
「仮想通貨全部盗まれた!」
「値下がりして大損した!」
昨年から話題になっている仮想通貨ですが、そんな悲鳴を聞くこともしばしば。2018年1月にはネム(NEM)の大量流出事件も発生し、仮想通貨を管理することの重要性に注目が集まっています。
しかし重要性は認識しつつも、具体的な管理方法がわからないという人も多いのではないでしょうか。
なんの対策もせず仮想通貨を放置していると、値上がりのチャンスを逃すばかりでなく、思わぬ損失や流出被害を招いてしまうことも!
そんな被害に遭わないよう、ツールを使った安全で効率的な管理方法を紹介します。
目次
1. 購入後の管理は保有資産の把握と保管が重要
仮想通貨購入後の管理には、2つのステップがあります。
◆どの仮想通貨をどれだけ持っているか
一つは保有資産の把握。自分がどの仮想通貨をどれだけ持っているかを把握することで、利益を上げやすく、同時に値下がりによる損失を小さくしやすくなります。
保有資産の把握には、ポートフォリオツールと呼ばれる専用ツールを使うと便利。2章でおすすめのツールを紹介します。
◆セキュリティは万全か
もう一つは安全な保管。時価580億相当の被害となったコインチェック社だけでなく、韓国取引所で35億円相当の仮想通貨が流出するなど、ハッキングによる資産の流出事件は枚挙にいとまがありません。
仮想通貨の保管にはウォレットという専用ツールを使用します。こちらは3章で紹介します。
2. ポートフォリオツールで保有資産を把握しよう
ポートフォリオという言葉を聞いたことはあるでしょうか。
ポートフォリオとは、保有資産の内容のこと。例えばビットコインを50%、残りはイーサリウムとリップルが25%ずつなど、“ 何をどれだけ持っているか ”という内訳そのものをポートフォリオと呼びます。
保有資産を把握することで、危ないコインを手放したり、より利益が見込めるコインへお金をかけたりといった計画的な投資判断が可能に。適切にポートフォリオを調整すれば、損失リスクを減らすこともできます。
エクセルなどの表計算ソフトを使って資産を管理する人もいますが、便利なポートフォリオツールがたくさん開発されているので、それを利用しましょう。
ツール名 | コインボード | クリプトフォリオ |
種類 | Web | アプリ |
機能・情報量 | ★★ | ★★★★ |
操作 | ★★★★★ | ★★★★ |
見やすさ | ★★★★★ | ★★★★ |
ツール名 | コイン相場 | ブロックフォリオ |
種類 | アプリ | アプリ |
機能・情報量 | ★★★★★ | ★★★★ |
操作 | ★ | ★★★★ |
見やすさ | ★★★★ | ★★★ |
2-1. 初めてポートフォリオツールを使う人向け2選
初めてポートフォリオツールを使う人は、まずポートフォリオツールを使うという感覚に慣れることが大事。「操作性」と「画面の見やすさ」を重視して2つのツールを紹介します。
■自動取得で手間なし!コインボード
※2019年5月 コインボード(coinboad)サービス終了が発表されました。正式なクローズ日は後日発表予定
【機能】★★
【操作性】★★★★★
【見やすさ】★★★★★

コインボードはwebサービスですが、スマートフォンの画面に完全に対応しています。取引所のAPIと自動連携するので、取引のたびに取引情報を入力する手間がありません。取引数の多い人はもちろん、ポートフォリオツールを初めて使う人にもおすすめです。
円グラフ | 資産推移 | グルーピング |
○ | ○ | × |
ニュース | チャート | アラート |
× | × | ×*1 |
シグナル | ウィジェット | 売買 |
×*2 | ×*3 | × |
税金計算 | ||
× |
*1) 指定した金額や上昇率になったときにしらせてくれる機能。詳細はこちら
*2) 仮想通貨の開発チームからダイレクトメッセージを受け取ることができる機能。ブロックフォリオで利用できる
*3) スマホ画面のロックを解除せずに通知を表示できる機能。クリプトフォリオで利用できる。
