
仮想通貨(暗号資産*)の流出事件などのニュースを聞くと、仮想通貨を持つのが怖くなりますよね。
皆さんはどのように、自分のリップルを管理していますか?
技術に詳しくなくてもできる効果的な対策といえば、ウォレットでの保管。この記事では、4種類のウォレットの作り方を説明します。
ウォレットそれぞれの特徴も紹介しますので、自分に合ったものを選んでくださいね。
*2019年3月、呼び名を「暗号資産」とする法律案が金融庁から第198回国会へ提出されました(参考|第198回国会における金融庁関連法律案)
目次
1. ウォレットを選ぼう
仮想通貨のウォレットには4種類あり、利便性と安全性のレベルが違います。
そのため、頻繁に取引するのか、長期保管するのか、といった用途によって、適したウォレットを選ぶことが重要です。
種類 | 利便性 | 安全性 |
ウェブウォレット | ◎ | △ |
ソフトウェアウォレット | ○ | ○ |
ハードウェアウォレット | △ | ◎ |
ペーパーウォレット | △ | ◎ |
まず、これらのウォレットの簡単な説明と、どんな用途に向いているのかをお伝えしましょう。
1-1. ウェブウォレット
特定の企業や個人が運営しているオンライン上のウォレットです。
入出金をどこからでもできるので使いやすいですが、送金に必要な秘密鍵を運営者が管理していることが多く、安全とは言いきれません。ウェブウォレット自体もハッカーに狙われやすいというリスクがあります。
運営者も対策をとっていますが、自分では秘密鍵を守ることができないので、決済や取引で使う必要最小限の金額だけ保管しておくほうが安全でしょう。
ウェブウォレットの作り方はこちら
1-2. ソフトウェアウォレット
パソコンやスマホにインストールして利用するウォレットです。
入出金は簡単で比較的使いやすく、秘密鍵を自分で管理するため、ウォレットをインストールした端末のセキュリティ対策をしっかりとしておけば、安全性も悪くありません。
ただし後述するハードウェアウォレットに比べるとウイルス感染やハッキングのリスクはあります。取引が頻繁な人にとっては利便性の高いウォレットですが、高額な保管は避けましょう。
ソフトウェアウォレットの作り方はこちら
1-3. ハードウェアウォレット
USBメモリによく似た形の、パソコンに接続して使う端末型のウォレットです。端末はパソコンに接続しますが、仮想通貨の送金に必要な秘密鍵はネットに繋がらないように設計されています。そのため仮想通貨流出の心配がほとんどありません。
最も大きなデメリットは入出金の際にかかる手間。パソコンへ接続して専用アプリケーションを起動、ログインする、という手順が必要です。慣れてしまえば時間のかかる操作ではありませんが、頻繁に取引する場合には適していません。
端末そのものの管理さえしっかりしていれば、長期保管する場合でも安全性の高い保管方法です。
ハードウェアウォレットの作り方はこちら
1-4. ペーパーウォレット
秘密鍵やウォレットアドレスを、紙に印刷して保管するウォレットです。物理的な紙にアドレスを印刷しているだけで、直接ネットにつながる方法もないため、ハッキングなどへの対策は万全と言えるでしょう。しかし、焼失や盗難、印刷のかすれなど、書類を保管する上でのリスクがあります。
長期間、取引せずに保管しておく場合に適した方法です。
ペーパーウォレットの作り方はこちら
ウォレットの扱いに慣れてきたら、長期保管分はペーパーウォレット、取引用はウェブウォレットなど、用途に合わせて複数のウォレットを使い分けると良いでしょう。
2. ウォレットを作ろう
ここでは、代表的なウォレットを使って、ウォレットの作成から入金までを説明します。
2-1. まずは共通のポイント
種類が違っても、ウォレットには押さえておくべき共通のポイントがあります。
2-1-1. ハッキングなどのリスク対策を万全にすること
ウォレットは英語で財布のことですが、仮想通貨のウォレットは銀行口座のようなものです。そのため、セキュリティは万全にしておかなければいけません。
セキュリティ上の注意点
- ウォレットを作る(設定する)パソコンがウイルスなどに感染していないことを確認する
- 公式サイトから入手する
- 設定作業を行うときは、インターネットから切り離した状態で行う
これらのリスク対策を行うことで、ウォレットはようやく安全な保管場所になるのです。
2-1-2. リップル(XRP)には準備金が20XRP必要!
