イーサリアムのトークンとは?概要と詐欺に騙されない為の注意点

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イーサリアムのトークンを選ぶ際にSNSばかり見ていませんか?

イーサリアムのトークンの種類は膨大で、生まれたてのものから、実際のサービスが動いていて人気のあるものまで、千差万別です。

そのため、SNSなどの口コミ情報を元にして選ぶのはとても危険です。

トークンの中には詐欺的なものや、最初だけ勢いが良くてすぐになくなってしまうものもあります。

そこで今回は、イーサリアムのトークンとはどんなものなのかを説明したうえで、その選び方価格推移について、詳しく解説いたします。

1. イーサリアムのトークンはイーサリアムネットワーク上でやりとりされる

イーサリアムのトークンというのは、「イーサリアムネットワーク上でやりとりされるETH(仮想通貨のイーサリアム)以外のコイン」のことです。

1-1. ETHとトークンの違い

イーサリアムという言葉には2つの意味があります。1つは仮想通貨(暗号資産*)のイーサリアム(ETH)、もう1つはプラットフォームとしてのイーサリアムです。

仮想通貨のETHは、プラットフォームとしてのイーサリアムを動かすために必要なもの。アプリやトークンを動かしたり、送金の際の燃料として使われます。

それに対しイーサリアムのトークンは、プラットフォームを動かすために必要なものではなく、プラットフォーム上で作成された別の通貨です。

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イーサリアムのプラットフォームと、プラットフォーム上のETH

イーサリアムのトークンはイーサリアム上で動作する分散型アプリケーション(Dapps)において利用され、発行や分配、対価との交換などの機能を持っています。

この交換や発行、分配などの取引履歴はイーサリアムのブロックチェーン上に記録されるので、その点では仮想通貨と同じです。

*2018年12月の仮想通貨交換業等研究会による報告書において、呼び名を「暗号資産」とする内容が取りまとめられました(参考|「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)議事次第

ETHはイーサリアムを動かす燃料

ETHが、「プラットフォームであるイーサリアムが動作するために必要なもの」である理由は、ETHがGasと呼ばれる手数料に使える唯一の通貨だからです。
分散型アプリケーションを作成するときや、分散型アプリケーションを動かす(送金もこれに当たります)場合など、イーサリアム上で何らかの操作を行うためには、一定以上のGasが必要です。そのため、ETHはトークンとは一線を画した重要な存在なのです。

また、ETHがマイニングで発行されるのに対して、トークンは発行主が発行することができるという大きな違いがあります。

1-2. イーサリアムのトークンは個人でも作ることができる

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イーサリアムのトークンは企業、個人問わず誰にでも発行できます。

これはイーサリアムが、最初の設計段階からトークンの存在を考慮したプラットフォームとして作られており、トークンの仕様や発行手順などが広く公開されているためです。

以前は「Solidity」という専用のプログラム言語を用いてトークンを作っていました。しかし今はWebサイトから発行できるサービスもあり、比較的簡単に独自のトークンを発行できるようになっています。

「独自の仮想通貨を発行できる」ことの魅力は大きく、イーサリアムでトークンの仕様が公開された当初から、多くの技術者や企業がこぞってトークンを発行しました。これまでに10,000種類以上のトークンが発行されたともいわれています。

1-3. ICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨公開)とは?

発行が手軽になったこともあり、2017年にはイーサリアムのトークンのICOが数多く行われました。

ICOというのは、企業名や個人が仮想通貨を発行して販売し、資金調達する手法のことです。「トークンセール」や「クラウドセール」などとも呼ばれます。

●ICOのメリット

これまで企業が資金調達する手法は、銀行からの融資新規株式公開(IPO)など、限られた方法しかありませんでした。これらの方法は銀行による信用調査や証券会社の上場審査が必須であり、個人事業や未上場企業などにはとても敷居の高いものです。

しかしICOの実施には、銀行の信用調査や上場審査などをほとんど必要としません。目的やコンセプト、サービスやプロダクトの内容などを公開して、共感するコミュニティを得ることで、資金調達することができるのです。

