ビットコインが消失したマウントゴックス事件を一から徹底解説

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仮想通貨を始めたい気持ちはあっても、システムの安全性をまだ疑っているという方もいるのでは?

「ビットコイン消失事件」や「マウントゴックス事件」といった物騒なワードを目にすると、余計に怪しい気がしますよね。

実はこの2つ、どちらも同じ事件を指しているんです。仮想通貨界で起きた大事件で、そこから得られた教訓もありました。

この記事を読んで事件の内容を理解した時、アナタも安全な取引ができるようになっているかもしれません。仮想通貨を始めたい方、最近始めた初心者の方もぜひ参考にしてください。

1. マウントゴックスとは?worldchart

マウントゴックスとは、東京渋谷を拠点としたビットコイン交換所。2010年から2014年まで、円やドルといった貨幣とビットコインを交換する事業を行っていました。

2014年にマウントゴックスが、同社で保管していたビットコインと預かり金を紛失したと発表。債務超過の状態になり破綻しました。当時、世界トップの取引所といわれていたマウントゴックスの破綻は、瞬く間に世界中に広がることに。

この一件が「マウントゴックス事件」や「ビットコイン消失事件」と呼ばれるようになったのです。

1-1.  マウントゴックスの始まり

2009年

アメリカ人のジェド・マケーレブが、ゲーム用カードの交換所「Magic The Gathering Online Exchange」社を創設

2010年

ビットコイン交換所事業をスタート、社名を「マウントゴックス」に変更

2011年

フランス人のマルク・カルプレスが経営権を取得、最高経営責任者(CEO)になる

2013年

世界トップクラスのビットコイン交換所として、全取引量の約70%を占める

2014年

ビットコインとユーザーの預り金を紛失したと発表、経営破綻

マウントゴックスは創設時「Magic The Gathering Online Exchange」という社名で、トレーディングカードの交換所事業を行っていました。

2010年、ビットコインと法定通貨を交換する事業に転換。初めの社名のアナグラムで「Mt.Gox(マウントゴックス)」社に改名。

翌年に創設者のジェド・マケーレブは、ユーザーであったマルク・カルプレスに会社を譲渡。「株の一部をくれるなら、そのほかは無償でかまわない」というマケーレブの申し出を、カルプレスが受け入れたそうです。当時の価格は1ビットコイン=1ドルほどでした。

2013年に入るとビットコインの価格が大きく動き出し、同年11月には1ビットコイン=1,000ドルを突破。ひと月に約500億円の取引が行われていました。マウントゴックスはその約70%を占める、トップクラスの取引所に成長。これは、

  • オンラインで取引できるビットコイン交換所が世界的に少ない
  • 取引の活発な交換所が少ない

といった理由から、日本人だけでなく海外ユーザーも利用していたからです。

しかし間もなく、マウントゴックスに暗雲が立ち込めます。2013年から爆発的に増えたユーザー数に、「対応が追いついていないのでは?」と一部の利用者に騒がれるようになったのです。

そして、ついに事件が起きてしまいました。

 2. マウントゴックス事件

仮想通貨界に関わる大事件といえば「マウントゴックス事件」。いつ、どのようなことが起きたのか、どれほどの被害かあったのか解説します。

2-1. 事件の概要

2014年2月にマウントゴックスは、ビットコインと預り金を紛失したと発表。社長のマルク・カルプレスは、コインがなくなったのはサイバー攻撃により盗まれたため――と説明しました。

その後「社長が横領したのでは?」という疑いが浮上。20158月、警視庁はマルク・カルプレスの逮捕に踏み切りました。

ビットコインが消失した原因は元社長による横領・着服とみられていましたが、20177月、事件に新たな動きが。真犯人とみられる人物がギリシャ北部の村で逮捕されたのです。男はサンダー・ヴィニクと名乗るロシア人。偽名の可能性もあるといわれています。

2018年1月現在、消えたビットコインの行方は明らかになっていません。真犯人と思われる人物が逮捕されたこともあり、真相が明らかになるのはそう遠くないのではないでしょうか。

