
損切りとは損失が出ている状態で、その注文を決済して損失を確定させることです。損失を小さくするために行うのが、主な目的です。
損切りには目安の見つけ方もあり、これによって不要な損切りの回数を減らすことができます。
今回の記事では、損切りの概要だけでなく、どの水準で損切りをすれば良いのかなど、実践的な内容を含めて解説していきます。
1. 損切りとは?
損切りとは、損益がマイナスとなっているポジションを決済し損失を確定させることです。
たとえば、1BTCを100万円で購入し、その後1BTCの価格が80万円まで下落した段階で決済したとしましょう。この場合、損切りによって20万円の損失を確定させたことになるのです。
また、損切りは「ロスカット」や「ストップロス」と呼ばれることもあります。
2. 目的は「損失を小さくすること」
損切りの主な目的は、損失を小さくすることです。
損失を確定させるのでネガティブになりがちですが、投資の基本的な考え方には、損失を小さくすることで、複数回の取引の合計損益をプラスにするというものがあります。
たとえば、損切りを意識して10回取引をして損失の合計が4万円、利益の合計が5万円だったとします。この場合、10回の取引の合計損益は1万円プラスです。
一方で、損切りを意識せずに10回取引をして損失の合計が5万円、利益の合計が5万円だったとしましょう。この場合、10回の取引の合計損益は0円となってしまいます。
このように、損切りをすることで損失の拡大を防ぎ、損失額を小さくすることは重要です。結果的に、複数回の取引の合計損益をプラスにできる可能性が高くなると言えるのです。
損切りしないのは価格上昇の見込みがあるときだけ
損切りをしないことに関連した用語で、「塩漬け」と「ナンピン」があります。
「塩漬け」は損失が大きくなったポジションを、損切りせずにそのまま長期間保有し続けることです。
「ナンピン」は損失が出たポジションを損切りせずに、さらに大きな金額で買い増しすることを指しています。
どちらの場合も、将来的な価格上昇が見込める時にするものです。逆に、将来的な価格上昇が見込めない時には損切りをするのが一般的です。
3. 損切りのルール・目安の決め方
損切りのルール・目安を決めることは、不要な損切りを避けるためにも重要です。
目安を間違えている場合、適切なポイントに損切りが入れられないことになります。本来であれば損切りをする必要がないポイントで損切りをしてしまうので、不要な損切りの回数が増え、結果的に“損切り貧乏“と呼ばれる損切りで合計損益がマイナスになってしまう状態に陥ってしまうのです。
目安を決めてルールとして自分のトレードに取り入れることで、こうした問題点を解決することが可能です。
サポート・レジスタンスラインを目安にする
損切りの目安には、サポートラインやレジスタンスラインを活用することが挙げられます。
サポートラインは直近の安値同士を結んだ線のことであり、価格がそのラインの水準で反発し上昇する傾向があります。また、レジスタンスラインは価格の高音を結んだ線であり、そのラインの水準で価格が反発し下落する傾向を持っています。
サポートラインもレジスタンスラインもライン近辺で価格が反発する可能性があります。そのためラインを超えたあたりに余裕を持って損切りを入れることで、不要な損切りを回避できる可能性を高めることができるのです。
たとえば、以下のビットコインのチャート画像では、黄色の線で表示したようにサポートラインが出来ています。

この場合、黄色の線で示したサポートラインまで価格が到達すると、価格は反発して上昇する可能性があります。そのため、ラインの少し下の価格帯に損切りを入れることで、不要な損切りを避けることが可能です。
もちろん、ラインを割り込む可能性もありますが、サポートラインやレジスタンスラインはこのように目安の1つとして効果的に活用することができます。
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3. 感情に流されず損切りする方法
感情に流されて損切りができないことは、損切り貧乏になる失敗例の1つと言えます。損失を取り戻そうと価格の変動を待ち、損切りができないことでさらに損失を拡大させてしまうことが理由です。
人間は利益よりも損失に反応してしまう
リスクがある状況下での人間の判断を分析したプロスペクト理論によれば、人間は利益よりも損失の方に過剰に反応し、損失が出ているとそれを取り戻そうとする傾向があります。
そのため、感情に流されて損切りができずに損失を拡大させてしまうことは、失敗例の1つだと言えるのです。
IFO注文で自動的に決済する
IFO注文を活用することは、この失敗例に対する解決策の1つです。IFO注文は新規注文と利食いと損切りの決済注文を同時に入れることができ、自動で機械的に損切りをしてくれるからです。
たとえば、以下のIFO注文の例では、1BTCが95万円の時に90万円で買いの新規注文を入れ、利食いを100万円、損切りを85万円で設定しています。
この場合、90万円まで価格が下落すると買いの新規注文が発動します。その後、100万円まで上昇すれば利食い、85万円まで下落すれば損切りの決済注文が発動するのです。
このように、IFO注文であれば機械的に損切りをすることができます。ポジション保有後に損切りを入れ忘れて、損失を拡大させる心配もありません。
加えて、利食いのタイミングを逃さずに済む点もメリットです。利食いを忘れたことで将来的な価格下落で損切りをしなければいけないといった事態も避けることが可能です。
また、利食いと損切りは1回の水準でどれくらいの利益と損失を狙うか、取引ルールを決めた方が安定した合計損益が期待できます。相場の状況にもよりますが、安全に取引するのであれば、損切りは証拠金に対して1%〜2%の損失、利食いは証拠金に対して5%〜10%ほどにすると良いでしょう。
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まとめ
以上、損切りについて解説してきました。改めて、今回の記事のポイントをまとめておきましょう。
- 損切りは損失が出ている注文を決済して損失を確定させること
- 損切りの主な目的は損失を小さくすること
- サポートラインやレジスタンスラインを目安として活用しよう
損切りは取引をする上で重要な要素の1つです。しっかりと身につけて、リスク管理の取れた安全な取引を目指していきましょう。