
あなたはホットウォレットを危険なものだと思っていないでしょうか? あるいは、危険と言われて理由もよく分からずに不安を感じていませんか?
ホットウォレットは常にハッキング等の危険にさらされているのは事実です。というのも、頻繁に取引を行う場合は、インターネットに繋げておく必要があるためです。
しかし、仮想通貨の安全性は秘密鍵で担保されているわけですから、ホットウォレットでも秘密鍵の管理がしっかりしているサービスを選べば、ハッキングリスクを下げることができます。
さらなる安全性が欲しければ、あなた自身で秘密鍵を管理できる方法やマルチシグ(マルチシグネーチャー)対応のサービスを選ぶことだってできます。
つまり、あなたの要望に応じてきちんとサービスを使い分ければ、求める安全性を確保しつつ、便利に仮想通貨を運用できるわけです。
今回は勘違いされがちなホットウォレットのメリット、デメリットについて紹介していきます。
コールドウォレットとの使い分けができれば、仮想通貨の運用がより安全で便利になりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 「ホットウォレット=危険」はもったいない勘違い
そもそもホットウォレットがどういうものか知らずに、危険なものだと思いこんだり、不安を感じたりしていないでしょうか?
結論から言えば、ホットウォレットはオンライン上で管理されているためハッキングのリスクは常にあるものです。
しかし、そのリスクとは、普段使いしているクレジットカードの不正利用や大金を持って出歩くのは危ないといった日常生活での感覚に近いものです。
ホットウォレットには明確なメリットがあり仮想通貨の運用上とても便利なものなので、適切な対策を行えばリスクを減らすことができます。
安心して仮想通貨の運用をするためには、正しいホットウォレットの知識を身につける必要があります。
まずは、ホットウォレットの詳細をご紹介していきますので、正しい知識を身につけていきましょう。
1-1. ホット=「オンライン」ウォレット
ホットウォレットとは、一言でいうと「常にインターネットへつながっているウォレット」です。ウォレットがオンライン上にあるわけですから、秘密鍵もオンライン上で保持されています。
ホットウォレットの種類
ホットウォレットにも種類があり、ソフトウェアウォレットとウェブウォレットに分けることができます。
それぞれの特徴を説明していきますので、あなたが納得して使えるウォレットを探っていきましょう。
ソフトウェアウォレットとは
ソフトウェアウォレットとは、パソコンやスマートフォンなどあなた自身の端末でウォレットを管理するタイプのことを指します。
秘密鍵はパソコンなど端末上にありますので、あなた自身で管理をすることができます。しかし、バックアップなしに端末が破損してしまえば、仮想通貨を引き出せなくなりますし、ハッキングされて秘密鍵が持ち出される可能性もあります。自己責任でしっかり管理しなければいけません。
ウェブウォレットとは
ウェブウォレットとは、ウェブ上で管理されているウォレットです。オンライン上にある秘密鍵は、サービス提供者かあなた自身で保管します。
秘密鍵の管理が重要
仮想通貨の安全性の担保には、秘密鍵が大きな役割を果たしています。したがって、秘密鍵の管理がきちんとされていれば、ハッキングのリスクは低くなります。
つまり、ホットウォレットの運用で重視するべきなのは、信頼できるサービス提供者か見極めるか、あなた自身が責任を持って秘密鍵の管理をすることです。
1-2. ホットウォレットのメリットとデメリット
ホットウォレットについてご理解いただけたところで、あなたは「そもそもなぜ、ホットウォレットとコールドウォレットがあるのか?」と疑問に思ったのではないでしょうか?
