
最近、友人や知り合いから「仮想通貨(暗号資産)に投資しない?」と誘われている方や、これから儲けるために仮想通貨に投資しようとしている方は、お金を投じる前にぜひこの記事を読んでみてください。
仮想通貨がメディアで取り上げられるようになった2016〜2017年以降、仮想通貨に関する詐欺やトラブルが増えています。この記事では、仮想通貨詐欺の手口や特徴と共に、仮想通貨詐欺に遭わないための対策や、もしも被害に遭ってしまった時の相談先についてまとめています。
目次
1. 仮想通貨詐欺に注意!その手口と特徴とは?
まずは、仮想通貨に関する相談がどのくらいあるのか、そして仮想通貨詐欺の手口にはどのようなパターンがあるのかを見ていきましょう。また、仮想通貨詐欺は、特定の仮想通貨への投資だけではなく、マイニング企業への出資や仮想通貨トレードシステムの販売など、様々なバリエーションがあることも紹介していきます。
1-1. 仮想通貨に関する相談件数は3年連続増加
2016年以降、独立行政法人国民生活センターに寄せられた「仮想通貨に関するトラブルの相談」は3年間連続で増えています。
特に、仮想通貨への投資が加熱した2017年は、前年比の伸びが顕著です。

友人や知人からの誘いで投資してしまうケースや、未成年が仮想通貨のマルチ商法に巻き込まれ出資してしまったケースなどが国民生活センターに報告されています。
マルチ商法とは既存会員が新規会員を勧誘し、その新規会員が更に別の会員を新たに勧誘する連鎖によって、階層組織を形成・拡大する販売形態のこと。正式名称は「連鎖販売取引」。
それでは、仮想通貨詐欺にどのような手口があるのかを見ていきましょう。
1-2.【手口紹介】仮想通貨の詐欺によくある勧誘パターン
仮想通貨詐欺の勧誘パターンは様々あります。以下で主要な手口を紹介していきますが、共通して見られる特徴としては「あわよくば儲けたい」という射幸心を煽り、「このチャンスを逃すと次はないかも?」と感じさせ、著名人や周囲の友人・知人がやっていることで安心感を与えようとすることです。
手口1.「絶対に儲かる」「○倍になる」と勧誘する
基本的に仮想通貨の価格は、上がることもあれば下がることもあります。「絶対に儲かる」ということはありません。
仮想通貨詐欺の中には、「絶対に儲かる」「数年後に10倍の価値になる」と言って勧誘するものがありますが、投資において「絶対」は無いと考えた方が良いです。
また、類似の手口として、近いうちに国外の仮想通貨取引所への上場を控えている未公開通貨であるため、価格上昇の可能性が高いと言って投資を誘うケースもあります。
「可能性が高い」という表現であっても、それが価格上昇を謳うものであれば警戒すべきです。また、未公開通貨と宣伝されている場合も詐欺の可能性が極めて高いと考えられます。
手口2. 価格保証や元本保証、買い取り保証があると謳う
仮想通貨の元本を保証したり、販売会社などが一定の金額で買い取ることを約束したりして販売されるケースもあります。この場合も仮想通貨詐欺です。買い取り保証を謳っていても、販売会社とは後日連絡が取れなくなることが少なくありません。
そもそも投資において価格を保証して販売する行為は、金融商品取引法によって禁止されています。価格保証や元本保証、買い取り保証がある仮想通貨は、100%詐欺だと考えて問題ありません。
また、「期間限定」「割引価格で販売する」といった宣伝文句も、仮想通貨詐欺ではよく使われるので注意が必要です。
手口3. 代理店や個人が販売している
日本国内で仮想通貨を販売できるのは、金融庁に「仮想通貨交換業者」として登録された事業者のみです。したがって、金融庁が公表している「仮想通貨交換業者登録一覧」のリストに載っていない業者は、そもそも日本国内の居住者に向けて仮想通貨を販売できません。
詐欺を働く代理店や個人が仮想通貨を販売する際に、「自分の所からしか買えないイチオシの仮想通貨」などを謳い文句として勧誘する場合がありますが、登録業者ではないため販売自体が違法です。
