
逆三尊は相場の世界で長年にわたって利用されてきた、代表的なチャートパターンです。仮想通貨(暗号資産)取引においても、利益を出すことに役立ちます。
今回の記事では、逆三尊の概要から具体的な使い方まで、わかりやすく解説していきます。(コインペディアでは、外資系戦略コンサルタント出身の現役トレーダーによる相場戦略を公開しています。)
目次
1. 逆三尊はトレンド転換を示すチャートパターン
逆三尊を一言でいうと、下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示すチャートパターンです。
また、似たようなチャートパターンで、上昇トレンドから下降トレンドへの転換を示すものを三尊と呼びます。
この項目では、三尊と逆三尊の基本的な情報から具体的なエントリーポイントなどを確認していきます。
1-1. 三尊・逆三尊の基本情報
読み方 |
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英語 |
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わかること | トレンドが転換する可能性があること |
出現する相場 | 上昇トレンドや下降トレンドの相場 |
向いている人 | 取引に慣れてきた中級者から上級者 |
三尊・逆三尊は、相場における代表的なチャートパターンの1つです。
明確な上昇トレンドや下降トレンドの相場で出現するのが一般的で、取引に慣れてきた中級者から上級者に向いています。
三尊は3つの山で構成される
三尊では、価格が3つの山を形成するような動きをします。
左右の山のことを「エッジ」と呼び、3つの山の折り返しとなる価格帯のことを「ネックライン」と呼びます。
逆三尊は3つの谷で構成される
逆三尊では、価格が3つの谷を形成するような動きをします。
左右の谷のことを「エッジ」と呼び、3つの谷の折り返しとなる価格帯のことを「ネックライン」と呼びます。
1-2. 三尊・逆三尊のエントリーポイント
ここからは、三尊・逆三尊が出現した時のエントリーポイントについて確認していきます。
三尊のエントリーポイントはネックラインを下回ってから

三尊のエントリーポイントは、右のエッジが構成されてからネックラインを下回ったタイミングです。
上記のチャート例でも、ネックラインを下回ったタイミングから価格が下落していることがわかりますね。
エッジの高値では上下どちらに進むかわからないので、明確にネックラインを下回ってからエントリーを行いましょう。
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逆三尊のエントリーポイントはネックラインを上回ってから

逆三尊のエントリーポイントは、右のエッジが構成されてからネックラインを超えたタイミングです。
上記のチャート例でも、エッジ形成後にネックラインを超えてから価格が大きく上昇していることがわかりますね。
エッジの底では上下どちらに進むかわからないので、明確にネックラインを超えてからのエントリーをおすすめします。
1-3. 三尊・逆三尊の決済ポイント
エントリーポイントを決めるだけでなく、合わせてどこで決済をするかを決めておくことも重要です。
ここからは、三尊・逆三尊における決済のポイントも確認していきましょう。
三尊の決済ポイントは最高値とネックラインの2倍地点

三尊の決済ポイントは、最高値からネックラインに対して2倍の値幅のあたりです。
上記の画像でも、三尊が形成されてから、最高値から約2倍の値幅のあたりまで続落していることがわかります。
逆三尊の決済ポイントは最安値とネックラインの2倍地点

逆三尊の決済ポイントは、最安値からネックラインに対して2倍の値幅のあたりです。
上記の画像ではやや上振れはしていますが、逆三尊の形成後、最安値から約2倍の値幅のあたりまで上昇していることがわかります。
2. 三尊・逆三尊で利益を出すコツ
ここからは、三尊・逆三尊で利益を出すコツについて確認していきましょう。
2-1. ネックラインを意識したトレードを心がけよう
三尊や逆三尊が出現しても、必ずトレンドが転換するわけではありません。
ネックラインを明確に超えない限り、エントリーをするのは危険です。
そのため、三尊や逆三尊が出現時には、ネックラインを常に意識してトレードをするよう心がけていきましょう。
2-2. 他の指標や理論を併用しよう
三尊や逆三尊と他の指標や理論を合わせることで、さらに精度の高いトレードを行うことができます。
今回は併用したいおすすめの指標・理論として、フィボナッチ・リトレースメントとエリオット波動を紹介したいと思います。
買いや売りの戻り水準を予想する「フィボナッチ・リトレースメント」
フィボナッチ・リトレースメントは、自然界の現象を基にした指標です。
トレンドの始点と終点を結ぶことで、どれくらいの水準まで買い戻しや戻り売りが行われるかの判断目安として使います。
実際にフィボナッチを使われている例を見た方がわかりやすいので、下記の三尊出現時のチャート画像をご覧ください。

