【2019年調査】マイニングにかかる電気代は? 国内・海外の電気代ランキング

マイニングの電気代はいくらかかる?

仮想通貨(暗号資産*1)のマイニングで「儲けを出して一発逆転!」と考えている人も多いかもしれません。

実はマイニングの利益を圧迫する大きな要因の一つは、「電気代」。

だから電気代を計算できれば、どれくらい儲けられるのかを概算できます。

今回はマイニングに必要な電気代の計算方法と、儲けるために工夫できることを紹介します。

*1)*2019年5月、呼び名を「暗号資産」とする改正資金決済法が可決されました(参考|日本経済新聞

1. マイニングの電気代は月に数万円

ビットコインのマイニングでは専用の装置(マイニングマシン)が流通しています。

一般的なパソコンよりも計算能力が高い分、消費電力も数倍必要。マイニングマシンでビットコインをマイニングするためには、月に数万円の電気代がかかります。

1-1. マイニングの電気代を計算する

電気代は、以下の式で計算できます。

電気代=電気料金(円/kWh)×消費電力量(kW)×稼働時間(h)

消費電力量はマシンによって決まる

消費電力はマイニングマシンによってだいたい決まっています。またマイニングは基本的に年中無休ですので、稼働時間も決まるでしょう。

電気料金は地域による

電気料金は、一般的に1kWhあたりいくらという従量課金です。住んでいる地域によっておおむね決まっています。

最新のマイニングマシンでも月34,000円超

マイニングマシン大手BITMAIN社の最新機種「Antminer S17 Pro-53TH/s」を例に、1か月の電気代を計算してみましょう。

BITMAIN社ホームページキャプチャ
BITMAIN社ホームページ
Antminerの価格
BITMAIN Antminer S17 Pro-53TH/sより作成

今回は通常稼働(normal)の場合で電気代を計算します。

販売元のサイトによると、通常稼働時の消費電力は2,094W(2.094kW)です。

1か月休まずに稼働させるので、稼働時間は24時間×30日で720時間。電気料金は、国内で最も高い北海道の従量課金分23円/kWh(従量電灯B/50A、小数点以下切下げ)で計算します。

1か月の電気代
 =23(円/kWh)×2.094(kW)×720(h)
 ≒34,676円

結果、「Antminer S17 Pro-53TH/s」を1か月(30日)稼働させると34,676円の電気代が必要ということになります。

1-2. 結局マイニングって稼げるの?

マイニングマシンで1か月どの程度報酬を得られるのかは、「nicehash」というサイトで確認することができます。

nicehashキャプチャ
nicehash

「Antminer S17 Pro-53TH/s」では、1か月で0.05473155 BTCの報酬が得られます。

nicehashキャプチャ

記事執筆時(2019年6月)のレートは1BTC=約1,110,000円ですので、およそ60,900円の報酬です。

もしビットコインの価格がこの価格で維持されれば、電気代を差し引いて約26,200円の利益が得られることになります。

価格変動に注意
上記の数字はあくまで執筆時点での概算です。仮想通貨の価格は変動が激しく暴落のリスクもあるため、一概に試算のみで利益を判断することは危険です。

1-3. 初期投資回収までが長い

マイニングマシンは決して安い機材ではありません。例えば1-2.で電気代を計算した「Antminer S17 Pro-53TH/s」は日本円で約22万円です(記事執筆時のレートで換算)。

マイニングマシン代は初期投資なので、毎月の利益の合計が投資代(22万円)を超えなければ儲けたことにはなりません。

8ヶ月以上利益を出し続けてようやくプラス

1か月の利益が26,200円の場合、8か月強に渡り利益を出し続けて、ようやくマイニングマシン代を回収できます。

8ヶ月でようやく黒字

ただしこの利益額を維持するためには、「8か月以上ビットコインの価格が下がることなく」、かつ「継続的に同じ程度のマイニング報酬を得られる」という条件が必要になります。

