ビットコインと電子マネーの違い

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最近よく聞くビットコイン。電子マネーと同じで現金ではないことは分かっている。でも何が違うの?と考えるといまいちハッキリ答えられない。あなたも、そんな風にビットコイン(仮想通貨)と電子マネーの違いは何なのかを疑問に思ったことがあるはず。その違いについて、いろいろな角度から法律も交えて詳しく解説したいと思います。

1. ビットコインと電子マネーの仕組みや法律上の違い

まずは、仕組みや法律の違いから見ていきましょう。

ビットコイン電子マネー
発行者ビットコインのプログラム電子マネーの発行会社
発行量20,999,999.9769 BTCを上限として、流通量は送金処理の度に増加。電子マネーの購入量に応じて増加
単位(読み方)BTC(ビーティーシー、ビットコイン)円(えん)
最小単位小数点を使うことが多い。位取り接頭語を使うこともある。(*1)円。小数点は使用しない。(為替相場などで銭を使うことはある)
入手方法仮想通貨取引所、仮想通貨のマイニング、第三者電子マネーの発行会社から購入、第三者
現金化可能原則不可能(*2)
価値の変動円と価値が異なる円と同じ
法律資金決済法の仮想通貨資金決済法の前払式支払手段

表1. ビットコインと電子マネーの仕組みや法律上の比較

(*1)1 BTC、0.1 BTC、0.001 BTC = 1 mBTC(いちミリ➖)、0.000001 BTC = 1 μBTC(いちマイクロ➖)、0.00000001 BTC = 1 satoshi(いちサトシ)
(*2)電子マネー発行体以外の金券ショップなどでは可能(電子マネーの物理的なカードを現金で売買する場合など)。LINE Payなど、資金決済法における資金移動業の登録をしている場合も可能。

1-1. ビットコインとは

それではビットコインについて見ていきましょう。

ビットコインは電子的な財産価値

ビットコインは、ビットコインのプログラムが発行しており、マイニング(発掘)をしたマイナー(採掘者)にビットコインが支払われ、そのビットコインを受け渡しすることで流通します。マイニングとは、実際に何をしているかというと、AさんがBさんにビットコインを送金する際にその送金処理の計算をマイナー(の持っているコンピューター)が行っています。そして、マイナーは送金手数料分とマイニング分のビットコインをもらえます。

実際の流通量は送金処理のたびにマイニングによって増加します。そして、ビットコインの総数は未発掘のビットコインも含めると20,999,999.9769 BTCとして決まっています。全てのビットコインをマイニングしても、世界には最大でもこの量のビットコインしか存在できません。ちなみに、未発掘のビットコインがなくなったら、マイナーは送金手数料分のビットコインだけもらえるようになります。

ビットコインの価値は、この最大量が決まっていることや、マイニングにかかるコスト(電気代やサーバー代など)が元になっている、など諸説あります。

最小単位は、0.00000001 BTC = 1 satoshi(いちサトシ)です。そのため、日本円と違い、小数点を使うことが多いです。

ビットコインを手に入れるには、仮想通貨取引所で円など法定通貨からビットコインを購入するか、第三者からビットコインをもらうか、自分でビットコインのマイニングをするか、の三通りの方法があります。また、ビットコインは通貨ですので、ビットコインを日本円など法定通貨に交換することもできます。ただし、ビットコインと法定通貨の変換レートは、ドルと円の変動相場と同じように日々刻々変動しています。さらに、近年ではビットコインの価値は日本円の価値より激しく高騰しているため、2016年11月時点では1BTC=8万円前後でしたが、2017年11月時点では1BTC=90万円前後と、ビットコインの価値に大きな違いが出ています。

それでは、法律でビットコインはどのように扱われているでしょうか?
日本では資金決済法の仮想通貨として扱われます。簡単に言うと、物の購入やレンタル、サービスを受ける時の対価として誰でも使用できるもので、電子的に記録されていて、各国の法定通貨ではなく、電子的に送受金できるもの。といった定義になっています。

正確には、資金決済法の第二条の5に定義されています。

5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

1-2. 電子マネーとは

それでは電子マネーについて見ていきましょう。

電子マネーは電子的か電磁的なものに記録された前払式支払手段

皆さんご存知の、Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、Edy(エディ)、nanaco(ナナコ)、iD(アイディー)、QUICPay(クイックペイ)などです。

