
SNSやWebサイトで「ポンジ・スキームに注意!」という内容の投稿を見かけることがあります。
「なんか詐欺の一種みたいだけど、どんな手口なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事ではポンジ・スキームの実際の手口、騙されないための対策ポイントを解説。甘い言葉に騙されて大切なお金を失うことのないように、しっかり理解しておきまし
目次
1. 仮想通貨詐欺でよく見るポンジ・スキームとは?
そもそもポンジ・スキームとはどのような詐欺なのか、解説します。
1-1. 古くからある投資詐欺の常とう手段である
ポンジ・スキームの名前の由来は、詐欺師のチャールズ・ポンジ。第一次世界大戦後、金融秩序の混乱に乗じて詐欺を働いた人物です。
約100年前にチャールズ・ポンジによって行われた投資詐欺は現代も行われています。
難しくない手口の詐欺
なんだか難しそうな言葉にも聞こえますが、実際は難しい内容ではありません。端的にいえば、高配当・高利回りとうたって出資金を集め、実際には運用せずに集めたお金を配当に回す手法です。仮想通貨以外でも、詐欺の常とう手段といえます。
ポンジ・スキームは、ある程度配当を与えてから、破綻させ出資金を抱えて行方をくらまします。
1-2. 少額投資から始めさせ、徐々に出資金の増加を狙う
この手法が狡猾なのは、出資者に怪しまれないように少額出資でスタートさせるケースも多いこと。さすがに投資の常識を超えた配当をアピールすると、怪しむ人も多いです。そのため5万円・10万円など、比較的少額から始めさせます。
どういうものかちょっと怪しいけれど、それほど財布が痛まないなら……という理由で、ついお金を出してしまう人は意外と多いです。
一度は配当を渡し納得させる
ポンジ・スキームの詐欺師は、初回配当などの形で、いったん宣言したとおりの配当・利益を相手に渡します。「ほら、このとおりの利益が出たでしょ?」と説得し、信用させるのです。
更に高額な出資金を募る
その上で、「5万円では大きな儲けが出ませんから、50万円に出資を増やしましょう!」などと言って、増資を求めてきます。少額でも配当・利益を得て信用してしまった出資者は、さらに大きな出資金を出すようになってしまいます。こうなってしまうと詐欺師の思うつぼ。
冷静に考えると利益が出すぎでは……
ポンジ・スキームは、出資者側から見ると、いかにも簡単に大きな利益が得られるように見えます。ちょっと立ち止まって考えれば、それほどの利益を出し続ければ組織が持たないのではないかと思えるものです。
そしてある日連絡が取れなくなる
しかし詐欺師側は、最初から組織が破綻することを前提にしています。出資者のお金をだまし取る詐欺であり、最初から投資をする気も、儲けさせる気もまったくありません。目標額に達するなどすると、ある日突然連絡が取れなくなります。
2. ポンジ・スキームでよく使われる言葉や手口
この章では、ポンジ・スキームによくあるフレーズや、それらがいかに非現実的なのかを解説します。
- 年利回り50%!確実に儲かる
- 月配当20% ローリスクで投資できる
- 元本保証!配当は〇〇コイン投資額の50%
投資について基本的な理解を得ている方なら、これらの言葉が現実的でないことはすぐわかります。しかし初心者の方には思わず魅力的に見えてしまうため、このようなことは非現実的だとしっかり認識しましょう。
年利回り50%! 確実に儲かる
まず1つめのフレーズですが、年利回りが50%というだけでも非現実的です。また「確実に儲かる」という成果は、仮想通貨も含め株式・FX・投信・先物などすべての投資商品において実現できません。
確かに仮想通貨はボラティリティが高く、場合によってはそれほどの利益が出る可能性があるかもしれません。しかしそれは確約できるものではありません。
月配当20% ローリスクで投資できる
2つめについては、毎月20%もの配当を安定して出すことは不可能です。新規加入者の出資をタコ足配当のように当てているのではないでしょうか。また仮想通貨は値動きが激しく、決してローリスクとはいえません。
元本保証! 配当は〇〇コイン投資額の50%
3つめのフレーズについては、「元本保証」の仮想通貨投資はありません。価格変動のリスクが常にあり、元本が維持されるわけではないからです。
投資にはリスクがつきものなので、確実に儲かることも、元本が保証されることも決してありません。現実的ではない高配当を確実に生み出す方法もないので、絶対に騙されないでください。
冷静に考えたら一般人に出資を求めるのはおかしい
