
相場の分析記事を読んでいると「移動平均線」という言葉に出くわすことがあるでしょう。
移動平均線は、チャートを分析して利益を出すために役立ちます。
今回の記事では、移動平均線の概要から具体的な使い方まで、初心者向けにわかりやすく解説していきます。
目次
1. 移動平均線とは?
この項目では、移動平均線の概要、計算方法、種類など基本的な内容を確認していきます。
1-1. 「日数ごとの終値合計 ÷ 日数」を結んだ線
移動平均線とは「日数ごとの終値合計 ÷ 日数」を結んだ線のことです。
「平均価格を結んだ線」と考えるとわかりやすいでしょう。
具体的な計算例
例として、3日移動平均線の場合の計算式を考えてみましょう。
直近3日間の価格が、1日目が100円、2日目が200円、3日目が300円だったとします。
この場合の計算式は、以下のようになります。
(100円 + 200円 + 300円 )÷ 3日 = 200円
つまり、その日の3日移動平均線の価格は「200円」となります。
このように計算を行い、算出した値を結んだのが移動平均線です。
相場の方向感がわかる
移動平均線からは、相場の方向感がわかります。
一般的には、日数が短い移動平均線ほど短期的な相場の方向感がわかり、日数が長い移動平均線ほど長期的な相場の方向感がわかります。
たとえば下記のチャート画像では、オレンジ色の20日移動平均線が実際の価格に近い値で推移していますが、水色の200日移動平均線は実際の価格と大きく離れた位置を推移していることがわかります。

これだけを見ると、オレンジの線は下がってきているので短期的には下落しそうですし、水色の線は上昇しているので、長期的には価格も上昇する可能性があります。
このように、移動平均線は日数が短いほど短期的、日数が長いほど長期的な方向感を掴むことに、それぞれ役立つのです。
1-2. 移動平均線の種類
移動平均線には、SMA 、WMA 、EMAの大きく分けて3つの種類があります。
初心者はSMA(単純移動平均線)から
初心者はもっともオーソドックスな、SMAを使うと良いでしょう。
SMAは初心者からプロの投資家まで幅広く使われており、多くのトレーダーが意識してトレードをしていることが理由です。
2. 移動平均線を使ったチャートパターン
この項目では、複数の移動平均線を使った代表的なチャートパターンと、利益を出しやすい具体的なエントリーのポイントを紹介したいと思います。
2-1. 買い時に繋がる「ゴールデンクロス」
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回るタイミングのことを指しています。
ゴールデンクロスが発生すると、価格はその後上昇する傾向があるといわれています。

上記の画像は、ビットコインの日足のチャートです。
画面中央の2019年4月ごろに、オレンジ色の50日移動平均線が青色の200日移動平均線を上回り、ゴールデンクロスが発生していることがわかります。
このゴールデンクロスは、2019年4月からの上昇相場のきっかけになったといわれています。
調整時の下落がエントリーポイント
上昇傾向にある相場において、価格が下落したタイミングはエントリーの最適なポイントの1つといえます。
相場が上昇傾向にあっても、価格が右肩上がりで永遠に上昇していくことはなく、上下の動きを繰り返しながら上昇していきます。
実際に先ほどのチャート画像でも、ゴールデンクロスが発生した以降も何度か価格が下落しています。
これは、市場に参加している投資家の利益確定や、高値でエントリーしてしまった投資家のロスカットなどによって発生する相場の調整です。
上昇傾向にある相場であっても、高値でエントリーをしてしまうと不利になってしまいます。
できるだけ価格が低い有利な条件でエントリーをした方が、利益も出しやすくなるのです。
2-2. 売り時に繋がる「デッドクロス」
デッドクロスはゴールデンクロスとは逆で、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下回るタイミングのことを指しています。
デッドクロスが発生すると、価格はその後下落する傾向があるといわれています。

