
仮想通貨のコールドウォレットは作り方がわかれば個人でも簡単に作成し運用することができます。
コールドウォレットを作り適切に管理することで、「仮想通貨は危険」だと投資を躊躇している方でも安全に保管することができます。つまりニュースで騒がれているような資産の流出事件に巻き込まれることもなく、保管しておくことができるのです。
こちらの記事ではそんなコールドウォレットの作り方や入手方法を説明します。
目次
1. コールドウォレットの作り方
仮想通貨はブロックチェーンに記録された情報です。その情報を操作して取引するには秘密鍵が必要で、それは仮想通貨の所有者だけが知っています。
しかしその秘密鍵がネットワークにつながったパソコンなどに保管されていると、ハッキングなどによって漏洩するリスクがあるのです。
コールドウォレットはそんなハッキングのリスクを回避するために、ネットワークから切り離した環境に秘密鍵を保管するツールのことです。
コールドウォレットには、次のような種類があります。
ペーパーウォレット | 秘密鍵を紙に印刷して保管する |
ハードウェアウォレット | 秘密鍵を専用機器に保管する |
1-1. ペーパーウォレットの作り方
ペーパーウォレットは誰でも無料で簡単に作ることができるコールドウォレットです。
秘密鍵を文字列やQRコードにしたものを紙に印刷して保管する方法で、紙幣や小切手のように手軽に管理することもできます。ただし、盗難や紛失のリスクがありますので、現金と同じく厳重に保管しなければいけません。
そんなペーパーウォレットは、ペーパーウォレット作成サービスを利用することで作成できます。
その手順は次のようなものです。
ペーパーウォレット作成手順
- ペーパーウォレット作成サービスサイトのソースコードをダウンロードする
- パソコンをネットワークから切り離し、1.でダウンロードしたソースコードを解凍、実行する
- 作成サービスの手順に従って作成する
- 表示されたペーパーウォレット(入金用のウォレットアドレスと出金用の秘密鍵)を印刷する
3.の手順は、マウスを動かしたり文字列を入力したりするなど、難しいものではありませんのでご安心ください。
ペーパーウォレットについてもっと詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
▶【簡単1分】ペーパーウォレットの作り方と3つの注意点~仮想通貨別~
なお、出金の操作を行うためには、他のウォレットへ秘密鍵を入力してから行う必要があります。この時点でペーパーウォレットの安全性は失われますので、そのペーパーウォレットは再利用せずに破棄しましょう。
1-2. ハードウェアウォレットの入手方法
ハードウェアウォレットは、ネットワークから切り離した専用の機器に秘密鍵を保管するウォレットで、ペーパーウォレットのように秘密鍵が見える状態になっていません。
パソコンに接続することでハードウェアウォレットに保管されている秘密鍵が使われ、利用者は秘密鍵を意識することなく自分の仮想通貨へアクセスすることができるわけです。
利用するとき以外はネットワークから物理的に切り離しておくためセキュリティも高く、ペーパーウォレットよりは利便性が高いコールドウォレットと言えます。
そんなハードウェアウォレットにはいくつかありますが、有名なのは以下の3種類です。
Ledger NanoS | 知名度が高く、日本語での紹介サイトも多い |
TREZOR | 知名度が高く、対応通貨が多い |
Coolwallet S | モバイル機器に対応しており、携帯性が高い |
ハードウェアウォレットを入手するのは、それぞれの正規代理店で購入する必要があります。ほとんどが1万円前後の値段になりますが、安全性と利便性を考慮すれば、高い買い物ではないでしょう。
なお、フリマサイトやオークションサイトなどでも購入できますが、ウイルスや不正な改変などのリスクがありますのでおすすめしません。
使い方や選び方など、以下のサイトで詳しく解説していますので、ご覧ください。
▶ハードウェアウォレットとは? 1万円を払う価値はセキュリティにあり
▶仮想通貨の安全保管にはハードウェアウォレット!お勧め4種と使い方
2. なぜコールドウォレットを作るのか?
