
無料で仮想通貨(暗号資産)がもらえるという「エアドロップ(AirDrop)」
でもリテラシーがある人であれば「タダでもらえるなんて怪しい」、「やり方が分からない」と思うのではないでしょうか。
この記事では、エアドロップを装った犯罪を避ける方法や、もらい方を解説していきます。
目次
1. エアドロップとは?
エアドロップとは、「仮想通貨の開発元が、無償で仮想通貨を配布する行為、もしくはイベント」のことです。
ノーリスクで仮想通貨を手に入れられますので、これから仮想通貨投資を始めようと思っている人にとってはチャンスかもしれません。
1-1. タダで仮想通貨がもらえる
エアドロップに参加すれば、タダで仮想通貨がもらえます。
ちょっとリテラシーのある人であれば「怪しい」と感じるかもしれませんが、エアドロップ自体はすでに広く行われている活動です。
エアドロップは認知度向上のためのプロモーション
なぜ無料で配られるのかというと、エアドロップは一種のプロモーション活動だから。仮想通貨の「認知度アップ」「保有者の増加」という目的があります。
仮想通貨は欲しがられないと価値がない
仮想通貨は多くの人に使われ、「欲しい」と思われることで価値が生まれます。そこで最初は「流通させる」ことを目的に無償で配り、「お試しで使ってみよう」と思ってもらうことで、仮想通貨に価値が付加される土台を作ろうとしているわけです。
1-2. ICOとなにが違うのか?
エアドロップ以外に新たな仮想通貨を多くの人に配布するという行為で、ICO(新規仮想通貨公開)という言葉もあります。
エアドロップとICOでは、無償か有償かという大きな違いがありますが、知名度を上げるという点では、同様の効果があります。
ICOの目的は資金調達
ICOは上場前に安値でコインを販売することで、資金調達をする仕組みです。値上がりしたタイミングでコインを売ることで投資家は売買益を狙えるため、新規公開株(IPO)に近いものです。
お金がからんでいる分、ICOには多くの詐欺コイン(資金調達だけして実態がない仮想通貨)が数多く発生しています。また詐欺ではなくても、上場時に一気に売られて低迷してしまうことが多く、仮想通貨が流通するところまでたどり着くには、高いハードルがありました。
エアドロップのほうが気軽に参加できる
エアドロップはコインを受け取るときにお金がかかりません。初期投資をするリスクがないので、投資目的ではなく「使ってみよう」という人の参加も見込まれ、ICOよりも多くの人に参加してもらえる可能性が高いのです。
ICOについては以下の記事でも詳しく解説しています。
2. 危険なエアドロップの見分け方
残念ながら、エアドロップにも詐欺は存在しています。
エアドロップへの参加条件の中で、詐欺を疑ったほうが良いものを紹介します。必ず詐欺だとは断定できませんが、詐欺コインに多いパターンをなので知っておきましょう。
2-1. 寄付を募っている
一定額の寄付を募っているエアドロップは、避けたほうが良いでしょう。
「必ず高騰する」などの売り文句に騙されて寄付をしても、エアドロップそのものが行われないこともありますし、行われてもサービスが運営されないこともあります。
エアドロップには保護措置がない
ICOに対しては金融庁が投資家保護のための規制を検討していますが、いまのところエアドロップは保護対象にはなっていないようです。前例も少ないため、詐欺だと分かってもお金が戻ってくることはほぼないと思ったほうが良いでしょう。
2-2. 秘密鍵の入力を求める
仮想通貨を受け取るときには、受け取り側のウォレットアドレスを指定します。しかし、悪質なエアドロップの中には、「秘密鍵」を要求してくるものがあります。これは完全な詐欺です。
秘密鍵を知られてしまうと、そのウォレット内の仮想通貨をすべて渡したのと同じです。秘密鍵はどんなことがあろうと第三者へ教えてはいけません。
2-3. アプリケーションをインストールさせる
「コインを受け取るために専用アプリケーションのインストールが必要」という条件も、ウイルスやマルウェアが仕込まれている可能性がありますので、怪しんだほうが良いでしょう。
特定のウォレットでなければ受け取れないこともありますが、エアドロップの対象となるような流通量の少ない仮想通貨しか使えない「専用」ウォレットは非常にまれです。
専用ウォレットしかないコインは値上がりも期待できない
また専用ウォレットでしか受け取れない場合、利用者が増えにくいことが推測されます。詐欺でなくても、価格の上昇は難しいのではないでしょうか。
2-4. 偽サイトへ誘導させる
「特定のサイトへアクセスして情報を入力させる」場合も注意が必要です。
入力する情報の内容が本人確認書類(パスポートや運転免許証など)や、銀行口座、クレジットカード番号、パスワードなどであれば、フィッシングサイトである可能性が高いので、決して入力してはいけません。
2-5. API連携を求める
TwitterなどのSNSを使った登録では、API連携を求められる場合があります。しかしAPI連携の中には、アカウントを乗ってしまう悪質なものも。
確実に問題がないことを自分で判断できない限り、了承しないことをおすすめします。
2-6. 個人情報の入力を求める