それは、ホットウォレットにはコールドウォレットにはないメリットがあるからです。もちろん、ホットウォレット特有のデメリットもありますので、目的に応じて使い分けられるようにメリット、デメリットの詳細を理解していきましょう。
メリット:どこでもすぐに取引ができること
ホットウォレットは常にインターネットへつながっています。したがって、リアルタイムに取引できますし、ネットにつながった端末さえあれば、どこでも取引を行えるのがメリットです。
たとえば、通勤途中や空き時間に、スマートフォンで仮想通貨の取引ができるのは、ホットウォレットならではのメリットです。リアルタイムに取引ができるのもホットウォレットだからこそできていることです。逆に言えば、ホットウォレットなしでは、おそらくあなたがこれまで取引に使ってきた方法そのものが、使えなくなってしまいます。
デメリット:ハッキングのリスクに常にさらされている
逆にデメリットとして、インターネットを介したハッキングのリスクには、常にさらされています。
ホットウォレットとコールドウォレットの関係は、クレジットカードの利用と金庫に保管したお金の関係に近いでしょう。クレジットカードは、あなたの端末から暗証番号を割り出す方法は無数にあります。それに比べて金庫を破るのは、難易度があがるでしょう。ただし、金庫から取り出す手間等を考えると、決して危険ではないクレジットカードの利用はとても便利ですよね。
ホットウォレットとコールドウォレットもこのような関係にあるというわけです。つまるところ、使い分けが重要と考えるべきでしょう。
2. 一定以上の金額はコールドウォレットで保管を!
長期保有の目的や一定以上の金額の仮想通貨はコールドウォレットで管理すると良いです。
コールドウォレットとは、インターネットから完全に切り離したウォレットのことです。インターネットを介した不正アクセスによる仮想通貨の流出のリスク等がなくなりますので、安全性の高いウォレットといえます。
ホットウォレットとコールドウォレットに仮想通貨を分散して管理できれば、安全性を確保しつつ、取引への利便性も確保できます。
2-1. 長期保有ならペーパーウォレットがベスト!
コールドウォレットで管理すべきなのは、頻繁に取引をしない長期保有目的の仮想通貨です。コールドウォレットにも種類がありますが、長期保管ならペーパーウォレットがベストです。
その理由としてペーパーウォレットは、最も安全な管理方法の一つだからです。簡単にペーパーウォレットの概要を紹介しますので、ホットウォレットと合わせて理解して、効率的な運用の参考にしていただければと思います。
2-2. ペーパーウォレットを作っても安心できない!注意するべきポイント
ペーパーウォレット安全性を担保するには、いくつか注意点があります。
たとえば、印刷する画面を表示したままにして、他人に見られれば意味がないのは想像がつきやすいと思います。以下に、ペーパーウォレットを作る際の注意点をまとめますので、参考にしてみてください。
- PCに履歴を残さない
- PCがウイルスに感染していないか、あらかじめチェック
- オフラインでできる作業は、インターネットの遮断を確認した上で行う
- ネットプリント等の利用は厳禁
意外と見落としている点もあったのではないでしょうか?コールドウォレットだから大丈夫と油断せず、正しい処理をすることが大切です。また、印刷するまでが完璧でも保管場所がずさんでは、逆に仮想通貨を失うリスクが懸念されます。そこで、ペーパーウォレットの保管時に気をつけることもまとめていきます。
- 火気や水害等に耐える場所へ保管する
- 汚れたり、破けたりしないように個別にファイリング等をする
QRコードが読み取れなくなってしまったり秘密鍵が判別できなくなれば、復元の方法はありません。もし上記のポイントを満たせる金庫等がなく、頼れるあてもなければ、銀行の貸金庫等も検討すると良いでしょう。
2-3. まだ安心しちゃダメ!送金できているか確認しておきましょう
最後に、ペーパーウォレットに正しく送金できているか、確認することも大切です。たとえば、ビットコインの場合、BLOCKCHAIN(通称:Blockchain.info)というサービスを使えば、確認ができます。
やり方は簡単で、BLOCKCHAINにアクセスし、ペーパーウォレットのビットコインアドレスを検索すれば、送金した数量が出てきます。数量が正しく反映されていれば、一安心です。もちろん、他の仮想通貨もトランザクション(送金情報)を確認できるサービスがありますので、正しくペーパーウォレットに入金できているか確認しておきましょう。
3. コールドウォレットからホットウォレットに通貨を移動
コールドウォレットの一つであるペーパーウォレットについて説明しましたが、最終的には日本円に換金したり、他の仮想通貨と交換したりしますよね。
つまり、ペーパーウォレットからホットウォレットに、通貨を移動する方法が気になりますよね?