また、国外法人が日本の居住者向けに販売するケースもありますが、過去に金融庁が国外法人に対して警告書を発出しています。
(参考:金融庁 仮想通貨交換業者登録一覧)
手口4. SNSで大々的に告知している
TwitterやFacebook、LINEなどを通じたプロモーションによって、不特定多数の人を勧誘している場合も、仮想通貨詐欺の可能性が高いです。
仮に儲かる話であるならば、大勢が参加するほど儲けが少なくなってしまうため、そもそも儲かる話は拡散させる動機がありません。
手口5. セミナーで勧誘・販売されている
セミナーで仮想通貨が勧誘・販売されることもあります。過去には、仮想通貨の可能性や真偽を確かめづらい大型プロジェクトを紹介し、仮想通貨に投資をするなら今がチャンスとばかりに会場を盛り上げて、仮想通貨投資への勧誘を行う事例もありました 。
しかし、手口3でも解説したように、国内居住者向けに仮想通貨を販売できるのは「仮想通貨交換業者」のみです。
手口6. 有名人がキャンペーンに起用されている
詐欺的な仮想通貨の中には、有名人や著名人などがイメージキャラクターとして起用されているケースがあります。一見、信頼できそうに思えますが、勝手に有名人の写真と名前を使っている場合もあるため、有名人のイメージだけで投資判断をするのは危険です。
1-3. 仮想通貨だけではない! 注意すべき詐欺の手口
実は仮想通貨自体への投資だけではなく、仮想通貨に関連した詐欺案件も存在します。例えば、高配当を受け取れると称したマイニング企業への出資詐欺や、最新の仮想通貨自動トレードのプログラムと称した商品の販売詐欺などが手口として挙げられます。
アメリカの事例ではあるものの、過去にはビットコインのマイニング設備への投資と称して、合計7億2,200万ドルを騙し取った企業が摘発され、関係者らが逮捕された事件がありました。基本的に、仮想通貨に関する儲け話は、何でも疑ってかかった方が身のためなのです。
2. 仮想通貨の詐欺に遭ったかな?と思ったときの相談先とは?
自分や家族・友人・知人が仮想通貨詐欺の被害に遭ったかも?と感じた時は、以下の相談先への問い合わせをおすすめします。
相談先1. 消費者ホットライン、金融サービス利用者相談室、警察相談専用電話
仮想通貨詐欺かもしれないが確信が持てない場合は、以下の相談先に連絡するのがおすすめです。既に似たような相談があったり、相談すべき先を紹介してくれたりする可能性があります。
<不審な電話などを受けた場合>
消費者ホットライン(消費者庁)
→局番なし 188
<暗号資産(仮想通貨)を含む金融サービスに関する相談の場合>
金融サービス利用者相談室(金融庁)
→0570-016811
警察相談専用電話(警察庁)
→#9110
金融サービス利用者相談室はウェブサイト受付窓口も開設されており、インターネット経由で相談可能です。また、警察相談専用電話は、今すぐ警察官に来てもらいたいような緊急性の高い事件・事故以外の相談窓口となっています。
(参考:暗号資産(仮想通貨)に関するトラブルにご注意ください!)
相談先2. 警察
明らかに仮想通貨詐欺の被害に遭っている場合は、警察への相談も検討しましょう。虚偽の内容を伝えて投資を勧誘することは犯罪であり、刑事罰の対象となります(詐欺罪。刑法第246条)。ただし、詐欺の証拠が不十分で立証が難しいケースや、警察が民事紛争に介入できないという点は留意してください。返金交渉の依頼を警察にはできません。
詐欺の証拠を持っており、相手に刑事罰を与えたい場合は、警察への相談が選択肢になります。
相談先3. 弁護士
詐欺案件に投資した資金(被害金)を回収したい場合は、仮想通貨詐欺や投資詐欺、消費者詐欺などを得意とする弁護士に依頼する必要があります。ただし、海外企業が関係する出資詐欺などは、回収費用の方が高額になる可能性があるため、かかる費用と回収できる見込み金額を踏まえた判断が必要です。
3. 【対策紹介】仮想通貨詐欺に遭わないためには?
