仮想通貨のアービトラージとは?高額投資できる人しか儲けられない

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まとまった額の仮想通貨を運用してみたいけど、

  • 各コインの最新トピックや技術面の知識に自信がない
  • チャートのトレンドを読み取れるほど取引の知識に長けていない

というそこのあなた! ガチホや気絶投資法以外の方法を探す中で、「アービトラージ」という言葉にたどり着いたことはないでしょうか?

実は仮想通貨のアービトラージは「知識やテクニックがなくても利益が出せる」といわれている一方で、ほぼ儲けることができない取引手法なんです。数千万円単位で仮想通貨を動かせる人なら、数分で37万円程度の利益を上げられるかもしれません。それ以下の投資額では、作業量に見合った利益は出しづらいでしょう。

この記事では仮想通貨におけるアービトラージの基本知識レクチャーに始まり、その投資手法を取る際のメリット・デメリットを紹介していきます。最終的にアービトラージを始めるか / 始めないか――を判断するのはあなた。でも、そのジャッジを下せるお手伝いができればと考えています!

1. 取引所間の“価格差”を狙って利益を出すアービトラージ

そもそも「仮想通貨のアービトラージって何?」という方がいらっしゃるかもしれません。基本知識のレクチャーから始めましょう。

1-1. ①安い取引所で買って ②高い取引所で売る

仮想通貨の世界におけるアービトラージは、取引所間の “価格差” を狙って利益を出す手法を指します。金融機関によってレートが異なる「FX投資」を想像してもらうとよいかもしれません。仮想通貨も外貨と同じように、取引所によってコインの価値が異なるのです。

価格差が生じている時に、複数の取引所を見渡して

  •  いちばん安いレートの取引所で買って
  •  いちばん高いレートの取引所で売る

ことで理論的には利益を出すことができます。生じた利益は「利ざや」、こうした取引は別名「裁定取引」と呼ばれているんですよ。

1-2. 価格差が生じる原因は仮想通貨取引の特徴にあり

法定通貨と異なり、もともと需要と供給で価値が定まる側面を持っている仮想通貨。買いたい人・売りたい人の数(バランス)は取引所によって異なるため、価格差が生じるのです。

また仮想通貨の売買価格には、コストや取引所の利益を含めたスプレッドが含まれます。その大きさも取引所やタイミングによって異なるため、価格差につながる――というわけです。

1-3. 取引所のユーザー数・取引高への着目が成功の秘訣

アービトラージで成功したければ、仮想通貨の価値が急変動している時に

  • ユーザー数が多い
  • 取引高が大きい

取引所を選びましょう。

市場原理が働いて、より早く価格の上昇・下落が反映されるといわれています。

ほとんどの取引所はユーザー数を公開していないため、取引高を参考に判断しましょう。金融庁に登録されている取引所の中で、201817月末時点のJPY/BTC取引高ランキングは以下の通り。

順位仮想通貨取引所取引高(単位:BTC)
1bitFlyer47,529,766
2Zaif6,035,721
3Quoine3,011,516
4BtcBox2,212,165
5bitbank.cc345,118

参考:Bitcoin日本語情報サイト

JPY/BTCの場合、国内取引所ではbitFlyerの取引高が圧倒的に高いです。Bitcoin日本語情報サイトが提供する情報によれば、20164月以降bitFlyer1位を独占している模様。長期間でみても取引高が高いということは、ユーザー数も多いのではないでしょうか。

1-4. 最適なタイミングは“値動き”が大きい時

いつ、仮想通貨取引所の間で価格差が生じるのか。それは “値動き” が大きい時です。ではコインの価値が急変動する要素って、どこにあるのでしょうか?

