ビットコインのETFは承認されるのか? 概要や現在の状況を解説

ビットコインのETFとは

ビットコインETFは仮想通貨(暗号資産*)市場を活性化させるのでしょうか。

2018年の年初に価格急落を受けた仮想通貨市場。長きに渡って低迷を続けていますが、とある期待が注目を集めています。

それが、ビットコインETFの承認です。

ビットコインETFが承認されることは、市場にとっては好材料であると判断され仮想通貨取引も活発になると考えられていますが、様々な課題が残されているのが現状。

そこで今回はビットコインETFの現状について紹介していきます。

*2019年5月、呼び名を「暗号資産」とする改正資金決済法が可決されました(参考|日本経済新聞

1. ビットコインETFとはビットコインの投資信託

ビットコインETFとは、ビットコインを投資対象とした金融市場で取引できる投資信託のことです。

はじめに、そもそもETFや投資信託とはどういったものか、ETFと投資信託の違いを理解しておきましょう。

1-1. そもそもETFとは何か

ETFとは、Exchange Traded Fundsの略称であり、一般的に「上場投資信託」と呼ばれています。

いわば市場そのものに投資できる

ETFはたくさんの投資家から集められた資金をひとまとめにし、その資金を専門家たち(ファンド)が運用し収益を還元します。

また特定の指数に連動しており、その指数と同じ値動きをすることを目指す仕組みとなっています。

ETFは証券取引所に上場されていることから、株式や債券と同じようにいつでも取引を行うことができ、リアルタイムで市場価格が変動しているのが特徴です。

分散投資を簡単にできる

ETFを保有することで簡単に分散投資ができます。例えば、日経平均が構成している銘柄に分散投資したい場合、多額の資金が必要になります。しかし日経平均のETFを保有することで、少額からでも日経平均が構成している銘柄に分散投資していることと同じ効果が期待できます。

投資信託とは
投資信託とは、ETFと同じように投資家から資金を集め、その資金を運用し収益を還元する仕組みです。
投資信託の特徴として、申込期間内でしか取引できないうえ、いつでも売却できるわけではないことが挙げられます。また、基準価格として取引価格が1日1回算出されることなど、いくつかの制限があります。
投資信託とETFとは仕組みは同じですが、内容は全く違う金融商品なので取引する際には注意しましょう。

1-2. ビットコインETFとは?

証券取引所

ビットコインETFとは、ビットコインを運用資産に加えたファンドの金融商品です。

このビットコインETFは、運用している資産の一部にビットコインを加え、これらの資産から生じた収益が還元されます。

ビットコイン市場そのものに投資するということ

ビットコインETFとは

ビットコインETFはビットコインの現物価格や先物価格の指数に連動するようになっており、これはゴールド(金)ETFや原油ETFといった既存の金融商品と同じような仕組みになるとみられます。

ビットコインが安定した資産だと認識できる

ビットコインETFが証券取引所に上場されれば、金融商品としてビットコインに投資を行うことができます。

ファンドがビットコインを扱うことはとても前向きなことです。

なぜかと言うと、ファンドは多額の資金を保有しており、これらの資金をビットコインに投資するということはビットコインが安定的な資産であると認識できるからです。

1-3. ETFと投資信託は何が違うの?

ここでETF(上場投資信託)と一般的な投資信託の違いを簡単に見ておきましょう。

ETF(上場投資信託) 一般的な投資信託
上場 している していない
取引可能な時間 取引所の取引時間内 申込期間内
取引価格 リアルタイムで変動する 1日1回算出される
購入方法 金融商品取引所を通じて購入する 銀行や郵便局、証券会社を通じて購入する
売却時期 金融市場で売買が成立すればいつでも売却できる ファンドによって制限されており、いつでも売却できるわけではない
手数料 金融商品取引所によって異なる 販売会社やファンドによって異なる

ETFはいつでも取引ができる自由度の高さと、販売会社を通すことなく金融商品取引所から購入できることによる取引コストの低さが強みです。

しかしETFには、株式にもあるように元本を毀損したり、売買が成立せずに取引を行えなかったりとリスクもつきまとうので取扱いには注意が必要です。

1-4. なぜビットコインETFに承認が必要なのか

会議室

ETFの承認審査は米証券取引委員会(SEC)が行っています。

米証券取引委員会はアメリカにある証券取引を監督・監視している機関のこと。この機関が現在ビットコインETFの承認審査を行っています。

証券取引法に沿って監視するため

ビットコインETFに承認が必要な理由は、ビットコインETFを米証券取引委員会の監視下に置くためです。

アメリカには証券取引法という日本における金融商品取引法と同じような法律がありますが、金融商品はこの証券取引法に沿って決められています。

注視しているのはこの3点

また証券取引委員会の目的は以下の3つが挙げられます。

  • 市場の健全性を確保
  • 信用や秩序の維持
  • 投資家の保護

この3点は証券取引委員会の目的であると同時に、審査における注視項目でもあります。

現在仮想通貨市場は法的な枠組みが整備されておらず、いわゆるなんでもアリな状況です。しかしこれから仮想通貨市場をさらなる大きなマーケットに取り入れるためには、公正かつ透明性の高い市場が求められます。