フィボナッチで使われる水準の目安となる数値は、0.236、0.382、0.5、0.618、0.786の5つの数値です。
上記の画像では、三尊が出現した後に価格が下落していますが、フィボナッチにおける目安となる0.786の水準まで価格が下落しています。
加えて、この価格帯は三尊の決済目安となる、最高値からネックラインまでの価格幅の約2倍の水準にあたります。

フィボナッチを使うことで、三尊出現後に決済する根拠の信頼性をさらに高めることができました。
逆三尊においても同様で、フィボナッチを活用することで決済の根拠をさらに高めることができます。
フィボナッチ・リトレースメントの表示方法
フィボナッチ・リトレースメントは、移動平均線などのインジケーターではありません。表示するときは「描画ツール」などのメニューから利用しましょう。
TradingViewの場合は、左のツールバーの中から選択できます。
価格の動きを波で捉える「エリオット波動」
エリオット波動は、相場における価格変動を、5つの上昇波(または下落波)と3つの調整波で捉える理論です。
実際にチャートを見た方がわかりやすいので、価格上昇におけるエリオット波動の例を見てみましょう。

1〜5までの5つの上昇の波と、A〜Cの3つの下落の調整波が出ていることがわかりますね。
それと同時に、5波目の最高値を起点として三尊が形成されていることがわかります。
また、三尊が出現したことで、A〜Cの調整波の出現後に、決済の目安となる最高値とネックラインとの2倍の値幅まで価格が下落していることもわかります。

このように、上昇のエリオット波動の出現時には、三尊が形成されやすくなっています。
今回の例では上昇のエリオット波動でしたが、下落のエリオット波動(5つの下落波と3つの調整波)も存在し、その場合には逆三尊が形成されやすい傾向があります。
三尊や逆三尊の判断材料の1つとして、活用していきましょう。
エリオット波動の表示方法
エリオット波動も、フィボナッチ・リトレースメントと同じく描画ツールを利用します。
3. 三尊・逆三尊と類似したチャートパターン
ここからは、三尊と逆三尊に類似したチャートパターンを確認していきましょう。
3-1. 三尊と類似した「ダブルトップ」
ダブルトップは、三尊と類似したチャートパターンであり、主に上昇トレンド中に出現します。

ダブルトップが出現した後は、ネックラインを超えたタイミングで価格が下落する可能性が高まります。
売り時の1つの目安として、覚えておきましょう。
3-2. 逆三尊と類似した「ダブルボトム」
ダブルボトムは、逆三尊と類似したチャートパターンであり、主に下落トレンドの時に出現します。

2つの谷底を形成するような形が特徴で、ネックラインを超えたタイミングで上昇トレンドに転換しやすい傾向があります。
買い時の1つの目安として、覚えておきましょう。
まとめ
以上、逆三尊について解説してきました。この記事のポイントを、あらためてまとめておきましょう。
- 逆三尊はトレンドの転換を示すチャートパターンである
- ネックラインを意識してトレードを行うことで、効率的に利益を狙える
- フィボナッチやエリオット波動を併用して、分析をさらに深めよう
逆三尊は株式市場など、相場の世界で長年にわたって利用されてきました。
積極的に活用して、利益を狙ってみてくださいね。
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