
イーサリアムはこれからどうなっていくのでしょうか?
時価総額で世界第2位(2020年8月11日時点CoinMarketCap)の仮想通貨(暗号資産)にまで成長したとはいえ、このまま価格が上がっていくとは誰も確信できないでしょう。
イーサリアムの将来の価格を予測するためには、イーサリアムが「いまどうなっているのか」と「これからどうしようとしているのか」といった材料を知らなければいけません。
そこで今回は、イーサリアムの将来の価格を予測するために必要な材料を紹介していきます。
1. イーサリアムの価格を押し上げるのは?
イーサリアムがビットコインに次ぐ時価総額を誇っている理由は何でしょうか。
代表的なものとしては、次の2点が挙げられるでしょう。
- スマートコントラクトを搭載し、DAPPSのプラットホームとなっている
- 新たな仮想通貨(トークン)を容易に生成できる環境になっている
よく挙げられるこれら2点以外にも、イーサリアムの価格にポジティブと考えられるイベントを紹介します。
オフチェーンの採用
イーサリアムを含む多くの仮想通貨は、送金数が多くなれば送金速度が低下してしまうスケーラビリティ問題を内在しています。
スケーラビリティ問題が顕在化すると、いわゆる「送金詰まり」と呼ばれる現象が起きて取引が滞ってしまいます。
▶スケーラビリティ問題とは? 影響とユーザーが回避する方法を解説
スケーラビリティ問題は、取引数が多すぎてブロックチェーンに記録する処理が追い付かないことで発生します。
そのため、細かな取引は記録せず最終的な取引結果だけを記録するようにできれば、ブロックチェーンへの記録回数を減らして送金詰まりを軽減することができるわけです。
それを実現するのが、オフチェーンと呼ばれているしくみです。
オフチェーンはメインのブロックチェーンとは別に存在しており、オフチェーン上の取引の最終結果だけをメインのブロックチェーンへ記録できるようになっています。
現在、スケーラビリティ問題解消のために、イーサリアムでは次のようなオフチェーン技術の活用が期待されています。
- Raiden Network
- Truebit
- Plasma
これらは別々のアプローチでオフチェーンを実現する技術たちです。
イーサリアムがどの技術を採用するにしろ、その暁にはスケーラビリティ問題への懸念は大きく軽減することでしょう。
それに加えて、決済速度の高速化や手数料の低額化を図り、1円以下の少額決済も容易に実現することができるようになるのです。
イーサリアム2.0への期待
イーサリアムは、公開されているロードマップに沿って着々とアップデートしてきました。
▶ブロックチェーンエンジニアが解説|イーサリアムのハードフォーク
そして2020年中にはコンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSへ移行する最初のステップへ突入すると目されており、具体的なロードマップも公開されています。
PoSへと移行したイーサリアムはイーサリアム2.0と呼ばれ、現在の100倍以上の決済速度になると言われています。(参考:Sharding Introduction R&D Compendium)
またイーサリアム2.0で採用されるPoSによって、現在のPoWで起こっている次のような問題が改善すると期待されています。
- 莫大な電力消費による環境への負荷
- 一部のマイニングプールなどによるマイニングの寡占化
2. イーサリアムの価格を下げるのは?