値動きは仮想通貨の関連ニュースに左右される

仮想通貨の値動きは、ポジティブ/ネガティブ問わず仮想通貨関連のニュースに影響されます。特に急変動につながるのは、インパクトの強い世界的なニュースです。

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2017年9月のBTC/JPYチャート

例えば、中国がICO(仮想通貨の発行による資金調達)の全面禁止に踏み切った201794日。翌5日にはビットコインの価格が急落し、前日から20%ほど下回りました。

参考:独自仮想通貨で資金調達を禁止 中国当局(日本経済新聞)

また同じく中国において、仮想通貨取引所が全面閉鎖されると報道があった同月8日から14日かけては40%近く下落しています。

参考:中国の仮想通貨取引所、10月末全面閉鎖へ(日本経済新聞)

このようなニュースが流れた時に、仮想通貨の価格は急変動します。そんな時は、アービトラージで利益を出すには打ってつけのタイミングといえるでしょう。

2. 仮想通貨のアービトラージはデメリットが目立つ

ここまで読んだ方は「取引所間で価格差が生じたタイミングをうまくとらえられたら成功するんでしょ?」と考えるかもしれません。でも、仮想通貨のアービトラージには以下のような側面もあるんです。

2-1. 売買タイミングをつかむのが難しい

理論上は、恒常的に価格の急変動が起きていればいつでもアービトラージができます。ただ、取引所間で価格差が生じるのはほんの一瞬。その分、成功すれば仮想通貨の保有期間は短くて済み、短時間で稼げる手法といえるでしょう。ガチホや気絶投資法といった長期保有に比べて、価格変動による “塩漬け” リスクは少ないかもしれません。

でも、その一瞬をとらえるのは至難の業。開設した全取引所の価格推移に常に目を光らせ、すぐに取引できる “瞬発力” が必要です。仕事や学業と並行して売買するのは現実的ではありません。

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2-2. 少額投資では利益を得にくい

仮想通貨のアービトラージは少額投資に向いていません。なぜなら一度に生じる価格差は微々たるもの。数十万ほどの投資額で儲けられる額は数百円ほどです。そういった投資額なら、一日中チャートに張り付いて数十回の取引を行えば、1万円ほどの利益になるかもしれません。しかし売買タイミングをつかむのが難しいアービトラージでは、1日に数十回の取引チャンスを見つけるだけでも苦労するでしょう。

一方で資金が数千万円あれば、短時間で数万円の利益を得られる可能性はあります。多額の投資金を用意できる人は、アービトラージを検討してみてもよいかもしれませんね。

2-3. 送金遅延のリスク

アービトラージ最大の敵といえば、ズバリ “送金遅延” 。仮想通貨をタイミングよく買えたとしましょう。その場合でも取引量が多い時間帯で送金に手間取ってしまうと、その間に取引所間の価格差が埋まってしまう可能性があるのです。

手数料の大小をアレンジすることで送金スピードを上げられる取引所もありますが、“利ざや” 以上にコストがかかってしまっては損失につながります。

自動売買システムの質を判断できない初心者は要注意

この送金遅延を乗り越え、かつ価格差が生じるタイミングをうまくとらえるべく上級者が活用しているのが「自動売買システム」です。自動売買システムとは、開設した取引所の

  • APIキー(※1)
  • シークレットキー(※2)

を取得してシステムの運営サイドに渡せば、あとはbotが瞬間的に裁定チャンスをとらえ、利益を出せるよう自動的に取引してくれる――というもの。APIとは “Application Programming Interface” の略で、とあるソフトウェア(今回のケースでは仮想通貨取引所)の機能を共有し、外部利用できるようにすることです。

仮想通貨のアービトラージに即して考えると、自動売買システムがあなたに代わって開設した取引所で売買するということ。あなたの取引所データを取り込みながら、価格差の生じるタイミングをとらえた瞬間的な取引ができるようになります。

(※1)APIキー:ソフトウェア(今回のケースでは仮想通貨取引所)の機能を共有するのに必要な文字列を指します。
(※2)シークレットキー:APIを実行するためのパスワードに該当する。APIキーが “ID” なら、シークレットキーは “パスワード” に例えられる。

