イーサリアムのコンスタンティノープルついに完了!保有者への影響は?

コンスタンティノープルは、イーサリアムのハードフォークの1つです。

イーサリアムには、大きく4つのハードフォークが予定されており、コンスタンティノープルはその3つめ、メトロポリスと呼ばれるハードフォークの後半に当たります。

当初の計画では、コンスタンティノープルは201811月には完了する予定でしたが延期となり、2019年116日頃実施の予定も、セキュリティの欠陥発見により再度延期となりました。

その結果、2019年2月28日(日本時間3月1日)頃無事完了しました。

Ethereum Constantinople/St. Petersburg Upgrade Announcement

今回は、そんなコンスタンティノープルによる私たちユーザーへの影響、価格への影響実施時期がずれた理由コンスタンティノープルで対応予定の内容をくわしく解説していきます。

イーサリアムの動向が気になる人は、ぜひお読みください。

1. イーサリアムのアップデートであるコンスタンティノープル、ついに完了

イーサリアムのハードフォークは、以下の図のように予定されており、ビザンチウムまでが完了しています。

ビザンチウムのあとに実施予定だったコンスタンティノープルは、実は2018年中に行われる見通しでした。

しかし、20181019日に行われた、ライブストリームによる開発者会議で、2019116日に延期と決定し、さらに欠陥の発見により2019228日頃に延期となりました。

度重なる延期がありましたがついに完了し、2019年4月現在その後のトラブルもないようです。

コンスタンティノープルでの実装内容
  • スマートコントラクトの実行コストが安くなる
  • ブロック報酬が1ブロックあたり3ETHから2ETHへ減少

2. ハードフォーク実施の際に気を付けておくべきことは4

今後行われるイーサリアムのハードフォークに向けて、私たちユーザーが気を付けるべきことをおさらいしましょう。

ハードフォークでは、仮想通貨(暗号資産*1)の仕様が変わります。

この仕様変更では、ユーザビリティやセキュリティなどプラスとなる対応が行われますので、歓迎すべきこととも言えます。

しかし根本的な仕様が変わるだけに、ハードフォークが行われるときに通常通りの操作を行ってしまうと、最悪の場合「コインを失ってしまう」こともあるのです。

ここでハードフォークについて、改めて、ユーザーとして知っておくべきこと注意すべきことをまとめておきます。

*1)2018年12月の仮想通貨交換業等研究会による報告書において、呼び名を「暗号資産」とする内容が取りまとめられました(参考|「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)議事次第

2-1. ウォレットは最新バージョンにしておく

前述の通り、ハードフォークが行われると、その仮想通貨の基本的な仕様が変わります。

そのため、旧仕様を前提に動いているウォレットでは、新仕様のブロックを解釈することも操作することもできません。仮に操作できたとしても、コインを失うリスクがあります。

そのため、ハードフォークが実施される場合は、必ずウォレットを最新のものにアップデートしておくようにしましょう。

2-2. 【対応一覧】取引所の対応方針を確認すること

仮想通貨の仕様変更ですので、当然取引所も対応しなければいけません。

大手の取引所であればほとんど問題なく対応すると思われますが、対応時期は取引所によって違っていますので、必ず確認が必要です。

こちらは2019年2月28日(日本時間3月1日)ハードフォーク時の、取引所の対応一覧です。

取引所、販売所 対応
bitFlyer 2019年2月27日から3月3日の間の一部で、預入、送付の受付停止予定(停止予定の旨、会員向けメールにて連絡)
GMOコイン 2019年2月27日より預入、送付の受付停止
bitbank 入出金停止なし
BTCBOX 2019年2月27日正午12時00分より、入出金停止予定
BITPOINT 2月28日(木)16時から入出金停止予定
DMM Bitcoin 2019年3月1日(金)0時~2019年3月1日(金)8時まで入出金受付停止
SBIVC 2019年2月28日(木)~2019年3月3日(日)受取/送付サービス停止
Zaif 入出金停止なし

