
イーサリアムのトークンは誰でも発行できることをご存知ですか?
現在イーサリアムのトークンは、非常に多く存在しています。中には短期間で数十倍や数百倍に高騰したものもあるため、2018年は投機対象としてかなりの注目を浴びました。
こちらの記事ではそんなイーサリアムのトークンを発行する方法を解説します。
また、後半ではトークンを通して資金調達が成功した事例を挙げ運用の難しさについても触れていきます。
目次
1. 【簡単】「Token Factory」でトークンを発行
イーサリアムのトークンの中でも特に簡単に発行できるのが、ERC20という規格に準拠したトークンです。
「Token Factory」というWebサービスを使いトークンを発行してみましょう。
トークンの発行には手数料として、ETHが必要になります。最低でも0.03ETH(400円程度*1)程度はないとできませんので、事前に入手しておかなければいけません。注意してくださいね。
*1)2019年3月現在
「Token Factory」を使って簡単に発行する手順
「Token Factory」では、15分もかからずに独自のトークンを発行することができます。
条件、準備
- パソコンが必要
- ブラウザは「Google Chrome」「Fire Fox」「Opera」「Brave」のいずれかであること
- 0.03ETH以上持っていること
手順1 MetaMaskをインストールして、手数料を入金する
手順2 Token Factoryでトークンを作成する
手順3 EtherScanで、トークンを確認する
手順4 トークンをウォレット(MetaMask)へ送金する
手順5 MetaMaskへトークンを登録する
手順1: MetaMaskをインストールして、手数料を入金する
MetaMaskはブラウザ拡張ツールです。公式サイトから自分の使っているブラウザを選択して、インストールページへ移ります。
こちらの記事ではGoogle Chromeを使います。chromeウェブストアへ移るので、右上の「Chromeに追加」ボタンをクリックしてください。
MetaMaskがブラウザにインストールされます。
「続行」ボタンを押すと、ログイン用パスワードの設定へ遷移します。8桁以上のパスワードを設定して先へ進みます。
画像やプライバシーポリシー、規約などを確認したあと、「Secret Backup Phrase」という画面に移ります。
赤枠の「CLICK HERE TO REVEAL SECRET WORDS」をクリックし、表示される文字をメモ書きで保管しましょう。
この文字列はウォレットの復元用のフレーズです。もしブラウザ上からウォレットを削除してしまった場合でも、このフレーズがあればウォレットを復元することができます。
重要な文字列ですので誰にも見られないようにし、オフラインで管理しましょう。
復元用のフレーズの確認が済むと、入金を促す画面になります。
「アカウントを見る」をクリックするとアドレスが表示されます。こちらへ送金することで、MetaMaskへ入金されます。
入金が完了すると上のような画面になります。これで準備完了です。
「Etherを振込」の画面で入金しなかった場合は、この画面へ遷移します。「振込」をクリックすると振込先のアドレスが表示されますので、いつでも取引所やウォレットからそのアドレスへ送金することで入金できます。
手順2: TokenFactoryでトークンを作成する
次に、TokenFactoryへアクセスして、トークンの作成を行います。
右上の「Create Token Contract」をクリックしてください。
MetaMaskをインストールしていないと、以下のように「YOU ARE OFF LINE」と表示されています。
この状態ではトークンの作成はできませんので、先にMetaMaskをインストールしておきましょう。
「Create Token Contract」をクリックすると、以下のようなトークンの設定画面になりますので、この画面の項目をすべて埋めましょう。
それぞれ、次のような値です。トークンの内容に沿ったものを入力してください。
total supply | 総発行枚数(何枚発行するか) |
name | トークンの名前(アルファベットのみ) |
decimal places | 最小単位(小数点以下の桁数:18桁まで) |
symbol | トークンの通貨単位 |
今回は以下のようなトークンを作成してみます。
total supply:100,000,000(1億枚)
name:WorldWarShipCoin
decimal places:4
symbol:WWSC
