
仮想通貨の運用の中でも、取引所に資産を貸して年利分を受け取る方法が仮想通貨レンディングです。
レンディングならばチャートを見ながら時間をかけて取引をしなくても、購入したコインを一定期間預けるだけで仮想通貨の運用ができます。
今回は、仮想通貨レンディングの仕組みやメリット、リスクと注意点も確認しながら、レンディングの始め方を見ていきましょう。
目次
1. 仮想通貨レンディングの仕組み
仮想通貨レンディングは、所有する仮想通貨を貸し出すことで利益を得るサービスです。お金を銀行に預けて利率によって利益を得るように、仮想通貨もレンディングサービスに預けて利率で利益を得られます。
仮想通貨取引は、チャートのチェックや取引のタイミングなどを常に意識しなければなりません。しかし、レンディングならば、仮想通貨を買って預けるだけで勝手に運用してくれるのです。(youtubeにはコインチェックのレンディングサービスを解説している動画もありますので、興味がある方はぜひ確認してみてください。)
1-1. レンディングとは貸出のこと
レンディングとは資産の「貸出」のことで、近年ソーシャルレンディングという「お金を貸し出す」サービスも流行っています。
お金を借りたい人へ、資金に余裕のある人が貸し出すというシンプルな仕組みです。借りた人は、その資金を元手に資産運用し、貸し出した人は、一定期間を経たら利率を上乗せして返してもらいます。
これを、仮想通貨で行うのが「仮想通貨レンディング」です。
1-2. 仮想通貨レンディングサービスは仲介業
仮想通貨レンディングサービスは、仮想通貨の貸し手と借り手の仲介業です。
「貸し手のユーザー」⇄「レンディングサービス」⇄「借り手のユーザー」
貸し手は仮想通貨を購入したユーザー、借り手は手持ち以上の資産で取引をしたい業者やユーザーなどが一般的でしょう。
レバレッジをかけられる取引所の例
例えば、レバレッジ取引(信用取引)ができる仮想通貨取引所の場合です。
レバレッジ取引をするユーザーは、手元の何倍もの資金を動かすことができます。これは、取引所がユーザーに元手となる仮想通貨を貸しているからです。
取引所は貸出のために潤沢な資金を用意する必要があります。この資金源となるのが、レンディングサービスで集まった仮想通貨です。
レンディングサービスは、ユーザーから集めた仮想通貨を、レバレッジ取引ができる仮想通貨取引所へ貸し付けるというイメージです。
2. 仮想通貨レンディングのメリット
仮想通貨レンディングを始めるメリットには、面倒な取引手間が省けることや、銀行預金よりも利率が高いことが挙げられます。
2-1. 取引する手間が省けるので楽
仮想通貨レンディングのメリットは、面倒な仮想通貨取引をせず楽に資産運用ができることです。
レンディングサービスは、購入したコインを預け入れるだけで、あとは放っておいてかまいません。毎日の取引や、取引所間で仮想通貨を送金するなどの手間がかからず、期間を満了すると引き出せます。
2-2. 年利率は1~5%ほど
取引所によって異なりますが、国内の取引所で提供されているレンディングサービスでは、年間利率1~5%程度というところが多いようです。
銀行預金の利率と比較してみましょう。
以下、Coincheckとみずほ銀行の銀行預金金利との比較です。
※みずほ銀行の例は、スーパー定期(300万円未満)の金利です。
例えば、1BTC = 100万円のときに、100万円の運用を始めた場合で比較すると
- 仮想通貨レンディングの1年間で得られる利益:1BTC × 1% = 0.01BTC(約10,000円)※1BTC=100万円から変動がない場合
- 銀行預金の1年間で得られる利益:100万円 × 0.01% = 1,000円
※BTCの価格は1年間変動なし
※銀行預金の複利運用は考慮なし
となります。
3. 仮想通貨レンディングのリスク
仮想通貨レンディングは楽な資金運用方法ですが、元本割れや破綻のリスクがありますので注意が必要です。
3-1. 元本割れのリスク
仮想通貨レンディングには日本円換算時の元本割れリスクがあります。それは、レンディングサービスに仮想通貨を預け入れる時期の価格が、引き出しの時期に下落した場合です。
仮想通貨の価格は、常に変動しており、貸付時と返却時では価格が異なるため、お客様は仮想通貨の価格変動リスクを負うことになります。