イーサリアムの将来を考えるにあたっては、イーサリアムの価格にマイナスの影響を与える事柄も知っておかなければいけません。
良いことばかりを見ていては、投資を成功させることなどはできないでしょう。
規制強化などの法規制によって減速することも
イーサリアムをはじめとした仮想通貨に対して各国は独自の法整備を行っており、その内容がイーサリアムの価格に影響することは避けられません。
例えば、イーサリアムは、仮想通貨を利用した資金調達(ICO)を行うためのプラットホームとしての地位を確立しています。(参考:Coingecko report (2018Q3))
しかし、ICOは詐欺が横行していることもあって規制強化されており、2017年9月には中国でICOが全面禁止となりました。(参考:中国、ICO全面禁止|日本経済新聞社)
このとき、イーサリアムは急落しています。

また、規制強化とは少し違いますが、別の法律が適用される可能性もあります。
現在、イーサリアムが組み入れられた投資信託の上場申請が行われて(参考:SEC)おり、もしこの申請が認められれば大量の資金がイーサリアムに流入してくる可能性があります。
しかしその反面、有価証券法などの法律についても遵守しなければならなくなることで、イーサリアム本来のプラットホームとしての利用に支障が出てしまう可能性もあるのです。
仮想通貨全体の値動きの影響は大きい
イーサリアムの値動きは、ビットコインをはじめとした他の仮想通貨の値動きと連動していることがほとんどです。
過去半年のイーサリアムとビットコインのチャートを重ねたものを見てみると、多少のずれはあれども同じような値動きになっています。

そのため、イーサリアム関連のニュースや報道だけではなく、ビットコインや他の仮想通貨に対する報道などもイーサリアムの価格に影響を与えることでしょう。
3. イーサリアムが活用される分野
イーサリアムは、そのプラットホームとしての実力と知名度によって様々な分野で活用されようとしています。
アプリケーション開発
イーサリアムはスマートコントラクトを実装したパイオニアということもあって、そのシェアとブランド力は随一です。
2019年、代表的なスマートコントラクトプラットホーム6つ上で1445の新たなDAPPSが稼働開始しています。
その中の48パーセントである690のDAPPSがイーサリアム上で動作するものでした。
(参考:Dapp.com 2019 Annual Dapp Market Report)
また、国内企業が代理店となってDAPPS開発ソリューションを販売しており、国内のDAPPS開発の土壌も育ちつつあります。
(参考:国内初、イーサリアムのブロックチェーン基盤である「PegaSys Plus」を販売開始|株式会社日立ソリューションズ)
不動産投資
イーサリアムは資産管理での活用も試みられています。
2019年、イーサリアムのブロックチェーンを活用した物件の権利売買がフランスで行われました。
(参考:評価額8億円相当の不動産、フランス初ブロックチェーン上で売買成立——米Forbes誌報道|仮想通貨Watch)
不動産の所有権をトークン化してイーサリアムネットワーク上に記録し、そのトークンの所有権をスマートコントラクトを使って売買したわけです。
もう少し詳しく説明すると、不動産取引に関わる種々の手続きをスマートコントラクトで実装したことで、それぞれの手続きを第三者の監視がなくても正しくかつ自動的に実行できたのです。
金融
イーサリアムを利用した分散型金融(DeFi:Decentralized Finance platforms)のサービスを提供するプラットホームの1つとして、イーサリアムが利用されています。
例えば、イーサリアムを利用したレンディング(融資・貸し付け)サービスがすでに稼働しており、2020年6月17日時点では10億ドル相当のETHが保管されているのです。(参考:Defiplus)
エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(EEA)
イーサリアムをビジネスやサービスに活用するためには、各業界や団体の垣根を越えて相互運用可能なブロックチェーンが不可欠です。
そのための標準化規格を研究・策定しているのが、エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(EEA/Enterprise Ethereum Alliance)です。
EEAには次のような企業が参画してビジネスやサービスに活用する研究が行われており、イーサリアムをベースとしたブロックチェーンの仕様やテスト環境が公開されています。
まとめ
イーサリアムは2020年6月時点で時価総額が世界2位となっているメジャーな仮想通貨であり、プラットホームとしての機能によってただの通貨以上の可能性を秘めています。
- イーサリアムはスマートコントラクトのパイオニア
- イーサリアムはオフチェーンの活用で高速かつ安価になる可能性がある
- イーサリアム2.0でコンセンサスアルゴリズムがPoSになり、高速になる可能性がある
- 各国の法規制によって価格が大きく動く可能性がある
- 他の仮想通貨と同じような値動きになっている
- イーサリアムは分散型アプリケーション開発、不動産、金融などに活用されている
イーサリアムはまだ完全形ではなく、イーサリアム2.0やそれに続くイーサリアム3.0へと向かうロードマップが敷かれています。
今後も変化していくであろう仮想通貨を取り巻く環境の中で、イーサリアムも変わっていくことは必至です。将来性を見極めるためには、現在の強みだけでなく変化についてもとらえていくことが重要といえるでしょう。
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