リップル(正式名称:XRP)のウォレットを有効化するためには、20XRPの預け金が必要です。そして、1度ウォレットを有効化すると、預け金は2度と引き出せません。
20XRPだけウォレットに入金しても、ただウォレットが使えるようになるだけで、そのXRPは使えませんので、注意しておきましょう。
2-2. ウェブウォレットは登録するだけで使える
リップルに対応したウェブウォレットでは、「GateHub」が有名です。
GateHubは仮想通貨取引所GateHubのウォレットです。
多くのウェブウォレットでは、秘密鍵を運営者が管理するようになっているため、それがセキュリティリスクとなっていました。しかしGateHubでは、秘密鍵をユーザーが管理するようになっています。
そのため仮想通貨取引所へのハッキングのような、高額の流出が起きにくいと考えられます。ただし自分で秘密鍵を管理するので、不注意で他人に知られたり、紛失したりしないよう注意しましょう。
「GateHub」のサイトのトップページ右上にある「Sign In」から、メールアドレスと携帯電話番号だけ登録すれば、利用できます。
2-3. ソフトウェアウォレットはパソコンやスマホに保管する
リップルを保管できるパソコン用のウォレットは、現在開発が止まっているものも多くあります。そのため今回は、スマホで使えるウォレットアプリ「Ginco」を紹介しましょう。
GincoはiOS版とAndroid版がリリースされています。※Androidはオープンβ版のみ(2019年5月20日時点)
ビットコイン、イーサリアム、リップルなど6種類の仮想通貨を管理できます。
2-3-1. ダウンロード~インストール
「Ginco」は無料のスマホアプリです。以下のリンクからインストールできます。
2-3-2. 登録
初回起動時にユーザー名や暗証番号、規約の確認を行うと、登録処理は完了です。
2-3-3. バックアップキー(リカバリーフレーズ)の保存
左上にある人型アイコンからリカバリーフレーズを設定できます。「セキュリティ設定>バックアップを実行」というメニューで12個のバックアップキー(リカバリーフレーズ)が順番に表示されますので、記録してください。
バックアップキー(リカバリーフレーズ)が流出すると、秘密鍵を復元されてウォレット内の仮想通貨を抜き取られてしまいます。スマホのメモなど、ネットにつながる環境ではなく、紙とペンで記録するようにしましょう。
Gincoは、バックアップキー(リカバリーフレーズ)を記録しなくても利用できます。しかし、いざというときに復旧できなくなりますので、インストールしてすぐに記録することをおすすめします。
2-3-4. 入金
リップルを選択して「受け取る」をタップすると、アドレスとQRコードが表示されます。そのアドレス宛に送金することで、入金されます。
2-4. ハードウェアウォレットは購入から
ここでは、リップルを保管することができるハードウェアウォレット「Ledger Nano S」について、紹介しましょう。
2-4-1. 公式販売店、公式代理店で購入
ハードウェアウォレットは1万円程度で販売されています。オークションサイトなどで購入するとウイルスなどのリスクがありますので、必ず公式サイトや正規代理店で購入してください。
- Ledger公式|代理店一覧
- ハードウェアウォレットジャパン(正規代理店)
- HARDWAREWALLET.JP(正規代理店)
※情報は2019年5月20日時点のものです
2-4-2. LedgerNanoS本体の初期設定
LedgerNanoS本体で、以下の2つを設定します。
- PINコード
- リカバリーフレーズ
2-4-3. 専用ソフト(Ledger Live)のインストールと初期設定
Ledger Nano Sを利用するためには、LedgerLiveという入出金などを行うためのソフトをパソコンへインストールする必要があります。
インストールが終わったら、Ledger Nano Sをパソコンに接続します。
本体の初期設定は終わっているので、「Use an initialized device(初期設定済の端末を使う)」を選択してください。
LedgerLiveの初期設定では、以下の内容を確認、設定します。
- セキュリティチェックリストの確認
- パスワードの設定
- バグ報告の設定
2-4-4. リップル用アプリのインストール
LedgerNanoSで仮想通貨を管理するためには、LedgerNanoS本体へのアプリのインストールが必要です。LedgerLiveの画面で、必要なアプリを選んでインストールします。
