
「ポートフォリオツールってどれがいいんだろう」
仮想通貨(暗号資産)取引を始めたばかりの人の中には、そんな悩みを抱えた人も多いのではないでしょうか。
ポートフォリオとは「どの銘柄にどれだけ投資しているか」という分散投資の状況のことですが、それを管理できるツールは多すぎて、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
ポートフォリオツールには、アプリやパソコンで使えるものなど色々なタイプがありますが、最も大事な基準は利便性です。
この記事では取引所の中の人が「手間がかからない」「情報が多い」など様々な切り口から、便利なポートフォリオツール5つをピックアップ。記事の後半では、よりリスクを減らすためのポートフォリオの組み方も解説します。
目次
1. おすすめポートフォリオツール5選
この章では、5つのポートフォリオツールを一覧比較(2020年1月時点)。それぞれのツールの強みを解説します。
コイン 相場 |
Portfolio @cryptact |
|
Web | ○ | ○ |
アプリ | iOS Android |
× |
入力 方法 |
自動 手動 |
CSVアップロード |
言語 | 日本語 | 日本語 |
対応 取引所 |
100以上 | 30以上 |
対応 コイン |
2,400 以上 |
2,600 以上 |
円グラフ | × | ○ |
資産推移 | ○ | × |
グルーピング | × | × |
アラート | ○ | × |
シグナル | × | × |
ウィジェット | ○ | × |
ニュース | ○ | × |
マーケット チャート |
○ | × |
売買 | ○ | × |
税金 計算 |
△*5 | ○ |
クリプトフォリオ | ブロック フォリオ |
delta | |
Web | × | × | ○ |
アプリ | iOS Android |
iOS Android |
iOS Android |
入力 方法 |
手動 | 手動 | 自動 手動 |
言語 | 日本語 | 日本語 | 英語 |
対応 取引所 |
46 | 150 以上 |
150 以上 |
対応 コイン |
2,100 以上 |
3,000 以上 |
3,000 |
円グラフ | ○ | × | ○ |
資産推移 | ○ | ○ | ○ |
グルーピング | ○ | △*1 | △*2 |
アラート | × | ○ | ○ |
シグナル | × | ○*3 | × |
ウィジェット | ○ | × | × |
ニュース | ○ | ○*3 | × |
マーケット チャート |
△*4 | ○ | △*4 |
売買 | × | × | × |
税金 計算 |
× | × | × |
*1) ウォッチリストのみ
*2) 有料版のみ
*3) 日本語未対応
*4) 簡易版
*5) 金額試算のみ
1-1. 売買も情報収集もこれ一つで完結!コイン相場(web&アプリ)
こんな人におすすめ!
- スマホ以外でも情報チェックをしたい人
- ひとつのツールで完結させたい人
データ取得方法 | API連携による自動取得、手動入力 |
言語 | 日本語 他 |
対応取引所 | bitbank, bitFlyer, QUOINEX, Zaif, Binance 等API連携28カ所を含む100カ所以上 |
対応ウォレット | BTC, BCH, XCP, EOS, ETH, MONA, NEM, XRP |
対応コイン数 | 2,400以上 |
利用端末 | アプリ(iOS、Android) |
メリット |
|
ICO情報のポータルサイトを運営するCOIN JINJAが作ったアプリ。この記事で紹介しているツールのうち最も機能の数が多く、売買もできるため、これひとつでほかのツールが不要になるほどの充実度です。ウォッチリストはiCloudで他端末と同期が可能です。