ボラティリティの高い仮想通貨で、そんなに好条件が続くようなことはなかなか起きないでしょう。

ビットコインの価格次第では赤字も

ビットコインの価格によっては、利益が出ないどころか赤字にもなります

たとえば3か月前(2019年3月)のビットコインの価格は、約400,000円。同じ量のマイニングに成功したとしても、得られる日本円は半分以下になります。

得られる報酬が減っても、当然1か月の電気代は変わりません。そのため電気代を差し引くと単月で赤字になります。

価格が上がればマイニング自体が難しくなる

仮想通貨の価格が上がれば収益が得られるかもしれません。

しかし価格が上がればマイニングに参入する人が増えます。個人だけでなく企業がマイニングへの投資を加速すれば、マイニング競争に勝つことが難しくなるでしょう。

これらを総合的に考慮すると、マイニングでコンスタントに利益を出し続けるのは簡単ではありません

 

 

2. 電気代を安く抑えてマイニングする

マイニングで利益を得るためには、経費を抑えることが重要です。電気代を安くするには、安い地域の電気を使う必要があります。

2-1. 電気代が安い地域で契約する

現在は一般家庭でも電力会社を自由に選べます。しかし地域によって平均的な電気代は違っていますので、まず自由化前から使われている価格を調べてみましょう。

※各地域名から電力会社HPへリンクしています

地域 基本料金(円)*2 従量円/kWh
(120kWhまで)
北海道 1,674.00 23.54
東北 1,620.00 18.24
東電PG 1,404.00 19.52
中部 1,404.00 20.68
北陸 1,188.00 17.52
関西 1,944.00
(388.80×5kVA)
17.59
中国 1,998.00
(399.60×5kVA)
17.76
四国 1836.00
(367.20×5kVA)
16.66
九州(本島) 1,458.00 17.14
沖縄 395.08*3 22.53

*2)従量電灯B(50A)
*3)最初の10kWhまで

上記は従量電灯という、電力自由化以前からあるプランでの価格です。

各電力会社ホームページには、利用時間や利用形態によってさまざまやプランが掲載されているので、上手に利用することで電気代を節約することができます。

2-2. 電気代が安い国で節約

世界中を探す

世界に目を向ければ、もっと安いところがあります。

日本より電気代が安い国は多い

電力中央研究所がまとめた資料によると、現在の日本の電気代は主要10か国の中で真ん中くらいの価格になっています。

一般財団法人電力中央研究所|電気料金の国際比較(pdf)

2016年のデータでは、アメリカやカナダ、お隣の韓国の電気代は15円を下回っており、日本(約24円/kWh)の半分程度になっています。

中国の電気代は日本の3分の1

実はもっと身近に、電気代の安い国があります。

それが中国です。

日本貿易振興機構(JETRO)の投資コストデータによると、北京の電気代は0.07ドル(7円)/kWhから0.12ドル(13円)/kWh。日本の半分から3分の1程度になっています。

参考:JETRO投資コスト比較

この電気代によって、中国はマイナーにとって魅力的な場所になっています。中国に大手のマイニング企業が多く設立されているのも、うなずけます。

2-3. 格安電気プランを契約する

電気代

電力自由化で好きな電力会社と契約できるようになりました。電気料金が安い電力会社と契約すれば、節約することができます。

マイナー向け電気料金プラン「マイニングフラット」

株式会社Looopが提供するサービス「Looopでんき」では、「マイニングフラット」というマイニング用の契約プランを提供しています。

Looopでんき:マイニングフラット

この契約プランは電気を多く使うほど割安になる設定になっていて、一定の消費量まで定額、超過分は従量課金22円/kWhで利用できます。

3. リスクを減らしてマイニングする方法

マイニングでどれだけ毎月利益が出たとしても、マイニングマシンを購入した金額以上の稼ぎがなければ儲けられません。

報酬をもらえない」「コストが膨らむ」というリスクを解消できる、2つのマイニング方法を紹介しましょう。

3-1. 利益を出す確率を上げる!マイニングプール

マイニングを個人で行っている場合に陥る「報酬を得られない」リスクを軽減するのが、「マイニングプール」です。

マイニングプール

マイニングプールは、複数のマイナーが協同してマイニングを行うしくみです。参加者全員のハッシュ(マイニングマシンの計算能力)を合計してマイニングできますので、報酬を得られる確率が格段に上がります