ICOは、起業や新たな事業展開などの敷居を大きく下げたと言えます。

●ICOの課題

厳しい審査もなく、低コストで誰でもできるというメリットがあるゆえに、ICOにはいい加減なもの詐欺的なものも乱立しています。またIPOと違って、ICOで出資した人には議決権がなく、株主優待などがありません。

そのような理由からICOそのものにグレーなイメージを抱く人も多く、2018年以降、ICOの数は減少傾向にあります。

●ICOへ投資する上での注意点

ICOについては、現状はまだ投資家を守るための法整備が追いついておらず、詐欺的なものを防ぐ手立てが発展途上です。そのため投資するリスクは大きいと言えるでしょう。

しかし、そんな中でも投資家の支持を得て成功した優良なトークンもあり、それらがイーサリアムの価値を上げているのも事実です。

2019年2月には、FBIによるICO詐欺に関するレポートも公表されました。ICOに投資する場合は、慎重に検討しましょう。

COINTEREGRAPH|FBIがICO詐欺の特徴や手口を開設 投資家が注意するポイントとは?

この記事の第4章でも、具体的な注意点を紹介しています。

1-4. イーサリアム以外にもある?

イーサリアムのトークン以外にも、NEMOmniなど、別のプラットフォームで発行されるトークンもあります。

仮想通貨の業界で「トークン」と呼ばれるものは、自前のブロックチェーンを持っていないコインの総称だと思えば良いでしょう。

2. ERCとは仕様のこと

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トークンの話が出てくるとき、ERC20ERC721など、ERC○○トークンという説明がされることがあります。

ERCとはトークンが準拠している仕様を示すもの。ERC20トークンとは「ERC20の仕様で開発されたトークン」という意味です。

2-1. ERCは「Ethereum Request for Comments」の略

「ERC」はイーサリアムの仕様に対する改善提案のことです。トークンのことだけに特化しているわけではありません。

あくまでも提案ですので、誰かが提案して、誰かが精査して何かに採用されるものです。

その流れは、次のようになっています。

(1)提案

世界中の有志によって、イーサリアムのプログラムコードの問題点や改善点が見つかり、その改修方法や実装方法が提案されます。これがERCです。

ERCは提案されるたびに番号が振られ、ERC20ERC721などと呼ばれています。

(2)採用

プログラムの作成やテストの時間、現状の仕様との競合などの都合で、ERCのすべてを受け入れるのは現実的に不可能です。そのためイーサリアムに備わっている他の機能との関連や影響度、イーサリアムの方向性を考慮して、実際にどのERCを採用するかが「開発者会議」で話し合われます。

この会議はイーサリアム財団の関係者やプログラマーの中核的な人物、マイナーなどが集まって公開された場で行われます。会議の前に、TwitterなどのSNSでも盛んに議論されています。

(3)リリース

開発者会議の中で採用することになったERCは、まずはイーサリアムの動作確認用ネットワーク(テストネット)で動作確認を行います。その後、問題ないと確認されたものが正式採用されて、本番環境へリリースされるのです。

本番環境のイーサリアムネットワークに正式に組み込まれたERCは、提案ではなくなりますが、仕様を指す言葉としてそのままERC○○と呼ばれています。

なおイーサリアムの基本的な動作(マイニングの難易度や署名の方法など)にかかわる内容の場合は、ハードフォーク時に組み込まれます。

2-2. ERC20の基本仕様

トークンの基本的な仕様を決めているERCが、ERC20です。

この仕様のおかげで、イーサリアムで多数のトークンが発行されることになりました。ERC20をベースとした仕様もいくつかありますが、現在はほとんどのトークンがERC20で発行されています。

ERC20では、以下の6つの必須項目3つのオプション項目が規定されています。

必須項目

  • 流通している合計枚数の取得機能
  • ユーザーの所持枚数を取得する機能
  • ユーザーへ配布する機能
  • ユーザーから別のユーザーへ送付する機能
  • 流通している枚数の合計が配布枚数の合計と一致しているかを確認する機能
  • ユーザーの所持枚数の確認機能