取引所によっては、ハードフォークが終わっていてもまだ対応できていない場合や、対応中で取引停止の期間が長い場合なども十分に考えられます。

機会損失を招かないためにも、取引所の対応方針を事前に確認しておき、その方針によっては他の取引所へコインを移しておくなどの対応が必要でしょう。

2-3. むやみな取引を行わないこと

ハードフォークが実施される場合多くの取引所で、その前日などから取引ができなくなります。

これは、その仮想通貨での出金や入金も含まれます。

しかし、自分のローカルのウォレットにコインを保管している人は、間違って送金などを行ってしまう可能性がありますので、注意しなければいけません。

公式のサイトや各種の取引所の対応状況などを確認しておき、ハードフォークの前後には送金処理を行わないようにしましょう。

2-4. リプレイアタックへの対応状況を確認しておくこと

リプレイアタックというのは、ハードフォークによって仮想通貨が分裂する場合に発生する脆弱性を突いた攻撃のことです。

今回のイーサリアムのハードフォークでは分裂はしませんが、このようなことが起こるリスクがある事をよく理解しておきましょう。

リプレイアタックはウォレットの対応状況によって起こる

仮想通貨が分裂すると言っても、その分裂する仮想通貨は基本構造が同じです。そのため、送信時のチェックなどは似通っています。

そのため、ウォレットの対応状況によっては、「旧コインを送信すると同時に新コインも送信してしまう」という事態が起きてしまうのです。

故意にこの現象を起こして、間違って送付される新コインを奪ってしまうのが、リプレイアタックです。

リプレイプロダクションを要チェック

リプレイアタックではなく、ただの事故だとしても、受信者のウォレットが新コインに対応していなければ、新コインは受け取られずに、失われてしまうことになるでしょう。

このような状況に陥らないように、取引所やウォレットは、新旧コインの区別がつくような対応(リプレイプロダクション)を実装しています。

自分が使用している取引所やウォレットがリプレイプロダクションに対応しているか、必ず確認しておかなければいけません。

ハードフォークの前後、しばらくの間送金を控えることがもっとも安全な対応方法ということですね。

3. ハードフォークで必ず新コインが誕生するわけではない

前項で書いたように、ハードフォークとは、仮想通貨の「仕様変更」です。

その仕様変更で、例えばビットコインキャッシュのように新たな仮想通貨が生まれることもあります。

そもそも仮想通貨の仕様が変われば、すべてのユーザー(ウォレットや取引所)が、新たな仕様に対応しなければいけません。

しかし、旧仕様を使いたい人が多い場合、彼らもこれまで通り取引できるようにする必要があります。

そのため、新仕様のコインを新たな仮想通貨として、以前の仮想通貨はそのまま存続させるわけです。

実際、種々の仮想通貨のハードフォークで、この「新たな仮想通貨を誕生させて、新旧の仕様を共存させる」方法が実施されています。また、このとき所持している旧コインと同量の新コインを付与することも行われてきました。

そのため、「ハードフォーク=新コイン付与」と考えている人もいるでしょう。

しかし、新たな仮想通貨が生まれなければ、付与されることもありません。

むしろ、「新旧コインの共存=ユーザーの分裂」となり、開発者や投資家にとってマイナスとなります。

そのためイーサリアムのように、公開された場で開発陣と投資家、そしてマイナーが話し合いを行い、意見をまとめながら進めているものもあるのです。

4. 価格へのネガティブな影響は考えにくい

結論から書きますと、コンスタンティノープルによって、価格が下落するということは考えにくく、むしろ健全な市場が形成されることで価格が上昇することすら期待できるかもしれません。

今回のハードフォークが価格へどのように反映されるのか考察していきます。

4-1. ハードフォーク延期が理由の価格下落はなかった

2018年1019日の開発者会議で延期の話題が出た以降のイーサリアムの価格推移は、以下のようになっています。

チャートを見る限り、開発者会議での決定は市場にそれほど影響が出ておらず、ほぼ横ばいで推移しています。

これは、延期の理由がバグ対応(詳細は後述)だったため、市場が対応を楽観視していたのかもしれません。

2018年11月中旬に大きく下落している要因は? 

以下の3つの要因があると考えられています。

  • コンスタンティノープルの実施が2019116日に確定したため、マイナーが投資の回収に走った
  • ビットコインキャッシュの分裂騒動から、投資家が疑念を抱いた
  • イーサリアムの原動力の一翼であるICOの減少が公表された

 

最初の2つは推測レベルですが、最後のICOの減少については、20181119日にICOの評価サイトICORATINGで公開されたレポートに詳細な数値があります。

レポートによれば、2018年の第3四半期(7-9月)だけで、ICOによる調達額は48%減少しており、第2四半期と比較すると78%も減少しています。

これは、明らかな縮小傾向であり、その結果として、ICOのインフラであるイーサリアムの価格が下落したと考えるのが妥当でしょう。

4-2. 2019年1月の延期時は価格が下落した

2019年116日のハードフォークが延期された際は、セキュリティの欠陥が発見されたという理由から大きく下落しました。

ハードフォークに対する期待での上昇の後、延期のニュースと共に元の価格に下落したとみることもできます。

この事は一見悪いニュースとしてネガティブに捉えられますが、脆弱性の発見によりコミュニティが機能し事故を未然に防ぐことができたという事から、そのセキュリティ監査能力を評価されたという面もあります。