そのため、ビットコインETFを投資家保護の観点から問題なしと確認し、承認をした上で上場させなければいけないのです。

2. ビットコインのETFが承認されると価格が上がるかも

チャート

それではビットコインETFが承認された場合どうなるのかを見ていきましょう。

2-1. より透明性の高い取引を行うことができる

ビットコインETFが承認されると金融商品として扱われることになり、証券取引委員会の監視下に置かれます。

ビットコインがETFとして扱われれば株式や債券などと同じく厳しく監視されるようになり、これまでよりも透明性が高く安全に取引を行うことができます

2-2. 機関投資家が参入しマーケットに資金が入ってくる

仮想通貨市場が安全性の高い市場であると認められれば、機関投資家の参入も見込めます。

機関投資家とは銀行やファンドなどの金融機関に所属している投資家のことを指し、巨額の資金を運用している投資のプロです。運用する資金は個人投資家の何千、何万倍もの額です。

これらが仮想通貨市場に流入することでマーケットも活気づくと考えられています。

2-3. ビットコイン自体を保有せずビットコインに投資できる

ビットコインETFではファンドがビットコインを保有します。私たち投資家はそのファンドのETFを保有することで、ビットコインに間接的に投資することができます。

ビットコインETFを保有していれば私たちがビットコイン自体を保有する必要がありません。なので、資産管理を専門家に任せることができ安全に投資をすることができます。

3. ビットコインETFの現状と今後の動きについて

次にビットコインETFの現状と今後の動きについて解説します。

3-1. 申請された多くのETFは承認を見送られている

現状承認申請されたビットコインETFの多くは承認を見送られています

FOXビジネスによると、承認審査を行っている米国証券取引委員会のジェイ・クレイトン委員長は、「ビットコインETFについて反対したいわけではなく、価格が操作されることなく厳格なルールが整備された市場であるかどうか不安視している」と述べたそうです。

米国証券取引委員会は、早熟ながら巨大な市場を形成しつつある仮想通貨市場に対して慎重な対応を取っているようです。

参照:FOX BUSINESS|SEC Chairman Clayton on bitcoin: Buyer beware

3-2. 現在申請されている2つのETFは再び延期

コインテレグラフは、米国証券取引委員会が現在申請されている2つのビットコインETFの審査期限を延期したと報道しました。

ビットコインETFは、仮想通貨資産の管理を行うビットワイズ(Bitwise)と、米運用会社ヴァンエック(VanEck)、金融サービスプロバイダーソリッドX(SolidX)、金融オプション取引所CBOEの3社が共同で申請している2つです。

それぞれ5月15日にビットワイズが、5月21日にヴァンエックら3社のETFが審査の延期を発表されました。

参照:コインテレグラフ|米SEC、ヴァンエックらのビットコインETFの可否判断を延期|仮想通貨詐欺や価格操作などが依然懸念点

3-3. 審査期限は10月末まで

米国証券取引委員会はビットコインETFの審議に最大240日間かけることができます。

ビットワイズが申請したビットコインETFの審査開始日が2月11日、3社共同のビットコインETFの審査開始日が2月20日であることから、遅くても10月末には審査結果が決定すると予想されます。

現状どちらの判断がなされるのかは定かではありませんが、米国証券取引委員会が懸念している問題を解決することができれば承認される可能性も十分残されていると報じられています。

4. ETF承認にあたって懸念されていること

ハッキング

ではビットコインETFの承認にあたり、どういったことが懸念されているのかを見ておきましょう。

4-1. 投資家の資産は保護されるのか

仮想通貨は常にハッカーに狙われており、多くの仮想通貨を取り扱う取引所ではハッキング被害が頻発しています。日本でもザイフやコインチェックがハッキング被害にあったことは記憶にあたらしいのではないかと思います。

懸念されているのはハッキングやカウンターパーティリスクによって顧客の資産が失われた場合に保護はされるのかということです。

日本の証券取引所では、顧客の資産の全額を保有しておかなければなりません。また証券取引所が倒産した場合も預けておいた資産は全額返金されるように定められています。

こういった顧客資産の保護を仮想通貨市場ではどのように行うのかまだ明らかになっていません

4-2. 不正や詐欺行為を監視することはできるのか

また仮想通貨市場の不正や詐欺行為に対しても十分な監視を行うことができるのか不安視されています。

最近では証券取引で不正な取引を監視するのにAI(人工知能)が導入され、不審な取引を監視するツールを開発するセキュリティ企業が多数いることから、金融市場では高度な監視態勢が整いつつあります。

仮想通貨市場でもこういった高度な監視態勢を敷くことができるのか懸念材料となっています。

4-3. 大口投資家による価格操作に対処することができるのか

金融市場では当然のことながら価格操作を行うことは禁止されています。大口の投資家たちは、一度に購入するのではなく分割して購入するようにし、価格を人為的に変動させないようルールが整っています。

一方仮想通貨市場では大口投資家の価格操作に対して特に対処しておらず、SNSでは大口投資家が大きな影響を及ぼしていると噂されています。

なかには価格を作為的に変動させ、それを利用して利益を得ようとしている人もいます。

このような行為は投資家に損害を与え、公平な取引を阻害しているのです。

このような問題が未解決のままであり、その他にもさまざまな観点からビットコインETFの承認は見送られています。

さいごに

ビットコインETFの承認については、審議をしている米証券取引委員会のなかで肯定的な意見もあげられています。

しかし、上記であげたような懸念材料もあることから業界関係者は慎重な判断をしているという見方が強いです。

ビットコインETFを申請する側も、承認を得るため内容改善に取り組んでいることから時間の問題なのではという意見もあります。

ビットコインETFの承認は仮想通貨の市場にとっても大きく期待されていることであり、これからも注目しておく必要があるでしょう。