引用元:コインチェック
例えば、年率1%の仮想通貨レンディングで、1BTC=200万円のときに1BTCを預け入れると、1年後には1.01BTCになります。
このとき、BTCの価格が貸出開始時から変わっていなければ2万円の利益を得られますが、もし1BTC = 100万円まで下落したとすると1.01BTC = 101万円です。
日本円だけで換算すると、投資した金額が200万円で、返ってくるのが101万円となり、1年間で99万円の損失となるのです。
価格の乱高下が激しい仮想通貨で長期のレンディングをする際には、日本円換算での元本割れのリスクを覚悟しなければなりません。
3-2. 破綻のリスク
レンディングサービスは、仮想通貨取引所が提供する場合が一般的です。かつて、日本でも多くの銀行が破綻し、経営統合が起こりました。仮想通貨取引所も同じように、取引所の運営が立ち行かなくなれば、レンディングサービスに預けている資産も戻ってくる補償はありません。
貸仮想通貨サービスをご利用いただくに当たり、当社と締結いただく契約は「消費貸借契約」であり、無担保契約です。従って、当社が破綻した際は、お客様の貸付けた仮想通貨が返還されないなどのリスクを負うことになります。
引用元:コインチェック
そのほか契約解除や中途解約についてなど、サービスを利用する上での注意事項が申込の際の確認書面には記載されています。
サービスを申し込む前に必ず確認するようにしましょう
4. 仮想通貨レンディングの注意点
仮想通貨レンディングを始めるには、注意点があります。それは、貸し出し中は資金が動かせないことと、儲けには税金がかかることです。
4-1. 貸し出し中は資金が動かせない
仮想通貨レンディングを始めると、選択した期間中は預け入れた資金が動かせないことに注意しましょう。
途中解約できるサービスもありますが、手数料がかかるので必ず損をします。
例えば、bitbankでは、途中解約手数料が5%かかります。1BTC = 100万円のとき預け入れて、途中解約すると、0.05BTC(5万円分)も損をしてしまうのです。
レンディングを始める際は、必ず余剰資金を使うこと、一度預けたら資金を動かさないことを意識しましょう。
4-2. 利益には税金がかかる
仮想通貨レンディングで儲けた利益にも、税金がかかります。課税されるのは、レンディング期間が終わって引き出すタイミングです。
預け入れた時よりも1BTCの価格が上がっていたり、同じ価格でも利率分の儲けがでていたりすれば、課税対象となります。
仮想通貨に関連する所得はすべて雑所得です。仮想通貨レンディングも例外ではありません。
もちろん、元本割れなどで損失を出した場合には雑所得の経費として計上できる可能性もありますので、しっかりと確認しましょう。
(関連記事)
▶利確で税金発生!仮想通貨の節税方法、計算ツール紹介
5. 仮想通貨レンディングの始め方
ここからは、仮想通貨レンディングの始め方を紹介します。上述のリスクや注意点をしっかりと意識して、レンディングを始めてみましょう。
例として、Coincheckで仮想通貨レンディングを始める手順を見ていきます。
1. 口座を開設する
Coincheckで仮想通貨レンディングを始めるには、Coincheckの口座が必要です。
(関連記事)
▶【画像付き解説】コインチェックで口座開設をする手順のまとめ
2. 貸仮想通貨サービスに登録する
Coincheckでレンディングサービスを利用するためには、通常の「決済アカウント」だけでなく、貸仮想通貨サービスへの登録が必要です。トップページの「取引アカウント」から「貸仮想通貨アカウント」を選択します。
「新規登録」ボタンから、サービス登録を行います。
3. 契約内容を確認する
貸仮想通貨サービスの約款とリスクについての書面を確認します。
同意する場合は、チェックを入れて「貸仮想通貨サービスに登録する」をクリックします。
4. 貸仮想通貨のアカウントへ入金する
貸仮想通貨を利用するには、アカウントへ仮想通貨を入金する必要があります。
コインチェックを初めて使う場合でも、「コインを受け取る」を使えばほかの取引所で購入したビットコインを入金できます。
貸仮想通貨アカウントへの入金方法
- 振替(コインチェックの決済アカウントから振替)