オプション項目

  • トークン名(トークンの名称)
  • シンボル(トークン名称をアルファベット3文字程度で表したもの)
  • 少数点以下の桁数(最小単位を小数点以下何桁にするか*上限18桁)

これらの機能を持ったトークンが、ERC20に準拠していることになります。

2-3. その他のERC

ERCの中でもトークンについて定めたものは、ERC20だけではありません。ERC20をベースとして、様々なERCが提案されています。

ここではイーサリアムに正式採用されているERCの中から3つを紹介しましょう。

ERC特徴・機能
ERC223ERC20に、「間違ったアドレスを送金した場合に、自動で返金される機能」が追加されたもの
ERC721トークンに固有のデータを持たせることができ、他のトークンと代替えできないようにできる。トークンを一意の商品として、その所有者や変遷を明確にすることで、コレクションアイテムなどに応用できるため、CryptoKittiesなどの開発で利用された。
ERC777発行元がトークンの破棄やデータ付与などをいつでも行える。ユーザーごとの特典管理などが想定されている。

そのほかに「ERC721x」「ERC777」が実装されています。

3. トークンの種類

トークンは会員権やプリペイドといった、特定のプロダクトやサービスと結びついているものがほとんどです。

プロダクトやサービスによるトークンの種類

  • 会員権型(トークン保有者へサービスを提供する)
  • プリペイド型(保有トークンを消費することでサービスを利用する)
  • キャッシュバック型(サービスを利用することでトークンをもらえる)
  • 配当型(サービスの利益の一部をトークンで配当する)
  • ID型(トークンを商品管理用IDとして利用する)

しかし「トークンといえば資金調達手段」と考えている人も少なくありません。

その理由はトークンのICOが多く行われたため。手軽な資金調達手段として多くの企業や団体がトークンを発行し、ICOを行った結果「トークン=資金調達」のイメージが広がりました。

4. こんなトークンは要注意

トークンを過去の相場の推移や口コミの評判だけで安易に購入してしまうと、自分の目的に沿わないトークンを持ってしまったり騙されてしまったりする可能性があります。

ここでは「将来性」や「活用」「投資」などを検討するうえで、避けた方が良いトークンの特徴を5つお伝えしましょう。

ホワイトペーパーがない

トークンの目的や将来性を知るために最初に確認すべきなのは、トークンのホワイトペーパーです。

ホワイトペーパーには「発行者がなんのためにトークンを発行し」「調達した資金を使って何がしたいのか」「その中でトークンがどう活用されるのか」などが記載されています。

もしホワイトペーパーがない、もしくは貧弱なものだった場合、将来性や信頼度は低いと思われます。

コミュニティがない

コミュニティというのは、そのトークンを支援する人たちのつながりです。SNSでも掲示場など、そのトークンについて語り合うようなやそこに集まる人々のことを指します。

「コミュニティがある」ということは、トークンを一定の人々が利用したい(保有したい)と考えていることになりますので、ある程度の需要が見込めます。またコミュニティの人々がトークンを利用したサービスを作ることで、より利用者が増えることも。

トークンの発行者が、コミュニティと積極的にコミュニケーションをとり、利用者の声を開発へ活かすこともあります。

コミュニティがないか、非常に小さい場合は、利用者候補が少ないということ。普及もしにくいためトークンの将来性を疑うべきでしょう。

プロダクトがない

第3章で、トークンにはいくつかの種類があることを説明しました。それらは、何らかのサービスや商品を利用するためにトークンを活用する形態を計画していることが多いです。

つまり、サービスや商品などの「プロダクト」があり、それに魅力を感じたユーザーがトークンを購入することになります。

ホワイトペーパーに理念だけで具体的なプロダクトが書かれていないものや、プロダクトがあってもいつまで経っても実現されないようなトークンは、遠からずなくなってしまうことでしょう。