対応取引所
bitbank, bitFlyer, Quoinex, Zaif, Coincheck 等10カ所(参照:対応取引所一覧)
◎手間ゼロ!何もしなくても最新状態がわかる
コインボードは最初にAPI連携を設定すれば、あとは定期的に取引所のデータを読み込んで資産状況を更新してくれます。取引所ごとにわかりやすい設定手順書があるので、筆者が初めてAPIを使ったときでも設定完了に5分もかかりませんでした。参考:bitbankのAPI設定手順(スマートフォン版)
API(Application Programming Interface)とは、作業者に代わって指定した処理を自動で行ってくれるプログラムのこと。プログラミングの知識がない人でも、簡単に設定ができるようになっています。
×機能・情報量が★2つの理由
対応取引所は国内5カ所を含む10カ所と、ほかのツールに比べると少な目。また表示情報は総資産と取引所ごとの円グラフ、資産推移グラフのみなので、多くの情報を確保したい人には物足りないかもしれません。機能を絞ったぶん画面がシンプルなので、操作性と見やすさはともに★5つです。
もっと詳しいコインボードの使い方や活用方法は以下の記事で解説しています。
■充実した機能を簡単に使えるクリプトフォリオ
【機能】★★★★
【操作性】★★★★
【見やすさ】★★★★
クリプトフォリオは手動で取引を入力するタイプのツール。自動入力に比べると手間はかかりますが、慣れると1つの取引情報を入力するのに1分もかかりません。
ウォレットへ移動した資産も含めて管理できるため、取引回数が少なくほとんどの資産をウォレットで管理している人におすすめです。

円グラフ | 資産推移 | グルーピング |
○ | ○ | ○ |
ニュース | チャート | アラート |
○ | ○*4 | ○ |
シグナル | ウィジェット | 売買 |
× | ○ | × |
税金計算 | ||
× |
*4)簡易版
対応取引所
bitbank, bitFlyer, Quoinex, Zaif, GMOコイン 等40カ所以上(最新版はこちら)
◎初心者でも迷いにくい操作性の良さ
コインボードに比べると機能が多いため操作性はやや劣るものの、それぞれのメニューへの導線がわかりやすいため、初めて使う人でも迷いにくくなっています。対応取引所も国内を含む全40取引所以上に対応しており、使いやすさと機能を兼ね備えたバランスのいいアプリです。
もっと詳しいクリプトフォリオの使い方や活用方法は以下の記事で解説しています。
2-2. 投資で利益を上げたい人向けスマホアプリ2選
ここでは、機能や情報量を重視した2つのツールを紹介。機能が多い分、使いこなすには少し知識と慣れが必要ですが、現状を把握するだけでなく投資で利益を上げたい人に便利なツールがそろっています。
■取引所を開く必要なし!売買もできるコイン相場
機能:★★★★★
操作性:★
見やすさ:★★★★
コイン相場は情報量が非常に多く、ほかのツールにはない機能も充実しています。使いこなせるようになると他のツールでは物足りなくなってしまうかもしれません。
円グラフ | 資産推移 | グルーピング |
○ | ○ | × |
ニュース | チャート | アラート |
○ | ○ | ○ |
シグナル | ウィジェット | 売買 |
× | ○ | ○ |
税金計算 | ||
△*5 |
*5)合計金額からの試算のみ
- 移動平均線、出来高、ボリンジャーバンドなどを表示できるチャート
- ICO情報
- アプリからの売買機能
対応取引所
bitbank, bitFlyer, Quoinex, Zaif, GMOコイン, BITPoint 等API連携14カ所含む40以上(最新情報はアプリ参照)
◎売買機能で取引所ログインの手間を軽減
コイン相場ではAPI連携している取引所の売買をアプリから行うことが可能。アプリでチャートを確認して、すぐに売買ができるので、取引所にログインする手間とタイムロスがありません。複数の取引所を使っている人ほど、ログインに係る煩わしさを大きく軽減できるツールです。
