー」
近年では「仮想通貨と法定通貨どちらに将来性があるのか」といった議論が繰り広げられていますが、その際には「フィアット通貨」や「フィアットマネー」という言葉が良く使用されます。
通貨と付けるのであれば「法定通貨」で良い気もしますが、仮想通貨業界では「仮想通貨」と「法定通貨」を差別化するという目的で「フィアット」という言葉がつかわれているのです。
3. フィアット建て(円)のメリットとデメリット
仮想通貨における基軸通貨はビットコインですので、仮想通貨取引においてはビットコイン建てで考えるのが良いとされています。しかし、フィアット建て(円)にも優れたメリットがありますので、ここではフィアット建てのメリット・デメリットを紹介しましょう。
3-1. フィアット建てのメリット
前述したように、私たち日本人にとっての基軸通貨は「円」となり、全ての価値を円で計算しているといっても過言ではありません。そのため、仮想通貨においても円で計算するのが非常にシンプルでわかりやすいといえるのです。
また、仮想通貨取引を行っている人のほとんどは資産を増やすことが目的です。そうなれば、目的は「円を増やすこと」ですから、わざわざビットコインに置き換えて価値を図るよりも、最初からフィアット建てで計算する方が無駄な手間がなく、より目的を明確化することができます。
3-2. フィアット建てのデメリット
フィアット建ては、「円/ビットコイン」の取引においてはさほど問題はありませんが、オルトコインの取引には向かないといえます。なぜなら、日本円で購入できる仮想通貨は非常に少なく、どの取引所においても限定されているからです。
そうなると一旦ビットコインを購入し、ビットコインでオルトコインを購入することになりますから、ビットコイン建ての方がシンプルで分かりやすくなります。
さらに、フィアット建ての場合はオルトコインの値動きもわかりにくく、「利益が出た」と思いきや実は損失が出ていたなんてことも考えられるのです。
たとえば「1ビットコイン(BTC)=100円、1XRP(通称:リップル)=10円」のとき、1BTCで10XRPを購入したとしましょう。この時点ではフィアット建で見ても100円分の価値があるとわかります。
しかし1ヶ月後、1BTC=200円、1XRP=15円になっていたとします。一見XRPが1.5倍にえたかのように思えるのですが、BTCに戻してみると10XRP=0.75BTCとなり、BTCが減っているという現実が見えるのです。
これには上昇率が関係しており、XRPの価格が1.5倍なのに対し、BTCは2倍になります。そのため、上昇率の高いBTCに戻せばマイナスになります。
つまり、ビットコイン建ての目線で考えるとマイナス、フィアット建ての目線で考えるとプラスという現象が起きることとなり、どの通貨ペアを基準に考えるかが大切になってくるのです。
また、XRPを日本円に換金する場合も「XRP/JPY」の通貨ペアを取り扱っている取引所は限られていますので、一旦BTCに戻す必要が出てくるでしょう。こういったことから、オルトコイン取引においてフィアット建ては非常にわかりにくいといえるのです。
まとめ
今回はフィアットについて紹介しましたが、フィアットの意味合いやフィアット建ての使い方がなんとなく理解できたでしょうか?
フィアット
- 各国で発行されている法定通貨
- 仮想通貨と法定通貨を比較する際によく使用される
- 今後なくなるともいわれているが、まだまだ必要不可欠な存在
フィアット建て(円)
- ビットコインの価値がわかりやすく、資産(日本円)を増やしたい場合には最適
- 一方、オルトコインの価格変動はわかりにくく向いていない
今後仮想通貨が更に普及すればフィアットの価値は下がることとなりますが、すぐに普及することは考えにくく、まだまだフィアットは必要不可欠な存在です。そのため、どちらか一方を選ぶというのではなく、両方をうまく使い分けて上手に資産運用を行うことが大切でしょう。
また、仮想通貨取引においてもフィアット建てはシンプルでわかりやすくなっていますが、オルトコイン取引では勘違いを生みやすいため、ビットコイン建ての方がおすすめです。つまり、この場合も取引する通貨や利用シーンによってうまく使い分けできるのがベストといえます。
これからより良い仮想通貨取引を行っていくためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。