
仮想通貨の情報を探していると「ムーンしてくれ!」「ビットコイン to the moon!」といった表現を目にすることがないでしょうか。
でも、月と仮想通貨、いったいどんな関係が?
この記事では、そんなあなたの疑問を解消するべく、ムーンの意味や由来、使い方を解説。ムーンした仮想通貨のチャート例とともに、ムーンした理由も紹介します。
目次
1. チャートが月まで届きそう、から生まれた「ムーン」
ムーンのもとになったのは、英語で“価格の急激な上昇”を意味する「to the moon」というスラング。急上昇するチャートが月まで届きそうな様子から生まれたといわれています。

その意味は“必要不可欠な存在”。送金、決済の分野で注目を集めるXRPが、私たちの生活に必要不可欠な存在(=地球にとっての月)になる、という意味で使われています。
2. これがムーンだ!ムーンしたコインのチャート例
ムーンの基準に“どのくらいの期間で何倍以上”といった明確な定義はありません。
2017年末から2018年初めにかけては、何十倍にも値上がりするコインが多数発生し、SNS上でも「to the moon!」の言葉が飛び交いました。その中からいくつかチャートをご紹介します。
■モナコイン(MONA)

モナコインが最高値を付けたのは2017年12月6日。そのちょうど2カ月前の10月6日までは60円前後で推移していました。翌7日に一気に100円になった後、11月下旬まで300円付近で停滞していましたが、11月末に再び価格を上げ始め2,400円まで高騰します。(参考:モナコインの価格上昇の理由)
1週間で4倍、2カ月で40倍というムーンに、SNSでも「to the moon」という投稿が。
#モナコイン 起きたら1,500円突破してますね。
to the moon!! pic.twitter.com/hN4jfoRzCt— さっと@FX仮想通貨 (@Sat_forexer) December 5, 2017
さっと@FX仮想通貨さんがツイートした12月6日は特に値上がり幅の大きかった日で、1日で42%以上価格が上がりました。「起きたら一気に値上がりしていた!」ということは、仮想通貨では少なくありません。
■XRP(通称:リップル)

XRPは2018年1月4日に最高値の401円を記録。値上がり直前の12月11日までは25円から30円付近で値動きしていましたが、翌12日から価格が上がり、1カ月弱で13倍以上の高騰となりました。(参考:XRPの価格上昇の理由)
上昇を始めた12月14日、Xジージ@XRPアオリストさんは100円超えの期待をツイートしています。
リップルぷるぷる
60円を超えると見える世界が変わります。
高く登るほど遠くまで見渡せる。
これまで見えていなかったものが現れる!
あっという間もないかも、
そう、100円まで、
今乗らなきゃいつ乗るの?リップル号 to the moon
— ジージ@XRP暗号資産 (@bitbit_ojin) December 13, 2017
このツイートの翌日にXRPは99円まで上昇し、100円手前で1週間停滞しました。100円など区切りとなる価格の前後では、上昇がストップすることも多くあります。その後さらに上がるか下がるかは、ニュースやチャートの動きなど様々な要因によって変わるので、情報を逃さないようにしましょう。
■バージコイン(VXG)