そこで、ここからはペーパーウォレットからホットウォレットに通貨を移動する方法について紹介していきます。
出金にはそれぞれの仮想通貨に対応したアプリを使うことになります。
たとえば、ビットコインであればBRD(Breadwallet)、イーサリアム(ETH)であればMyEtherWalletを使います。これらのアプリにペーパーウォレットの秘密鍵を入力すれば、復元が完了します。
秘密鍵を入力する時に、あらかじめQRコードで秘密鍵を作成しておくと、スキャンするだけで復元できて便利です。
ビットコインを例にして、具体的な復元手順を紹介していきましょう。
- まず、BRDをスマートフォンにインストールします。
- BRDを起動したら、「メニュー」をタップし、出てきた画面の「設定」をタップします。
- 次に、「Bitcoin設定」をタップし、「秘密鍵から引出」をタップします。
- QRコードを読み取るモードに入りますので、ペーパーウォレットの秘密鍵をスキャンしましょう。
これだけで、ぺーパーウォレットの情報がアプリ上でホットウォレットへ送金されます。
逆に言えば、これだけの手間でペーパーウォレットから出金できますので、ペーパーウォレットの作成、保管は厳重にすることが大切だと実感いただけたと思います。
出金する際の注意点としては、一度の出金で全額を取り出す必要があることです。
これはセキュリティの観点からの配慮です。
秘密鍵を読み取った時点で、ペーパーウォレットはインターネットにつながりましたから、コールドウォレットではなくなっているのです。一度出金したペーパーウォレットは速やかに破棄しておきましょう。
4. 取引所でホットウォレットが使われている理由について
実際に仮想通貨の取引をしているユーザーの多くは、取引所に仮想通貨を預けていることが多いようです。
取引所のウォレットは、コールドウォレットとホットウォレットを使い分けています。
なぜ仮想通貨取引所はホットウォレットを使うの?
なぜすべてコールドウォレットではなくハッキングのリスクがあるホットウォレットを使うのでしょうか?
その答えは仮想通貨の取引に、短時間でリアルタイムの取引を望む人が多いからです。
誰だって取引に時間がかかってしまい思わぬ損失を招きたくないですし、利益が出せそうならスピーディーに取引を成立させたいですよね。
これらの要望に応えるには、ウォレットを常時インターネットにつなげておかなければならず、ホットウォレットが必要になるわけです。
全てコールドウォレットにあったら取引に数分かかる
これがもしコールドウォレットなら、取引にはどんなに早くても数分かかってしまいます。
ユーザーにとって投資目的で仮想通貨の取引をするなら、ホットウォレットであることはむしろ大前提、コールドウォレットでは機会損失が多発してしまうこと間違いなしというわけです。
コインチェック事件以降、取引所が「むやみに危険なもの」という認識ばかりが浸透しています。しかし、ホットウォレットだからといって、ただリスクが高いだけのウォレットではないのは、ここまで説明してきたとおりです。
マルチシグを採用している取引所
ちなみに、セキュリティを向上させる技術として、マルチシグが採用されている取引所もあります。マルチシグとは、簡単にいうと秘密鍵が一つではなく、複数に分割されているイメージです。仮にハッキングされて一つが流出しても、仮想通貨の流出を防ぐことができるというわけです。イメージ的には、金庫の鍵が2つ、3つとあるようなイメージです。
まとめ
今回は、ホットウォレットをただ危険なだけのウォレットではなく、メリット・デメリットがあり、コールドウォレットとの使い分けが重要と紹介してきました。この記事のまとめは、以下のとおりです。
- ホットウォレットとは、常にインターネットに繋がったウォレット
- ホットウォレットには、ソフトウェアウォレットとウェブウォレットの2つがある
- ホットウォレットのメリットは、取引がリアルタイムで、場所も選ばないこと
- デメリットは、インターネットからのハッキング等のリスクが有ること
- 長期保存するなら、コールドウォレットを採用すべき
- 取引所のウォレットは、ユーザーの必要に応じてホットウォレットになっている
- マルチシグで安全性を向上させている取引所もある
ホットウォレットもコールドウォレットも一長一短で、使い方次第です。
つまるところ、リアルマネーの感覚と同様、必要に応じて保管方法を使い分けるという意識が重要となります。今回ご紹介したことを活かして、満足のいく仮想通貨運用を目指しましょう。