2-2. 時系列で見る事件の流れ

事件前後にマウントゴックスで起きた出来事をまとめました。

2014年

2月初旬

不正アクセスの影響で完了しない取引が急増

2月23日

マルク・カルプレスがビットコイン財団の理事を辞任

2月24日

ユーザーの預かり金、最大28億円の不足が発覚

2月25日

「すべての取引を停止する」という文書をウェブサイトで公開

2月28日

東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請、そして同日受理を発表

マルク・カルプレスが緊急会見で謝罪

4月16日

東京地方裁判所が民事再生手続きの申し立てを棄却

4月24日

破産手続きを開始

2015年

8月1日

システムを不正に操作しユーザーのコイン残高を書き換えたとして、私電磁的記録不正作出・同供用の容疑で、警視庁がマルク・カルプレスを逮捕

8月21日

預かり金の着服をしたとして、業務上横領の容疑でマルク・カルプレスを2度目の逮捕

10月28日

またも業務上横領の容疑でマルク・カルプレスを3度目の逮捕

2016年

7月14日

マルク・カルプレスが保釈保証金1千万円を納付し保釈

2017年

7月11日

業務上横領などの罪に問われたマルク・カルプレスが初公判

7月27日

資金洗浄の容疑で逮捕されたアレクサンダー・ヴィニクが、マウントゴックス事件の真犯人という説が浮上

当時のマウントゴックスには、

  • 一気にニーズが増え、業務が追いつかないのに対策をとらなかった
  • 大量のビットコインや資産が一部に集中していたのに、セキュリティが甘くなっていた

といった問題がありました。ハッキングに遭うリスクがあったにも関わらず、対応が遅れていたのはマウントゴックスの失態といえるのではないでしょうか。

2-3. 被害

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マウントゴックスが紛失したと発表したのは、

  • ユーザーが預けていた750,000ビットコイン
  • 自社で保有していた100,000ビットコイン
  • ユーザーからの預かり金が最大28億円

です。盗まれたビットコインの被害額は、日本円で約144億円としていました。

しかし20142月のビットコイン価格は、1ビットコイン=550ドル前後。当時の為替レートで計算すると、日本円にして400億円以上になります。

被害者のなかにはマウントゴックスがハッキングに遭ったと聞いて、すぐ現金に換え引き出す手続きを行った人もいたそうです。ところが手続きが遅延したままマウントゴックスが破綻したため、資金を取り出せませんでした。

マウントゴックスが破綻した時の127,000口座のうち、日本人の口座は1,000程度。ほとんどの被害者は海外ユーザーだったようです。

2-4. 満額返済できる可能性

2017年7月、マウントゴックスの破産管財人は約20,000人の債権者たちに、コインか現金で100%の配当を検討し始めました。これは専門家でも聞いたことがない異例の事態だとか。

このような検討が行われた理由は、2017年に入りビットコイン価格が急騰したから。それに伴い、マウントゴックスに残された資産価値も膨れ上がったのです。残されていた資産は200,000ビットコインと現金10億円。事件当時のレートで合計120億円ほどの価値でした。

2018年123日現在、1ビットコインの価格は約120万円。単純に計算すると、200,000ビットコインで2,400億円ほどの価値となります。破産管財人が認めている債権額は約456億円のため、残された資産が債権額を大きく上回り、満額で返せる可能性が出てきたのです。ビットコインならではの事例ではないでしょうか。

余った資金は株主に配当するか、もう一度民事再生手続きを申し立てて会社を復活させるか、話し合いが進められている模様。大量のビットコインの行く末に注目が集まります。

3. 裁判

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マウントゴックス元社長マルク・カルプレスの初公判は、世界中から注目を浴びました。仮想通貨がらみで前例がない、膨大な被害を出した大事件だったからです。

3-1. マルク・カルプレスの主張と警視庁の見解

▼マルク・カルプレスの主張▼

  • システムの弱いところを突かれたサイバー攻撃にあい、ビットコインや預かり金を紛失した
  • 原因をつきとめ盗まれたビッ トコインを取り戻したい

▼警視庁の見解▼

  • 調査をした結果ハッキングの痕跡がほぼ見つからないため、内部犯の可能性が高い
  • 内部でシステム操作をできるのは、社長であるマルク・カルプレスのみ

事件が発覚してからマウントゴックスは、ビットコインや預かり金の紛失は送金を記録する ”システムの甘さ” を利用したサイバー攻撃と主張していました。

しかしその後の警視庁の捜査で、内部による犯行という疑惑が浮上。調査を進めてもハッキングされた跡がほとんど見つからなかったからです。そして社長のマルク・カルプレスが怪しい人物として浮かんできました。