上場する見込みがない

サービスや商品を目的としているプロダクトであっても、取引所に上場する見込みがまったくない(上場する予定がない)トークンは、成長が厳しいと言えるでしょう。

これは取引する人が多いほど、通貨としての価値が上がるため。

高騰を狙う投機的な購入を検討している場合は、特にこの点を重視してホワイトペーパーを読むようにしましょう。

ネズミ講的なもの

残念ながら、トークンの中には詐欺的なものも紛れ込んでいます。

もっとも多いパターンは、「友人を紹介すれば、その友人が得た利益の数パーセントが得られる」などというネズミ講的なトークンです。

この種のトークンは、購入者を増やそうと多くの宣伝サイトが乱立されており、それらで良いことばかりが書かれています。「あちこちのサイトで絶賛されている」と勘違いして購入すると、無意味に資産を失ってしまうことになりかねません。

5. トークンの価格は?

イーサリアムトークンは、イーサリアムネットワーク上でやりとりします。そのためほとんどの場合でETHの価格に連動すると言われています。

まずはベースとなるETHの価格推移を確認しておきましょう。

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2018年12月~2019年1月のETH/USDチャート(参照:CoinGecko

ETHの価格は年初から下げの傾向が続いています。1月に予定されていたコンスタンティノープルハードフォークの延期の影響も少なくはないでしょう。

次にトークンの価格推移です。ここではERC20トークンの中で時価総額の大きい、3つのトークンについて確認します。

BAT(Basic Attention Token)(公式サイト

Basic Attention Tokenは分散型広告システム(広告主とユーザーだけで、仲介する業者がいない広告システム)を目指し、その広告料のやりとりに使うことを目指したトークンです。

実際にBATを活用した広告システムを搭載したブラウザは、Android版やiOS版がリリースされています。

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2018年12月~2019年2月のBAT/USDチャート(参照:Etherscan

先ほどのETHのチャートと同じレンジで価格推移を確認すると、BATもETH同様徐々に下落しています。イーサリアムの下落のため、トークンも売って現金化する投資家が増えているものと思われます。

OMG(OmiseGO)(公式サイト

OmiseGOはタイのマクドナルドタイ政府機関と提携している決済サービス「Omise」で利用されるトークンです。

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2018年12月~2019年2月のOMG/USDチャート(参照:Etherscan

OMGの価格推移はもBATとほぼ同じような傾向です。決済サービスには、比較的安定している法定通貨という強力な代替え手段がありますので、ETHの下落によって利用者が乗り換えたと考えられます。

BNB(バイナンスコイン)(公式サイト

バイナンスコインは仮想通貨取引所「BINANCE」が発行しているトークンです。BNBを使って取引手数料を払うことで、バイナンスでの取引手数料が割引になります。

現在、ERC20トークンの中で時価総額がもっとも大きいトークンです。

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<キャプション>2018年12月~2019年2月のBNB/USDチャート(参照:Etherscan

ETHの価格が下がっている間も、BNBは値上がり傾向を示しています。

これは投資家が、バイナンスで仮想通貨の売買を行う際にBNBを活用しているという点が大きいでしょう。

つまりBNBについては、ETHが下がることで、逆に需要が増える傾向があると言えます。そのため、ETHの価格とは連動しない動きになっているわけです。

6. まとめ

イーサリアムのトークンは、イーサリアムネットワーク上で交換したり送付したりすることができる独自の仮想通貨の一種です。

ETHコインと違って、個人や企業のサービスや商品の魅力を伝えることで、買ってもらうことができます。そうすることで、トークンの発行者は資金調達でき、新たなサービスやビジネスを立ち上げることができるわけです。

しかしトークンは、「誰でも」「どんな目的でも」発行できます。そのため、内容がお粗末なものや詐欺的なものも少なくありません。投資を考える際は、プロジェクトの具体性や目的をホワイトペーパーなどでしっかりチェックしましょう。