2-4-5. 入金
「Ledger Nano S」へ入金するためのアドレスは、「Ledger Live」を使って取得します。
「Ledger Live」のサイドバーにある「Receive funds」でアドレスが表示されます。そのアドレス宛に送金することで、入金されます。
公式代理店のサイトでも、設定方法を解説しています。
ハードウェアウォレットジャパン|Ledger Nano S 日本語説明書
2-5. ペーパーウォレットは紙に印刷する
「ripply-paper-wallet」を使って、作成手順を説明しましょう。
2-5-1. 作成ソフトのダウンロード
ripply-paper-walletのzipファイルをGitHubからダウンロードします。
2-5-2. ネットワークから切断する
オンラインで作業をすると、秘密鍵が漏洩するリスクがあります。
漏洩を防ぐため、ダウンロードが完了したら、ウォレットの生成作業を行う前にパソコンをネットワークから切断しておきましょう。有線LANだけではなく、無線LANも切断してください。
2-5-3. ペーパーウォレットの生成
ダウンロードしたzipファイルを展開して、内部のhtmlファイルを開くと、秘密鍵とアドレスが生成されて、画面にペーパーウォレットの画像が表示されます。
「Generate New」を何度かクリックして、新しい秘密鍵を生成してください。
2-5-4. 印刷
表示された画像を印刷します。
このとき必ずUSBメモリなどにデータを入れて、プリンターへデータを運んでください。Wifiでデータを送信したり、コンビニのプリンターを使ったりすると、秘密鍵の情報がインターネットにつながってしまい、漏洩の危険が高まります。
印刷後は、ウォレットをなくしたり、アドレスが読めなくなるほど汚したりしてしまわないよう、取り扱いには注意しましょう。
2-5-5. 入金
印刷されているRipple Address宛に送金することで、入金が可能です。
ペーパーウォレットについてのより詳しい内容は、次の記事でも解説しています。
3. ウォレットには注意すべきことがある
ウォレットを扱う上で注意してほしいことがあります。
3-1. 秘密鍵とリカバリーフレーズの保管は厳重に
ここまでに紹介したすべてのウォレットは、秘密鍵とリカバリーフレーズを自分で管理するものです。どのウォレットを使うにしても、それらを他人に知られてはいけません。
秘密鍵を知られると、仮想通貨を出金することができます。またリカバリーフレーズがあれば、別の端末でもウォレットと秘密鍵を生成することができるので、この場合も他の端末から出金されてしまいます。
秘密鍵やリカバリーフレーズを知っているということは、ウォレットの中身をいつでも引き出せるということなので、絶対に自分以外の人に漏洩しないようにしてください。
3-2. リップル(XRP)を出金するときの宛先アドレスに注意
ウォレットから取引所へ送金する場合、宛先タグというものが表示されることがあります。
宛先タグを指定せずに送金すると、最悪の場合、送金したコインが失われることも。
宛先タグを必要とする取引所は、複数のユーザーで1つのウォレットを共用しており、宛先タグを使って個人を特定しています。
アドレスは共通なので、宛先タグがなければ誰宛なのか分からず、正しく入金できません。
取引所へ送金するときは、必ず宛先タグの有無を確認し、忘れずに設定するようにしましょう。
まとめ
ウォレットには、用途に合わせて4つの種類があります。
それぞれに利便性と安全性が違っていますので、自分の用途に合った使いやすいものを選びましょう。
以下に今回のポイントをまとめましたので、参考にしてください。
- ウォレットには、ウェブウォレット、ソフトウェアウォレット、ハードウェアウォレット、ペーパーウォレットの4種類がある
- ウォレットは種類によって利便性と安全性が異なる
- ウェブウォレットは、インターネット上にあるサービス
- ソフトウェアウォレットは、スマホやパソコンにインストールして使う
- ハードウェアウォレットは、高価だが、仮想通貨を安全に保管できる
- ペーパーウォレットは最も安全に仮想通貨を保管できる。
ただし、ウォレットを使ったとしても、秘密鍵やリカバリーフレーズの管理など、セキュリティについては、自分の力で守る必要があります。十分に注意して取り扱ってくださいね。
ウォレットを使って、仮想通貨を安全かつ便利に保管していきましょう。