
仮想通貨(暗号資産*1)決済ができるお店は年々増え続けており「自分の店にも導入しようかな」と考えるオーナーさんも多いのではないでしょうか。
しかし普段使い慣れていないものを導入するとなると、何となく抵抗があるもの。
そこで今回は、仮想通貨決済の導入方法やメリットについて紹介していきます。
仮想通貨決済は意外と簡単に導入できるものなので、ぜひこの記事を参考にしてください。
*1)2018年12月の仮想通貨交換業等研究会による報告書において、呼び名を「暗号資産」とする内容が取りまとめられました(参考|「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)議事次第)
目次
1. 仮想通貨を使った決済とは
2017年の仮想通貨ブームから、日本国内でも仮想通貨決済を導入するお店が増えてきました。
仮想通貨決済は、保有している仮想通貨を日本円に換金せず、そのまま決済として使用できるので、仮想通貨を保有している人にとっては非常に便利な仕組みです。
1-1. QRコードを使った支払いシステム
仮想通貨の決済では、店側が提示した入金用QRコードを利用者が読み取り、店の口座に仮想通貨を送金することで支払いを行います。
仮想通貨取引所や各社の決済サービスを利用するほか、決済サービスを利用せず店舗側のウォレットに利用者から直接送金してもらうことも可能です。
決済時、利用者は決済時のレートで換算された仮想通貨を送金することになります。
たとえば、1BTC=80万円のときに8,000円の買い物をした場合は、0.01BTC(8,000円分のBTC)を支払うことになります。
1-2. 導入方法は2つ
仮想通貨決済を店舗で始めるには2つの方法があります。
- 取引所や決済代行会社が提供している「仮想通貨決済サービス」を利用する
- お店のウォレットへ直接送金する
「仮想通貨決済サービス」を利用する
仮想通貨決済サービスを利用するとサービス手数料はかかりますが、日本円への換金を自動で行ってくれるなど、付随している便利なサービスで手間を削減できるメリットがあります。

お店のウォレットへ直接送金する(決済サービスを利用しない)
仮想通貨は個人間でのやりとりを想定しているため、会社が提供するサービスを利用しなくても、ウォレットさえあれば決済を開始することができます。お店のウォレットと利用者のウォレット同士で直接やりとりするため、決済会社へ支払う手数料もかかりません。

比較表
仮想通貨決済サービスを | 使う | 使わない |
使えるまでの日数 | サービスによる | 即日 |
初期費用 | サービスによる | ウォレット代 |
ランニングコスト |
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事前準備 |
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審査 | あり | なし |
参考|3章:決済サービスの紹介
1-3. 仮想通貨決済で使用できる通貨
仮想通貨決済の先駆けとなったのは主流通貨であるビットコインでした。
しかし、最近ではビットコイン以外の仮想通貨でも決済が可能となり、モナコインやネムなどのさまざまな通貨が利用できます。
決済に使う仮想通貨を決める際は、話題性や地域性、コミュニティとの相性も考慮しましょう。
仮想通貨決済で利用できる主な通貨
- ビットコイン:認知度が高く、国内に決済できる店舗が多い
- イーサリアム:時価総額2位
- XRP(通称:リップル):日本での取引量が多く、送金スピードが4秒と一番速い
- モナコイン:日本発の仮想通貨で、オタクカルチャーと親和性が高い
- ネム:日本でも取引量が多くコミュニティが増えつつある
決済サービスの提供が最も多く、仮想通貨決済のエントリーとしておすすめなのはビットコイン。仮想通貨に詳しくない人にも知られているので、仮想通貨決済を始めたことがわかりやすく伝わります。
2. 初期費用とランニングコスト、準備するもの
この章では、導入前の準備やメリット、ランニングコストなどについてみていきましょう。
2-1. 初期費用とランニングコスト
決済サービスを使う場合でも使わない場合でも、初期費用をゼロに抑えることは難しくありません。
決済サービスを使う場合
仮想通貨の決済サービスは、初期費用や月額使用料が無料で提供されているものも少なくありません。
お店側の負担は決済の都度、サービス提供側へ支払う手数料のみというパターンも多いため、あまり予算がないお店でも比較的容易に導入できます。
また月額料金が無料のサービスを利用すれば、もし利用者が少なかったとしてもお店側が損をすることはありません。
必要となる費用については、各取引所やサービスの公式ページをしっかりと確認するようにしましょう。
参考|3章:決済サービス
決済サービスを使わない場合
決済サービスを使わない場合は、インストールするアプリの費用が初期費用となりますが、無料のものも多くあります。決済サービスを利用しないため、サービス提供者への手数料もかかりません。
参考|実際に使って比較!便利なおすすめモバイルウォレット3選
*2)2019年3月7日時点
2-2. 事前の準備に必要なもの
決済サービスを利用するかどうかで、事前準備は異なります。
決済サービスを使う場合
決済サービスを利用する場合は、業者が提供している決済サービスへ利用申し込みを行います。利用審査完了後、決済サービスが指定するモバイルウォレット等をスマートフォンやタブレットにインストールします。
決済サービスを使わない場合
決済サービスを使わない場合は、仮想通貨を受け取るためのモバイルウォレットをインストールするだけで準備は完了します。仮想通貨を受け取れれば良いので、自分の好きなアプリを選びましょう。
2-3. 決済中のトラブル
仮想通貨決済で想定されるトラブルについて、事例と対策を紹介します。
急激な価格変動が起こったら?
