
イーサリアムクラシックは名前だけでなく機能もイーサリアムとよく似ている仮想通貨(暗号資産)ですので、敢えてイーサリアムクラシックに投資するべきかを悩んでいる人もいるでしょう。
イーサリアムクラシックは、イーサリアムよりも厳格とも思えるような理念のもとに開発が進められている仮想通貨なのです。
そんなイーサリアムクラシック誕生の経緯やこれまでの歩み、イーサリアムとの違いを紹介します。
目次
1. イーサリアムクラシックとは
イーサリアムクラシックは、イーサリアムからハードフォークして生まれた仮想通貨です。そのため、基本機能は現在のイーサリアムととてもよく似ています
そんなイーサリアムクラシックについて、特徴や基本情報、誕生の経緯を説明していきましょう。
1-1. 概要
まずは、仮想通貨としての基本情報を紹介します。
ティッカー | ETC |
リリース日 | 2015年7月30日 |
発行上限 | 約2億1000万枚 |
時価総額 | 約876億円(世界第20位)* |
決済速度 | 約15秒 |
開発者 | Vitalik Buterin、Gavin Wood |
コンセンサスアルゴリズム | Proof of Work |
公式サイト | https://ethereumclassic.org/ |
ホワイトペーパー | – |
*:CoinMarketCap(2020年6月6日時点)
1-2. 誕生した経緯
イーサリアムクラシックは「TheDAO事件」と呼ばれるハッキング事件を契機にしたハードフォークによって誕生しました。
イーサリアムの開発を進めるイーサリアム財団は、TheDAO事件の被害者を救済するために、「事件が起きる前まで取引を巻き戻すハードフォークの実施」という手段を講じました。
しかし、この救済方法について次の点から反対を唱える勢力がいたのです。
- 一部の受益者のためのハードフォークは、中央集権的な検閲と同じである
- TheDAO事件とは関係のない取引まで影響を受けるのは公平ではない
これら異を唱えたグループは、ハードフォーク実施前の古いブロックチェーンを使ってマイニングを実行し続け、それがイーサリアムクラシックとなりました。
1-3. イーサリアムと違う点
イーサリアムからのハードフォークによって誕生したイーサリアムクラシックは、イーサリアムとは違う方向に歩み始めました。
その結果、いくつかの点でイーサリアムとイーサリアムクラシックはまったく違っています。
そんなイーサリアムとイーサリアムクラシックの違いを説明しましょう。
開発理念
イーサリアムクラシックの開発理念は、「Code is Law(コードが法である)」です。
これはイーサリアムクラシックのプログラムコードに書かれていることが大原則であり、コードが示す動作を守るためにだけハードフォークを行うべきだということを表しています。
バグやセキュリティ的な脆弱性への対策・機能のアップグレードの場合のみハードフォークが認められると考えれば分かりやすいでしょう。
契約や利益に直接影響を及ぼすようなハードフォークはコードが動作した結果であり、コードそのものに問題はありません。
問題のないコードを変更することはセキュリティに重大な影響を及ぼす可能性が否定できないのです。
イーサリアムクラシックは、ハードフォークにこうした制限を設けることで、よりセキュリティの高い仮想通貨を目指していると言えるでしょう。
発行上限
イーサリアムには厳密な発行上限はありませんが、イーサリアムクラシックには発行上限があります。
イーサリアムクラシックはこの発行上限の存在によって希少性が生まれ、イーサリアムクラシックへの資金流入が促されてプラットホームとしての発展が見込まれるのです。
また、ユーザーにとっても保有しているコインの希少性が上がることは資産価値を向上するという意味でプラスに作用することでしょう。
減少期
イーサリアムクラシックでは500万ブロックごとにマイニング報酬が20%減少する減少期が設定されています。
これはビットコインなどに存在する半減期と同じで、イーサリアムクラシックのインフレを防いで価値を保つ方向に力を向けてくれるしくみです。
PoWを継続する
イーサリアムクラシックのコンセンサスアルゴリズムは、PoWのまま継続されます。
これは、すでに10年にわたって稼働し続けている信頼性の高いシステムを敢えて変更する必要がないという「Code is Law」を踏襲した結論ではないでしょうか。
指摘されている種々の問題から目を逸らすのではなく、改善して解決しようという意図があるのかもしれません。(参考:CoinDesk)
イーサリアムはPoWを廃止してPoSへ移行することを表明していますので、この点はとても大きな違いになるでしょう。
