仮想通貨のクジラとは? ビットコイン大口保有者の動向を見る方法

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仮想通貨(暗号資産*1)関連のサイトやSNSで「クジラ」という言葉を聞いたことはありませんか?

初めて聞く人は何のことかわからず、気になってしまうものですよね。

そこで今回は、仮想通貨における「クジラ」とは何かを徹底調査!

簡単に言うと巨額の資金を動かす存在のことですが、うまく動向を観察すれば、相場分析での参考にすることができますよ。

*1)2018年12月の仮想通貨交換業等研究会による報告書において、呼び名を「暗号資産」とする内容が取りまとめられました(参考|「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)議事次第

1. 「クジラ」とは巨額な資金を動かす機関投資家のことを指す

クジラといえば最大の特徴は何といっても巨体ですね。そのイメージとおり、巨額の資金をハンドリングする機関投資家のことを、俗にクジラと呼んでいるのです。

1-1. もともとは経済用語のスラング

クジラとは仮想通貨市場だけの専門用語ではなく、株式市場なども含めた経済界で使われているスラングです。欧米金融界のクジラといえば、ウォーレン・バフェット氏やジョージ・ソロス氏などの大物投資家、ロックフェラーやロスチャイルドといった財閥などが有名です。

1-2. 世界をけん引する投資家たち

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ウォーレン・バフェット氏といえば、株式投資の天才と呼ばれ、800億ドル以上という莫大な富を築いたことで世界的に知られる存在です。自身が経営する投資会社であるバークシャー・ハサウェイを通じて、さまざまな投資を行っています。

ちなみにバフェット氏は自身が理解できない投資には手を出さない指針を持っています。仮想通貨に関しては懐疑的な意見を表明していて、仮想通貨投資は行っていないとのことです。

バフェット氏と並んで有名な投資家の1人がジョージ・ソロス氏で、1992年の通貨投機で15億ドルといわれる程の利益を得たことで有名です。

ソロス氏が率いるクォンタム・ファンドは、1998年には世界最大のヘッジファンドになり、2010年には270億ドルの規模に到達。2013年には単年で55億ドルの利益を獲得し、ヘッジファンドとしては最高記録となりました。

ソロス氏もバフェット氏と同様に、当初は仮想通貨に対し懐疑的なスタンスであり、ただのバブル状態であると発言していました。しかし2018年4月には一転して、仮想通貨投資を計画しているとの報道も。

この他にも、金融界にはさまざまな「クジラ」と呼ばれる投資家が存在し、数十億ドル・数百億ドルものマネーを日々動かしています。

1-3. 日本におけるクジラとは

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日本では日銀や共済年金、ゆうちょ銀行などがクジラに当てはまります。そのほか公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、株式や債券などへ巨額を投資しているクジラといえるでしょう。GPIFの運用収益は2001年以降の累積で2.73%であり、収益額は56.7兆円に及びます。

公的年金というとほとんど日本の国債で資金運用しているのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし公的年金のポートフォリオを見ると、現在では外国株式が約25%・日本株式が約24%と、50%近くの数字になっているのです。国内債権の占める割合は30%未満です。

GPIFの運用資金のうち、株式が占める金額は約72兆円にものぼります。これだけの巨額のマネーを動かす存在であるからこそ、クジラと呼ばれるのです。

年金積立金管理運用独立行政法人|最新の運用状況

1-4. 仮想通貨でのクジラ

仮想通貨、特にビットコインにおいては総発行枚数の4割を1,000人ほどが保有しており、その人達のことをクジラといいます。仮想通貨はまだ市場規模が株式や債券ほど大きくないため、クジラの資金保有量も株式などに比べれば少なめです。

ビットコインでもクジラの動かすマネーは数十億~数百億円ほどです。しかし通貨内では大きな存在であることは間違いありません。巨額の資金を動かせるだけに、クジラが相場に与える影響は大きいとされ、その存在と動向は仮想通貨市場で常に注目されています。

2. 仮想通貨でホエールウォッチング!ビットコインの動向を観察してみよう

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ビットコイン(BTC)のウォレットのアドレスを、誰でも見られることはご存じでしょうか。クジラとみられるアドレスをチェックすると、興味深いことがわかりますよ。

2-1. クジラのアドレスを追う理由・メリットとは?

BTCのウォレットのアドレスは、保有者の個人情報はわからないものの、BTCの保有量出し入れの履歴を把握できます。仮想通貨の特徴であるブロックチェーンの取引履歴の記録を追えば、クジラの動きを見ることができるということです。

もしもクジラがBTCを大量に売ったら、相場は大きく動く可能性も高いですよね。価格が急激に動いたのに何もニュースが入ってこないという場合、クジラのほうに動きがあることも。そんなときは相場で何が起きているかを把握するため、クジラのアドレスをチェックすることもおすすめです。

2-2. クジラは最近動きがない

大口のアドレスをチェックしてみると2018年2月以降、ほとんど動きがないのがわかります。Bitinfochartsの「Richest Address」で保有量の大きなアドレスを確認することができます。