最小単位は円です。小数点は使いません。なお、電子マネーの1円は日本円の1円と同一の価値があります。

プリペイド型とポストペイ型に分類できます。

プリペイド型
電子マネーを発行する会社があり、その会社の発行するカードなどにお金を入金(チャージ)し、その会社や提携会社の提供するサービスで使用できるものです。また、電子マネーを日本円など法定通貨に交換することは原則的にできません。
例)Suica、PASMO、Edy、nanacoなど
ポストペイ型
クレジットカードに付帯の電子マネーで、クレジットカード支払い分と一緒に後払いするものです。
例)iD(アイディー)、QUICPay(クイックペイ)など

それでは、法律で電子マネーはどのように扱われているでしょうか?
日本では、プリペイド型は、資金決済法の前払式支払手段として定められています。簡単に言うと、物の購入やレンタル、サービスを受ける時の対価として発行者等に対して使用できるもので、電子的または電磁的に記録されていて、提示、交付、通知などの方法で使用できるもの。といった定義になっています。

正確には、資金決済法の第三条に定義されています。

第二条 この法律において「前払式支払手段発行者」とは、次条第六項に規定する自家型発行者及び同条第七項に規定する第三者型発行者をいう。

第二章 前払式支払手段
第一節 総則
(定義)
第三条 この章において「前払式支払手段」とは、次に掲げるものをいう。
一 証票、電子機器その他の物(以下この章において「証票等」という。)に記載され、又は電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。以下この項において同じ。)により記録される金額(金額を度その他の単位により換算して表示していると認められる場合の当該単位数を含む。以下この号及び第三項において同じ。)に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される金額に応ずる対価を得て当該金額の記録の加算が行われるものを含む。)であって、その発行する者又は当該発行する者が指定する者(次号において「発行者等」という。)から物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの
二 証票等に記載され、又は電磁的方法により記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て当該数量の記録の加算が行われるものを含む。)であって、発行者等に対して、提示、交付、通知その他の方法により、当該物品の給付又は当該役務の提供を請求することができるもの

6 この章において「自家型発行者」とは、第五条第一項の届出書を提出した者(第三十三条第一項の規定による発行の業務の全部の廃止の届出をした者であって、第二十条第一項の規定による払戻しを完了した者を除く。)をいう。
7 この章において「第三者型発行者」とは、第七条の登録を受けた法人をいう。

前払式支払手段はさらに、自家型前払式支払手段と第三者型前払式支払手段に分類されており、それぞれ規制の内容が違います。表示義務、供託義務、払い戻し義務、行政への報告などが法律により規定されています。なお、自家型前払式支払手段より、第三者型前払式支払手段の方が厳しい規制となっています。また、ポストペイ型は、支払手段によっては割賦販売法の「包括信用購入あつせん」に該当する場合があります。

自家型前払式支払手段
 自家型前払式支払手段は、発行者に対してのみ使用することのできるものです。
 

第三者型前払式支払手段

第三者型前払式支払手段は、発行者以外の第三者においても使用することのできるポイントをいいます。

例)SuicaやPASMOなど

2. ビットコインと電子マネーの使い方の違い

それでは、使い方の視点から違いを見ていきましょう。

ビットコイン電子マネー(カード、おサイフケータイ)
保管方法ビットコインのウォレット
支払いに必要な物(実店舗)

消費者:ビットコインのウォレットを使えるスマートフォンなど

店舗:ビットコインアドレスを表示できるもの(紙、QRコード、スマートフォン、タブレットなど)

消費者:カード、おサイフケータイ
店舗:リーダー端末
支払いに必要な物(オンラインショピング)消費者:スマートフォンなど消費者:番号、カード、おサイフケータイ、リーダー端末(物理的なカード、おサイフケータイを使用する場合)
海外での使用OKNG
入金(チャージ)即時、または、10分〜数時間即時
決済即時、または、10分〜数時間即時

