
コインチェックで仮想通貨リスク(LSK)のステーキングサービスが始まったと聞いたけれど、何のことかさっぱり……という方も多いでしょう。
簡単にいえばリスクを保有することで報酬がもらえるサービスですが、報酬を受け取るためには条件があり、注意すべきポイントもあります。
このページでサービスの概要や要注意点を理解し、投資すべきか判断してみてください。
目次
1. コインチェックがリスクのステーキングサービス提供をスタート
2020年1月9日に公式発表した内容をもとに、サービス内容を解説します。
1-1. サービス概要
コインチェックは、仮想通貨(暗号資産)リスクを対象にしたステーキングサービスを開始すると発表しました。同社によると、2020年1月9日時点で、リスクのステーキングサービスは世界初となる取り組みとのことです。
(参考:【世界初】Liskのステーキングサービス(β版)の提供を開始)
簡単にいうと、コインチェックでリスクを保有するユーザーに対し、同社が報酬を付与するというもの。ユーザーは特別な手続き・申請をすることなく、リスクの報酬を受け取れます。
厳密には、コインチェックがリスクのステーキングサービスに参加し、そこで得られた報酬をユーザーに還元するという内容です。ステーキングサービスは2019年以前から注目されており、海外の仮想通貨取引所がサービス提供を開始しています。
1-2. 報酬を受け取るための条件
リスクのステーキングサービスを受け取るためには、複数の条件を満たすことが必要です。
1-2-1. コインチェック側の条件
ステーキングサービスは、デリゲート(※)への投票がおこなわれ、そのデリゲートが上位101位以内に選ばれると報酬が付与される仕組みです。よってコインチェックがデリゲートへ投票をおこない、その投票したデリゲートが上位101位以内に選ばれると報酬が発生することになります。
コインチェックのユーザーが直接投票するわけではなく、必ず報酬をもらえると確約はされていません。コインチェックの投票が外れると、報酬も付与されないことになります。
(※)デリゲート:リスクのネットワークで、ブロック生成・承認をおこなうアドレスのこと
1-2-2. ユーザー側の条件
ユーザー側の条件
- 対象期間に1日あたり平均で10LSK以上を保有していること
- 報酬付与時点で、アカウントが通常通り利用可能な状態になっていること
リスクをコインチェックの「取引アカウント」または「貸仮想通貨アカウント」で保有していることが条件となります。「貸仮想通貨アカウント」の場合、貸し出し中ではないリスクが1日平均で10LSK以上であることが必要です。
1LSKは約65円~75円であるため、日本円で650円~750円ほど保有していればよいことになります。多くの方にとって、まったく難しい条件ではないでしょう。
1-3. 報酬付与のタイミング
リスクのステーキングによる報酬付与は、毎週水曜日となっています。週ごとに報酬付与の条件が決定されるので、継続して報酬を受け取りたい場合は、常に取引口座に10LSK以上保有しておくようにしましょう。
ユーザーへ付与される報酬額は、コインチェックが獲得したリスクから付与の際に生じる手数料を差し引いた金額を各ユーザーのリスクの保有量にあわせて配分されます。
2020年1月9日の発表後、リスクの価格が一時急騰する現象が起きました。

1月9日以前は1LSK=70円前後での推移でしたが、一時85円以上の値を付けました。その後はほぼ元の水準に戻っていますが、ステーキングサービスがある程度の注目を集めたことが分かります。
2. ステーキングサービスに参加してみた
実際に編集委員会の私もコインチェックのステーキングサービスに参加してみました。
……と言ってもコインチェックのウォレットにあるのは2017年から保有している12.0808LSKのみ。こんな小さな金額で報酬がもらえるのでしょうか。
2020年1月22日、サービス開始から初めての付与日がやってきました。
投票が成功し、報酬が付与された
\#Liskステーキング 報酬付与完了🎉/
#Lisk の #ステーキング サービス(β版)では、投票(Voting)に対する報酬をデリゲートより受領し、お客様への付与を実施いたしました😆今回得られた報酬は合計2,251.9LSKでした👍✨
#Coincheck #コインチェック #仮想通貨 pic.twitter.com/uMvIHw44fy— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) January 22, 2020
CoincheckのTweetによると報酬を得ることができたようです。自分のウォレットをチェックしてみたところ、確かに報酬が付与されていました。