2. イーサリアムクラシックのハードフォーク
イーサリアムクラシックは、誕生した後に何度かハードフォークを実施しています。
それらのハードフォークの内容とイーサリアムクラシックの価格へ与えた影響を見ていきましょう。
2-1. イーサリアムと袂を別ったハードフォーク
イーサリアムクラシックが生まれた後すぐに実施されたのは、仮想通貨ETCの「価値保全のための機能追加」と「PoSへ移行することを前提としていた機能の無効化」でした。
この2つのハードフォークによって、イーサリアムクラシックはイーサリアムとは違う仮想通貨として歩み始めたと言えるでしょう。
Gothamハードフォーク
2017年12月11日に実施された最初のハードフォーク「Gotham」は、イーサリアムになかった発行上限と減少期を追加するためのハードフォークです。
Gothamの実施によってイーサリアムクラシックの希少性の確保とインフレの防止が行われますので、価格への影響は大きかったと思われます。
チャートを見ると実際にイーサリアムクラシックの価格は高騰していますが、この時期は仮想通貨バブルに湧いていた時期でしたのでGothamがどの程度価格へ影響したのかは未知数です。
Bombの無効化
2018年5月29日には、マイニングの難易度を徐々に上昇させる「Difficulty Bomb」を無効化するハードフォークが実施されました。
このハードフォークはイーサリアムクラシックのマイニングを継続しているマイナーには朗報でしたが、価格には影響を及ぼしていません。
2-2. 2019年から立て続けに3度のハードフォークを実施
2019年以降に実施された3度のハードフォークは、これまでの2回のハードフォークと少し違っています。
Atlantis | イーサリアムの「ビザンチウム」ハードフォークの機能への対応と脆弱性対策の取り込み (2019年9月12日実施) |
Agharta | イーサリアムの「コンスタンチノープル」ハードフォークの機能への対応 (2020年1月12日実施) |
Phoenix | イーサリアムの「イスタンブール」ハードフォークの機能への対応 (2020年6月2日実施) |
これらはすべてイーサリアムで実施されたハードフォークの内容に対応しており、イーサリアムとイーサリアムクラシックが完全な互換性を持つようにするために行われたものなのです。
いたずらに反目するよりも、イーサリアムで培われた技術やDappsをイーサリアムクラシックで活用する方が良いと判断した結果かも知れません。
イーサリアムとの互換性を得るためのハードフォークは投資家にも受け入れられているようで、ハードフォークの前後に価格が上がっている傾向が見て取れます。
イーサリアム上で稼働しているDappsや開発用のツールをサポートすることができるようになったことが、イーサリアムクラシックの今後の発展を連想させたのかも知れません。
2-3. PoSには移行せず共存する
イーサリアムは今後もハードフォークを実施して最終的にPoSを実装しますが、イーサリアムクラシックはPoWを継続しますのですべてのハードフォークに追随することはできません。
ただし、Dappsやツールの互換性を保つ方向のハードフォークは実施することになるでしょう。
そうすることで異なるブロックチェーンで同じサービスを提供する開発者の負担を軽減でき、イーサリアムとイーサリアムクラシックの両方の発展が促されることになるからです。
イーサリアムクラシックは、反目するのではなく共存してイーサリアムと相互に影響しあって共に発展できる環境を作ろうとしているのかも知れません。
3. イーサリアムクラシックで使えるウォレット
仮想通貨へ投資するのであれば、ウォレットは必須ですので、イーサリアムクラシックで使用できるウォレットを紹介しましょう。
マイイーサウォレット
(参考:MyEtherWallet)
イーサリアムを利用している人の多くが使っているオンラインウォレットです。
秘密鍵をユーザーが管理する形式になっているため、オンラインウォレットの利便性と安全性が両立した使いやすいウォレットです。
MyCrypto
(参考:MyCrypto)
マイイーサウォレットの共同設立者が作ったオンラインウォレットで、同じような構造になっていますので使い勝手も安全性もほぼ同様でしょう。
イーサリアムであれば、スマートコントラクトを利用して送金をスケジューリングすることが可能になっています。
Metamask
(参考:METAMASK )
Google ChromeやFireFoxなどのブラウザの拡張機能としてインストールする形式のもので、Dappsゲームを利用するのに必須のウォレットです。