×操作性が★1つの理由
コイン相場の機能はこの記事で紹介する4つのツールの中でも随一。ただその分、各メニューへの導線がわかりにくくなっており、慣れるまではどこに何があるのかわからず戸惑うことも多いかもしれません。
■誰よりも早い情報入手ができるブロックフォリオ
機能:★★★★
操作性:★★★★
見やすさ:★★★
指定した価格になると知らせてくれるアラート機能は、普段チャートを見られない人でも値動きをつかみやすい機能。取引所の指値注文と併用すれば、注文が約定しないことによる損失リスクを大幅に軽減することが可能です。
米ドルをはじめ外貨建て表示も可能なので、海外を含む複数の取引所で取引している人におすすめのツールです。
円グラフ | 資産推移 | グルーピング |
× | ○ | × |
ニュース | チャート | アラート |
○ | ○ | ○ |
シグナル | ウィジェット | 売買 |
○ | × | × |
税金計算 | ||
× |
- シグナル
対応取引所
bitbank, bitFlyer, Quoinex, Zaif, Coincheck 等150カ所 以上
◎仮想通貨開発チームからのダイレクトメッセージ
各仮想通貨の開発チームから直接メッセージが届く「シグナル」。開発チームからという信頼性の高い情報を、ニュースサイトなどで拡散されるより早く受け取ることができます。特に草コインなど取引量の少ないコインでは、開発状況は投資判断のための重要な材料に。他の人より早く情報をつかむことで、より利益を上げやすくなります。
もっと詳しいブロックフォリオの使い方や活用方法は以下の記事で解説しています。
2-3. 落ち着いてパソコンで管理したい人向け2選
大きな画面で落ちついて確認したい人にはパソコンで使えるツールがおすすめ。画面が大きいので全体が見やすく、機能もスマホ向けツールに比べて充実したものが多いです。
■リスク管理がしやすい高機能サイトCryptoCompare
機能:★★★★★
操作性:★★★
見やすさ:★★★★

クリプトコンペアは英語表記のサービスではありますが、それほど難しい単語は使われていません。留学経験ゼロの筆者でも登録からポートフォリオ作成まで10分ほどで終わりました。取引所やウォレットのユーザーレビューなど、仮想通貨全体の情報も充実しています。
円グラフ | 資産推移 | グルーピング |
○ | ○ | × |
ニュース | チャート | アラート |
○ | ○ | ○ |
シグナル | ウィジェット | 売買 |
× | ○ | ○ |
税金計算 | ||
○ |
対応取引所
bitbank, bitFlyer, Quoinex, Zaif, Coincheck 等約150カ所
◎リスクがわかりやすい
取引所に残したままの資産がどれだけあるか、変動率が大きなコインがどれだけあるかといった損失につながりやすい内容も円グラフで表示されるので、リスクが直感的に把握できます。取引所の保有資産はできるだけ少なく、また変動率の高いコインは変動理由を検証し、保有リスクが高いと判断すれば売却を検討しましょう。
草コインとは?“マシ”な草コインの探し方買い方と儲ける為の注意点
■確定申告を予定しているならPortofolio@cryptact
機能:★★★
操作性:★★★★
見やすさ:★★★★

取引所の取引履歴をアップロードすることで損益を計算するため、取引所経由の売買であれば、ウォレットに移動していても資産管理が可能。tax@cryptactと自動連携しているので、確定申告での利益計算も同時に行ってくれます。機能数自体は多くないものの、利益計算の手間はほぼゼロになるので、利確を繰り返している人にはおすすめです。
円グラフ | 資産推移 | グルーピング |
○ | × | × |
ニュース | チャート | アラート |
× | × | × |
シグナル | ウィジェット | 売買 |
