
今や仮想通貨の時価総額ランキング2位を誇るイーサリアムですが、考案したのは当時わずか19歳の「ヴィタリック・ブテリン」という青年だということを知っているでしょうか。
幼いころから天才と呼ばれていた彼は、優秀な子供たちを集めたクラスで経済学や数学、プログラミングを学びます。
そして17歳のある日、父親から「ビットコインを知っているか?」と聞かれたのをきっかけに仮想通貨の情報収集を始め、イーサリアムを考案するまでに至ったのです。
今回は、そんなヴィタリック・ブテリン氏の人物像や経歴、現在に至るまでを紹介していきます。
目次
1. イーサリアム開発者ヴィタリック・ブテリン氏の人物像
今回初めてヴィタリック・ブテリン氏の存在を知った人は、彼がどんな人物でどのようにイーサリアムを考案したのかなど、さまざまな疑問が浮かんだのではないでしょうか?
まずはブテリン氏の経歴やプロフィールについてみていきましょう。
1-1. わずか19歳でイーサリアムを考案
ブテリン氏は、1994年にロシアで生まれたのち、6歳の頃に現在の居住地となるカナダへ移住しました。
その後カナダの小学校へ入学しますが、その頃にはすでに数学や経済学といった分野で驚異的な能力を発揮しており、プログラミングを学んでいたのだそう。
そして、2011年にコンピューターアナリストである父親から「ビットコインを知っているか?」と聞かれたのをきっかけに、仮想通貨の魅力にはまっていくのです。
仮想通貨のブロックチェーン技術や、テクノロジーの可能性に魅せられたブテリン氏は、当時1記事で5BTCの報酬が得られるというライターのアルバイトを始めました。
この記事は仮想通貨のさまざまな情報を発信する内容となっていたため、「記事を書きながら自分自身も学べる」と考えたのですね。
そのため、ブテリン氏はメディアが閉鎖されるまでひたすら記事を書き続けました。
それからはカナダのウォータールー大学へ進学するものの、「ブロックチェーン技術の開発や仮想通貨に関わる時間をもっと増やしたい」という思いから大学を中退。
この中退後に発表されたのが、イーサリアムのホワイトペーパーだったのです。
このときブテリン氏は19歳で、仮想通貨の存在を始めて知ってからわずか2年ほどでイーサリアムを考案したことになります。
そのため、イーサリアムの誕生は世界中に驚きを与えたのです。
1-2. プロフィール
ブテリン氏について簡潔にまとめたプロフィールが下記の表です。
ヴィタリック・ブテリン氏のプロフィール |
|
居住地 |
トロント(カナダ) |
出身高校 |
The Abelard School(カナダ) |
出身大学 |
University of Waterloo(カナダ) |
プロフィールサイト「about.me」 |
|
Webサイト「Vitalik Buterin’s website」 |
|
Twitterアカウント |
2011年:父親の影響で初めて仮想通貨の存在を知る
2013年:イーサリアムのホワイトペーパーを作成
2014年:
- ティール財団のフェローシップにより10万ドルの助成金を得た後、大学を中退
- 北アメリカのビットコイン会議(North American Bitcoin Conference)でイーサリアムの開発を発表
- イーサリアムが公式に発表され、プレセールで約16億円の資金調達に成功
実は、ブテリン氏は大学中退後に、世界中のビットコインプロジェクトを見て回る旅に出ています。
彼は約5カ月続いた旅の中で、人々が通貨以外の目的でブロックチェーンを使おうとしていることに気づき、それと同時に、当時のブロックチェーン技術では力不足だということを知ったのです。
これにより、彼自身の「さまざまな用途で利用できるブロックチェーンをつくりたい」という想いに拍車がかかり、イーサリアムの実現につながりました。
1-3. ビットコイン創設者「サトシ・ナカモト」を尊敬
ブテリン氏はあるインタビューで、ビットコインの創設者となるサトシ・ナカモトについて「30~50歳くらいの男性で、日本人じゃないかと思っている」と語っています。
最初に出会った仮想通貨がビットコインであったということもあり、ブテリン氏はビットコインを開発したサトシ・ナカモトを神のように崇拝しているのだそう。
またブテリン氏は、大発明を生み出すためには2つの方法があると話しており、一つは50人くらいの人に対し大金をかけて生み出すもの、もう一つは、一人の人が長い間部屋にこもって生み出すものとしています。
そして「ビットコインについては後者だ」とも語っており、大金目当てではなく、世の中をより快適にするために長い時間をかけてビットコインを発案したサトシ・ナカモトに尊敬の意を抱いているんですね。
2. ヴィタリック・ブテリン氏から見たブロックチェーンの魅力
ブテリン氏をこれほどまでに惹きつけているのは、ブロックチェーン特有の「非中央集権」であり、一つの会社や一人の人間に支配されることのない公平なマーケットだといえます。
2-1. 分散型プラットフォームであること