決済や送金を行う際に、送金のデータ反映を待つ必要があります。ビットコインなら約10分ですが、その間に価格の変動があった場合はどうなってしまうのでしょうか?
決済サービスによっては、支払われた仮想通貨の価格が急落したときのリスクを軽減するため、一定期間、価格を保証する機能があります。
加盟店様はBITPoint Payに入力する決済金額(日本円)はQRコード表示から[10分間]保証されます(仮想通貨の相場が動いても入力された日本円・仮想通貨数量共に変更はありません)。
10分を超過した場合は、QRコード表示画面の「再計算」ボタンを押して決済金額の再入力をお願いします。
BITPOINT FAQ|決済を行っている途中に仮想通貨の変動があった場合はどのようになりますか?
仮想通貨ウォレット同士の送金機能を利用する場合は、この機能はありません。直接ウォレットからウォレットへ送金するため、決済中に価格が暴落した場合は損をする可能性があります。
もしも送金先を誤って決済してしまったら?
決済サービスを利用している場合、取引所などの管理者を介しているため誤送金をしても取り戻せる事があります。
しかし、ウォレット同士での送金で「誤送金先のアドレスが存在しており、送金が完了してしまった」場合は仮想通貨を取り戻すことは難しくなります。
そのため、仮想通貨決済を初めて導入する場合は、電話対応やメール対応のカスタマーサポートがあるサービスを選ぶことをおすすめします。
2-4. 他の決済サービスと比べてメリットは?
仮想通貨決済をクレジットカード決済、スマホ決済(PayPay)と比較。メリットを紹介します。
仮想通貨決済 | クレジットカード | PayPay | |
決済手数料 | 1%程 | 5~8% | 無料 *4年目以降は有料になる予定 |
入金のタイミング | 即日~3日程 | 1ヵ月程 | 即日~3日程 |
使い道 | 少額決済向け (分割不可) |
高額決済向け | 小額から高額決済まで可能 (クレジットカードと紐づいている場合は分割可) |
■メリット1■決済手数料が安い
仮想通貨の決済サービスを利用した場合、決済手数料は商品金額の約1%。
クレジットカード決済の場合は5~8%程度を手数料としてカード会社に支払わなければならないので、仮想通貨決済のほうが手数料を抑えられます。
PayPayは3年目まで手数料無料ですが、4年目からは有料になります。仮想通貨決済サービスの手数料も今後変更になる可能性はゼロではないので、サービス規約などをしっかり確認しましょう。
■メリット2■着金が早い
仮想通貨決済は決済の反映に10分、着金に60分~3日ほどかかります。
時間のばらつきは仮想通貨のネットワークの混雑具合により変わりますが、送金手数料の金額設定により解決する場合があります。
クレジットカード決済の場合は決済後約1ヵ月経たないとお店へ入金されませんので、すぐに現金化ができないという懸念点があります。
PayPayの場合は即日~3日ほどなので、仮想通貨の種類によってはPayPayの方が優勢です。
そのため、分割払いが利用されるような高額な商品やサービスをメインで扱う店舗では、導入してもあまり利用が増えない可能性があります。
3. 仮想通貨決済サービス
仮想通貨決済の導入に必要となる決済サービスは、近年さまざまなサービスが登場。仮想通貨決済だけでなく、クレジットカードや電子マネー決済にも対応した総合決済サービスもあります。
3-1. 仮想通貨決済に特化した決済サービス
取引所も仮想通貨決済サービスを提供しています。
◆bitWire SHOP(ビットワイヤーショップ)
bitWire SHOPは、大手国内取引所で知られるbitFlyerが提供している仮想通貨決済サービス。最短でその日のうちに現金化ができるので、入金を待つストレスもありません。
サービス概要
◆BITPoint Pay(ビットポイントペイ)
BITPoint Payは、仮想通貨取引所のBITPointが提供している店舗決済アプリです。
BITPointの総合口座を持っている人であれば法人でも個人でも導入が可能。対応通貨もビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、リップルの5種類と豊富なので、複数の通貨を導入したい店に最適でしょう。
