
ハードフォークとは、仮想通貨(暗号資産*)のアップデートのことです。
価格に与える影響も大きく、その内容を理解することは投資をするうえで非常に重要です。
今回の記事では、ハードフォークの概要から、実際のチャート例を基にした価格への影響まで、詳しく解説していきます。
*2019年5月、呼び名を「暗号資産」とする改正資金決済法が可決されました(参考|日本経済新聞)
目次
1. ハードフォークって何?
この項目では、ハードフォークの概要や、ソフトフォークとの違いなどを確認していきます。
1-1. 仮想通貨のアップデートのこと
ハードフォークとは、仮想通貨のアップデートのことです。
具体的には、取引を記録するブロックが、旧仕様と互換性のない新しい仕様へ変更されます。
ハードフォークによっては通貨が付与される
コミュニティ内で意見が食い違った場合などに、反対派の人たちが旧仕様(または新仕様)のブロックを使い新しい通貨を作成することがあります。
このとき、分岐前の仮想通貨の保有数に応じて新しい仮想通貨が付与されます。
世界5位の取引高を誇るビットコインキャッシュ(BCH)や、bitFlyerなどで取り扱いのあるイーサリアムクラシック(ETC)も、コミュニティ内の意見の違いから誕生したコインです。
▶【まとめ】ビットコインからハードフォークしたコインと価格への影響
▶「原因と歴史」イーサリアムの計画された分裂と騒動による分裂について
1-2. ソフトフォークとハードフォークの違い
ソフトフォークは、通常のアップデートのことです。ハードフォークと違い、旧仕様のブロックと互換性がある点が特徴です。
一時的な分岐が発生することもある
新しい仕様の周知が間に合わなかった場合などに、旧仕様でマイニングが行われブロックがつながってしまうことがあります。
しかしその場合も「チェーンの長いほうが正として生き残る」という性質のため、基本的には旧仕様のブロックは消滅します。
2. ハードフォークの価格への影響
ここからは、ハードフォークが価格へどのような影響をあたえるか確認していきます。
2-1. 計画的ハードフォークでは上昇
上昇した例として、計2回に分けて行われたイーサリアムのハードフォーク「メトロポリス」完了後のチャートを見てみましょう。

メトロポリスの後半にあたる「コンスタンティノープル」は、2019年3月1日に完了しました。
価格は完了前に一時的に上昇と下落が起こっていますが、4月以降は大きく上昇していることがわかります。
これらを踏まえると、中長期的な視点では、計画的に行われたハードフォークは価格へ良い影響を与えているようです。
▶ビットコイン価格が上昇する仕組みとは? 7つのサインを見逃すな!
▶【総まとめ】イーサリアムの大型アップデート「ハードフォーク」とは
2-2. 意見が対立したハードフォークでは下落
価格が下落した例として、2018年11月16日に行われたビットコインキャッシュのハードフォークがあります。

このハードフォークでは、アップデートに関してコミュニティ内で意見が対立したことで、反対派の人たちが旧仕様のブロックを使い、ビットコインSVという新しい仮想通貨を作りました。
11月16日のハードフォーク前から価格が下落していますが、ハードフォーク完了後もさらに下落しています。
コミュニティの内紛が投資家心理にネガティブに働き、価格へも悪い影響を与えたようです。
3. 2019年のハードフォーク今後の予定
ここからは、2019年の今後のハードフォークの予定を確認していきましょう。
3-1. ビットコインキャッシュは11月に予定
ビットコインキャッシュは、2019年11月15日にハードフォークを予定しています。
実施予定日 | 2019年11月15日 |
主な実施内容 |
|
新通貨付与の有無 | 現状予定なし |
このハードフォークでは、スケーラビリティの改善やセキュリティの向上がメインの目的として行われます。
新通貨の付与は現在予定されていません。
(参考)
Bitcoin ABC|Prepare for the Bitcoin Cash protocol upgrade with Bitcoin ABC 0.20.0
3-2. イーサリアムは11月に予定
実施予定日 | 2019年11月 |
主な実施内容 |
|
新通貨付与の有無 | 現状予定なし |
イーサリアムは「イスタンブール」と呼ばれているハードフォークが予定されています。
2019年10月2日にテストネットでのハードフォークが完了しており、メインネットの立ち上げは11月中になると予想されています。
(参考)
eth.wiki|Istanbul
COINTELEGRAPF|仮想通貨イーサリアムのハードフォーク「イスタンブール」実行、テストネットの分裂を引き起こす
4. ハードフォーク発生時の注意点
ハードフォーク発生時には、いくつか気をつけておきたいことがあります。
ここからは、それらの注意点をまとめて確認していきます。
4-1. 資産の移動は慎重に
ハードフォークはブロックチェーンの仕様を変えるため、ネットワークは一時的に不安定な状態となります。
送金をしても届かなかい場合もあり、資産を紛失してしまう恐れもあります。
そのため、ハードフォークの前後では資産の移動を慎重に行うか、または移動自体を行わないようにしましょう。
4-2. 取引所の対応を確認しよう
ハードフォーク時には、取引所が公式ページで対応を発表します。
確認しておきたい主なポイントは、以下の2点です。
確認すべきポイント
① 入出金停止の有無
② 新通貨の付与について
① 入出金の停止
ハードフォーク前後の入出金は、ほとんどの取引所で一時的に停止対応が行われます。
ネットワークの安全な稼動が確認されてから、再開手続きが行われるのが一般的です。
② 新通貨の付与について
新通貨が誕生する場合は、取引所によってその対応が異なります。
新通貨をそのまま付与することもあれば、新通貨の取引価格に基づいて日本円で付与することもあります。
2018年11月に実施されたビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークの際は、コインチェックをはじめ複数の取引所で分岐したビットコインSV(BSV)に相当する日本円が付与されました。
Coincheck|BitcoinSVの日本円による交付について
4-3. 付与分の税金は?
ハードフォークで付与された通貨について、付与されただけでは税金はかかりません。売却または交換時に利益として計上することになります。
その際、取得原価(経費)は0円として計上します。
▶【2019年版】利確で税金発生!仮想通貨の節税方法、計算ツール紹介(分裂で利益を得た場合の計算方法)
まとめ
以上、ハードフォークについて解説してきました。
あらためて、この記事のポイントを確認しておきましょう。
- ハードフォークは仮想通貨のアップデートのこと
- ハードフォークは中長期的に価格にプラスに作用する
- 意見の対立によるハードフォークは価格にもマイナスに作用する
- ハードフォーク時には資産の移動に注意する
ハードフォークは法定通貨にはない、仮想通貨特有のアップデートです。
注意点などに気をつけながら、トレードなどでうまく活用してみてくださいね。