- コインを受け取る(外部のウォレットや取引所からの入金)
5. 左メニューから「コインを貸す」をクリック
コイン貸し出しの画面が表示されます。
coincheckでは、11種類が貸仮想通貨に対応していますので、貸し出す種類を選択します。
貸出期間は14日間・30日間・90日間・365日間の4種類で、期間によって年率も違います。
また、「返却時に再度貸出申請を行う」にチェックを入れることで、貸出期間が終わったら、再度自動的に貸し出しされます。最初の貸出期間だけレンディングしたい場合にはチェックを外しましょう。
最後に「BTCを貸す」をクリックすると、貸仮想通貨(レンディング)の始まりです。
6. 仮想通貨レンディングができる取引所
仮想通貨レンディングは国内外の仮想通貨取引所がサービスを提供しています。
coincheck(国内)
取り扱いコイン | 11種類 |
貸出期間 | 14日、30日、90日、365日 |
利率 | 1%〜5% |
貸出金額 | 10万円分以上の仮想通貨(枚数) |
参加タイミング | 随時 |
途中解約 | 不可 |
coincheckの貸仮想通貨では、貸出期間を4種類から選べます。
また他の取引所では、レンディングに対して募集期間を設けており、その期間にしか仮想通貨の貸出を行えませんが、coincheckは貸仮想通貨への参加がいつでも可能です。
GMO コイン(国内)
取り扱いコイン | 7種類 |
貸出期間 | 1か月、3か月、6か月 |
利率 | 2~5% |
貸出金額 | コインにより異なる |
参加タイミング | 随時(貸出期間開始日は毎月15日) |
途中解約 | 可 |
GMOコインの貸仮想通貨サービスは、以前は不定期開催でしたが2020年2月にリニューアルし、随時参加可能となりました。10万円程度からの参加が可能で、年率は貸出期間に応じて2%から最大5%までが選択できます。
途中解約は可能ですが、貸借量の10%が解約手数料として必要です。
bitbank(国内)
取り扱いコイン | 1種類 |
貸出期間 | 募集月の翌月1日から12か月後の末日 |
利率 | 1%~3% |
貸出金額 | 1~40BTC |
参加タイミング | 募集月 |
途中解約 | 可 |
bitbankの貸仮想通貨サービスでは貸し出したBTC数量によって利率が異なり、10BTC未満であれば利率は1%~2%、10BTC以上で3%となります。
ほぼ毎月募集が実施されていますが、開始のタイミングは公式サイトから随時アナウンスがあります。
Bitfinex(海外)
取り扱いコイン | 法定通貨含む27種類 |
貸出期間 | 2〜30日 |
利率 | 自由に指定可能 |
貸出金額 | 自由に指定可能 |
参加タイミング | 随時 |
途中解約 | – |
Bitfinexではユーザーが業者に貸し出すのではなく、ユーザー間での貸し借りを行います。貸す側が利率を自由に設定し、承諾したユーザーが借りていく仕組みです。
ドル建てのビットコイン取引所として世界1位になったことがあり、取引量が多い仮想通貨取引所のためユーザー間の貸し借りも活発に行われているようです。
ただし日本語に対応していないので、初めての人には操作もわかりにくいかもしれません。レンディングを初めて始めるという人は、国内で日本語サポートのある取引所を利用したほうが良いでしょう。
BlockFi(海外)
取り扱いコイン | 3種類 |
貸出期間 | 指定なし(いつでも引き出し可能※月1回まで出金手数料無料) |
利率 | 0.5%~8.6% |
貸出金額 | 最低貸出金額なし |
参加タイミング | 随時 |
途中解約 | 可 |
BlockFiは、仮想通貨レンディングサービスを専門とする業者で、仮想通貨取引所とは主な事業が違います。
もちろんKYC(本人確認)も必要ですので、国外への個人情報の書類送付に抵抗がある場合は、国内の取引所でレンディングを行ったほうが良いでしょう。
まとめ
仮想通貨レンディングは、所有する仮想通貨資産を一定期間貸し出すことで、利率に応じた利益を得られるサービスです。
余っている仮想通貨があるならば、レンディングサービスを利用してもよいでしょう。
仮想通貨レンディングは、リスクや注意点をしっかりと意識すれば、最も楽な資産運用方法の選択肢となります。