2015年81日、警視庁はカルプレスを私電磁的記録不正作出・同供用の容疑で逮捕。その後ユーザーからの預かり金、約32000万円を着服したとして業務上横領の疑いで再逮捕しました。警視庁は、

  • コンピュータグラフィックのソフトを開発する事業の買収資金
  • 600万円の高級ベッドの購入費用

などに、預かり金を使ったことが業務上横領の罪にあたるとしています。

この件についてもカルプレスは容疑を否認。20167月に保釈保証金1千万円を納付し、保釈となりました。

3-2. 初公判で無罪を主張

2017年711日、マルク・カルプレスの初公判が開かれました。

以下の文はカルプレス本人のTwitterで公開された、第一回公判における罪状認否の内容の一部です。

私は、いずれについても、無罪であります。 詳しくは弁護人から説明していただきますが、私は、マ ウントゴックスの業務について、自分の利益をはかって、不正なデータ操作を行ったり、また、顧客のお金を使用する など、不正にお金を使ったことは、一切ありません。

裁判では無罪を主張するカルプレス。ビットコインのトラッキングレコードを解析することで、真相が明らかになる――と申し立てました。

4. 真犯人の浮上

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マルク・カルプレスの初公判から約12日後の2017727日、事件に新たな展開がありました。東京のコンサルティングファーム「WizSec(ウィズセック)」が、独自の調査でカルプレスの疑いを晴らす情報を見つけたと発表したのです。

それはビットコイン取引所「BTC-e」の運営メンバーであるサンダー・ヴィニクが、マウントゴックスからビットコインを抜き出した真犯人というもの。2017726日、40億ドル超えの資金洗浄の疑いで逮捕された人物です。

さらにWizSecの調査では、真犯人は一人でないと発表しています。ヴィニクはマネーロンダリングを行ったメンバーのひとりで、ほかにも事件に深く関わる人物がいるとみているようです。

事件の真相はいまだ明らかになっていません。しかし着々と真実に近づいてきているのではないでしょうか。

5. マウントゴックス事件から得た教訓

マウントゴックス事件でわかったことは以下の通り。

  • 仮想通貨のシステム自体は信ぴょう性が高い
  • 信頼できる取引所を選ばなければならない
  • 高額の資産はオフラインのウォレットに保管

それぞれについて解説をしていきましょう。

5-1. 仮想通貨のシステムは信頼性が高い

マウントゴックス事件が起きた時、さまざまなメディアが “ビットコイン” を強調して報道しました。マルク・カルプレスが記者会見で「システムに弱いところがあって」と話している様子が放送されていたのも重なり、ビットコインのシステムが弱いという印象を持った人もいたでしょう。

しかしシステムに不備があったのは、ビットコインではなくマウントゴックス。ビットコインとマウントゴックスのシステムは、まったく別ものです。

このような印象を受け、一時的にビットコインは価格を落としました。しかし仮想通貨の「ブロックチェーン」というシステムに問題がなかったとわかり、すぐに信頼を回復。取引量が減ることはありませんでした。

ブロックチェーン技術は、改ざんできない記録として高い信頼性があります。信じられるからこそ、価値が生まれるのです。

詳しい仕組みについてはこちらの記事をお読みください。
世界を変えるブロックチェーンの仕組みのやさしい概要

現在は「ブロックチェーン=仮想通貨」というイメージがありますが、今後はさまざまな分野で活かされるでしょう。契約書や免許証、国籍、婚姻届といった証明書も、ブロックチェーン技術が使われる時代になるかも。このような公的な証明書にも使えるほど、ブロックチェーン技術の安全性は認められているのです。

5-2. 信頼できる取引所選びが重要

マウントゴックス事件から明るみに出たのは、仮想通貨取引所のシステム管理力の重要性。ずさんな管理だとマウントゴックスの二の舞になりかねません。

大切なのは信頼できる取引所選び。残念ながら現在ある取引所のなかにも怪しげな企業が運営しているところがあります。ユーザーは何を持って信頼できる取引所と判断すればよいのでしょうか?