× | × | × |
税金計算 | ||
○ |
対応取引所
bitbank, bitFlyer, Quoinex, Zaif, GMOコイン, coincheck, Kraken, POLONIEX, BINANCEほか18カ所
◎面倒な利確計算を自動で実行
仮想通貨の税金計算は利確の定義が細かく複雑ですが、それらを取引履歴から自動で計算してくれます。売買時の手数料もすべて反映。売却や仮想通貨の交換をして利確を繰り返していても、すべてこのツールで計算できます。
2-4. ポートフォリオを調整してリスクを減らす
ポートフォリオツールで資産を把握するだけでは、管理は十分とは言えません。
例えば投資先が1つのコインに偏った状態を放置していると、値下がりしたときに一気に資産を失う危険が。リスクを回避するには、複数のコインに分散して投資することが必要です。
現状を把握した後は、より小さなコストでより大きなリターンとなるようにポートフォリオを調整していきましょう。
具体的なポートフォリオの組み方は以下の記事で解説しています。
3. ウォレットで仮想通貨を安全に保管しよう
取引所に資産を置いておくのは、常時取引をしているデイトレーダーでない限りおすすめできません。送金手数料以下の端数やすぐに取引をする分だけを残して、残りは個人のウォレットへ移動する習慣を身につけましょう。
取引所はセキュリティを強化しているのになぜ危ないの?
大量の仮想通貨が集まる取引所のほうが犯罪者に狙われやすいからです
個人のウォレットと取引所のウォレットでは、セキュリティ技術に大きな差はありません。仮想通貨は紙幣などのように物理的な保管や運搬の手間がないので、大掛かりな設備がなくともオンライン攻撃に対しては企業並みのセキュリティを確保することが可能だからです。
しかし管理している資産の規模は取引所のほうが大きいので、個人よりも取引所のほうが仮想通貨を狙う犯罪者にとっては“美味しい獲物”といえます。
取引所がセキュリティを強化する一方で、犯罪グループもそのセキュリティを破ろうと必死です。絶対に安全であるという保障がない分、“より狙われにくい”という点で、個人のウォレットに資産を移動したほうが安全性は高くなるのです。
3-1. 取引頻度によって使いやすいウォレットは違う
送金に必要な秘密鍵をどこに保管しているかによって、ウォレットはいくつかの種類に分けられます。安全性が高いものほどコインの出し入れに手間がかかる傾向があり、普段使いには向いていません。

重要なのは取引の頻度に合わせて選ぶことと、セキュリティに応じた注意事項をしっかりと守ること。2つ以上のウォレットを併用するなど、効率的に管理できる方法を探しましょう。
【短期売買】送金が手軽なホットウォレット
秘密鍵をオンライン上に保管しているウォレットをホットウォレットと呼びます。オフラインのウォレットに比べてセキュリティは低いものの、週1~2回程度の比較的短期で複数回の資金移動があるなら送金が楽なホットウォレットを選んだほうが取引を快適に行えるでしょう。
■日常的な入出金がある人にはソフトウェアウォレット
こんな人におすすめ:入手金頻度が月に数回~週に1度程度
ソフトウェアウォレットはスマホやPCなど自分の端末にインストールして使います。スマホで使えるウォレットアプリと、パソコンで使えるデスクトップウォレットがあり、どちらもインストールした端末に秘密鍵を保管します。端末が壊れたりなくなったりした場合も、新しい端末からリカバリーフレーズを入力することで資産を取り出すことが可能です。
後述するコールドウォレットよりもセキュリティは劣りますが、入出金はアドレスの指定だけで済むので日常的に入出金がある方におすすめです。
利用方法 | スマホやパソコンにインストールする |
入金方法 | ウォレットに表示される受取用アドレスを、送金元のウォレットや取引所で入力する |
送金方法 | ウォレット内の「送金」メニューで送金先アドレス(QRコード)を読み取る |
◎端末自体の管理に注意!