このランキングによると、5位までのアドレスはそれぞれ100,000BTC(約370億円)以上を保有(*2)。まさにクジラという名前に相応しい大口のアドレスですが、実はほとんどが仮想通貨取引所のコールドウォレットです。*2)2019年2月1日現在

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取引所のものではないとみられるアドレスは、6位で登場します。このアドレスは2018年7月に作成、86,000BTCを入金されて以降、保有量の増減が一切ありません

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保有量7位のアドレスも同様です。このアドレスには2011年3月に約80,000BTCが入金されました。その後は0.01BTC以下の入金がほとんどで、出金は一度もありません。いわゆる「ガチホ」です。

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8位以下も同様にガチホとみられるアドレスが多くなっています。少なくともウォレットアドレスだけでは、クジラの大きな動きは確認できません。

クジラは複数のアドレスを持っている
大量の資産を保有しているクジラが、資産全部を1つのアドレスに入れているとは限りません。保有量が大きく変動したアドレスがないとしても、クジラが動いていないとは言い切れないのです。

2-3. クジラの影響は小さい?

 

2017年10月18日17時頃から19日11時頃にかけて、5,000BTCを4回、合計20,000BTCが入金されたアドレスがあります。

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参照:ChainFlyer

この日の価格は、18日23時ごろに5200ドルを割り込んだところで反発、19日11時頃に5600ドルを突破し、同日5700ドルまで値上がりしました。

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1日弱で約500ドル(約10%)の値上げは短期的に見ると大きな動きと言えます。20,000BTCの移動が影響した可能性はありますが、この時は5000ドルという節目の価格であることの影響も否定できません。

その後、さらに価格が上昇していくことも考えると、価格の動きが必ずしもクジラの影響だけとはいえなさそうです。

2-4. 東京のクジラが価格を動かした?

2019年2月、約260億円相当のBTCが2018年3月から2018年6月にかけて売却されたことが報道されました。

COINTELEGRAPH|「東京のクジラ」による巨額ビットコイン売却の詳細か | 仮想通貨取引所マウントゴックス管財人の銀行口座から日本の取引所名も

売却したのはマウントゴックス破産管財人の小林氏。氏は海外メディアで「東京のクジラ」としてたびたび名前を挙げられています。

CNBC|Investors bullish on bitcoin now that the ‘Tokyo Whale’ has stopped selling

ビットコインの売却が行われていた5月から6月にかけて、世界的にビットコインの価格は下落。国内取引所でも2ヶ月で40%の値下がりとなりました。

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小林氏による売却がこの値下がりに影響しているではないかという憶測もあります。しかしすでに売却が始まっていたはずの4月には価格は上昇しており、「東京のクジラ」による売却と価格下落の因果関係は憶測の域を出ません

3. クジラの動きとビットコインの動きが一致しているわけではない

ビットコインとクジラの関係を見てきましたが、クジラによる影響はあくまでも推測であり、すべてを説明できるわけではありません。

クジラのビットコインの購入・売却と、ビットコインの価格がすべて連動しているわけではないからです。

3-1. 市場の参加者の思惑はさまざま

仮想通貨だけに限らず、金融市場にはさまざまなプレーヤーがいて、その立場・目的は多彩かつ複雑です。クジラがいかに巨額のマネーを動かせるといっても、市場の価格をすべてコントロールできるわけではありません

仮想通貨ではクジラが結託して価格を操作できるのではないかという意見もあります。しかしクジラの投資目的・目標が同一であるとは考えられず、BTCをはじめとした仮想通貨へのスタンスも同一とは限りません。

クジラにもそれぞれ複雑な利害関係があり、正体も明確に示されているわけではありません。そのような背景を持ったクジラ同士が、利害を調整するのはなかなか困難ではないでしょうか。

3-2. 因果関係はあくまで推測である

クジラのアドレスの動きと、通貨価格の関連は、連動しているように見えます。ニュース・報道をあわせると、一連の動きには因果関係があるのではないかと思っても不思議ではありません。

ただし1つ1つの現象は、必ずしも関係があるとは限りません。そのクジラの厳密な正体は明らかでなく、どのような理由によって売買しているかも不明である以上、因果関係についてはあくまでも推測の域を出ないのが実情です。

しかしまったく関連性が無いとも言い切れないため、今後もクジラの動きを観察することは、相場分析の材料の1つになることは間違いないでしょう。仮想通貨価格の上昇・下落では、ニュースとあわせてクジラのアドレスをチェックすることもおすすめです。

まとめ

仮想通貨界隈で時々見られるクジラという言葉は、巨額のマネーを動かしている存在のことを指します。もともとは金融・経済界のスラングであり、機関投資家のことを意味しています。

BTCのトランザクションやアドレスは公開されているため、誰でも見ることができます。クジラとみられるアドレスやトランザクションのブロックを調べてみることにより、どのような通貨の動きがあったかを確認できます。

チャートで大きな動きがあったときは、ニュースとあわせてクジラに動きがないかもあわせてチェックすると相場分析に役立ちます。

ただしチャートの価格変動とクジラの動きは、必ずしも因果関係があるとは限らないことに注意しましょう。因果関係があるように見えても、あくまでも推測の域にとどまるということです。クジラをチェックするときは、参考資料の1つとして捉えるのが望ましいです。