初心者が取引所を選ぶなら、まず国内の取引所を選ぶとよいでしょう。理由としては公式ホームページが日本語表記のため、運営方針やサービス内容を理解しやすいから。仮想通貨の取引に関して知識が少ない段階では、慣れた日本語で説明が書かれている方が安心ですよね。

次に金融庁に登録済の取引所を選ぶこと。2018123日現在、金融庁に登録済の取引所は以下の通りです。

【関東】

  • 株式会社マネーパートナーズ
  • QUOINE株式会社
  • 株式会社bitFlyer
  • ビットバンク株式会社
  • SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社
  • GMOコイン株式会社
  • ビットトレード株式会社
  • BTCボックス株式会社
  • 株式会社ビットポイントジャパン
  • 株式会社DMM Bitcoin
  • 株式会社ビットアルゴ取引所東京
  • Bitgate株式会社
  • 株式会社BITOCEAN

【関西】

  • 株式会社フィスコ仮想通貨取引所
  • テックビューロ株式会社
  • 株式会社Xtheta

参考:金融庁「仮想通貨交換業者登録一覧」

取引所選びに迷ったら運営会社をチェックし、金融庁に登録済みの業者が運用しているサービスか確認しましょう。コチラの記事ではタイプ別で取引所の選び方を紹介しています。ぜひ一読を!
【初心者向け】仮想通貨取引所の選び方!セキュリティを要チェック!

5-3. コインはコールドウォレットで管理

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マウントゴックスの一件で得た教訓は、コインの保管先はオフラインで管理する ”コールドウォレット” を利用するということ。インターネット上で資金を管理していると、いつハッキング被害に遭っても不思議ではありません。

マウントゴックスを利用するユーザーは、同社で開設した口座に投資の軍資金とコインを預けたままにしていた人が少なくありませんでした。理由は売買をスムーズに行うため。特に短時間の取引をくり返すデイトレーダーは、送金時間を短縮するためコインを預けたままにしていた人が多かったのではないでしょうか。

その影響もあり、マウントゴックスは大量の現金とコインを管理している状態で運営をしていました。オンライン上でたくさんの資金を扱うマウントゴックスは、悪質なハッカーにとって格好の餌食。そのうえ管理体制が追いついていなかったので、狙われやすい状況でした。結果、数百億円相当のコインと資金を盗まれてしまったのです。

取引所のなかにはユーザーのコインをコールドウォレットで管理し、セキュリティを固めているところも。サイバー攻撃にあっても、コインは隔離されているので安心ですね。

それでも不安がある人には、自身のコールドウォレットで管理する方法がオススメ。コールドウォレットには、

  • ペーパーウォレット
  • ハードウェアウォレット

という種類があります。

ペーパーウォレットとは
送金に必要なQRコードや秘密鍵といった情報を印刷して保管する方法。手書きでも構いませんが、秘密鍵は複雑な文字列なので写し間違えないように注意しなければなりません。以下の記事では無料でペーパーウォレットを作成するやり方を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
【盗難対策】ビットコイン用ペーパーウォレットを作ろう!
ハードウェアウォレットとは
USBメモリのような記憶媒体でコインを保管する方法。コインを移動させる時だけ、USBケーブルでインターネットにつなげます。

1カ所に大量のコインを集中させると、ハッカーが狙ってくる可能性が上がります。一人ひとりが防犯対策をとることで、マウントゴックスのような事件の再発防止につなげられるではないでしょうか。

関連:ビットコインをウォレットで安全に管理する方法

まとめ

マウントゴックス事件について紹介しました。いかがでしたか? この記事では、

  • マウントゴックスは全取引量の70%を占める、トップクラスのビットコイン取引所だった
  • 2014年にマウントゴックスから大量のビットコインと預り金が消えた一件を “マウントゴックス事件” という
  • 事件の犯人は内部か外部か、まだ明らかになっていない
  • 社長のマルク・カルプレスが容疑をかけられ裁判を行ったが無罪を主張している
  • 2017年に真犯人と思われる人物が浮上し、大規模なマネーロンダリング組織が関わっていたという説が出る
  • ビットコインのシステム自体は信頼性が高い
  • ずさんな管理をする取引所は危険なため、信頼できるところを利用する
  • コインを保管する時は、コールドウォレットを使うとよい

ということが、わかったと思います。これから仮想通貨を始める人は、ぜひ参考にしてください。