高い配当・利益をうたう投資話に目がくらんでしまう方もいるかもしれませんが、なぜ一般人から出資を求める必要があるのか、冷静に考えてみましょう。本当に高い利益率が出るのなら、最初からある程度の規模で投資をスタートするのが効率的です。
3. ポンジ・スキームは日本でも拡大中
世界各国で被害が発生しているポンジ・スキームですが、日本でも拡大しているので、まったく他人事ではありません。ポンジ・スキームではないかといわれている事例をいくつか見てみましょう。
3-1. プラストークン
現在、ポンジ・スキームではないかと疑う声が寄せられているのが、配当型ウォレットの1つであるプラストークンです。配当型ウォレットとは、ビットコインなどをウォレットに預けておくことで、高配当がもらえるというものです。
プラストークンもアービトラージによる収益で月利10%以上という高配当をアピールし、日本でもプラストークンに投資していた人が一定数いました。
突如出金停止となり見通しはついていない
しかし2019年7月に出金停止となったことから、詐欺ではないかと議論になっています。公式からの明確な発表はなく、出金再開の見通しは立っていません。
配当型ウォレットはプラストークン以外も、日本で数多く出回っています。しかしポンジ・スキームを疑われているものも多いため、投資はやめておきましょう。
3-2. weenzee
weenzeeとは、ブロックチェーン・AI(人工知能)・ニューラルネットワークなどを基盤とした、新しいビジネスプラットフォームをうたうサービスです。日利が0.5%~1%と、こちらも非常に高い収益性をアピールしていました。
公式サイトが突如消えた
世界で10万人以上が参加する規模にまで成長しましたが、2019年7月に出金停止となり、weenzeeのサイトにつながらなくなったという声が寄せられています。よってweenzeeもポンジ・スキームではないかという声が上がっています。
#WEENZEE 配当などは正常に動いてますが、出金はpending中
昨日出金分は反映されず。
ここに来て、ウォレット系、WEENZEEも不安要素が出てきました。— ニートルズ (@Neeturtles) July 7, 2019
4. ポンジ・スキームに騙されないための対策
詐欺に引っかからないため、以下のポイントをしっかり頭に入れておきましょう。
騙されないための4カ条
- 仮想通貨取引にローリスクはない
- 元本保証はないし、確実に儲かるものではない
- 詐欺を見分けるためには、過去の事例を把握
- 薦められたら投資する前に調べよう
例え友人でも勧められたら疑う勇気を持つ
ポンジ・スキームを含めて詐欺はどこから話を持ち掛けられるかわかりません。見知らぬ他人なら怪しいと思う方も多いでしょうが、友人や知り合いから持ち掛けられることもよくある話。
よって持ち掛けてくる人が誰であろうと、すぐに投資話に乗るのは禁物です。利益・配当に関する魅力的なフレーズを鵜吞みにせず、投資自体が具体的にどのような仕組みなのかを調べましょう。
魅力的な数字に騙されず運用実態を注視する
ポンジ・スキームの特徴の1つに、運用実態がわからないという点があります。数字だけ見ると魅力的なのですが、具体的にどのように投資をするのか、方法・ロジックが曖昧でぼんやりしているのです。
直接の運用者と連絡が取れるか確認する
また、最初から組織破綻を狙っているため、直接の運用者と連絡が取れないようになっていることがほとんど。そもそも運用する気もないため、運用者自体、定めていないこともあります。投資方法について具体的な質問ができない、説明を受けられないといった場合は要注意です。
有名人が広告塔でも信用しない
また、有名人の名前を出して勧誘してくることもあります。自分の好きな芸能人だからといってすぐに信用してはいけません。そもそも勝手に名前を使っているだけという可能性もあるわけです。
▶スキャムとは?詐欺の実例とだれでも見破れる簡単チェック方法7選
まとめ
ポンジ・スキームとは、高い利回り・配当をアピールし、実際には運用せずに出資金を騙し取る詐欺行為です。ある程度の出資金が集まると、ある日突然連絡が取れなくなる・サイトが封鎖されるなどして、組織は行方をくらまします。
怪しまれないように最初は少額からスタートさせるのも、ポンジ・スキームの特徴。例え少額でも、投資の常識を超えた利益率をうたう話、投資方法が明確でない話には絶対に乗らないでください。
人から勧誘を受けてもすぐに乗ることなく、その話についてネットで調べ、過去の詐欺事例もおさえておきましょう。
ポンジ・スキームで大切なお金を失うことのないよう、よく注意してくださいね。