バージコインは2017年12月23日に最高値0.297$を記録。10日で約30倍の高騰となりました。1か月前の11月23日には0.006$だったので、1カ月間で約50倍の価格上昇となっています。(参考:バージコインの価格上昇の理由)
Lil_Wrightoさんは、12月31日にバージコインの値上がりについてツイートしています。
Verge to the moon! #vxg #WraithProtocol
— Lil_Wrighto (@Lil_Wrighto) December 31, 2017
このツイートが投稿された12月31日は、すでに価格が下落しつつあるタイミング。しかし値上がり途中の一時的な下落なのか、それとも値上がり自体が終わっているのかを見極めるのは非常に難しいです。
3. 欲しい人が急増するとムーンが起こる
仮想通貨もほかの投資商品と同じく、欲しい人が増えれば価格はあがりますが、欲しい人が増える要因は多岐にわたります。
とりわけ2017年後半は仮想通貨自体への注目が集まり、多くの仮想通貨で急激な値上がりを記録しました。2018年以降は流出事故の発生や暴落など、仮想通貨投資のリスクも広く知られるようになり、2017年末ほどのムーンはあまり見られないようです。
3-1. モナコイン, XRP, バージコインのムーンした理由
何かのきっかけで特定のコインを欲しがる人が一気に増えると、ムーンと呼ばれるような急激な値動きにつながります。チャートで挙げたコインを例に、値上がりの理由と思われる要因を紹介します。
■モナコイン:取引所への上場+コミュニティによるプロモーション
2017年10月2日にビットフライヤーがtwitterでモナコイン取り扱い開始をツイート。それまで50円付近で横ばいしていた価格が一気に倍の100円になり、一時600円にまで上昇しました。取引所に上場すると取引量が増えるので、大手取引所への上場による価格上昇はよくみられるパターンのひとつです。
ちょうど秋葉原での有志によるプロモーションが行われるなど、モナコインの名前がじわじわと広まったと思われるタイミング。そこにビットコインの急騰が重なったことが、2カ月で40倍というムーンにつながったのではないでしょうか。
■XRP:利用拡大への期待+ビットコインからの資金移動
XRP(通称:リップル)が一気に価格を倍にした12月12日、リップル・ネットワークを利用した送金実験を日韓の金融機関でスタートすることが報道されました。実験には国内銀行37行、韓国内銀行2行の参加が報じられ、利用拡大への期待が価格を押し上げたものと思われます。ビットコインが急騰から一転、下落の気配を見せ始めたのもこのころ。ビットコインが値下がる前に利益確定して、これから上がりそうなXRPへ投資をした人もいたのではないでしょうか。
■バージコイン:ビットコインからの資金移動+メディアへの掲載
バージコインが値上がりを始めたのは12月13日。その5日前にはビットコインが前日最高値から一時90万下落しているため、ビットコインの値下がりを不安視した人がバージコインへ流入したと思われます。また12月19日には、経済紙Forbesがバージコインを“今週mooning(急騰)したコイン”として、開発コンセプトとともに紹介。知名度の高まりが10日で30倍という価格の高騰につながったのではないでしょうか。
3-2. そのほかの急騰理由
そのほかよくあるケースとしては、通貨自体がリリースされた直後の値上がりがあります。
以下はムーンコイン(MOON)というオルトコインの、リリース直後のチャートです。

