
ビットコインと電子マネーには明確な違いが存在します。この違いを理解することは、ビットコインへの投資の判断をするうえでも重要です。
今回の記事では、ビットコインと電子マネーの違いを初心者向けにわかりやすく解説していきます。
目次
1. ビットコインと電子マネーとは?
名称 | 概要 | 特徴 |
ビットコイン | 仮想通貨 | コミュニティ全体で管理・運営 |
電子マネー | 法定通貨をデジタル化したもの。またその決済手段。 | サービス提供元の企業が管理・運営 |
ビットコインは世界で初めて誕生した仮想通貨(暗号資産)です。開発者は存在しますが特定の管理者・運営元は存在せず、コミュニティ全体で運営の意思決定を行います。
いっぽう、電子マネーは法定通貨をデジタル化したものです。サービス提供元の企業が運営を行っています。
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2. ビットコインと電子マネーの違い・比較
この項目では、ビットコインと電子マネーの違いについて確認していきます。
2-1. 法律区分の違い
名称 | 法定通貨との関係性 | 法律区分 |
ビットコイン | 法定通貨ではない | 資金決済法の仮想通貨 |
電子マネー | 法定通貨をデジタル化したもの | 電子マネーにより異なる |
円やドル、ユーロなどを「法定通貨」と言います。電子マネーは法定通貨(円)をデジタル化して使えるようにしたものですが、ビットコインは法定通貨ではありません。
法律上の区分でいえば、ビットコインは資金決済法で「暗号資産」として規定されています。対して電子マネーは前払い形式のSuicaや後払い形式のd払いなどの種類によって法律区分が異なっています。
少し難しい話になるので、「ビットコインと電子マネーは種類が違うため、適用される法律が異なる」と、まずは覚えておきましょう。
2-2. 中央管理者の違い
名称 | 中央管理者 | 特徴 |
ビットコイン | なし | コミュニティ全体で意思決定を行う。非中央集権的 |
電子マネー | 企業 | サービス提供元が運営する。中央集権的 |
ビットコインと電子マネーには、管理者にも違いがあります。
ビットコインは中央管理者がおらず、運営のための意思決定もコミュニティ全体で行う、非中央集権的という特徴があります。
電子マネーはサービス提供元となる企業が運営を行っており、中央集権的な決済手段といえます。
2-3. 取引の記録方法の違い
名称 | 記録方法 | 特徴 |
ビットコイン | ブロックチェーン | 誰でも記録付けに参加できる。一般にも公開されている |
電子マネー | 提供元企業が記録する | 記録と管理は提供元企業のみ。一般には公開されていない |
ビットコインと電子マネーは記録方法も違います。
ビットコインはブロックチェーンというデジタルな台帳に取引を記録し、この記録は一般にも公開されています。また、必要な機器を持っていれば、誰でも記録をつける作業に参加することが可能です。
これに対して、電子マネーは提供元の企業が主体となり記録・管理を行います。この記録は一般には公開されておらず、企業と利用者のみが確認することができます。
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2-4. 送金可否の違い
名称 | 送金可否 | 特徴 |
ビットコイン | 送金可 | アドレス所有者であれば誰にでも送金できる |
電子マネー | 送金不可 | サービス内送金には対応しているものもある |
ビットコインと電子マネーには、送金ができるかどうかにも違いがあります。
ビットコインは「アドレス(ビットコインの口座のようなもの)」を持っている人であれば誰にでも送金することが可能です。使っている取引所やウォレット(財布のようなもの)が違っても送金できます。
これに対して、電子マネーでは基本的に送金ができません。PayPayのように、ユーザー同士がサービス内で送金を行うことができるものも存在しますが、PASMOからPayPayへなど、異なるサービス間では送金はできません。
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3. ビットコインと電子マネーの交換サービス
ビットコインと電子マネーの交換サービスも存在します。
たとえば、国内取引所のDeCurretでは、au WALLETやnanacoへビットコインでチャージできるサービスを提供しています。
また、DeCurretのこのサービスでは、ビットコインだけでなく、イーサリアム、リップル、ライトコインなど、他の仮想通貨でもチャージが可能です。
DeCurret|電子マネーチャージ
4. ビットコインの将来性
この項目では、ビットコインの将来性について確認していきます。
観光客向けの決済手段として
ビットコインには、海外から来た観光客向けの決済手段として普及する可能性もあります。
たとえば、観光客が日本の電子マネーを使う場合、現地の法定通貨から日本の円に交換を行い、さらにそこから電子マネーへ交換するので、手間がかかります。
いっぽう、ビットコインであれば自国の法定通貨から交換を行い、そのまま日本で決済手段として利用することも可能です。
リスクオフ時の逃避資産として
ビットコインには、金(ゴールド)などのように逃避資産として利用されるケースもあります。
世界的な不況や不確実性が高い状況下では、自国の通貨の価値が減少し、電子マネーも十分に機能しなくなる可能性があります。いっぽう、ビットコインには中央管理者が存在しないため、こうした状況下でも直接的な影響を受けにくいといわれています。
最近では、イランとアメリカの対立を懸念して1週間で10%以上価格の上昇が起こりました。
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まとめ
以上、ビットコインと電子マネーについて解説してきました。あらためて、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- ビットコインは法定通貨ではなく、電子マネーは法定通貨をデジタル化したもの
- ビットコインは送金可能だが、電子マネーは送金できない(一部のサービス内送金を除く)
- ビットコインには中央管理者がいないが、電子マネーはサービス提供元の企業がいる
- ビットコインには観光客向けの決済手段や逃避資産としての将来性も期待できる
今回紹介したように、ビットコインと電子マネーには違いがあります。また、ビットコインには独自の将来性もあります。この記事が、ビットコイン投資の判断材料になれば幸いです。