total supply(発行枚数)は、最小単位のトークンの枚数です。decimal places4であれば、0.0001symbolが最小単位になります。発行される金額は、合計で「最小単位×発行枚数」symbolということになりますので、必ずいくら発行されるのか確認しておきましょう。
上記の設定では発行枚数が1億枚なので、総発行金額が100,000,000×(0.0001)=10,000WWSCとそれなりの金額になります。
例えば、WorldWarShipCoinの総発行枚数(total supply)を100枚にした場合、発行される金額は、100×0.0001=0.01 WWSCと、1WWSCに満たない金額になってしまいます。これでは使い勝手が良くありませんね。
「Create Token」をクリックすると、手数料の支払い画面に移ります。初期値は、最小金額の0.02ETHになっています。そのままで「確認」をクリックしましょう。
作成が開始されると「Create Token」のボタンが「Creating Token. Awaiting Confirmation」になります。
しばらくすると、MetaMaskから完了の通知があります。以下のような画面に変われば作成完了です。
手数料の支払い画面でGAS FEEを増やせば、作成する時間が早くなりますが、現状は遅くても10分から15分程度でできますので0.02ETHで大丈夫でしょう。
手順3: EtherScanでトークンを確認する
「EtherScan」というイーサリアム上のすべての取引を確認できるサイトで、今回作ったトークンが無事に作れているかを確認します。
「EtherScan」には、MetaMaskから遷移するほうが簡単です。矢印をクリックすると、今回作ったトークンの詳細を確認することができます。
「TxReciept Status」がSuccessになっていれば、問題ありません。「To:」の行でリンクになっている部分が、今回作ったトークンのコントラクトアドレスです。
手順4: トークンをウォレットへ送金する
作成したトークンは、そのままではTokenFactory内にあって利便性が良くありません。ウォレットへ送金し使いやすい状態にする必要があります。
MetaMaskもウォレットですので、今回はMetaMaskへ送金します。セキュリティを考慮するのであれば、ソフトウェアウォレットやハードウェアウォレットへ送金することをおすすめします
まず、Token Factoryで、作成したトークンのページへ戻ります。
先ほど開いたページを閉じてしまっていた場合は、Token Factoryのページの上部にある「Interact With Token Contract」の画面へ遷移しましょう。
作成したトークンのコントラクトアドレスを貼り付け、「Go To Token」をクリックすれば、トークンのページを表示できます。
Transfer WorldWarShipCoinに送金先のアドレス(今回はMetaMaskのアドレス)と送金するトークンの枚数を入力して、「Transfer Amount」をクリックします。
手数料の確認画面になりますので、送金したい枚数と手数料の金額を確認してから「確認」をクリックしてください。しばらくすると送金されます。
手順5:MetaMaskへトークンを登録する
ウォレットへトークンを送金しただけではMetaMaskで確認できません。MetaMaskへトークンを登録しましょう。
「トークンを追加」をクリックしてください。
トークンアドレスに、コントラクトアドレスを貼り付けます。すると、トークンシンボルと小数点桁数が自動入力されますので、「次へ」をクリックします。
作成したトークンが表示されます。
「トークンの追加」をクリックすれば、ウォレットでトークンが表示されるようになります。
独自トークンの作成と送金が完了しました。
最初にETHの支払いが必要ですのでコストはかかりますが、トークン発行の敷居の低さを感じていただけたと思います。
2. 【上級者向け】プログラムによる独自トークン発行
Token Factoryで作成したトークンには最低限の送受信や集計などの機能しかありません。しかし自分でプログラムすれば、より多機能な独自トークンを発行することが可能です。
2-1. Solidityでイーサリアム上のトークンを作成する
「Solidity」というプログラム言語を使って、自分の目的に合ったERCに準拠したトークンを作る方法もあります。
現在トークンの規格であるERCはいくつも採用されています。そのため、目的に合ったERCがあれば、ウォレットなどは既存のものを利用できる独自トークンを作ることが可能です。