送金や残高確認などのウォレットとしての機能も十分で、スマホアプリも提供されています。
秘密鍵の管理はリカバリーフレーズを使っていますので、管理を徹底すれば安全に利用することができるでしょう。
4. イーサリアムクラシックの今後
イーサリアムと比べれば、イーサリアムクラシックはまだまだ時価総額が小さい(2020年6月6日時点で世界20位、CoinMarketCap)仮想通貨です。
しかし、将来的に大きく飛躍する可能性もゼロではありません。
4-1. イーサリアムのPoS移行の影響
イーサリアムがPoSへ移行すると、イーサリアムでマイニングをしていたマイナーたちは機材などに投資した資金の回収が必要になるでしょう。
そのため、その何割かは同じ機材でマイニングを継続できるイーサリアムクラシックへ移動してくるかも知れません。
マイナーの増加はセキュリティの強化を意味しますので、イーサリアムクラシックへの信頼性が向上して利用者の増加や価格上昇の要因になる可能性があるのではないでしょうか。
4-2. IoTの技術基盤を目指している
イーサリアムクラシックの目標は、イーサリアムと同じくDappsのプラットホームです。
しかし、イーサリアムクラシックは同じプラットホームでもIoT(Internet of Things)の技術基盤へとその軸足を移しています。(参考:GRAYCALE)
利便性を高くして幅広い環境のプラットホームを目指すイーサリアムに対して、イーサリアムクラシックはセキュリティを強化してIoTという新たな市場を目指しているわけです。
IoTはまだまだ発展途上の分野ですので、イーサリアムクラシックはその発展に従って拡大する可能性を秘めているのかもしれません。
5. イーサリアムクラシックが買える取引所
イーサリアムクラシックを取り扱っている国内取引所は3つあります。(2020年6月1日時点)
それぞれ簡単に紹介しましょう。
コインチェック
(参考:コインチェック)
取引方法 | 手数料 |
販売所形式(現物) | 無料 |
積立 | 無料 |
コインチェックはイーサリアムクラシックを含む12種類の仮想通貨を取り扱っている取引所です。
イーサリアムクラシックは販売所形式での取引となりますので初心者でも簡単に購入することができます。
また「コインチェックつみたて」サービスにイーサリアムクラシックが対応しており、定期的に購入して資産形成を目指すことも可能です。
bitFlyer
(参考:bitFlyer)
取引方法 | 手数料 |
販売所形式(現物) | 無料 |
仮想通貨サービスの利用率ナンバー1と称している取引所で、ビットコインの取引高は国内取引所で1位になっています。(2020年6月6日時点、CoinMarketCap調べ)
イーサリアムクラシックは販売所形式での取引でのみ扱っていますので、初心者でも迷わず購入できるでしょう。
DMMビットコイン
(参考:DMMビットコイン)
取引方法 | 手数料 |
販売所形式(FX) | ロールオーバー時に0.04%/日 |
DMMビットコインはFX取引(レバレッジ取引)が行える仮想通貨の種類が多い取引所です。
イーサリアムクラシックについても、ETC/JPN、ETC/BTC、ETC/ETHの通貨ペアでFX取引を行うことができます。
※なお、DMM Bitcoinビットコインではイーサリアムクラシックがイーサクラシックと表記されています
まとめ
イーサリアムクラシックは、「Code is Law」という理念に基づいて開発されている仮想通貨です。
その理念によってシステムの改善や改修でのみハードフォークが行われることで、イーサリアムクラシックはシステム的なセキュリティの高さを生み出しました。また、そのセキュリティの高さを活かすために、IoTの技術基盤という具体的な目標まで掲げられています。
- イーサリアムクラシックはイーサリアムからハードフォークして生まれた
- イーサリアムクラシックの理念は「Code is Law」
- イーサリアムクラシックには発行上限と減少期がある
- イーサリアムクラシックはPoWを継続する
- イーサリアムクラシックはPhoenixハードフォークを経てイーサリアムと互換性を持った
- イーサリアムクラシックはIoTの技術基盤を目指している
イーサリアムクラシックは、ただイーサリアムからハードフォークしたのではなく、イーサリアムとは一線を画した独自の理念と独自の目標を持った新たな仮想通貨なのです。
そんな理念と目標に将来性を感じるのであれば、投資対象として検討してみても良いかもしれません。
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