エアドロップする仮想通貨のサービスに個人情報が必要なものは注意してください。
仮想通貨に投資しようと考えている人の個人情報は、それなりの価値で取引されるため、情報を収集しているだけかもしれません。
プライバシーポリシーを確認しよう
個人情報を入力する場合は、そのサイトのどこかに必ず「個人情報の取り扱いに関する規定」や「プライバシーポリシー」などの個人情報の取り扱い方法を明示したページがあるはずです。
必ず内容を確認するとともに、もしもページ自体がなければ詐欺を疑ったほうが良いでしょう。
エアドロップに限らず、仮想通貨の正しい知識はまだ一般的に広がってはいないため、詐欺も多く報告されています。また補償制度も十分とは言えないので、しっかり自衛をしましょう。
3. エアドロップのもらい方
エアドロップのコイン自体は無料でもらえますが、準備のために別のコインを購入する等準備が必要な場合もあります。
3-1. コインをもらう方法4パターン
エアドロップでコインをもらう方法は次の4パターンです。
- 特定の仮想通貨を持つ
- 持っている仮想通貨がハードフォーク
- コミュニティに参加する
- クイズの景品としてもらう
特定の仮想通貨を持つ
特定の仮想通貨を「一定期間以上保有している人」に配布するパターンです。事前に仮想通貨を手に入れる必要があるという点では、リスクがゼロというわけではありません。
持っている必要がある期間は仮想通貨によりますので、きちんと調べておきましょう。
持っている仮想通貨がハードフォーク
すでに仮想通貨の取引を行っている人が手軽に行える方法です。ハードフォークする仮想通貨を持っていることで、ハードフォークで分裂したコインをもらうことができます。
エアドロップという名前を使っていないことがほとんどですが、これもエアドロップの1種です。
コインが付与される条件は個別に確認を!
コインの付与には、特定のウォレットや賛同した取引所に口座があることなどの条件があります。事前の準備については、以下の記事でも詳しく解説しています。
コミュニティに参加する
もっとも一般的なエアドロップの方法で、この方法であれば、無料で仮想通貨を得ることができます。
エアドロップの情報は、LineなどのSNSや特定のWebサイトで公開されることがほとんどです。
そのためエアドロップの条件として、特定のコミュニティ(グループ)への参加や、TwitterやFacebookのリツィートやフォローを挙げているものも多くあります。会員登録画面から、メールアドレスの登録を行う場合もあります。
クイズの景品としてもらう
LineやTelegramなどのグループに参加した上で、特定のクイズの正解者にエアドロップするという場合もあります。
この場合は賞品としての意味合いが強いかもしれませんが、無償で配布しますし、配布元として知名度アップを狙っていることもあるでしょうから、エアドロップに該当するでしょう。
クイズは難しいことが多く、正解を見つけるためにチャットやSNSなどのコミュニティが盛り上がることも少なくありません。
3-2. エアドロップに参加するために必要なもの
現在主流となっているコミュニティ参加方式やクイズ方式でコインをもらう場合は、事前に以下を準備しておかなければいけない場合が多いです。
- SNSアカウント(LineやTelegram、Facebook、Twitterなど)
- メールアドレス
- ウォレット
SNSアカウント
エアドロップは、LineやTelegramなどのSNSで公開されることが多く、FacebookやTwitterでの拡散が条件になることもあります。
以下の4つのアカウントを持っておけば困ることはないでしょう。
- LINE
- Telegram
メールアドレス
GmailやYahooアドレスなどのフリーメールアドレスで構いませんので、準備しておきましょう。
個人情報漏洩のリスクを考慮すると、専用のアドレスを新たに取得しておくことをおすすめします。
メールアドレスはコミュニティ参加の登録や送付先確認のほか、仮想通貨の状況報告などを行うメーリングリストなどで利用されます。
ウォレット
コインを受け取るためには、エアドロップを行う仮想通貨に対応したウォレットが必要です。受け取るためのウォレットアドレスは、安全のため専用のものを生成しておきましょう。
ただ安易にウォレットを増やしてしまうと管理が煩雑になって、思わぬミスを生んでしまいます。またサポート体制や、セキュリティなどもチェックして選ぶようにしましょう。
■エアドロップにおすすめ!MyEtherWallet
エアドロップのコインを受け取るにはイーサリアムとイーサリアムクラシック専用のウォレット「MyEtherWallet」が便利です。
エアドロップはイーサリアム上で作られたトークン(ERC20トークン)で行われることがほとんどなので、MyEtherWalletだけで複数のエアドロップのコインを受け取ることができます。
「MyEtherWallet」は、パソコンにインストールして使うソフトウェアウォレット。
秘密鍵をパソコンに保存するため、取引所に比べると比較的安全です。また日本語にも対応しています。
■高額保管はコールドウォレットと連携を!