しかし、セキュリティへの配慮をしたプログラムにしなければいけませんので、プログラムの力量が必要になってくるでしょう。
誰でもそのプログラムをコピーしてきて、自分の好みに合った形に改造して公開することができるのです。
*2)2018年12月の仮想通貨交換業等研究会による報告書において、呼び名を「暗号資産」とする内容が取りまとめられました(参考|「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)議事次第)
2-2. 独自トークン(仮想通貨)の発行方法ごとの違い
ここまでで紹介したトークンや仮想通貨の発行方法について、メリットとデメリットを簡単にまとめておきます。
カスタム性 | 手軽さ | |
Token Factoryを利用 | △ | ◎ |
Solidityを使ってプログラムする | ○ | × |
※「カスタム性」は、トークン(仮想通貨)の仕様を決められる度合い、「手軽さ」は発行までの手間を表しています。
Token Factoryを利用して発行するトークンはERC20以外に選択できません。Solidityを使いプログラムして作成する方がカスタム性の高いトークンが作れます。
しかしERC20は最低限の仕様しか決められていませんので、その仕様がトークンのビジネスモデルに与える影響は少ないとされています。そのためToken Factoryを利用したトークンのカスタム性は「×」ではなく「△」としました。
3. トークンを発行することがゴールではない
ERCトークンは、簡単に発行できるということや数億円の資金調達に成功したという例もあることから多数発行され、現在1万~2万種類あると言われています。
しかし実際に資金調達に成功しているのは、「目的」や「コンセプト」「実現するサービスやプロダクト」などに将来性や魅力があるもの、具体的に利用者が利益を得られるものばかりです。
むやみに「トークンを発行する」ということを目的にしても利益を得られるわけではありません。具体的で実現性のあるものでなければ、投資家からは目を向けられず企画倒れとなります。
また、目的やプロダクトを固めトークンを発行し投資家を集めたもののプロジェクトが進まないものもあります。このような状況だと、興味を持ちトークンを購入した投資家からは不満の声があがるでしょう。
このような行為を意図的に行うようなトークンは詐欺コイン、あるいはスキャムコインと呼ばれます。
日本国内では現在、トークン、特にICOの法規制について議論が重ねられています。今後トークンを作ることはできたとしても、流通させることに関してハードルが上がるでしょう。
4. 様々なトークンの事例
実際に発行されているトークンの中で資金調達に成功し価格が上昇したトークンや、反対に価格が暴落したトークンの例を挙げます。
4-1. 仮想通貨取引所が発行しているお得なトークン
イーサリアムのトークンの中で時価総額1位なのは、海外の仮想通貨取引所「Binance」が発行しているトークン「バイナンスコイン(BNB)」です。
BNBが成功した理由は、「明確な利益」と「投資対象としての魅力」が両立したことと、それによって「他の仮想通貨の流動性を助ける」という総合的な魅力にもつながったこと。
BNBの発行元であるBinanceで取引を行う場合、取引手数料をBNBで支払うことで、手数料が最大で50%割引きになります。
手数料は仮想通貨取引の利益を圧迫する要因の一つですから、これは極めて具体的な「利益」と言えます。BNBを購入する動機としては十分な強さを持っていると言えるでしょう。
それだけではなく、BNBはBinanceによって四半期に1度、利益の20%に当たる額が買い戻され、破棄されています。この施策によりBNBのインフレが防がれ、BNBを投資対象として成立させているわけです。
4-2. サービスやプロダクトなどが明確で具体的なトークン
「明確なコンセプト」や「分かりやすいサービス」は利用シーンを想像しやすく、投資家の心を動かします。
そういった意味で成功したのが「OmiseGo(OMG)」でしょう。
OMGの時価総額はERC20トークンの中で第6位となっており、他のトークンと比較しても安定した値動きをしています。
OMGが実現したのは、「東南アジア全域での電子決済インフラの構築」と「銀行口座を持てない人たちに対する、電子決済の手段の提供」という2点です。
東南アジアの70%にも及ぶと言われている「銀行口座を持てない人たち」にも電子決済の道を開くという理念が、投資家の共感を得た結果とも言えます。
OMGはこれらの施策を「通貨や資産のタイプを問わない、次世代の資金転送サービスを提供」するというコンセプトの元に実施、具体的な形にしました。