表2. ビットコインと電子マネーの使い方の比較

2-1. 電子マネーの場合

電子マネーは、電子マネー専用のカードや、おサイフケータイ、iPhoneやApple WatchのApple Payなどで保管できます。

電子マネーを店舗で使う場合、店舗にあるリーダー端末に、利用者が持っている電子マネーのカードをかざすだけで使えます。Apple Payの場合も、支払い手段を選択し、iPhoneやApple Watchを店舗のリーダー端末にかざせば使えます。そのため、店舗側では使用したい電子マネーが使える専用のリーダー端末を用意しておく必要があります。

電子マネーは海外では使えません。

入金や決済も即時で完了します。

2-2. ビットコインの場合

ビットコインはウォレットで保管できます。ウォレットは、スマートフォンのアプリのウォレット、仮想通貨取引所のウォレット、USBのウォレット、紙に書くなど色々な種類があります。少額であれば、スマートフォンのアプリのウォレットや仮想通貨取引所のウォレットを使い、高額であればUSBのウォレットを使うなど、管理する金額やセキュリティーと利便性を考えて使い分けます。

ビットコインを店舗で使う場合、店舗側で送金先のビットコインアドレスと金額をQRコードで表示してもらい、それを利用者が持っているスマートフォン上のビットコインのウォレットにアプリなどで撮影し、送金操作をすれば使えます。

店舗では、QRコードを表示できるスマートフォンやタブレットを用意すればOKです。また、送金先のビットコインアドレスだけをQRコードにして紙に印刷しておき、それを利用者に撮影してもらい、利用者に金額を入力してもらってもかまいません。詳しい店舗でのビットコインの使い方はこちら

もちろん、日本だけでなく海外でも使用できます。

円でビットコインを購入する時や、ビットコインで支払う時は、即時で完了する場合もあれば、10分〜数時間かかることもあります。この差は、ビットコイン本来の機能としては送金処理に対して10分くらいかかりますが、それでは店舗での利用の際に利便性が良くない、店舗側や提携取引所などでそれを待たずに決済として認めるように取り決めをしている場合があるからです。例えば、個人間の送金では10分くらいはかかりますが、ビックカメラにてビットコインで支払いを行った場合は即時で決済が完了します。

ビットコインの送金とは?

ビットコインの送金では、ブロックチェーンとよばれる送金記録の履歴に、1ブロック単位で情報を追加していきますが、この1ブロックが約10分程度で承認されます。そして、その取引が覆ることがない目安として、承認が6回程度続いたら安心できると考えます。これを一般的に6認証と呼んでいます。なお、何回の認証で良しとするかは人や組織の考えにより異なります。

例えば、ビックカメラでは0認証として、6認証を待たずに、ビットコインの送金が完了したとみなして扱っています。なぜこんなことを出来るかというと、ビックカメラのビットコイン支払いを担っているbitFlyerがその点を担保してくれていると考えられます。

3. ビットコインと電子マネーの交換はできるか?

さて、ビットコインと電子マネー、その他の交換はどのようにできるのか見ていきましょう。

3-1. ビットコインで電子マネーを買う

Amazonギフト券、iTunesカード、LINEプリペイドカードなどを、ビットコインを使えるお店で購入すれば、電子マネーで買うこともできます。

なお、電子マネーでビットコインを買うことは、1章でご説明した法律上の扱いの違いにより、原則的にできません。

3-2. ポイントサイトのポイントを電子マネーやビットコインに交換する

ポイントサイトとは、ポイントサイト内で何かアクションを行うことでポイントを貯め、そのポイントを他の電子マネーなどに変換できるサービスです。このポイントサイトには、ポイントサイトで貯めたポイントをビットコインに交換できるポイントサイトもあります。

 例)モッピー(Moppy)ポイントタウン(PointTown)ちょびリッチGポイント、など

ちなみに、法律の視点では基本的に、ポイントの発行時に財産的価値を有する対価が発生せず、発行の日から「6か月未満」に限って使用できるポイント場合は、資金決済法の前払式支払手段には該当しないため、この法律の法的な規制は適用されません。

まとめ

  • ビットコイン(仮想通貨)と電子マネーは、法律によって、明確に区別され、定義されている
  • ビットコイン(仮想通貨)は、電子マネーより、通貨に近い存在
  • ビットコイン(仮想通貨)は現金化できるが、電子マネーは原則的に現金化できない

参考

※この記事は執筆時の情報です。その後、変更されている場合もあります。