端末自体がハッキングを受けた場合はウォレットも危険になります。またPINコードを単純なものにしていると、端末が盗まれた場合にアプリを起動されて中の資産を盗まれる恐れがあります。
ウォレットを守るための3つの心得はこちら
■PCとスマホを併用する人にはウェブウォレット
こんな人におすすめ:入手金頻度が週に1度以上、PCとスマホを併用している人
ウェブウォレットはオンラインのサイト上で利用するウォレットです。ほかのウォレットと異なり秘密鍵がオンラインサービスのサーバーなどに保管されているため、資産の流出リスクは高いです。
ウェブブラウザを使用するので、インターネット環境があればスマホからでもPCからでも利用可能ですが、少額の保管に留めておきましょう。
利用方法 | Blockchain.infoなどで利用登録する |
入金方法 | ウォレットに表示される受取用アドレスを、送金元のウォレットや取引所で入力する |
送金方法 | ウォレット内の「送金」メニューで送金先のQRコードを読み取る |
◎端末よりもリカバリーフレーズの管理が大事!
運営会社サーバーがハッキングされて秘密鍵やパスワードが漏洩した場合、資産が流出する危険が。2018年4月には、約1,630万円相当のイーサリアムが流出する事件が発生しています。
参考:COINTELEGRAPH|MyEtherWallet、DNSサーバーにハッキング、15万ドル分のETH盗難か
【長期保管】多額の資産保管ならコールドウォレット
ネットワークから完全に断絶されたオフラインで秘密鍵を管理するウォレットを、コールドウォレットと呼びます。ハードウェアで管理するハードウェアウォレットと、紙に印刷するペーパーウォレットの2種類があります。
■多額の資産保管はハードウェアウォレット
こんな人におすすめ:入手金頻度が年に数回~月に1度程度、多額の資産保管
ハードウェアウォレットは他のツールと違ってウォレット端末を購入する必要があります。10,000円弱~20,000円程度で、インターネットか家電量販店で購入可能。使うときはハードウェアウォレットと対応したアプリをPCにインストールする必要があります。
有料ですが端末自体がオフラインなのでハッキングされるリスクが低く、もし端末が壊れてもリカバリーフレーズがあれば復元できるため、多額の資産を保管したい人や、貯金のように買い足している人におすすめです。
利用方法 | 正規販売店や正規代理店で端末を購入し、パソコンに連携アプリをインストールする |
入金方法 | 連携アプリに表示されるQRコードを、送金元のアプリや取引所のメニューで読み込む |
送金方法 | 連携アプリで送金先アドレスを指定し、ハードウェアウォレットで送金実行ボタンを押す |
◎端末よりもリカバリーフレーズの管理が大事!
リカバリーフレーズを他人に知られると、別のハードウェアウォレットから資産を抜き取られる危険があります。またリカバリーフレーズを忘れると、利用者本人でも中の資産を取り出せなくなります。
過去に使用した人がリカバリーフレーズを控えていた場合、他人の銀行口座にお金を振り込むようなものです。たとえ初期化しても、新しいリカバリーフレーズが抜き取られるような改造がされている可能性もゼロではないので、必ず新品を正規販売店(もしくは正規代理店)で購入しましょう。
◎ウィルスに感染したPCを使うと危ない!