このコンセプトを実現できることを裏付ける親会社の存在もポイントです。OMGの発行企業の親会社であるOmiseホールディングスは、タイやシンガポールなどで決済サービス「Omise」を展開しています。
OMGには決済サービスを展開するための土台が存在しており、その実現性が高いと判断されたと言えます。そのため多くの投資家がOMGに投資したわけです。
4-3. 一時的に価格が高騰したが、その後、暴落したトークン
発行後に暴落し元の価格を取り戻していないトークンもあります。ここからは日本で話題になった2つのトークンを紹介しましょう。
4-3-1. 流行に乗って投機目的に購入されたトークン
2018年にICOされた「パトロン(PAT)」というERC20トークンを紹介しましょう。
PATは「インフルエンサー」と呼ばれる、SNS上で話題を作っていくYoutuberやタレントなどの人々と、企業など広告主とを結ぶインフラとして構想されました。
SNSという大きな市場を狙ったことで話題になり、キャンペーンなどの広告展開もあって、PATはICO直後に高騰しました。しかしその後すぐに暴落し、最終的にはICO価格の10分の1程度になっています。
この激しい値動きの原因は、過剰と言えるほどのキャンペーンだったと言われています。
ネットビジネスでの著名人がそのノウハウを生かして広告を展開し、一時的な流行とも言える状況を作り出しました。トークンの目的や利用方法・商品価値ではなく、「高く売れる」という心理から買われたわけです。
同じことをしようとした人が多数集まったことで一気に価格は上昇しましたが、初期に購入した人たちが利確で売り抜けた為に暴落しました。
このような急激な値動きは「イナゴ」とも呼ばれています。
4-3-2. 曖昧なホワイトペーパーで、目標を実現できていないトークン
2018年に話題になったERC20トークンに「スピンドル(SPD)」があります。「GACKTコイン」と言ったほうが通じるかもしれません。こちらもICO直後に大暴落し、現在も低迷したままになっています。
SPDのホワイトペーパーには、「SPDは改ざん不可能な透明性の高い情報を持つ、投資や運用を行うプラットフォームで利用され、世界に点在する仮想通貨ヘッジファンドを自由に選択・投資が実行できる」といった記載があります。
一見新たなソリューションのように読めますが「ブロックチェーンを使って、世界中の仮想通貨取引所でやりとりできる」という仮想通貨としては当たり前のことが書いてあるだけでした。
そしてこのシステムも現在開発が止まっています。
ホワイトペーパーには実際のヘッジファンドとつながることや、クレジットスコア(クレジットカードの信用情報)の自動評価などの構想も記載されています。しかし既存のシステムとの接続や代替には相応の資金が必要となるでしょう。
当初大きな理想を掲げましたが、資金が目標に達せず結果として頓挫している状態ということです。
5. なぜトークンを誰でも発行できるのか?
イーサリアムのトークンは、なぜ誰でも発行できるようになっているのでしょうか?
その理由は、イーサリアムのプラットフォームが、そのプラットフォーム上で実現できることに制限を設けていないから。
誰でもトークンを発行したり、アプリ(Dapps)を作成したりできるようになっています。
そのことを「チューリング完全(どんなことでもプログラムして実現できる柔軟性)」と呼びます。
そして「チューリング完全」で実現されたことの1つが、トークンという新たな通貨だったわけです。
イーサリアムの機能が「トークンを発行すること」を目的に作られたわけではありませんが、トークンの発行が容易なプラットフォームとして設計されているということです。
まとめ
イーサリアムのトークンを発行することはToken Factoryを利用すれば、誰でも簡単に行うことができます。Solidityを学習しプログラムしてトークンを作ると言う選択肢もあります。
しかしトークンを運用していくことは簡単ではありません。現在も活発に取引され継続しているトークンには、以下のような特徴があります。
- 具体的な利益を得られる
- コンセプトが明確である
- 集めた資金の使途に共感できる
- サービスやプロダクトが具体的で実現性が高い
イーサリアムは、誰でも制限なくアプリを作成しトークンを発行することのできるプラットフォームです。
プラットフォーム上ではすでに1万~2万種類ものトークンが発行されており、現在も様々な種類のトークンが新規発行され続けています。
トークンを発行することを考える上で、今後のトークンのあり方にも目を向けてみてくださいね。
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