
イーサリアム(ETH)には、発行枚数の上限がなく現在1億枚以上発行されています。それはなぜでしょうか?
発行枚数の上限設定をしない理由・メリットやデメリットを解説します。発行枚数からイーサリアムの今後予想される動きについて考察しましょう。
目次
1. イーサリアムの発行枚数
イーサリアム(ETH)には発行枚数の上限がないこと、現時点での発行枚数について解説します。
1-1. 現在約1億枚で上限がない
イーサリアムはビットコインなどと違い、発行枚数の上限は定められていません。マイニングされればされるほど、発行枚数が増えていくことになります。
ちなみにイーサリアムが生まれた初期は7,200万枚が発行され、そのうち6,000万枚が市場に流通しました。残り1,200万枚は開発資金としてプロジェクトチームで分配・保管となりました。
現在では1億枚以上が発行されていますので、2015年のリリースからおよそ4年間で、新たに4,000万枚が発行されたことになります。
1-2. 現在の発行枚数の調べ方
各コインの発行枚数については「CoinMarketCap」というサイトで調べるのが便利です。
仮想通貨の取引データを閲覧できるサイトとして知名度があり、2019年3月にはブルームバーグ・ナスダック・ロイター通信などにデータ提供を開始すると発表しました。
世界中で取引されている1,000以上の通貨について、時価総額・発行枚数・取引量・価格推移などを見ることができます。ここでの発行枚数とは、市場に出回っているコインの数のことです。
CoinMarketCapによると、2019年5月28日時点での代表的なコインの発行枚数は以下のとおりです。
コイン名称 | 発行枚数 |
イーサリアム(ETH) | 約1億625万枚 |
ビットコイン(BTC) | 約1,772万枚 |
リップル(XRP) | 約421億枚 |
ライトコイン(LTC) | 約6,196万枚 |
ビットコインキャッシュ(BCH) | 約1,780万枚 |
イーオス(EOS) | 約9億1,670万枚 |
ビットコインは上限が2,100万枚のため、上限の8割を突破しています。
2. 上限がないコインに価値はあるのか?
イーサリアムは他のコインと違って発行枚数に上限がないことで、価格が下落しやすいのではないかと不安を感じる方もいるかもしれません。上限があることのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
2-1. 上限設定のメリット&デメリット
上限設定には、希少価値が生まれるメリット、価格高騰を招くデメリットなどがあります。
希少価値を付けられる
コインの発行枚数に上限を設定すれば、ある程度の希少性が生まれることになり、価格の下落防止につながります。上限に達して新規発行ができなくなると、新たに入手したい方は、売ってくれる人を見つけるしかありません。
金・プラチナ・ダイヤモンドなど他の貴金属・鉱物なども同様に、入手できる量に限りがあるという前提があるからこそ、希少価値が生まれるのです。
他のコインの上限設定
イーサリアム以外のメジャーなコインについて、上限設定がどうなっているかを表にまとめました。
コイン名称 | 発行上限枚数 |
ビットコイン(BTC) | 2,100万枚 |
リップル(XRP) | 1,000億枚 |
ライトコイン(LTC) | 8,400万枚 |
ビットコインキャッシュ(BCH) | 2,100万枚 |
イーオス(EOS) | 10億枚 |
メジャーなコインでは、ほとんどが上限枚数を定めていることがわかります。上限のないイーサリアムは珍しいほうだといえますね。
極端なインフレに陥る恐れも
発行枚数の上限設定は、希少性という付加価値を付けることができる一方で、以下のようなデメリットもあります。
急激な価格急騰を招く可能性がある
当然ですが、上限以上の発行はできなくなります。市場に流通する枚数が限定されることで、取引に不都合が生じる可能性もあります。
また上限設定は通貨価格の高騰につながるリスクもあります。枚数が増えずにユーザーが増加することで、極端なインフレに陥る恐れもあるのです。
ビットコインなどでは、急な高騰を防ぐために、半減期という仕組みを導入しています。半減期とは4年に1度、マイニング報酬を半減させること。これによってマイニング速度が抑制され、価格が安定的に上昇しやすくなるのです。
▶【図解】ビットコインの半減期とは?次回は2020年!価格への影響
2-2. 上限設定がない理由
上限設定がなくても困らないんです。
当初はとりあえず設定していなかったというだけ
イーサリアムの開発者はヴィタリック・ブテリン氏ですが、発行枚数の上限を設けなかった理由は特にないとしています。
プラットフォームとしての利用
イーサリアムとは分散型管理を利用したテクノロジーの開発プラットフォームであり、ETHはあくまでそのプラットフォームでやり取りをするための通貨という位置づけです。
