
BitMEXでは日本時間2020年4月30日23:00をもって、日本国内居住者の新規口座開設が停止されました。
(参照)BitMEX
仮想通貨取引所BitMEXで取引をしていると、取引画面上で数値が変動している資金調達率が気になりますよね。資金調達率(Funding)とは、取引においてあなたの勝敗を左右する1つの大切な指標なのです。
Post-Onlyなどのオプションはあなた自身が自由に変更できるので意識をしますが、資金調達率は勝手に変動していて、自分で設定する項目ではありません。
しかし、この資金調達率をしっかりと確認して取引をしなければ、知らないうちに資産の増減が起こります。そこでこの記事ではBitMEXの資金調達率について解説します。(コインペディアでは、外資系戦略コンサルタント出身の現役トレーダーによる相場戦略を公開しています。)
1. BitMEXの資金調達率とは?
BitMEXの資金調達率とは、レバレッジ取引と現物価格との価格乖離を調整する役割を担っています。これは、BitMEXが現物取引を提供していないことに起因します。
資金調達率とはポジション保有時と決済時の価格の差
仮想通貨取引所の中ではBitMEX独特の機能ですので、その他の取引所では聞きなれない機能のはずです。
レバレッジ取引でポジションを持った瞬間の現物価格と、ポジションを決済する時の現物価格の間に生じる差分を、資金調達率をもとに計算し、資金調達手数料としてバランスをとるのです。
資金調達率で発生する手数料は、BitMEXへ支払う手数料ではありません。
つまり、資金調達率に応じた手数料はロングあるいはショートポジションを持つユーザー同士でやり取りされる手数料なのです。
なぜ資金調達が必要なのか
資金調達が必要な理由は、BitMEXの取引が無期限契約だからです。
証券取引などでも、スポット取引(現物取引)では有効期限があります。これに対して、BitMEXの無期限契約は、ユーザーが持つポジションに対して有効期限がありません。
無期限契約にも、もちろん最初にポジションを持つ際に基準となる価格がありますが、取引市場は常に動いていますよね。
つまり、ポジションを持った瞬間から時間が経過することで、現在の取引価格との整合性が取れなくなるということです。
そこで、市場の変動に対応し、市場とのバランス・整合性を取る手段が資金調達であり、それを手数料として補うのが資金調達率なのです。
BitMEXでは、ロングとショートのポジションを持つユーザー同士が資金調達率に応じた手数料をやり取りすることで、市場とBitMEX内の取引の価格バランスを保っているのです。
ポジションとは損益が発生する状態にある取引の事です。
購入の決済を行い売却するまでの期間をロングポジション(買いポジション)、売却の決済を行い購入するまでの期間をショートポジション(売りポジション)と呼びます。
2. 資金調達率の発生タイミング
BitMEXの資金調達率は、1日に3回発生します。
変動タイミングは8時間ごとで、日本時間の5時・13時・21時です。
また、変動の値は「-0.375%」〜「0.375%」と幅広いものです。
つまり、上記のタイミングでポジションを持っている場合は、資金調達率をしっかりとチェックする必要があるということです。
資金調達率の確認方法
資金調達率の確認方法は、取引画面左下部分の「契約の詳細」欄にあります。価格設定元という項目から数えて、上から5番目の資金調達率ですね。
資金調達率が変動するタイミングは、資金調達率欄の右端に「〜時間後」といった形式で表示されています。
3. 資金調達率の計算方法
資金調達率の計算方法は、特に難しいものではありません。手数料計算の数式は次のようになります。
『資金調達手数料 = 保有ポジション量 × 資金調達率』
資金調達率は-0.375〜0.375の範囲です。また、保有ポジション量は注文したXBTの枚数です。
例えば、10XBTでポジションを持った時、資金調達率が0.02%であれば、以下のような計算になります。
10 × 0.02 = 0.2
この時、0.2XBTが資金調達手数料となります。
レバレッジを意識した手数料
レバレッジをかけたポジションの場合には、もちろん倍率に比例して手数料も大きなものとなります。
上記の例を参考して、例えば100倍のレバレッジをかけたとします。それは、0.2XBTの資金調達手数料も単純に100倍になるということです。
10XBTに100倍のレバレッジをかければ、事実上1,000XBTでポジションを持つことになります。
この時、資金調達手数料は、「1,000 × 0.02 = 20」となり、手数料だけで20XBTという大きな金額になってしまいますね。
ただし資金調達率による手数料は、必ず支払わなければならないものではなく、なんとタイミングによっては手数料を受け取れるのです。
取引の際に支払うべき手数料であるプラス手数料に対して、取引に生じる手数料を受け取れるのがマイナス手数料です。
一般的な仮想通貨取引所では、マイナス手数料であれば取引所からユーザーへ支払われる手数料という解釈です。しかしBitMEXでは、資金調達率がマイナスの場合、自身が持つポジションによって手数料を支払うか受け取るかが変わります。
4. 資金調達率で儲かる・損をしない方法
資金調達率の手数料は、BitMEXの取引ユーザー同士がやり取りする手数料です。
そして、手数料の支払いと受け取りには以下のような条件があります。
【例】資金調達率がマイナスの時:ロングポジションのユーザーが、ショートポジションのユーザーから手数料を受け取る
【例】資金調達率がプラスの時:ショートポジションのユーザーが、ロングポジションのユーザーから手数料を受け取る
つまり、資金調達率で儲かる、あるいは損をしない方法は、資金調達率がマイナスの時にロングポジションを取り、プラスの時にショートポジションを取ることなのです。
資金調達率がプラスであるかマイナスであるかをしっかりと確認してポジションを取ることで、資金調達手数料を受け取る側に回り、手数料負けを防ぎましょう。
資金調達率よりも価格自体の変動に注意
ただし、資金調達率とポジションの関係だけを狙った取引を行えば必ず儲かるわけではありません。
資金調達率がプラスの時にショートポジションを取ったにもかかわらず、そもそもの仮想通貨価格が上がってしまってはトータルで損失を出します。
資金調達率は、あくまでも手数料損失を回避するための指標であることを意識しましょう。
まとめ
BitMEX特有の資金調達率は、見聞きしただけでは非常に分かりにくい用語です。
しかし、資金調達率がなぜ存在しどのように作用するかを理解することで、タイミングを合わせたポジションを取ることができ、手数料を利益として受け取ることも可能なのです。
BitMEXで取引をする際には、資金調達率は有益な情報ですので、必ずチェックしてポジションを取りましょう。