
取引所に入金したお金は証拠金として扱われます。証拠金維持率とは、その証拠金を基にして算出される数値です。
証拠金維持率の主な目的はリスク管理です。大きな損失を出さないためにも、その内容を理解することは重要なポイントと言えます。
そこで今回の記事では、証拠金維持率の概要、計算式、レバレッジやロスカットとの関係性、具体的な目安などを解説していきます。
目次
1. 証拠金維持率とは?
この項目では、証拠金維持率の概要、ロスカットやレバレッジとの関係性について確認していきます。
1-1. 純資産額と必要証拠金の割合のこと
証拠金維持率とは必要証拠金に対する純資産額の割合のことです。
証拠金維持率に関する言葉
- 証拠金 取引所に預け入れている自己資金
- ポジション 決済せずに保有している注文
- 評価損益 ポジションで発生している利益または損失
- 純資産額 証拠金から保有しているポジションの評価損益を差し引いたもの
- 必要証拠金 ポジションの保有に必要となる証拠金
証拠金維持率の主な目的はリスク管理です。一般的には、維持率が高いほど安全な取引であり、維持率が低いほど損失が出る可能性の高い取引となります。
レバレッジ取引と証拠金の仕組みをおさらい
証拠金維持率とそれに関連した用語を正しく理解するためにも、レバレッジ取引の仕組みについて軽くおさらいしておきましょう。
レバレッジ取引とは、自己資金の数倍や数十倍といった大きな金額で売買ができる取引方法のことです。レバレッジ取引では取引所に預け入れた資金を「証拠金」と呼びます。この「証拠金」に対して適用する倍率が「レバレッジ」と呼ばれるものです。
たとえば、証拠金が10万円でレバレッジが2倍の場合を考えてみましょう。この場合、運用できる資金の総額は「10万円(証拠金)× 2倍 = 20万円」となります。
実際に注文を出す際には、この20万円を全て使う必要はありません。たとえば、20万円の内4万円分の注文を出すといったことも可能です。
レバレッジをかけるために使ったお金が「必要証拠金」
同じレバレッジ2倍であれば、証拠金10万円のうち1万円だけで2万円分の注文を出すことができます。
注文を出すために必要となる証拠金を「必要証拠金」と呼びます。また、2万円分の買い注文を入れた後、決済せずにそのまま保有している注文のことを「ポジション」と呼びます。
このポジションは価格の変動によって、利益や損失が出ます。この利益と損失のことを「評価損益」と呼び、「証拠金」から「評価損益」を差し引いた金額を「純資産額」と呼びます。
仮に今回の例で評価損益が1万円の損失となっていた場合、純資産額は9万円です。
レバレッジをかけて大きな金額を運用できるようになっても、発生した損失額は「レバレッジをかける前の」証拠金から差し引かれていきます。
維持率が下がると「ロスカット」される
証拠金維持率が一定水準より下がると、「ロスカット」の対象となります。ロスカットは損失が出ているポジションを、取引所側で強制的に決済する仕組みのことです。
ロスカットの水準は取引所によって異なります。また、取引所によっては、ロスカットの水準に近づくと「マージンコール」と呼ばれる警告通知を出す場合もあります。
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1-2. 証拠金維持率の計算方法
取引所に10万円を入金し、レバレッジ2倍で12万円のポジションを持った場合を想定してみます。
この場合、純資産額は入金している10万円、必要証拠金は6万円(12万円 ÷ 2)です。まだポジションを持ったばかりなので損益は0円です。
つまり、この時点での証拠金維持率は167%となります。
その後価格が変動し、12万円のポジションが10万円になりました。証拠金10万円から評価損益2万円を引いて、純資産額は8万円となります。
このまま値下がりを続け12万円のポジションが8万円になると、純資産額は6万円、証拠金維持率は100%まで低下します。
もしこの取引所のロスカット基準が「証拠金維持率100%」だった場合、ポジションは強制的に決済され、ロスカットされます。保有していた8万円のポジションはなくなり、証拠金から損失の4万円が差し引かれます。
1-3. レバレッジとの関係性