仮想通貨が誕生する前までは、通貨のやり取りに銀行や金融機関を介すのが当たり前でした。
しかし、ブロックチェーンの誕生に伴い、ユーザー同士が共同制作するネットワークを構築できるシステムができたところ。
これにより、誰にも支配・コントロールされず、世界中の人とやり取りができるようになりました。
ブテリン氏は、こういったブロックチェーンの特性に対し、人々のやり取りが透明化されることで攻撃されにくく、より生活しやすいシステムが生まれるだろうと考えているのです。
インターネットが普及している現在では「Google」や「Twitter」、「Facebook」などのアカウントを使ってさまざまなサービスにログインすることができ、非常に便利だと感じている人も多いことでしょう。
しかしこういったシステムは、どこか一つの企業がハッキングされれば別のアカウント情報も流出し、なりすましや不正ログインのリスクが高まることになります。
これが誰の管理下にもならないブロックチェーンプラットフォームであった場合、自分のアカウントが本物かどうかを自分で確認することができるので、安全且つ効率的といえるのです。
ブテリン氏は、この「分散型プラットフォーム」に大きな魅力を感じていたんですね。
3. ヴィタリック・ブテリン氏の現在
仮想通貨としてのイーサリアムが誕生したのが2014年ですが、それから4年が経つ2018年現在、ブテリン氏は一体どんな生活を送っているのでしょうか。
3-1. イーサリアム財団の一員として活躍
イーサリアムを考案した時19歳だったブテリン氏ですが、現在は24歳となり、今でもイーサリアムの発展や普及に携わる重要人物として活躍しています。
さまざまなイベントでの講演も行っており、2017年には渋谷のDinning&bar KITSUNEで開催された「東京ビットコイン会議」にゲストとして来日。
その際には、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために開発された「Plasma」についてや、今後の技術的な改革について話していました。
また、2018年に開催されたイーサリアム発となる開発者向け公式イベントでは、日中央集権の分散型アプリケーションとなる「Dapps」や、ブロックチェーンに互換性を持たせる「COSMOS」プロジェクトについて登壇しています。
3-2. さまざまな機関へ積極的に寄付をしている
ブテリン氏はイーサリアム事業のみに限らず、さまざまな研究機関への寄付にも積極的です。
2017年は、人工知能の研究機関であるMIRI(Machine Intelligence Research Institute)に対し、およそ8,000万円分のイーサリアムを寄付しました。
その後も、加齢による病気の研究を行っている研究財団のSENS研究財団へおよそ2憶6,000万円、さらに、ウガンダ難民のための慈善団体であるギブ・ダイレクトリーにも約1億円(この時はOMG)で寄付を行っています。
このようにブテリン氏は、自身が考案したイーサリアムやOmiseGoを寄付に利用することで、社会貢献と共に仮想通貨の社会的価値を高める取り組みをしているのですね。
3-3. 決済プラットフォーム「OmiseGo」の開発
2018年現在、ブテリン氏は東南アジアで展開する分散型決済プラットフォーム「OmiseGO」のアドバイザーに就任しています。
OmiseGOとは、複数のブロックチェーンを利用した取引を可能にする新しい決済用のプラットフォームで、取引を迅速且つ低コストに行うために開発されました。
OmiseGOでは既存のブロックチェーンとは別の新たなブロックチェーン(OMGブロックチェーン)が使用され、OMGブロックチェーン上に生成される「eウォレット」利用してトークンのやり取りを行うことで、手数料や取引時間といった従来のデメリットを改善します。
また、OmiseGOではイーサリアム以外にもGolem(ゴーレム)やCosmos(コスモス)、Tendermint(テンダーミント)といった、ほかのブロックチェーンプロジェクトとの連携も目指しています。
そのため、OmiseGOが本格的に導入されれば、仮想通貨は今以上に普及するかもしれませんね。
3-4. SNSで自身の考えを発言し批判されることも…
近年、ブテリン氏は自身のSNSで仮想通貨に対するさまざまな考えを発言しています。
こういった彼の発言はメディアでも多く取り上げられているのですが、時には批判を受けてしまうこともあるのです。
例えば、2018年9月にあったBloomberg(ブルームバーグ)のインタビューでは「仮想通貨の成長は頭打ちに近づいている」という発言をしています。
この意見に対し、仮想通貨業界では「今後も成長は続く」「彼の考えには賛成できない」といった否定的なコメントが多く寄せられました。
◆Bloombergで「ブロックチェーン産業の成長は頭打った」と発言した記事が出る