4-3. コンスタンティノープルによる価格への影響

コンスタンティノープルで価格がどうなるかを検証するにあたって、影響の大きなものに以下の2つの要因が考えられます。

ブロック報酬の減少とDifficulty Bombの開始

コンスタンティノープルはビザンチウムに引き続き、さらにブロック報酬(マイニングの報酬)が3ETHから2ETHへ減少することが決まっています。

また、延期されていたDifficulty Bombが開始されるため、マイニングの難易度が徐々に引き上げられていくことになります。

これらは、マイナーにとっては非常に厳しい対応です。

具体的には、仮にマイニングの難易度が30%上がったとします。これは、単純に考えると、マイニング報酬を得られるまでの時間が30%増えるということです。

結果、いままで15秒で報酬を得られていたのが、20秒程度かかることになりますので、一定の時間で得られる報酬が4分の3に落ち込むことになります。

それに加えて、報酬そのものも3分の2になっていますので、結果的に報酬は半分になってしまうわけです。

報酬半減で価格が下がりにくくなる

しかし、この対応によって、マイナーがイーサリアムを売ろうとする傾向が妨げられることが予測されるのです。

多くのマイナーは得られた報酬を売却して、まずは初期投資を回収しています。つまり、彼らに与える報酬が多ければ、それだけ売り圧力が高まる(=価格が下がる)わけです。

その報酬が半分となるわけですから、売り圧力は半分となり、価格が下がりにくくなります。

もちろんマイナーの中には他の仮想通貨へ鞍替えしようとする人も出てくると思われますので、開発者の予想の通りにはいかないかもしれませんね。

しかしビザンチウム実施後の価格推移を見ても、大きな売り圧力が発生していません。

つまり、ブロック報酬とDifficulty Bombの影響については、うまく相殺されていると考えるのが妥当でしょう。

また、コンスタンティノープルが終われば、あとはセレニティで完了となるイーサリアムをマイナーが一斉に見捨てることは考えにくく、売り圧力が高まるというところまではないと考えられます。

コンスタンティノープルで予定されていなかった対応

コンスタンティノープルが延期されたが故に、将来的な導入を検討されていた機能がコンスタンティノープルと同時期に導入される可能性が出てきています。

それは、「ProgPoW」と呼ばれるPoWの新たなアルゴリズムで、マイニング専用に作られた集積回路「ASIC」を利用できなくするものです。

こうすることで、専用機を用いた企業による寡占状態が緩和され、イーサリアムのマイニング市場が健全化へ向かうことが期待できます。

5. なぜハードフォークは延期されたのか? 

コンスタンティノープルの予定と価格への影響を説明してきましたが、「なぜ延期したのか」が気になっている人も少なくないと思います。

5-1. 2018年10月の延期理由はバグ

コンスタンティノープルが最初に延期された最大の理由は、バグです。

2018年1013日、コンスタンティノープルハードフォークを実施していたテストネットで、マイニングが停止してしまうという不具合が発生していたのです。

そのため、201811月に予定されていたコンスタンティノープルは延期され、その後の開発者会議で2019116日になることが決定されました(*2)

*2)ハードフォークは特定のブロック高(確定したブロックチェーンの長さ)になった時点で行います。実施が決定されたブロック数から、2019年1月16日になることが算出されています

5-2. 2019年1月の延期理由はセキュリティの脆弱性発見

2019年116日に行う予定だったにも関わらず、直前で延期を決定したのはセキュリティの欠陥を発見したためです。

具体的には、特定のコントラクトがリエントラント攻撃を受ける可能性が発見されたということです。

リエントラント攻撃とは

スマートコントラクトで発生する脆弱性のこと。リエントランシ攻撃とも呼ばれます。

本来一度実行されるとすべて履行される一連の関数が、ある条件のもとでは途中で中断され任意の処理が差し込めるようになることです。

具体的には、通貨の引き出しを行う関数を実行している際にリエントラント攻撃が行われると、何度も同じ引き出し処理を実行することができてしまいます。

「再入場」という言葉からリエントラント攻撃と名づけられました。

5-3. イーサリアムは開発者と投資家とマイナーで方針を固める

イーサリアムはハードフォークをはじめ、種々の実装内容の検討について、公のライブストリームによる開発者会議で話し合い決定しています。

イーサリアムのこの方針はハードフォークが事前に予定されているが故に、安定して最適な環境を提供しようとするコミュニティの意思を感じさせます。結果として、ハードフォークでの分裂を回避できていますので、仮想通貨としての信頼性に結びついていると言えるでしょう。