報酬は参加者で分配するため目減りしますが、報酬を得られないよりは良いでしょう。

前章で報酬の見込み値を算出したNicehashは、マイニングプールを運営している企業です。

3-2. 初期投資とコストを下げる!クラウドマイニング

クラウドマイニングは、自分ではマイニングマシンを持たず、マイニングを行っている企業にお金を払ってマイニングに参加する方法です。

クラウドマイニング

マイニングマシンを保有しないため、マイニングマシンの購入費はもちろん不要。電気代も専門的な知識もいりません。

ただ一定額を支払うことで報酬の一部を受け取るだけです。

クラウドマイニング企業へ支払う金額はマイニングマシンに比べれば安く、企業が行っているのでマイニング競争に敗れる(報酬がゼロになる)リスクもそれほど高くありません。

マイニング企業の倒産や詐欺に注意

クラウドマイニングを提供している企業そのものの倒産リスクや、報酬が支払われない詐欺サービスなどもあります。十分なリサーチが必要でしょう。

4. PoSなら電気代がかからない

マイニングに莫大な電力が必要なのは、仮想通貨のコンセンサスアルゴリズムにPoW (Proof of Work) が採用されているからです。

PoWではない仮想通貨であれば、必ずしも莫大な電力が必要なわけではありません。

PoSならノートパソコンでも大丈夫

例えばPoS (Proof of Stake) は、コインを保持している量に応じて報酬を得られるしくみで、機材はノートパソコンで十分。必要な電気代は1か月約500円弱です。

ノートパソコンで別の作業をしていてもマイニングは行われるので、感覚的な負担はもっと小さいのではないでしょうか。

イーサリアムがPoSへ移行予定

イーサリアムは、PoWからPoSへ移行しつつあります。主要コインのマイニングに参加できるチャンスかもしれません。

ただしPoSマイニングに参加するためには、コインを保有しておかなければいけません。イーサリアムでは最低32ETHが必要です。

2019年6月時点のレート(1ETH=32,000円)で100万円を越える初期投資となりますので、暴落した場合のダメージも考慮して、慎重な検討が必要でしょう。

PoSになったイーサリアムの報酬は?

イーサリアムがPoSへ移行したあとの利益率がどの程度なのか、公式の情報があります。

Ethereum| Signal non-final status of base reward and desired issuance goal

この提案通りになれば、少なくとも年間1.56%程度が報酬になるので、保有量が32ETHであれば、年間0.4992ETH(約16,000円)の報酬が見込めます。

まとめ

マイニングにかかる電気代は、毎月数万円です。

仮想通貨の価格次第では、このコスト以上の報酬を得ることは難しくありません。しかし、ボラティリティの高い仮想通貨で、コンスタントに利益を出し続けることは簡単ではないでしょう。

もしマイニングを検討しているのであれば、本当に利益が出るかどうか、次のポイントを押さえて、計算しておきましょう。

  • 電気代=電気料金(円/kWh)×消費電力(kW)×稼働時間(h)
  • 電力会社や契約プランによっては、電気料金を節約できる
  • 高性能なマイニングマシンでも、仮想通貨の相場によっては、赤字になる場合もある
  • 電気代があまりかからないPoSという選択肢もあるが、初期投資が必要

せっかくマイニングをするのですから、少しでも儲けられるような工夫をしていきましょう。