証拠金維持率とレバレッジの関係性についても確認していきます。基本的な考え方としては、レバレッジを引き上げて大きい金額を運用しようとすると、証拠金維持率は低くなると覚えておきましょう。
たとえば、純資産額を100万円とし、証拠金率(必要証拠金 ÷ 取引金額× 100)を一律4%とした場合のレバレッジと証拠金維持率の推移は以下のようになります。
レバレッジ | 1倍 | 2倍 | 5倍 | 10倍 |
証拠金維持率 | 2,500% | 1,250% | 500% | 250% |
純資産額(円) | 100万 | 100万 | 100万 | 100万 |
必要証拠金(円) | 4万 | 8万 | 20万 | 40万 |
取引金額(円) | 4万 | 16万 | 100万 | 400万 |
証拠金率 | 4% | 4% | 4% | 4% |
証拠金率は取引する金額に対して、どれくらいの割合で証拠金が必要になるかを示したものです。表を基に考えると、運用できる金額が大きくなっても必要証拠金の金額が大きくなるため、証拠金維持率は下がっていることが分かります。
2. 証拠金維持率で安全に取引するコツ
この項目では、証拠金維持率を使い安全に取引するコツについて確認していきます。
2-1. 短期と長期で目安を分ける
自分で損切りをする時の証拠金維持率の目安は、短期取引か長期取引かで分けるようにしましょう。短期取引と長期取引ではポジションの保有期間が異なり、それに伴った価格変動の大きさも異なるからです。
短気は低く、長期は高めに
一般的には、短期取引の方が価格の変動幅は小さくなるため、証拠金維持率が高過ぎると思ったように利益を出せません。そのため、証拠金維持率の目安も低めにします。
一方で、長期取引の場合には価格の変動幅も大きくなる可能性があるので、証拠金維持率もより安全圏で取引できるよう高めを目安とするのです。
どちらも目安に決まりはありませんし、利用するレバレッジによっても異なります。もし国内の仮想通貨取引所で採用されている4倍で取引する場合を想定するなら、短期取引では250%以上、長期取引では1,000%以上ほどを目安とすると良いでしょう。
2-2. ロスカットよりも前に損切りする
ロスカットよりも前に損切りをすることも、証拠金維持率を使い安全に取引するコツの1つです。これによって、損失を小さくすることが可能となります。
取引所のロスカット基準は低い
取引所が定めているロスカットは、一定水準まで証拠金維持率が下がった場合に発動します。一方で、取引所が定めた水準は低いものが多く、ロスカットが入る頃には損失の金額も非常に大きくなってしまいます。
投資で利益を出すためには、損失を小さくし、複数回の取引の合計損益をプラスにすることが重要です。ロスカットが入るほどにまで証拠金維持率を低下させるのは避け、より早い段階で損切りを入れるよう心がけましょう。
損切りの目安に決まりはない
一般的に、損切りを入れる目安に決まりはありません。ただし、より安全に取引するのであれば、証拠金に対して1%〜2%の損失が出た段階で損切りが入るよう設定しておくと良いかもしれません。
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損切りにはIFO注文を活用しよう
IFO注文(IFD-OCO注文)は、新規注文と同時に利食いと損切りの決済注文を出すことができる注文方法です。事前に損切りを入れることができるので、ロスカットよりも前の段階で損切りを入れる時に便利な注文方法です。
⇒IFO注文とは? IFDやOCOとの違い・利益を出すコツをトレーダーが解説
まとめ
以上、証拠金維持率について解説してきました。改めて、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- 証拠金維持率は純資産額と必要証拠金の割合を示した数値
- 証拠金維持率が下がると強制的に損切りするロスカットが発動する
- 短期取引なら250%以上、長期取引なら1,000%以上を目安にしよう
証拠金維持率は取引をする上で重要なポイントになります。安全に取引できるよう、常に意識していましょう。
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