コールドウォレットを作る理由は、ズバリ安全性です。
ネットワークから切り離して仮想通貨を保管していると、すぐに利用できずに機会損失を招く恐れもあります。しかし、セキュリティを疎かにしていては、それ以上に大きな損失を受けることになるのです。
2-1. 利便性とセキュリティのどちらを選ぶか
ネットワークに接続した状態で秘密鍵を保管しているウォレットのことをホットウォレットと呼びます。
ホットウォレットにはパソコン上で動作するデスクトップウォレットやスマホ上のウォレットアプリ、Web上のウォレットサービスなど、様々な形態のものがあります。なお、仮想通貨取引所の口座もホットウォレットに分類されるものです。
ウォレットの分類をまとめると次のようになります。
コールド ウォレット |
ペーパーウォレット ハードウェアウォレット |
利便性:低 安全性:高 |
ホット ウォレット |
ウェブウォレット デスクトップウォレット ウォレットアプリ |
利便性:高 安全性:低 |
ホットウォレットはネットワークにつながっていますので、好きなタイミングですぐに利用でき、とても使いやすいものです。
しかし、ネットワークにつながっているということは、常にハッキングやウイルスなどの脅威にさらされているということにもなります。
利便性と安全性のどちらを優先するかで、ホットウォレットとコールドウォレットのどちらを使うのかが決まってくるわけです。
もう少し詳しく知りたい方はぜひ以下の記事をご覧ください。
▶【何が違う?】ホットウォレットとコールドウォレットの使い分け方
2-2. コールドウォレットなら流出事件は防げた?
仮想通貨流出事件が報道されたことで、仮想通貨は危険なものだというイメージができあがってしまいました。しかし、実際には仮想通貨そのものの脆弱性による事故ではなくその管理方法にあります。事実、取引所が正しくコールドウォレットを使用していたら、ほとんどの流出事件が起きなかったと考えられています。
コールドウォレットはホットウォレットと違って誰かが必ず物理的に接続する必要があります。コールドウォレット自体を取り出すのに手続きが必要になることも多いでしょう。
そのため、ニュースになっているような外部の人間が密かに流出させることは不可能なのです。
2-3. 仮想通貨は自己責任
仮想通貨は非中央集権です。非中央集権ということは、誰かが責任をもって管理しているわけではなく、参加者全員がそれぞれの責任の範囲内で管理しています。
何かあったとしても誰かが責任を取ってくれることはなく、自分の責任範囲は自分で守らなければいけないわけです。
そのため、安全性を重視したコールドウォレットの導入などの対策が必要になるのは当たり前だと考えなければいけません。
▶コールドウォレットとは? 仮想通貨のハッキング対策方法を解説
3. コールドウォレットでも扱いは慎重に
コールドウォレットはホットウォレットに比べると安全性が高く、ハッキングに対して強い対策です。
しかし、コールドウォレットを導入したらそれで完全に安心できるわけではありません。他にも気を付けないといけないことはあるのです。
紛失や破損
コールドウォレットは秘密鍵を物理的なものに保管したものです。そのため、紛失や破損、盗難のリスクがあります。
秘密鍵が読み取れなくなってしまうと、そのウォレットに保管された仮想通貨は誰も取り出せなくなりますし、盗難に遭えばすべてが奪われることになるのです。
ペーパーウォレットやハードウェアウォレットの管理は、万全にしなければいけません。
ウイルス感染
ペーパーウォレットの作成時に使用するパソコンがウイルスに感染していると、すべてが漏洩します。ハードウェアウォレットも、正規代理店で新品を購入しなければウイルスが仕込まれている可能性があるでしょう。最初は問題なくても、使っているパソコンがウイルスに感染してしまうこともあります。
仮想通貨を扱うときはセキュリティを意識し、ウイルス感染のないクリーンな環境で利用するようにしましょう。
フィッシング詐欺
ペーパーウォレットもハードウェアウォレットも、それ単体では出金ができませんので、別のウォレットを通すことになります。
このとき使用するウォレットが偽のウォレットだった場合、秘密鍵が漏洩してすべての資産を奪われてしまうでしょう。ウェブウォレットであれば、そっくりのフィッシングサイトへ誘導されることもあります。
ウォレットの導入時や利用時には、その出どころやアクセス先には十分に注意してください。
送金時のアドレス間違い
送金先のウォレットアドレスは、必ずコピーアンドペーストで入力するようにしましょう。
一般的にアドレスはランダムに見える文字列ですので、手入力では確実に入力できる保証はありません。1文字でも間違えると送金した仮想通貨が失われてしまいます。
まとめ
仮想通貨を保管する理由には「使うため」と「保持するため」の2種類があります。
コールドウォレットは後者の「保持するため」のウォレットであり、特に高額の仮想通貨を持っている人であれば必須のツールです。
- コールドウォレットはネットワークから切り離されているため、ハッキングのリスクが皆無
- ペーパーウォレットは無料で作れるが、出金には別のウォレットが必要
- ハードウェアウォレットはペーパーウォレットよりも利便性が高い
- 仮想通貨は自己責任で守る必要がある
仮想通貨投資を続けていくと、必ずどこかで「保持する」シーンが出てきます。そんなとき、取引所に預けたままにすることなく、コールドウォレットを使って安全に保管するようにしましょう。