6. コンスタンティノープルで対応する内容はこれだけ

では、最後にコンスタンティノープルで予定されている対応内容について紹介しておきましょう。

6-1. DifficultyBombの開始とブロック報酬の変更

徐々にマイニングの難易度が上がっていくDifficulty Bombを再度実施し、同時にマイニング報酬を3ETHから2ETHへ減少させます。

これによって一定時間で得られるマイニング報酬が確実に減少するため、マイナーには厳しい状況になりますが、前述のように大きな売り圧力にはならないと思われます。

それよりも、市場へ流出するETHの量が少なくなることで、ETHの価格へは好影響を与えることが期待できるでしょう。

6-2. イーサリアムの仮想マシンのアップグレード(EVMeWASM

開発者向けの対応です。

今回の対応で、スマートコントラクトのパフォーマンスが上がることによりDappsユーザーの体感スピードが向上することになります。

また、EOSやTRONなど同様のスマートコントラクトを実装可能なプラットフォームに対抗することができるようになります。

更にスマートコントラクトの開発者はC言語やGo言語など、Solidity以外の言語で開発ができるようになると予想されております。

結果として、イーサリアム上でのアプリケーション開発が活発化し、ETHの流通が促進され、価格にも好影響が出ると考えられます。

6-3. ブロックのハッシュ方法の再編成

ブロックの構造の変更となりクライアント(コインウォレット)の開発者にとって、影響のある対応です。

具体的には、ブロックのハッシュ値の格納方法や取り扱い方、ハッシュそのものの構造の改良です。

この対応によって、ブロックチェーンから過去の取引履歴を取得するときに、通信帯域とメモリ容量を節約するために行っていた複雑な処理が不要となり、効率的なプログラムを組めるようになります。

特に、スマートフォンなどの非力なマシンで使うことができるSPVと呼ばれるライトウォレットでのパフォーマンスの向上や速度改善につながりますので、ユーザーの利便性は向上するでしょう。

6-4. 前半のハードフォーク「ビザンチウム」おさらい

今回完了する4つ目のハードフォーク「メトロポリス」で対応するのは、PoSへ移行するための準備です。

そして、コンスタンティノープルはその「メトロポリス」のハードフォークの後半部分です。

前半の対応であるビザンチウムでは、以下のような対応が行われました。

  • ゼロ知識証明
  • マスキング
  • Difficulty Bombの延期
  • ブロック報酬の変更
  • スマートコントラクトの仕様変更

最初の2つは、セキュリティやプライバシーの機能強化、3つめはイーサリアムの利便性を戻すための処置、4つめはPoSへの移行促進と3つめの処置とのバランス調整、最後が開発者向けの対応です。

3つめについては、本来はそのままでPoSへの移行を促す方向でしたが、決済速度の問題からのイーサリアム離れを防ぐため、一時的な処置として行われました。

それ以外については、セレニティへの準備対応です。コンスタンティノープルでも、ビザンチウムに引き続いて、PoS移行への準備対応になります。

▼「ビザンチウム」と「コンスタンティノープル」をまとめた「メトロポリス」の解説はこちら▼

まとめ

イーサリアムのコンスタンティノープルについて、説明しました。

  • コンスタンティノープルハードフォークは、テストネットでのテスト中にバグが見つかったために延期となり、2019年1月16日に実施される予定
  • 更に延期となったコンスタンティノープルは2月28日頃に完了した
  • バグ発見や延期の決定は、公開されている開発者会議で決定した
  • ハードフォークの前後、一定の期間は取引しない方が完全
  • コンスタンティノープルの延期決定後の価格下落は、延期の影響ではない。むしろ、コンスタンティノープルハードフォークによって価格が下がるとは考えにくく、上がる可能性もある。
  • コンスタンティノープルと同時に、専用マシンによるマイニングができなくなる対応が入る可能性もある
  • コンスタンティノープルで対応されるのは、主にプライバシーやセキュリティの強化、PoSへの準備

コンスタンティノープルは、バグによって延期されましたが、それによって価格が下落されたわけでもなく、むしろ着実に進歩していると言えるでしょう。

もちろん、PoSへの移行を促すためのブロック報酬のなど、マイナーには厳しい変更もありますが、それはETHの価格を維持する方向に働くと考えられ、将来的には価値を上げることにつながる大事な布石と言えます。

ついに4つ目のアップデート「セレニティ」を迎えるイーサリアムの動向を見守りましょう。