アプリから売買できる
API連携ができる取引所は、アプリの画面から取引を行うことができます。どの取引所でもコイン相場の同じ画面を使って取引ができるので、売買操作がスムーズ。チャートを確認してすぐに売買ができるので、タイムロスもありません。
ウォレットにもAPI対応
10のコインでウォレットにAPI連携が可能。取引所からウォレットへ移動した資産もまとめて管理することができます。
デメリット
- 各機能への導線が煩雑
情報も機能も他のツールより多いのですが、操作性はやや低め。どこにどの機能があるのか、慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。
1-2. 確定申告が楽になるPortfolio@cryptact(web)
こんな人におすすめ!
- 確定申告が必要な人
データ取得方法 | 取引記録ファイルのアップロード |
言語 | 日本語 |
対応取引所 | bitFlyer, Zaif, bitbank, GMOコイン 等30カ所以上 *対応外取引所の取引履歴も計算可能 |
対応ウォレット | なし |
対応コイン数 | 1,500以上 |
利用端末 | Web(Chrome、Safari、FireFox) |
メリット | 細かい税金計算設定可能 |
税金計算サービス「tax@cryptact」を開発した株式会社クリプタクトが運営するポートフォリオツール。データをアップロードするだけで取引ごとの損益が自動計算されるので、現在の資産を管理するだけでなく確定申告にも役立つツールです。

確定申告の利益計算が楽になる
クリプタクト社の税計算サービス「tax@cryptact」と自動連携。複数の取引所での取引を一元化できるうえ、仮想通貨の売却時や別の仮想通貨への交換時など、確定申告上で利確とみなされる取引ごとに、発生した損益を自動計算できるので、確定申告時の利益計算がぐっと楽になります。
参考:仮想通貨は利確で税金発生!計算式や節税方法、税金計算ツールを紹介
参考:税金計算に役立つCryptactの使い方やエラーの対処法を解説
ウォレットに移動した資産も管理できる
取引所から取引履歴を取得してアップロードするので、取引所で売買さえしていれば、購入後にウォレットへ移動させていたとしても資産として計算可能。保有場所を問わず一括で資産管理ができます。
デメリット
- スマホからデータのアップロードが難しい
保有資産の閲覧は可能ですが、データのアップロードはPCからでないと難しいため、PCを普段使わない人には面倒に感じられるかもしれません。
1-3. 日本製で初心者でも使いやすいクリプトフォリオ(アプリ)
公式サイト:クリプトフォリオ
こんな人におすすめ!
- 初めてポートフォリオツールを使う人
- ポートフォリオを分けて管理したい人
- 取引回数が少ない人
データ取得方法 | 手動入力 |
言語 | 日本語 |
対応取引所 | bitFlyer, Zaif, bitbank, QUOINEX, GMOコイン 等45カ所 |
対応コイン数 | 2,100以上 |
利用端末 | アプリ(iOS, android) |
メリット |
|
ポートフォリオのフォルダ分け(グルーピング機能)があり、自分の使いやすいようにカスタマイズできるのが特徴。ウィジェットなど機能が多いにも関わらず導線がわかりやすいので、海外製アプリで使いづらさを感じた人にもおすすめです。

自由度の高いフォルダ分け機能
ウォッチリスト分、保有分、短期投資分、取引所別など、自分の好みに合わせたフォルダ分けが可能。円グラフと資産推移もフォルダごとに表示できます。
人のポートフォリオを見ることができる
Twitterでは「#わたしのクリプトフォリオ」で、ほかのユーザーが自分のポートフォリオを公開しています。ポートフォリオ作りの参考にできるかもしれません。
シンプルな操作性と必要機能を両立
ウィジェットやフォルダ分けなど、多くの機能を有しつつも導線はスッキリ。日本製アプリなので、日本人の感覚に合わせた仕様になっています。
デメリット
- 対応取引所が少ない
ほかの手動ツールに比べると対応取引所の数は少な目。クリプトフォリオはユーザーの要望に対する対応が素早く、リクエストされた取引所は随時対応を進めているようです。クリプトフォリオと同じ手動ツールの「ブロックフォリオなら」150以上の取引所に対応しています。
クリプトフォリオについては、以下の記事でも詳しく活用法を解説しています。
1-4. 値動き情報をいち早くキャッチできるブロックフォリオ(アプリ)
こんな人におすすめ!
- 草コイン投資をしたい人
- 指値、逆指値を駆使した投資をしたい人
データ取得方法 | 手動入力 |
言語 | 日本語 他 |
対応取引所 | Bitbank, bitFlyer, Coincheck, Quoine, Zaif 等150以上 |
対応コイン数 | 3,000以上 |
利用端末 | アプリ(iOS, android) |
メリット |
|
ブロックフォリオは各仮想通貨開発チームからのメッセージを受け取ることができるシグナル機能や、指定した価格になるとお知らせしてくれるアラート機能など、情報収集機能が充実。売買タイミングを逃さずキャッチできます。