最後に、仮想通貨の詐欺被害に遭わないための対策を紹介しておきます。
対策1. 怪しい宣伝文句を抑えておく
基本的に、以下のようなフレーズで勧誘してくる場合は仮想通貨詐欺の可能性が高いです。
詐欺の可能性が高いフレーズ
- 必ず儲かる、高確率で儲かる
- 元本保証がある
- 有名企業や国外政府がバックについているから損することはない
- 今だけ割引価格で購入できる
- 未公開の案件である
- 国外取引所への上場を控えている
- 高額の配当金がある
繰り返しになりますが、仮想通貨に関する儲け話は詐欺だと疑いましょう。
対策2. 仮想通貨や事業者が金融庁に登録されているかを確認する
既に記したように、日本国内の居住者向けに仮想通貨を販売するには金融庁に「仮想通貨交換業」として登録しなければなりません。事業者リストは、金融庁のWebサイトで公表されています(「仮想通貨交換業者 一覧 filetype:pdf」で検索するとヒットします)。

仮想通貨投資の勧誘を受けた際は、販売事業者が登録されているかを確認しましょう。もし、金融庁が公表しているリストに名前が無ければ詐欺の可能性が高いです。
対策3. 仮想通貨の正しい知識を身につける
仮想通貨詐欺の中には、仮想通貨と称しながらも、実体は単なる電子マネーやポイントであるケースが少なくありません。若干専門的な知識もありますが、仮想通貨に関する正しい知識を身につけることもおすすめの対策法です。仮想通貨への投資はハイリスク・ハイリターンであり、確実に儲かるものではないことは最低限抑えておきましょう。
当メディアでも仮想通貨の基礎知識を解説しています。まずは仮想通貨が普及するきっかけとなった、ビットコインについて理解するところから始めるのがおすすめです。
対策4. 知り合って間もない知人には要注意
知り合って間もない知人から、何度も投資やセミナーの勧誘がある場合は警戒すべきだと考えられます。その知人は良い情報をあなたに教えようとしているのではなく、ネットワークビジネスのように勧誘に成功すると、報酬が入る仕組みがあるから誘っているのです。
また、久しぶりに再会した友人や同級生などが、仮想通貨への投資話を持ちかけてきた場合も注意することをおすすめします。友人を疑うのは心苦しいかもしれませんが、本記事を参考にして怪しいと感じたらきっぱりと断りましょう。
対策5. 情報開示を求め、公式サイトの情報をチェックする
投資に誘われた際は、可能な限りの情報開示と説明を求めるようにしましょう。そして、開示された情報を基に、公式サイトの情報をチェックして事実確認を行います。
投資リスクの精査に時間をかけることは、自分の資産を守るための基本です。
対策6. 可能であればホワイトペーパーやGitHubのソースコードも確認
大抵の仮想通貨には、ホワイトペーパーや基盤となるプログラムが存在します。ホワイトペーパーとは、仮想通貨の目的やどのような技術を駆使して目的を達成しようとしているのかを記載した文書のことです。
(関連記事)
▶仮想通貨のホワイトペーパーとは何? 読み方&読んでおくべき6点
詐欺でなければ、公開されているホワイトペーパーを基に開発が進められているはずで、「GitHub」というソースコード共有サービスで開発中のプログラムが公開されている場合があります。したがって、仮想通貨のホワイトペーパーやGitHubが公開されていたら、確認してみるのがおすすめです。
ただし、この対策は英語の読解力やプログラムを読むスキルが必要になるため、可能であれば調べるという位で問題ありません。
まとめ
この記事で紹介したように、仮想通貨に関する詐欺やトラブルは2016年から3年連続で増えています。2019年は前年比で減少傾向にありますが、それでも依然として仮想通貨に関する詐欺は無くなっていません。
もし、知人や友人からの誘いで「仮想通貨詐欺かな?」と感じる場面があったら、まずは本記事を参照しながら、宣伝文句で勧誘されていないか、投資を勧められている仮想通貨が国内で合法的に取引できるものなのかなどを確認すべきです。
そして、もし怪しいと思ったらきっぱりと断りましょう。確信が持てない場合は、消費者ホットラインなどに相談するのもおすすめです。
いずれにせよ、「仮想通貨で儲ける」という話はすべて疑った方が良く、自分の資産を守るためにも充分な情報収集を心がけましょう。