The days of explosive growth in the blockchain industry have likely come and gone, according to a co-founder of Ethereum https://t.co/BNmoPAaQLJ
— Bloomberg (@business) September 8, 2018
◆イーサリアムの共同創設者ジョセフ・ルービン氏はインタビュー中にイーサリアムの成長は続くと発言している
Ethereum co-founder Joseph Lubin talks with CNN's Julia Chatterley about the huge rally and fall of cryptocurrency. He still sees growth in the crypto industry https://t.co/oHuY8rCe8g pic.twitter.com/9BkX5yMAHD
— CNN Business (@CNNBusiness) September 11, 2018
◆バイナンスCEOが「その考えは肯定できない」と反論
What!? Everyone heard of the internet in 2000 and how big was google, facebook, airbnb, uber, alibaba back then? Can't agree with that logic. Innovation will continue… https://t.co/0uyIpuf1iN
— CZ Binance 🔶🔶🔶 (@cz_binance) September 11, 2018
◆Bloombergの記事を受けてかどうかはわからないが、ブテリン氏が「成長しないと言ったわけではなく、1000倍にはならない、と言ったんだ」とtweet
To be clear, I never said that there is "no room for growth" in the crypto ecosystem. I said there is no room for *1000x price increases*. A 1000x price increase from today means $200T in crypto, or ~an entire 70% of today's global wealth being in crypto.
— vitalik.eth (@VitalikButerin) September 12, 2018
◆同一、上記のtweetに対して「それでも賛成しない、1000倍になると私は考えている」と反論
I still disagree with this. I will say "crypto will absolutely grow 1000x and more!" Just reaching USD market cap will give it close to 1000x, (that's just one currency with severely restricted use case), and the derivatives market is so much bigger. https://t.co/bvSttEeCmc
— CZ Binance 🔶🔶🔶 (@cz_binance) September 12, 2018
しかし、日々発信される発言を見ていると、その内容がポジティブであれ、ネガティブであれ、常に仮想通貨業界のことを考えている姿勢が伺えます。
3-5. お茶目な一面もある
2019年4月にシドニーで行われたイーサリアム技術者カンファレンス「EDCON 2019」ではこんな一面も……。
So who wants to see @VitalikButerin and @karl_dot_tech rap? #EDCON2019 pic.twitter.com/CbGp9P7vYH
— Jinglan Wang 🤓 (@jinglanW) April 11, 2019
23秒あたりで登場するブテリン氏。歌っていますね。
まとめ
現在、ビットコインに次ぐ人気を誇るイーサリアムは、ロシア生まれの天才青年ヴィタリック・ブテリン氏によって誕生した仮想通貨です。
仮想通貨取引ではつい利益のことばかり考えてしまいがちですが、こういった誕生エピソードや、どういった人が考案したのかを知ることで、また違った見方ができるのではないでしょうか。
今や仮想通貨のみならず、さまざまなシーンで活用されつつあるブロックチェーン技術ですので、今後は誰にも監視されない非中央集権的なサービスが増えてくるかもしれませんね。
そんな新しい時代にそなえて、今後はぜひブロックチェーン技術の情報にも注目してみましょう!
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