仮想通貨開発チームからのメッセージを受け取ることができる
草コインなど情報が少ないコインの場合、開発状況は投資すべきかどうかを判断する重要な指標の一つとなりますが、それをダイレクトに受け取ることができます。また開発内容によっては大きな値動きになることもあるため、ほかの人よりも早く情報をキャッチすることで売買に有利になります。
アラート機能で値動きを見逃さない
指定した価格になると知らせてくれるので、チャートを常に見張っていなくても値動きをキャッチできます。気絶投資中に暴落が発生しても、見逃すことがありません。また取引所の指値注文機能と併用すれば機会損失を軽減できるので、より効率的な売買を行うことが可能です。
デメリット
- 一部機能が英語
シグナルで受け取る開発チームのメッセージや、ニュースはアプリ外からの情報なので、基本的にすべて英語です。英語に苦手意識のある人にとっては使えない機能になってしまう可能性があります。対応コイン数2,000以上の日本製アプリならクリプトフォリオもおすすめです。
ブロックフォリオについては、以下の記事でも詳しく活用法を解説しています。
1-5. マイナーなコインに投資するならDelta(web&アプリ)
こんな人におすすめ!
- マイナーなコインの取引が多い
データ取得方法 | 手動入力、API自動取得、CSVアップロード(PCのみ) |
言語 | 英語 |
対応取引所 | bitFlyer, Coincheck, Binance, Bitfinex, Bittrex 等API連携含む140以上 |
対応コイン数 | 3,000以上 |
利用端末 | アプリ(iOS, android, Win) |
メリット |
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価格リストとウォッチリストだけのシンプルな機能ながら、API連携含む140以上の取引所に対応。取引量の少ないコインも充実しているので、億り人を目指してマイナーなコインに投資している人に便利なツールです。

