
イーサリアムでマイニングをしている人は、PoSへの移行時期が気になっているのではないでしょうか。
マイニングをしていなくても、イーサリアムのPoS移行の価格への影響に興味がある人は多いと思います。
イーサリアムがPoSへ移行する時期やPoSでの報酬、移行後の影響について詳しく解説します。
目次
1. イーサリアムのPoSは2020年中に動き出す!
イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムは、PoS(Proof of Stake)へ移行することが決まっています。
1-1. イーサリアムがPoSへ移行するステップ
これまでイーサリアムは何度ものハードフォークを行って、PoSへ移行する準備を完了しました。
▶ブロックチェーンエンジニアが解説|イーサリアムのハードフォーク
ようやくPoSの稼働直前まで来たのですが、イーサリアムのPoS移行はこの後も段階を踏んで行われることが決まっています。
開発の状況によって更新されていますが、2020年6月25日時点で公開されているロードマップでは、次のようなステップになっているのです。(参考:Sharding roadmap)
イーサリアム2.0ロードマップ
- Phase 0: ビーコンチェーンを導入する ※ビーコンチェーンは2020年12月1日に運用を開始しました。いわゆる「フェーズ0」です。詳細はこちらから。
- Phase 1: スマートコントラクトの実行環境がないシャーディングを導入する
- Phase 2: スマートコントラクトのための実行環境の導入
- Phase 3: ライトクライアント用の状態管理機能の導入
- Phase 4: シャードチェーン間の取引処理を導入
- Phase 5: メインチェーンと同等のセキュリティの実装
- Phase 6: シャードチェーンを再帰的に生成できるしくみの導入
なおイーサリアムのPoS移行に伴って、ビーコンチェーンとシャードチェーンと呼ばれる2つのブロックチェーンが導入されることになっています。
これらはそれぞれ、次のような役割を担っています。
■ビーコンチェーン
PoSの承認者であるバリデータを管理するブロックチェーンです。PoSの要となるブロックチェーンとなります。
■シャードチェーン
新たなイーサリアムでは取引の承認作業をグループ分けして別々のブロックチェーン上で並行実施するためのしくみ「シャーディング」を導入しており、取引の承認作業を行うブロックチェーンのことを「シャードチェーン」と呼びます。
シャードチェーンをいくつも作ることでまとめて承認処理できる取引の数を増やすことができますので、取引速度を上げることができるのです。
1-2. PoSへ段階的に移行する
イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムのPoWからPoSへの移行は、いきなり変わるわけではありません。
CasperFFGと呼ばれているコンセンサスアルゴリズムへひとまず移行し、その後CasperCBCと呼ばれている完全なPoSへ変更される予定になっています。
■CasperFFG
CasperFFG(Casper Friendly Finality Gadget)は、PoSとPoWが混在するハイブリッド型のコンセンサスアルゴリズムです。
ブロック生成は従来通りのPoWで行い、一定ブロックごとにPoSで検証を行います。
■CasperCBC
Casper CBC(Casper Correct by Construction)は、純粋なPoSで、ブロック生成から承認までのすべてをPoSで行うコンセンサスアルゴリズムです。
CasperCBCの稼働によって、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムは純粋なPoSへ移行したと言えるでしょう。
なお、イーサリアムの生みの親であるVitalik Buterin氏は、イーサリアムのPoSへの移行について次のようなロードマップを描いているようです。
This is my approximate view of what the next ~5-10 years of eth2 and beyond might look like.
Roadmap below reflects my own views, others (including future versions of me) may have different perspectives! Details may of course change as we discover new info or new tech. pic.twitter.com/wynMVC04Ag
— vitalik.eth (@VitalikButerin) March 18, 2020
Vitalik Buterin氏のロードマップによれば、現在は図の中央・左にある「Phase 0 prep」の段階です。フェーズ0へ向けた準備段階になります。
「Phase 0 prep」の上下に並んでいる「eth1.x other」「eth1.x statelessness」「Phase 2 and beyond」は、フェーズ0以降へ向けた周辺技術の開発研究を表しています。
一番下にあるCasperCBCも含めて、平行して開発が進められているということが見て取れるでしょう。
2020年第3四半期中には、中央あたりにある青い「Phase 0 launch」に達すると見られているわけです。
2. イーサリアムのPoS報酬
イーサリアムがPoSへ移行することで問題になることの1つは、いままでのようなマイニングができなくなることではないでしょうか。
ただPoSでは、マイニングではなくステーキングと呼ばれるしくみが存在していてそこで報酬を得ることができます。
▶PoSマイニングとは? ステーキングの仕組みとやり方・報酬シミュレーション
まだ稼働していないイーサリアムのPoSステーキングでどの程度稼げるかはあくまでも予測にしかなりませんが、「ETH 2 Calculator」というサイトで概算を算出できるようになっています。