よって通貨としての価値を高めるというよりは、次世代テクノロジーによるプラットフォームの進化という面を重視しています。そのため、発行枚数の上限設定にはそれほど関心がなかったのかもしれません。
▼イーサリアムのプラットフォームについて詳しくはこちら▼
2-3. マイニング報酬を減らし価格を維持
イーサリアムには上限設定がない代わりに、価値をキープするために行っている施策があります。
インフレ防止としてのマイニング報酬減少
イーサリアムでは、2019年にマイニング報酬が少なくなりました。1ブロックあたり3ETHから2ETHと、およそ33%の減少です。
マイニングによる報酬が高いほどイーサリアムの発行枚数が増大し、インフレを招く危険があります。そのため、マイニングによる流通枚数増加を抑制するためにマイニング報酬の減少は実施されました。
マイニング報酬減少は、2019年2月に実施したアップデートであるコンスタンティノープルで実施されました。
報酬が少なくなることで、マイナーがイーサリアムから離れる可能性を懸念する声も見られます。しかし報酬減少がインフレ抑制など市場にプラスに働き、離脱するマイナーはそれほど増えないだろうとする意見もあります。
またイーサリアムの承認方式は、今後PoWからPoSに移行する予定です。PoSへの移行への布石として、マイニング報酬を減らす意図もあると考えられます。
3. 将来イーサリアムにも発行枚数上限が設定されるかも?
イーサリアムの発行枚数について、今後上限が設定されるかもしれないという見方も出てきています。
3-1. 開発者・ブテリン氏の発言
イーサリアムの開発者である、ヴィタリック・ブテリン氏が、2018年4月1日の「EIP-960」において、イーサリアムの発行上限に関する提案を行いました。EIPとはイーサリアムの改善提案のことで、機能向上に関することであれば、誰でも提言できる機会となっています。
ブテリン氏の提言内容は、イーサリアムによる経済圏が持続的に発展するためには発行枚数制限が必要とし、その設定を1.2億ETHにしてはどうかというもの。開発者本人の発言ということで、賛否両論が飛び交うこととなりました。
この日は奇しくもエイプリルフールの日であり、翌日にTwitter上で「あの提案はエイプリルフールのジョークだった。しかしコミュニティメンバーが真剣に議論していたことは重要だ。」と発言しました。
やはりジョークではありましたが、100%ジョークとも受け取れないニュアンスであり、今後イーサリアムに枚数制限が設定される可能性はゼロではないという見方が出てきています。
3-2. ハードフォークでどうなる?
イーサリアムはバージョンアップのため、これまで数回にわたるハードフォークを実施してきました。その内容は以下のとおりです。
アップデート名称 | 主な実施内容 | 実施時期 |
フロンティア | 決済機能の強化 | 2015年7月 |
ホームステッド | プラットフォーム機能の強化 | 2016年3月 |
メトロポリス1回目(ビザンチウム) | スマートコントラクト機能の安全性向上 | 2017年10月 |
メトロポリス2回目(コンスタンティノープル・サンクトペテルブルク) | コスト削減・速度向上など | 2019年2月28日 |
PoSになったら上限が設定される可能性もある
今後イーサリアムではさらに、「セレニティ」というハードフォークが予定されています。これまでに予定されたハードフォークとして最終段階にあたるアップデートです。
イーサリアムの取引承認方法はPoWですが、セレニティの実施によりPoSに切り替わることが決定しています。これにより各ユーザーがブロックの承認を行えるようになるため、PoWのときよりも新規発行のペースが増大する可能性があります。
そのため新規発行枚数を抑えることを目的に、枚数上限が設定される可能性もあるとされているのです。
セレニティの実施時期は未定ですが、大型のハードフォークによりイーサリアムの仕組みが大きく変わるとみられるため、今後のアナウンスにも要注目です。
▶【総まとめ】イーサリアムの大型アップデート「ハードフォーク」とは
まとめ
イーサリアムの発行枚数には上限がなく、現在までに1億枚以上が発行されています。他のメジャーなコインではほとんど上限があるのに比べ、イーサリアムはやや特殊です。
ジョークとはいえ開発者が上限設定に言及したり、今後大型ハードフォークのセレニティ実施を予定していたりなど、イーサリアムに上限が設けられるのではないかという噂は絶えません。
発行枚数を制限することは希少性につながるため、将来イーサリアムにも上限が設定される可能性はゼロとはいえないでしょう。今後も、イーサリアムのバージョンアップや開発者からのメッセージには要注目ですね。
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