初心者でも分かる仮想通貨(暗号資産)マイニング入門!仕組みを解説

仮想通貨 マイニング

仮想通貨 ブロックチェーン

「多くの仮想通貨(暗号資産)はマイニング(mining、採掘の意)によって生み出され、仮想通貨のなかには定期的にマイニング報酬が半減するものがある」

仮想通貨に興味を持ち始めたばかりの方にとって、上記の文章は分かりにくい説明かもしれません。仮想通貨の仕組みは理解するまでにすこし時間が必要であり、本記事で解説するマイニングについても同様です。

そこで今回は、初心者でも分かるようにマイニングの仕組みや、マイニングと価格の関係性について説明していきます。


1.仮想通貨(暗号資産)のマイニングとは?

マイニングとは、コストを投下して文字通り仮想通貨をマイニング(採掘)するプロセスです。コンピューターに多くの計算をさせ、条件に当てはまる回答を発見することで、仮想通貨は新しく発行されています。

 最初の仮想通貨であるビットコインの基礎となった論文には、「マイニング」(mining)という言葉は使われていません[1]が、労働力を投下して金などの鉱物を採掘する様子に見立てて、マイニングと呼ばれるようになりました。

 マイニングの仕組みを説明する前に、前提知識を整理しておきましょう。すでにある程度知っているという方は、1-2. マイニングの仕組みからご覧ください。

1-1.マイニングを理解するための前提知識

<このセクションで説明する用語>

ブロックチェーン、P2P、ノード、マイナー、トランザクション、ブロック、PoWProof of Work)、ハッシュ計算、ハッシュレート、ナンス

ブロックチェーンとは?

まず、ほとんどの仮想通貨は「ブロックチェーン」という技術を核として成立しています。ブロックチェーンは、政府や企業といった管理者がいなくても複製できないデータの取り扱いを可能にする技術であり、ビットコインを実現するために考案されました。

3分でわかる!ブロックチェーンの仕組みをエンジニアがやさしく解説

P2Pネットワークとノード

当メディアのサイトも含め、私たちが普段使っているインターネット上のサービスやアプリケーションは、ほとんどが「クライアント・サーバーモデル」という構造を採用しています。「Webページを表示する」などのサービスを提供するコンピューターが「サーバー」(Server、給仕人の意)として中心に存在し、消費者が使うスマホやパソコン(コンピューター)がクライアント(Client、依頼人の意)としてサービスを要求しているのです。

 仮想通貨 マイニング

 一方で、ブロックチェーンではP2PPeer-to-Peer)というモデルが採用されています。P2Pネットワークは上図の右側のようなイメージです。ネットワークを構成するすべてのコンピューターが、クライアント兼サーバーとして機能し、必要なデータを融通し合います。

 また、ネットワークを構成するコンピューター(端末)は、「ノード」とも呼ばれています。

マイナーとその仕事内容は?

ノードのうち、膨大な計算を行いながら仮想通貨をマイニングしているのが「マイナー」(miner、採掘者の意)です。

「〇〇宛に0.1BTCを送る」といった仮想通貨の送金内容は、「トランザクション」(transaction、取引や処理の意)としてP2Pネットワーク上で絶えず送信されています。そして、これらトランザクション群をまとめて「ブロック」というデータの塊にするのが、マイナーの役割のひとつです。

ブロックチェーンの名前の由来は?

 トランザクション群が格納されたブロックが、チェーンのように繋がったデータ構造であるため、「ブロックチェーン」と呼ばれています。ビットコインの論文では、ブロックチェーンという用語は出てきませんが、次第にブロックチェーンと呼ばれるようになりました。

 トランザクション群をブロックにまとめるには、マイナーが膨大な計算をしなければなりません。ノードに対して膨大な計算を要求する仕組みのことを「Proof of Work」(PoW)と言います。また、ビットコインはPoWを採用している代表的な仮想通貨です。

ハッシュ関数とハッシュ計算

マイナーが行っている計算には、ハッシュ関数が利用されています。ハッシュ関数とは、以下の性質を持った関数です。特に、入力値が異なると出力が大きく変わる性質は、改ざん防止に役立っています。

 

  • 入力値に対して一定の長さを持った文字列を出力値として算出する
  • 出力値から入力値を推測することは極めて困難
  • 入力値がわずかでも変わると、出力値は大きく変わる

 hash関数     

マイナーたちは、互いに競いながらこのハッシュ計算を繰り返し行っています。具体的には、主に「トランザクションの塊であるブロック」や「直前の(最新の)ブロックのハッシュ値」、「ナンスと呼ばれる数値」を入力値として、条件を満たす出力値が得られるまでハッシュ計算を行っているのです。「ナンス」(nonce、「その場限りの」という意味)は、ハッシュ計算を行う際に、入力値を少しずつ変えるために使われている数値のことです。

 また、コンピューターが1秒あたりにハッシュ計算を行う能力のことを「ハッシュレート」(採掘速度)と言い、ビットコインネットワーク全体に投じられているハッシュレートは、20204月末時点で1.13垓回/秒にものぼります[2]