上記の画像は、ビットコインの日足チャートです。
画面中央の2018年4月あたりで、オレンジ色の50日移動平均線が青色の200日移動平均線を下周り、デッドクロスが発生していることがわかります。
実際にデットクロス発生以降、2019年の年末にかけて価格は大幅に下落しています。
調整時の上昇がショートポジションのエントリーポイント
下落相場では、調整時の価格上昇でエントリーをすることで、ショートで利益を狙いやすくなります。
先ほどのチャート画像でも、デッドクロス発生以降価格は何度か上昇していることがわかります。

これは、価格が底をついたと考える投資家が買いを入れることや、ショートでエントリーをしていた投資家の利益確定またはショートカバー(損切り)によって発生する相場の調整です。
下落相場の場合、買いで入るのは危険ですし、できるだけ高い価格でエントリーをした方がショートでは有利になります。
そのため、こうした下落相場における調整のタイミングは、ショートでエントリーをするポイントの1つとして覚えておきましょう。
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3. 移動平均線のよくある質問
この項目では、移動平均線に関して初心者の方からよくある質問をまとめて確認していきます。
3-1. 時間足はどれを使えば良い?
一般的に、使う時間足には明確な決まりはありませんが、日足の移動平均線は多くの投資家が意識しているポイントでもあるため、まずはこちらを使ってみましょう。

上記の画像は、ビットコインの日足チャートです。
2018年8月24日をみると、青色の20日移動平均線にぴったり沿うように下ヒゲ(表示する時間ごとの最安値)がついていることがわかります。
つまり、20日移動平均線まで価格が下落したタイミングで大きな買い圧力が入り、価格が反発したことがわかります。
そのため、多くの投資家が日足の移動平均線を意識してトレードをしていると、推測することができます。
最高値の指標にもなる
逆に、下記のビットコイン日足チャートでは、2018年10月17日および10月23日で日足の20日移動平均線に沿うように上ヒゲ(表示する時間ごとの最高値)がついています。

つまり、20日移動平均線まで価格が上昇したタイミングで大きな売り圧力が入り、価格が反発したことがわかります。
そのため、こちらも多くの投資家が日足の移動平均線を意識してトレードをしたことで、反発が起きたと推測することができます。
このように、日足の移動平均線は多くの投資家が意識しているポイントであると考えられるため、その後の値動きを予想することに役立ちます。
以上の理由より、どの時間足で移動平均線を使えば良いかわからない方は、日足を活用することをおすすめします。
3-2. 何日の移動平均線を使えば良い?
利用する移動平均線の日数に明確な決まりはありませんが、まずはよく利用されている20日移動平均線を使ってみましょう。
慣れてきたら、短期的な分析なのか、それとも長期的な分析なのかに応じて、日数を使い分けていくのがおすすめです。
分析の期間 | よく使われる移動平均線の日数 |
短期 | 20日、25日、50日 |
長期 | 50日、100日、200日 |
短期的な分析であれば、20日、25日、50日の移動平均線がよく使われており、多くの投資家が意識しているポイントでもあります。
長期的な分析であれば、50日、100日、200日などがよく使われる移動平均線であり、こちらも多くの投資家が意識しているポイントです。
多くの投資家が意識しているということは、トレードにおいてもサポートやレジスタンスとして機能する可能性が高いので、これらを目安として活用していきましょう。
まとめ
以上、移動平均線について解説してきました。あらためて、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- 移動平均線とは、日数ごとの終値の平均価格を線で結んだもの
- 移動平均線はトレンドの把握など、相場の流れを掴むことに役立つ
- ゴールデンクロスやデッドクロスなど、複数の移動平均線を使った分析もできる
- 時間足や日数に明確な決まりはないが、よく使われるものは覚えておこう
移動平均線は、相場の世界で長年にわたって利用されてきました。
トレードを行うのであれば必ず抑えておきたいので、しっかりと勉強しておきましょう。