MyEtherWalletは秘密鍵をパソコンに保存しますので、取引所よりは安全ですがホットウォレットに該当します。
MyEtherWalletにはコールドウォレットと連携するしくみが備えられているので、高額な仮想通貨を保管するのであれば、必ずコールドウォレットへ移動しておくようにしましょう。
MyEtherWalletについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
4. エアドロップについてのよくある疑問
エアドロップについてのよくある疑問・質問に答えていきます。
一番気になる? エアドロップって儲かるの?
もし値段が上がれば無料で手に入れた分利益は大きくなります。
ただ値上がりを待つのではなく、積極的に使って自分で流通させるのも普及させる1つの手段です。
エアドロップをもらうときの費用は?
もらうときの手数料はかかりません。
しかしウォレットから送金するときには送金手数料が必要。金額はウォレットの設定やトランザクションの混み具合によって異なります。
ちなみに、手数料はそのトークンの基となった仮想通貨のブロックチェーンの基軸通貨で支払います。例えばERCトークンであればETHが必要です。
(関連記事)
ブロックチェーンエンジニアが解説する|イーサリアムのトークン
コインを受け取るまでどのくらいかかるの?
コインが配布されるタイミングはエアドロップによって異なります。
すぐに配布される場合もあれば、特定の条件をクリアしたか確認するために数日かかる場合も。事前に付与タイミング確認を確認しておくと良いでしょう。
入金されない場合は詐欺の可能性も
予定を大きく過ぎても入金されなければ、詐欺の可能性があります。SNSアカウントを連携(グループやチャンネルへの参加を含む)している場合は、個人情報保護やウイルス被害などの防止のためにも連携を解除しておいたほうが安全です。
エアドロップでもらったコインは使える?
エアドロップが行われる仮想通貨はマイナーなものがほとんど。もらった時点では、その仮想通貨のサービスで使うくらいしか用途がない場合も少なくありません。
使うことを考えている場合は、まずはその仮想通貨でどんなサービスが予定されているのか調べておきましょう。
エアドロップ情報知りたい!
エアドロップの情報は、TwitterやLine、Telegramなどで展開されることが多くあります。
ただしエアドロップの中には詐欺情報もあります。開発元のサイトやTwitter公式アカウントを自分で確認してから参加可否の判断をしましょう。
リンクが貼ってあっても、リンクが切れていたりリンク先のサイトがほとんど更新がないダミーサイトだったりすることもあるので、慎重に調べましょう。
5. エアドロップ後に価値の上がった仮想通貨
最後に、エアドロップが行われた仮想通貨の中で価値の上がったものをいくつか紹介します。
5-1. ビットコインキャッシュ
ビットコインキャッシュは、2017年8月にビットコインからハードフォークして誕生した仮想通貨です。ハードフォーク時に保有しているビットコインの量に応じて、ビットコインキャッシュがエアドロップされました。
ビットコインキャッシュのエアドロップ後半年の価格チャートは次の通りです。エアドロップ直後1,000ドル近い価格をつけましたが、その後に暴落し、1ヶ月程度で値を戻しています。

2017年後半は仮想通貨全体が値上がり傾向だったこともあり、ビットコインキャッシュも11月から大きく価格を上昇させました。
その後の“バブル崩壊”で価格がゼロに近くなる仮想通貨も多い中、ビットコインキャッシュは価格を維持。2019年6月現在で仮想通貨の時価総額トップ5に入っています。
5-2. OmiseGo
主に東南アジアで展開している仮想通貨で、「銀行口座を持たない人でもネット決済ができるようにする」という理念の元に作られたERC20トークンです。
発行当初、イーサリアムを保有している量に合わせて配布されました。
2017年7月8日にエアドロップが行われたあと、1ヶ月程度で価格が10倍近くになっています。

このあと低迷した時期もありましたが、企業や自治体との連携が発表されるなどたびたび注目を集め、2019年6月現在の時価総額は全トークン中7位となっています。
まとめ
エアドロップは無償で仮想通貨がもらえるチャンスです。ただし注意しなければ情報を盗まれる危険性がありますので、安易な参加は厳禁です。
- エアドロップに参加すれば、タダで仮想通貨がもらえる
- エアドロップは、持っているだけで価値が上がることはほとんどないが、価値が上がれば大きな利益が見込める
- エアドロップにも詐欺的なものがある
- エアドロップへの参加には条件がある
- SNSアカウントが必要
- メールアドレスが必要
- ウォレットが必要
今回紹介した注意点に気を付けながら、良いものがあれば挑戦してみても良いかもしれません。
詐欺を疑われるようなものを避け、もらったコインを積極的に流通させて、応援していきましょう。
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