アービトラージの手順には、

①複数にわたる仮想通貨取引所の価格確認
②売買する取引所の選定
③送金

がありますが、これらの作業を “短時間” かつ “手動” でやらなければならない手間を考えると、自動で行ってくれるシステムは非常に魅力的です。

しかし、こうした自動売買システムは非常に高額。編集部が確認できた範囲では、50,000円~500,000万円とその価格にも大きな幅がありました。

また、中には自動売買の精度が低く使い物にならない……という粗悪なシステムもあるとか。システム運営サイドがAPI&シークレットキーを悪用する場合も考えられます。

「業者は信用ならないので自作してみよう!」という考えもありますが、プログラミングの知識がなければ難しいかもしれません。必要なのは「Ruby」「javascript」「C#」といった言語。これらの技術的な知識に乏しく、また業者の用意した自動売買システムの良し悪しを判断できないと自覚している初心者は手を出さない方が賢明といえるでしょう。

2-4. 納税の手間が増える

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仮想通貨の取引を通じて得た利益は、事業主以外の場合「雑所得」扱いとなり、所得税の課税対象になります。一度の売買ごとに所得を計算し、前年1/112/31の合計を所得額として国に申告しなければなりません。

一度の取引で得られる利益が少ないアービトラージは、少額の取引を何度も繰り返す必要があります。裁定チャンスを数多く確実にとらえて利益を出せたとしても、確定申告時の手間は覚悟しなければならないでしょう。

3. メリットを感じられるのは一部資産家だけ

アービトラージは、短時間で利益を上げられるという点が最大のメリット数千万円単位の資金を投じられる資産家なら、数分で37万円ほどの利益を上げられる可能性があります。一日数回取引するだけで、10万円ほどの儲けを出せそうですね!

とはいうものの、儲かる保証が絶対にあるわけではありません。期待していた利益よりも大きな損失が生まれることもあるでしょう。大金を投じれば絶対に儲かるわけではないので、肝に銘じておきましょう。

4. 実際に各取引所の価格差を見てみた

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画像参照:Coin Choice

各取引所間の価格差は本当に小さいのか? 実際にCoin Choiceが提供してる仮想通貨別アービトラージランキングを見てみました。

購入額を10万円に設定して検索すると、最も利益がある通貨ペアはMONA/JPYの681円。どの通貨ペアをみても1,000円を超える利益を上げられるものはありません。

実際に見てみるとよくわかりますが、価格は数秒単位で入れ替わります。最安値で買えたとしても最高値の取引所に送金しているうちに、想定していた価格差でなくなる可能性は大いにありそうです。

やはり10万円単位の取引に向いていないということがわかるのではないでしょうか。

まとめ

取引所間の価格差を狙って利益を出す仮想通貨のアービトラージの実情について、理解は進みましたでしょうか?

この記事では仮想通貨におけるアービトラージの基本知識とメリット&デメリットをお伝えしました。最後にもう一度、内容をまとめておきますね。

①取引所間の 価格差” を狙って利益を出すアービトラージ

  • 仮想通貨アービトラージの基本動作は、安い取引所で買って高い取引所で売る
  • 取引所ごとに価格差が生じる理由は、需要と供給のバランスがそれぞれ異なるから
  • アービトラージで成功するなら、取引所のユーザー数・取引高に着目
  • 最適なタイミングは値動きが大きい時
  • ICO禁止や取引所の閉鎖などインパクトの強い、世界的なニュースで仮想通貨の価値が急変動する

②仮想通貨のアービトラージはデメリットが目立つ

  • 価格差の生じるタイミングをつかむのが難しい
  • 知識がなくても売買できるが、投資額が多くないと利益を得にくい
  • 送金遅延のリスク・裁定機会をとらえる自動売買システムの功罪
  • 確実に利益を積み重ねても、納税の手間が増える

アービトラージをやるか・やらないかの判断はできたでしょうか? 記事内でもお伝えした通り、アービトラージは本業がある人や高額投資できない人にはあまりおすすめできない取引手法です。「それでもやりたい」という人はアービトラージに役立つ価格差一括表示ツールもあるので、探してみてくださいね!