1-2.マイニングの仕組み

それでは、マイニングの仕組みについて解説していきましょう。マイニングの定義は話者によって少し異なりますが、本記事では「新たなブロックを生成して、報酬となる仮想通貨を獲得するまでのプロセス」をマイニングと呼ぶことにします。

マイニングのプロセスを4段階に分けて解説していきましょう。「1-1.マイニングを理解するための前提知識」の用語を理解していれば難しくありません。

ステップ1.トランザクションを集める

前述したように、マイナーはネットワーク上のトランザクションを集めて、ブロックを作ろうとします。トランザクションは、各マイナーが持っている「メモリプール」という場所に蓄積されており、メモリプールはブロック生成時の参照先です。

ステップ2.ブロックを生成するためのハッシュ計算を行う

ブロックを生成するためには、条件を満たすナンスを見つけなければなりません。仮想通貨によって与えられる条件は異なりますが、ビットコインの場合はハッシュ計算の出力値が、十分に小さくなるような数値がナンスです。求められる出力値が小さいほど、ナンスを発見するまでに必要な計算量は膨大になる傾向があります。

 マイナーはナンスを変更しながら繰り返しハッシュ計算を行い、運良く条件に合致するナンスを発見するとブロックを生成できるのです。

 ハッシュ計算

上図の出力値は、16進数と呼ばれる方法で表記されており、先頭に0が並ぶほど小さな値となります。

ステップ3.新しく生成されたブロックを他のノードたちが検証する

生成されたブロックは、P2Pネットワークを構成する他のノードに通知されます。新しいブロックを受け取ったノードは、「ナンスが本当に正しいのか」や「データに不正やエラーは無いか」などを検証し、問題なければ当該ブロックを承認して、ブロックを他のノードにも転送します。

 ハッシュ関数を使ったナンス探しは回答を見つけるのが大変な一方で、一度ナンスを発見してしまえばその計算が正しいかどうかは簡単に検証できるのです。

ステップ4.ブロック生成に成功したマイナーは報酬を獲得する

大半のノードが新しいブロックの検証を終えると、マイナーはブロック生成の報酬として仮想通貨を獲得します。この報酬こそが、マイナーが大きなコストを費やして計算するインセンティブ(動機)なのです。

 そして、マイナーに対する報酬の支払いは、生成したブロックが他のノードに承認されると同時に完了しています。なぜなら、マイナーは新しいブロック生成時に、無から自分宛てに仮想通貨を送金する特殊なトランザクションを格納しているからです。報酬用のトランザクションを含むブロックは、他のノードたちによって承認されています。

 トランザクション

 

 以上のように、マイニングは膨大な計算によってブロックは生成されており、いち早く新規ブロックを生成できたマイナーが報酬を獲得できるのです。

 なお、より技術的な詳細に関しては、以下の記事をご覧ください。

ビットコインのマイニングの仕組みを解説!概要から技術まで丸わかり

1-3.マイニングの意義

さて、ここからはマイニングの意義について解説していきましょう。仮想通貨におけるマイニングの主な意義は以下の3点です。

 

  • 仮想通貨の新規発行
  • P2Pネットワークのノードが正しいと見なす“ただひとつの”ブロックを決定する仕組み
  • 仮想通貨のセキュリティ

仮想通貨の新規発行

まず、マイニングにおける報酬は、仮想通貨の新規発行に等しいです。ビットコインなど、一部の仮想通貨は発行上限が決まっており、時間の経過と共にマイニング報酬が減少していく仕組みが採用されています。

ただひとつのブロックを決定する仕組み

また、P2Pネットワークにおいては正しい取引を示してくれる中央管理者が存在しないため、各ノードが正しいと見なす取引(ブロック)が何らかの方法で、ただひとつに決定されなければなりません。そのために、マイニングプロセスにおける膨大な量のハッシュ計算=Proof of Workが重要な役割を担っています。計算競争に勝利したマイナーだけがネットワークに対して、合意すべきただひとつのブロックを提案できるのです。

仮想通貨のセキュリティ

マイニングに伴うハッシュ計算には、膨大なコストがかかります。Proof of Workベースのブロックチェーンの場合、理論上ではネットワークのハッシュレートの過半数を独占しなければ、不正をすることができません。ハッシュレートが高いほど、攻撃コストが上昇していくため、仮想通貨のセキュリティは強固になっていきます。

 

マイナーたちは報酬を獲得できるマイニングという仕組みによって、自発的にハッシュ計算を行い、セキュリティを高めてくれているのです。

1-4.個人でのマイニングは稼げるのか?