ただし、決済する側と決済される側の双方がBITPointの総合口座を持っていなければ決済を行えません。
利用にはタブレット端末の用意が必要となります。
サービス概要
3-2. マルチペイメントサービス
マルチペイメントサービスとは、電子マネー、仮想通貨、クレジットカードなど、複数の決済手段を一括で提供しているサービスのこと。仮想通貨以外の決済も導入したいというお店にお勧めです。
◆PGマルチペイメントサービス
PGマルチペイメントサービスは、GMOインターネット株式会社の子会社であるGMOペイメントゲートウェイが提供するサービス。
利用できる仮想通貨はビットコインのみとなりますが、仮想通貨決済を含む25種類の決済方法から、自分の店舗に合った決済方法を選択できます。
サービス概要
- 端末:パソコン
- 初期費用:プランや導入する決済方法により異なる
- 月額費用:プランや導入する決済方法により異なる
- 決済手数料:決済方法により異なる
- トラブル時の対応:FAQ
- 対応通貨:ビットコイン
<決済手段>
クレジットカード決済/コンビニ決済/GMO後払い/口座振替/多通貨クレジットカード決済/LINE Pay /楽天ペイ/キャリア決済/電子マネー決済/プリペイド決済/ビットコイン決済/代引決済 PG配送サービス/Pay-easy決済/PayPal決済/リクルートかんたん支払い決済/ネット銀聯決済/銀行振込/Apple Pay/Paid決済/払込票決済
4. 導入は簡単!決済サービス登録手順
仮想通貨取引をしたことがない人や、機械操作が苦手な人は難しいイメージをいだいているかもしれませんが、導入手順は簡単です。
bitWire SHOPを例に、手順を紹介します。
bitWireを利用するには、bitFlyerのアカウント登録(口座開設)が必要です。
bitWire SHOPでは登録商品ごとに決済用URLを発行。購入者がそのURLを読み込むと支払いが完了し、売る側のbitFlyer口座にビットコインが入金されます。
手順1:bitWire SHOP申し込み
bitFlyerの公式サイトから、bitWire SHOPに申し込みます。ショップ名や取扱商品などを登録して、bitFlyerでの利用審査が完了するのを待ちます。
手順2:商品情報の入力
審査が完了すると、商品の登録ができるようになります。
手順3:決済用URLの取得
登録した商品ごとに決済用のURLが発行されます。
手順4:決済用URLの表示
商品に決済用のURLを表示します。
以上で店舗側の準備は完了です。
5. 仮想通貨決済の導入店舗は拡大する可能性が大!
2019年3月現在、日本国内では仮想通貨決済を導入している店舗は、クレジットカード決済や電子マネー決済に比べるとまだ多くはありません。しかし、今後は仮想通貨の普及とともに導入店舗が増える可能性もあります。
5-1.日本政府がキャッシュレス化を推進
日本政府はキャッシュレス決済を推進する方針を明らかにしました。
まだ提案段階ではありますが、その内容はQRコードを使った決済システムを提供する事業者に対して補助金を与え、小売店に対しては決済額に応じて時限的な税制優遇をするというもの。
対象はあくまでQRコード決済となっていますが、この提案が実施されれば、キャッシュレス決済が増え、仮想通貨決済を利用することへの心理的なハードルも低くなるかもしれません。
経済産業省|キャッシュレス・ビジョン(pdf)
5-2. 外国人観光客の増加
2020年には東京オリンピックが開催されることもあり、日本を訪れる外国人観光客の数は年々増え続けています。2017年には5年前の3倍以上となる2,800万人を突破しました。
日本と比べ海外はキャッシュレス決済が浸透している国は多く、2020年に向けて日本国内でのインフラ整備は必須と言われています。
仮想通貨決済を使えれば日本円への両替が必要ないため、訪日外国人の買い物の利便性もアップする可能性があり、観光客増加の中で注目されています。
まとめ
仮想通貨決済は導入費用がほとんどかからず、クレジットカード決済に比べて手数料がかなり安いという大きな魅力があります。
ただし、利用する決済サービスによっては月額料金、決済手数料が割高に設定されている場合もありますので、事前にしっかりと確認しておくのが安心です。
導入自体は初心者でも簡単にできますので、事前にしっかりと仕組みを理解してから利用するようにしましょう。