ハードウェアウォレットは連携したアプリをPCにインストールして、ウォレットへの入金アドレスを表示します。PC自体がウィルスに感染していると、ウォレットのアドレスではなく犯罪グループの入金アドレスが表示される危険が。必ずウォレットの端末に表示されるアドレスも確認し、正しいアドレスへ入金するようにしましょう。
参考:COINTELEGRAPH|レッジャー社のハードウェアウォレットに脆弱性 「中間者攻撃」で資金流出リスク
ハードウェアウォレットについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
■数年単位で保管するならペーパーウォレット
こんな人におすすめ:入出金頻度が年に1回未満、多額資産の保管
ペーパーウォレット作成サービスを利用して、秘密鍵と入金アドレスを紙に印刷したものです。紙面のQRコードを読み取るだけで誰でも資産を引き出すことができるので、小切手代わりに人へプレゼントすることも可能。
出金するまでは完全に情報がオフラインに保たれるので、ほかのウォレットよりもはるかにセキュリティは高く、多額の資産を保管することに向いています。
利用方法 | bitaddress.orgなどでデータを作成し、家庭用プリンタで印刷する |
入金方法 | ペーパーウォレットに印刷されている入金用QRコードを読み取る |
送金方法 | ウォレットアプリなどで秘密鍵のQRコードを読み取る |
◎紙なので物理的な保管が難しい!
紛失、盗難の他、印刷の劣化や汚損などでQRコード(秘密鍵)が読み取れなくなっても資産を取り出せなくなります。
◎一度出金したら再利用しない!
ペーパーウォレットから出金するときは秘密鍵のQRコードを読み取る必要がありますが、読み取ったQRコードはオンラインにアップロードされるため漏洩リスクが非常に高くなります。QRコードの画像データや秘密鍵情報が盗まれれば、そのペーパーウォレットに入れた資産も危ないので、1度出金したらそのペーパーウォレットは破棄しましょう。
3-2. ウォレットを守るための3つの心得
ウォレットに資金を移動しても、ウォレットそのものを失くしてしまったり、パスワードや秘密鍵を盗まれたりしたら意味がありません。そのために絶対に守るべきポイントはこの3つ!
ウォレットを守るための3つの心得
- パスワードは複雑なものにする
- パスワードやPINコードを使いまわししない
- ウォレットを人前で使わない
上記の3点について、注意すべき理由と具体的な方法を説明します。
■パスワードは複雑なものにする
ウェブウォレットではパスワードの設定を行うことがありますが、パスワードは容易に第三者が予想できないものにする必要があります。マイクロソフトサポートでは以下の5つの条件を挙げています。
・長さは少なくとも 8 文字である
・ユーザー名、実名、または会社名が含まれていない
・完全な単語が含まれていない
・前のパスワードと大幅に異なる
・大文字の英字、小文字の英字、数字、記号が含まれている
参考:microsoftサポート
■パスワードやPINコードの使いまわしをしない
保有しているコインのすべてが一つのウォレットに対応していない場合など、複数のウォレットを併用する場合があります。そんなときパスワードやPINコードを使いまわしていると、どれか一つのツールからパスワードが漏洩したとき、ほかのツールも危険に。
ウォレットアプリで6桁のPINコード(パスコード)を設定する場合も、端末自体のロックで使用している数字と違うものを設定するなど、万一端末が他人の手に渡ってしまったときに悪用されないよう自己防衛が必要です。
■人のいるところで使わない
電車の中やカフェなど人の多いところでパスワードを入力すると、パスワードを後ろから見られてしまうことがあります。ショルダーハッキングとも呼ばれ、技術的な知識が必要ないため誰にでも実行可能です。
特にコールドウォレットの場合、大きな資産が入っていることを仮想通貨に詳しい人なら知っています。大きな資金を持っていることが知られますし、ペーパーウォレットであればQRコードを読み込むだけで資金が取り出せます。むやみに持ち歩かず、人前での使用は避けたほうが無難でしょう。
4. まとめ
この記事では、仮想通貨の保有資産の把握と保管の2つの観点から、適切な管理方法を説明しました。
保有資産の把握
- ポートフォリオツールで保有資産を把握する
- 適切なポートフォリオ(分散)になっているか調整する
保有資産の保管
- 取引頻度に応じて適切なウォレットを利用する
- 取引所には資産を置かないようにする
上記を守って、仮想通貨を放置して思わぬ損害にならないよう、しっかり自分の資産を管理していきましょう。