マイニングには、大きく分けて以下の3つの方法があります。

 

方法

説明

ソロマイニング

個人が機材を自前で調達し、単独で行うマイニングのこと。現在では多くの仮想通貨において、ハッシュレートが高くなっているため、資本力のない個人が収益を上げるのは困難。

プールマイニング

複数のマイナーが計算資源を提供、協力してマイニングを行う方法。マイニングに成功した場合、提供した計算資源に応じて報酬がプールの参加者に分配される。

クラウドマイニング

ハッシュパワー(ハッシュ計算能力)を購入し、出資分に応じてマイニング報酬の分配を受け取る方法。マイニング機器への出資とも捉えられる。

 

仮想通貨の黎明期には、個人で機材の調達・管理を行う「ソロマイニング」でもある程度の収益を上げられましたが、マイニング競争が激化した現在では、この方法で稼ぐのは困難です。

 

「プールマイニング」は現在主流の方法ですが、前提として設備投資が必要です。稼げるレベルの機材を個人が調達するハードルは決して低くありません。場所や電源設備の確保などの配慮も必要です。

 個人がマイニングを行う上では、機材を調達しなくて良い「クラウドマイニング」が現実的だと考えられます。クラウドマイニングは、サービスを提供している企業と契約し、購入したハッシュパワーに応じたマイニング報酬が分配される仕組みです。ただし、クラウドマイニングは収益性が悪かったり、詐欺まがいのサービスがあったりするなど、稼ぐ手段としてはあまり推奨できるものではありません。

 以上のように、現時点では個人がマイニングで稼ぐのは難しいと考えられます。


2.マイニングとビットコイン価格の関係

最後に、マイニングとビットコイン価格の関係性について整理しておきましょう。前述した通り、ハッシュレートの高さは仮想通貨のセキュリティに深く関係しています。ハッシュレートの高い仮想通貨への攻撃はコストが高く現実的ではありません。その最たる例がビットコインです。

 hashレート

https://www.blockchain.com/charts/hash-rate

 現在のビットコインにハッシュパワーを供給しているマイナーの多くは、マイニングを事業として行っている企業(マイニング事業者)であり、ビットコインのマイニング競争は年々激化しています。その証拠が、ビットコインのハッシュレートの推移を示した上の図です。

 同様に、マイニングの難しさを示す尺度「difficulty」も右肩上がりとなっています。difficultyが高いほど、必要なハッシュパワーは大きくなり、体力のないマイナーにとっては厳しい競争になるのです。

ブロックチェーン 難易度

https://www.blockchain.com/charts/difficulty

 マイニングとビットコイン価格の関係性を知る上では、上記のようにマイニング競争が年々激しくなっているという背景知識が不可欠です。ここにビットコインと法定通貨の交換レートや世界経済の状況などの外部要因が加味されていきます。

 ここで重要なポイントは、マイニング事業者は営利企業であり、その収益の多くはマイニング報酬のビットコインに依存しているという点です。マイニング事業者は獲得したビットコインを取引所で売却して法定通貨を得て、電気代や機材の調達費、人件費などの支払いを行っています。

 したがって、マイニング事業者がマイニング報酬としてビットコインを獲得する限り、ビットコイン市場にとっては継続的な売り圧力(=価格下落の要因)となるのです。

仮想通貨 マイニング

 difficultyが上昇あるいは高止まりしている時にビットコイン価格が下落すると、マイニング事業者の収益性は悪化していきます。一部の企業は事業継続が困難となり、保有するビットコインをすべて売却して事業を精算せざるを得ないため、価格下落の連鎖が起こるのです。

 さて、ビットコインはマイニング報酬が半減する「半減期」が21万ブロックごとに訪れます。20205月にもビットコインは半減期を迎えました。今後のビットコイン価格はどうなるのでしょうか?

 半減期が到来すると、新しく供給されるビットコインの量が半減するため、ビットコイン自体の希少性が向上し、マイニング事業者によるビットコインの売り圧力が緩和される可能性が高いです。この状況が直ちに価格上昇へと繋がるとは限りませんが、半減期は注目しておきたい事象です。

 以上のように、マイニングとビットコイン価格の関係性を考える上では、ハッシュレートやdifficulty、ビットコインの市場価格、マイニング事業者の収益構造を理解する必要があります。


3.まとめ

マイニングは、ビットコインをはじめとする仮想通貨に必要不可欠な仕組みです。仮想通貨が新規発行されるための仕組みであり、マイニングが困難であるほど仮想通貨のセキュリティは強固になります。そして、マイナーたちはマイニング報酬を獲得するために、コストを費やして計算資源(ハッシュパワー)を市場に供給し、獲得した報酬は法定通貨と交換した上で事業費に充てられるのです。この構造がマイニングと仮想通貨価格の関係性を考える上では重要だと考えられます。

20205月にはビットコインが3度目の半減期を迎えており、新しく発行されるビットコインの量が半減しました。半減期によって、少なくともマイニング事業者によるビットコインの売り圧力は緩和されると考えられます。半減期後のビットコイン価格がどうなるかを知る上でも重要な機会であり、2020年〜2021年のビットコイン価格に要注目です。

[1] https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

[2] https://www.blockchain.com/charts/hash-rate

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