ムーンコインは2013年の年末にリリースされ、2014年1月に取引が開始されました。2014年1月6日に0.000010$でスタートし、同月24日には25倍の0.000258$に。その後価格は下落し、2017年4月頃まで0.000001$付近で推移しています。
リリース直後の値上がりは期待の表れと見ることもできますが、ほとんどの場合で暴落とセットです。新規のコインは技術面でも流通量でも未知数な部分が多いため、もし手を出す場合としても、価格がある程度安定するまで待つほうが無難でしょう。
4. ムーンしたチャートは必ず暴落する
ムーンしたチャートはその後数日~1週間程度価格を維持したあと、急速に下落することが多いようです。永遠に価格が上昇することはあり得ませんし、価格が上昇すればするだけ利益確定をする人も増えるので、下落は当たり前のことかもしれません。
ではどこまで下がるかというと、ムーン以前よりやや高い価格で下げ止まることが多いようです。
ムーンがいくら急激な価格高騰といっても、ほぼ無価値な状態から理由もなく価格が跳ね上がることはほとんどありません。大抵の場合は数カ月から数年の緩やかな上昇や、何度かの上昇と下落を経て、何かのきっかけでムーンします。バブルのようなものなので、ムーンの後の下落は一時的な熱狂が落ち着いて、冷静さを取り戻している状態ともいえるのではないでしょうか。
人々の期待感や注目がムーンにつながりますが、それはあくまで一時的なもの。安易に飛び乗るとムーンではなく、ムーンよりも短い時間で急上昇して一気に落ちる「イナゴ」と呼ばれる現象だったということにもなりかねません。
ムーンが起きたとき、どこが頂点かというのは後にならないとわかりません。慌てて買い増しをすると一気に損失を被る可能性もあります。ムーンの最中はいつも以上に冷静になるよう心がけましょう。
5. ムーンするコインは予測できない
もしムーンするコインが予測できたとしたら、億り人も夢ではありません。では、ムーンするコインを見つける方法はあるのでしょうか?
結論から言うと、ムーンするコインを確実に予測する方法はありません。
しかし、仮想通貨に関連するニュースにしっかりとアンテナを張ることで「利用者が増えそう」「購入者が増えそう」といった、価格上昇につながるきっかけを知ることは可能です。例えば、取引所への上場や、実店舗での決済導入などが決まると、コインへの信頼感が増し、取引量も増えると考えられます。
需要が増えれば価格は上がり、価格の上昇がより多くの人を惹きつけます。その連鎖が結果としてムーンとなることはありますが、仮想通貨は噂など不確実な情報によって容易に価格が動くことも少なくありません。
たとえ保有していたコインが運よくムーンしたとしても、チャート例を見ればわかる通り、価格上昇がどこまで続くかわかりません。どこで利確するのか、あるいは長期の値上がりを期待して保有し続けるのか。ムーンに流されることなく決断できるよう、自分の判断基準を持って投資することが重要です。
6. ムーンの使い方実例
では、実際にどんな感じで使われているのでしょうか。
ぬっ!wwb急に上がり出した!0.00045btcぐらいでは買えたなぁ。どうせならこのままムーンしておくれ!#wwb #wowbit #仮想通貨
— なり (@narigokigen) June 17, 2018
値上がりの兆しが見えると、このままムーンしてくれ!と祈らずにはいられませんね。ちなみに、なりさんがムーンを祈るwwbとは、2018年5月にリリースされたばかりのトークン「WOWBIT(ワウビット)」。プロジェクトには、Q&Aサイトを運営する株式会社オウケイウェイヴが出資しています。
このツイートにいいね、リツイート、コメントすると、あなたの推し通貨について、猫たちが月へ行くように祈ります✌︎('ω'✌︎ )
Hi! If you can push the likes, cats will pray moon that about your Cryptocurrency with you.#Cryptocurrency#moon#月#月に祈る#仮想通貨#猫 pic.twitter.com/vLaN9MorpX
— yuiko (@YuiChiro_777) March 22, 2018
yuikoさんはかわいい猫とともにツイート。to the moonからムーンになり、さらに日本語になった「月へ行く」という表現もよく使われています。
おはようございます。
ビットコイン90万
リップル72円下がりましたね。がんばれリップル!!
しばらくは横横ですかね。SBIVCでXRPムーン待ちw
— 青モグラダルマ@借金返済中 (@bitcoinhajime) May 22, 2018
bitcoinビットコインはじめ さんは、XRPの価格高騰を待っている様子。ちなみに「横横(ヨコヨコ)」とは、チャートが横ばいになっている状況を表す投資用語。SBIVCとは6月にサービスを開始したSBIバーチャルカレンシーズのVCTRADEと思われます。
外部リンク:VCTRADE公式サイト
まとめ
この記事では「ムーン」の言葉の意味や由来、使い方について解説しました。
- ムーンは「月まで届きそうな価格上昇」のこと
- ムーンの明確な定義はない
- ムーンするコインを予測することは難しいが、情報収集で価格が上昇しそうな目途を立てることはできる
- ムーンは一時的なので、安易な売買に走ると大損になることもある
ムーンが起きるのは、価格が不安定な仮想通貨ならではともいえます。浮かれすぎるとムーンの後の急落で痛い目を見るかもしれませんが、やはり価格が上がるのをみるのはホルダーとしてはうれしいもの。
自分が見込んだコインであれば、月に行く日を信じて待つのも悪くないのではないでしょうか。