上場コインすべての価格をフォロー
CoinMarketCapと連携しているので、取引所に上場さえしていればすべてのコインの価格を管理できます。
スマホとPCの同期が可能
Windows用アプリケーションをインストールすることでPCとのデータ同期が可能。外出先ではスマホで手軽に、自宅ではPCの広い画面で落ち着いて確認することができます。
デメリット
- 日本国内取引所で対応しているところが少ない
国内ではbitFlyerとCoincheckの2社しか対応しておらず、ともにAPI連携はしていないため手動入力になります。
2. 投資に役立つポートフォリオの組み方
どのようなポートフォリオを組めば、より効率的に利益を出すことができるのでしょうか。この章では、ポートフォリオの組み方について解説します。
2-1. ポートフォリオは見るだけでは意味がない
ポートフォリオを管理する目的は、期待値(リターン)に見合ったリスクとなっているかどうかを確認し、調整することです。
投資用語としてのポートフォリオには資産の分散状況という意味があり、これを適切に管理できるかどうかが投資の成否を分けるといっても過言ではありません。リスクのない投資はありませんが、そのリスクが期待されるリターンに見合っていない場合は見直しが必要です。
仮想通貨でも同じで、1章で紹介したようなツールを使うなどして、しっかりと管理することが予想外の大きな損失を回避する第一歩。
例えば開発実体のない詐欺コイン(スキャムコイン)や、詐欺ではないけれども将来性に疑問があるコインなど、値上がりの見込みがないコインへの投資は“リターンに見合わないリスク”です。もしポートフォリオにそういったコインが含まれている場合は、売却するなどしてすぐにポートフォリオを調整しましょう。
2-2. ポートフォリオの組み方例
一般的に投資対象は分散されているほうが望ましいとされますが、それはリスク分散ができるため。複数の取引所を使う、複数のコインに投資する、など分け方は様々ですが、分散先が多すぎると管理がしにくくなります。自分が管理できる範囲で、徐々に増やしていくとよいでしょう。
ポートフォリオの組み方の原則
- リターンに見合ったリスクになっているかを必ずチェックする
- 自分が管理できる範囲で投資先を分散する
この2つの原則を踏まえて、ポートフォリオの組み方例を紹介します。
■価格変動の影響を低く抑えるビットコイン重視型
ビットコインは株式などに比べれば価格変動は大きいですが、仮想通貨の中で見れば比較的価格は安定しています。まとまった資金を使ってデイトレで細かく稼いだり、逆にビットコインの長期的な値上がりを期待したりする場合には、ビットコイン重視型になるでしょう。
この場合も、ビットコインに全資産を投資するよりは、いくつかのコインに分散投資したほうがリスクを分散できます。ビットコイン以外でも国内取引所での取り扱いがある通貨にしておけば、何かあったときの日本円への交換、出金もスムーズ。国内取引所であれば日本語サポートも受けられます。

参考:ビットコインに潜む様々なリスク
■ハイリスクハイリターンのマイナーコイン投資型
大きな値上がりによる一獲千金を目指すのであれば、取引量が少ないコインへ投資するのもひとつの策。ビットコインよりも値動きが激しいため、一気に値上がりする可能性があります。同時に、大きく値下がりするリスクもとらなくてはなりません。
*7) 2018年4月23日~7月22日までのUSD建数値。CoinMarketCap参照。
*8) 2018年7月23日時点でCoinMarketCapにて1円未満の中で取引量上位のReddCoin, Dropil, Dogecoin, Bytecoin, PundiXを参照
取引量が少ないコインの中には、開発が途中で止まってしまったり取引所の上場が廃止されたりするなど、価値が極端に低くなってしまうケースもあります。そういったコインに投資してしまうのは“リターンに見合っていないリスクをとる”ということ。値上がりが見込めるコインかどうか、投資前にしっかり見定めることが必要です。

取引量の少ないコインは価格変動の影響で、投資先の比率が偏ってしまうことも多くあります。その場合、慌てて売買をしても逆に放置しすぎても損をする可能性が。自分の中の利確ライン、損切りラインをしっかりと決め、情報収集を怠らないようにしましょう。
■安定と利益狙いをバランスよく分散型
ある程度の利益も狙いたいという人は、ビットコインやイーサリアムなど取引量が多いコインに半分、残りの半分をマイナーなコインに投資するやり方もあります。
取引量の少ないコインへの投資比率はマイナーコイン投資型よりも低くなりますが、それでも投資する場合は必ず開発状況やホワイトペーパーをチェックするなどして、リターンを見込める投資かどうか確認しましょう。

まとめ
この記事では、ポートフォリオツールとポートフォリオの組み方例を解説しました。ツールは使ってみることで自分に合うかどうかを実感できるので、迷ったときは使ってみて決めるのも良いでしょう。
そして2章でも触れましたが、ポートフォリオを組むときは、以下の2点を忘れないようにしてください。
ポートフォリオの組み方の原則
- リターンに見合ったリスクになっているかを必ずチェックする
- 自分が管理できる範囲で投資先を分散する
投資において大切なのは無計画な投資をしないこと。ポートフォリオでの資産管理はそのためのツールにすぎません。リスクをしっかりと把握して、仮想通貨投資を行いましょう。