2020年1月29日現在、毎週水曜日に投票の結果が発表されることになっています。毎週確認するのが楽しみですね。
報酬の確認は上の画像の通り取引履歴から確認することができます。
3. コインチェックによるリスクのステーキングサービスでの注意点
難しい手続きなしで報酬がもらえるサービスですが、以下の点には注意しておきましょう。
3-1. 必ず報酬がもらえるわけではない
細かいポイントですが、ただリスクを保有しているだけで自動的に報酬が受け取れるのではありません。
コインチェックの投票したデリゲートが上位101位に選ばれて初めて報酬になり、サービス対象のユーザーに配分される仕組みです。
コインチェックの投票先が上位101位以内にならなかった場合、報酬は受け取れません。必ずリターンがあるわけではないことに注意しましょう。
3-2. あくまでもβ版のサービス
コインチェックの発表資料では、こちらのサービスは「β版」であると明確に記載されています。
β版とは、正式にリリースする前にユーザーに試してもらうためのサンプルです。よって正式版ではないので、途中終了・内容変更の可能性があります。
リスクのステーキングサービスを利用するとしても、今後の公式からの発表には十分注意しておきましょう。
4. そもそもステーキングサービスとは
この章では、ステーキングとはどのような仕組みのサービスなのかについて見ていきましょう。
4-1. 仮想通貨を保有しながら報酬を得ること
仮想通貨のステーキングサービスによる報酬は、株式投資の配当のようなものとイメージすると分かりやすいでしょう。
株式投資の配当とは、基本的にその年度の会社の利益や自身が保有する株数に応じて、配当がもらえる仕組みです。投資額に対する配当額の割合を配当利回りと言い、これをもとに投資の方針を決定する投資家もいます。
仮想通貨のステーキングサービスも、基本的に保有する通貨数に応じて報酬を通貨でもらえる仕組みです。ただし投票が実施され、支持されたデリゲートへの投票が報酬の対象になるので、株式投資における株主投票のような要素もあります。
従来の仮想通貨投資の利益は通貨自体の値上がりがメインでしたが、ステーキングの報酬という新たな利益が生まれることから、現在注目されているサービスとなっています。
4-2. コンセンサスアルゴリズムのPoS
ステーキングサービスは、コンセンサスアルゴリズムであるPoS(プルーフ・オブ・ステーク/Proof of stake)を利用したサービスです。
仮想通貨の保有量に応じてブロック承認の権限を与え、報酬を付与するという仕組みです。
ただ通貨を保有するだけでは不十分で、ステーキングに参加するには知識が求められます。そのため、大手取引所などの事業者がサービス提供者となっているのです。
マシンによる計算がモノを言うPoWと比べ、PoSは電気代の消費が少なく、パソコンに大きな負荷をかけることもありません。
承認者を決定するまでの時間もPoWより短くなるので、取引成立時間までの時間も短縮できるのもメリットです。
4-3. 海外取引所によるステーキングサービスの例
コインチェック以外に、海外取引所で行われているステーキングサービスをご紹介します。
3-2-1. BINANCE
海外の大手取引所のBINANCEでは、PoSの仕組みを持つ通貨について、ステーキングサービスを提供しています。対象通貨は以下のとおり。
Binanceのステーキングサービス対応通貨
- ステラ(XLM)
- Algorand(ALGO)
- ネオン(GAS)
- オントロジー(ONG)
- VeChain(VTHO)
- トロン(BTT)
- Komodo(KMK)
- ストラティス(STRAT)
- Qtum(QTUM)
ステーキングサービスを受けるには、BINANCEでただ保有するだけと手軽です。
他にもいくつかの海外取引所で、ステーキングサービスが導入されています。しかし、報酬を受け取るための条件はさまざまなので、よく注意してください。
まとめ
コインチェックがスタートした、リスクのステーキングサービスについて解説しました。取引口座に通貨を保有し、アカウントを利用可能な状態にするだけで報酬を受け取るチャンスがあります。
取引口座に10LSK以上を常に保有していれば、報酬を受け取るチャンスがあるので、ハードルは高くありません。
ただしコインチェックが選んだバリデーターが上位101以内に選ばれなければ報酬の付与はありませんので、確実に報酬がもらえる仕組みでないことは念頭においてください。
またこちらのサービスはβ版であり、正規なサービスリリースではありません。途中で内容が変更になったり終了になったりする可能性もあるので、常に最新情報をチェックしましょう。