2020年6月25日時点でイーサリアムのステーキングには最低で32ETH(約79万円)が必要になっていますので、その最低金額で報酬を計算してみましょう。
サイトで確認した結果、32ETHを1年間ステーキングすると、4.5484ETH(約11万円)を得られることができると算出されました。
得られた報酬すべてをステーキングに追加することで複利が効いてきますので、もし10年間ステーキングし続けると元本は120.87ETH(約297万円)になります。
10年間ステーキングし続けると、3.75倍程度になるのです。
ただしこの数値はあくまでも概算ですし、イーサリアム自体のボラティリティの高さ、電気代も考慮する必要があります。
●ステーキングプラットホーム
ステーキングはマイニングと同じようにコンピュータにアプリケーションをインストールして設定や管理をする必要があります。
そんなステーキングを容易にするプラットホームを、「ConsenSys」という米企業がローンチすると2020年6月17日に発表しています。
3. PoS移行は投資チャンスになるか
イーサリアムのPoS移行で、イーサリアムにはいくつも変化が訪れます。PoS移行によるイーサリアムの変化を、価格への影響に分けて見てみましょう。
3-1. イーサリアムの価格を押し上げる変化
イーサリアムがPoSに移行することでイーサリアムは以下の利点を得られると言われています。
- 取引速度の向上(100倍以上)
- 環境への影響の減少
- 中央集権化の恐れを回避できる
取引速度の向上
CasperFFGと同時にシャーディングが導入されますので、取引速度の向上が期待できます。
承認作業を並行で行うシャーディングチェーンの数によりますが、取引速度は100倍以上になると言われているのです。(参考:Sharding Introduction R&D Compendium)
取引速度の変化は実際に取引を行うことで実感されますので、少し遅れて価格に影響を及ぼすかもしれません。
環境への影響の減少
PoWマイニングは高性能なコンピュータで大量の計算をし続ける必要があるため、莫大な電力消費を伴っています。
PoSでは一般的なコンピュータを起動させておくだけで良いので、消費電力量は大幅に小さくなります。その結果、環境への負荷も小さくなることでしょう。
中央集権化の回避
PoWの仮想通貨は、高性能なコンピュータを大量に保有する企業やマイニングプールによってマイニングの偏りが発生しており、それが中央集権化へつながる恐れが懸念されています。
PoSではこの中央集権化の恐れを回避することが期待されています。
安心感から価格向上の可能性もありますが、それほど実績のないPoSに対して投資家がすぐに判断できるかどうか分かりません。
稼働後の実績を確認後にイーサリアムの価格に変化が現れることでしょう。
3-2. イーサリアムの価格を押し下げる変化
PoSに移行することによる変化は、イーサリアムにマイナスな変化も起こしています。
- マイナーの減少
- 新しいETHの登場
これらの変化は、PoSへの移行による影響で起こる可能性の高い影響で理論ではなく現実味があります。
そのため、イーサリアムの価格は一時的に下落する可能性があるのです。
マイナーの減少
CasperFFGの段階ではPoWが残っているとは言え、マイニング報酬は低くなっており、イーサリアムでマイニングし続けるインセンティブが低くなります。
その結果、マイナーが他のPoWの仮想通貨へ移動してしまう可能性は否めません。
PoSによる検証で補完されるとは言え、マイナーの減少はセキュリティの低下をイメージさせますので、イーサリアムの価格への影響は避けられないのではないでしょうか。
新しいETHの出現
フェーズ0の稼働開始に伴って新たなブロックチェーンが動き出しますので、現在のイーサリアムとは別のイーサリアム2.0が誕生することになります。
つまり、ETHは既存のETH1と新たなETH2に分かれることになるのです。
ETH2は、ETH1をデポジットコントラクトに送金することで入手できます。ただし新たなイーサリアムではフェーズ2になるまでスマートコントラクトを実行できませんので、ETH2は動かすことができません。
ステーキングできますので動かせないが利息を得られる定期預金だと考えれば良いのかもしれませんが、流動性に劣る通貨の価格は上がりにくいのが一般的です。
ETH2へどれくらいのETH1が移行するのか分かりません。しかし、イーサリアムの価格へのマイナスの影響は少なからず出てくることでしょう。
3-3. 価格が下がればステーキングのチャンスにも
イーサリアムの価格が下がるというのは、投資をしている人にとって厳しい内容です。
しかしPoSへの移行によって下落した価格は、イーサリアムの取引速度や環境への影響などの結果が出てくると共に戻ってくる可能性もあるでしょう。
また「価格が下がる」というのは、ステーキング用のETHを購入するチャンスととらえることもできます。
もし下がったタイミングでステーキング用にETHを購入できれば、ステーキング報酬に加えて価格変動による利益も得られる可能性もあるのです。
まとめ
イーサリアムはPoSへ移行しますが、一足飛びに突然移行するわけではありません。
それまでにフェーズ0からフェーズ6まで段階を追って進み、PoSとPoWのハイブリッドであるCasperFFGを経由して純粋PoSであるCasperCBCへと移行するのです。
- フェーズ0の稼働は2020年第3四半期になる可能性が高い
- CasperFFGはPoSとPoWのハイブリッド
- CasperCBCは純粋なPoS
- ステーキングの年間利回りは14.21%、10年間で227.74%
- フェーズ0からETHがETH1とETH2に分かれる
- 価格が一時的に下がる可能性がある
イーサリアムの大きな変化は、ETHの価格へも大きな影響を及ぼすため、投資している人は継続してイーサリアムに投資するかどうか検討が必要です。
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