
Qtum投資の準備にウォレットを探しているのではないでしょうか?
Qtumも他の仮想通貨と同じく取引所に預けたままではセキュリティ的に危険です。ウォレットを使って自分で管理するようにしましょう。
そこでQtumで使えるウォレットの紹介と導入時の注意点を説明します。具体的な導入手順についても画像付きで説明していますので、検討中の人はぜひお読みください。
目次
1. Qtumに対応したウォレットはいくつもある
日本ではあまり馴染みがないQtumですが、時価総額時価総額221億で世界36位(2020年3月11日:CoinMarketCap)になっている比較的メジャーな仮想通貨です。
そのため、すでにサードパーティからも対応ウォレットが提供されており、どれを使うか迷うかもしれません。
そこで、今回はQtumに対応しているウォレットについて、種類から導入手順まで詳しく説明していきます。
1-1. 公式ウォレット
Qtumで利用する最適なウォレットはズバリ公式ウォレットでしょう。
まだまだ開発が続くQtumにいち早く対応しているのはもちろんですが、Qtumの機能をすべて利用するには、公式ウォレットが確実です。
公式ウォレットにも3種類ある
Qtumの公式ウォレットは、環境によって3種類準備されています。
デスクトップウォレットだけではなく、スマホアプリやWebウォレットも提供されているのです。
デスクトップ | ウォレット パソコンにインストールして利用するウォレット。 Qtumのすべての機能を使うことができるベースと言える。 マイニングするにはこのウォレットが必要。 |
スマホアプリ (モバイルウォレット) |
スマホにインストールして利用するウォレット。使い勝手とセキュリティのバランスが良い。 |
Webウォレット | インストール不要で、Webブラウザにアクセスして利用するウォレット。 秘密鍵などはユーザーが管理するようになっているため、比較的安全。 |
機能を選べばデスクトップウォレットが一番充実していますが、手軽さからWebウォレットを使いたい人もいるでしょう。
スマホアプリであればいつでもどこでも取引できますし、安全性もWebウォレットと比べ高いと言えます。ただしAndroidにしか対応していないのが、残念なところです。
Qtum Coreならマイニングもできる
Qtumのマイニングはステーキングと呼ばれるもので、一定時間以上QTUMを保持しているだけでマイニングできるというものです。
ただし、2020年3月現在、Qtumのステーキングは公式のデスクトップウォレット「Qtum Core」でしか行えません。
それに加えて、Qtum Coreを使うことで、QtumGalaxyというインセンティブプログラムにも参加できるようになっています。
QtumGalaxyは、申し込んでマイニングするだけでランダムに配当を受けられるキャンペーンで、マイニングとは別にQTUMをもらえる可能性がある魅力的なものです。
▶PoSマイニングとは? ステーキングの仕組みとやり方・報酬シミュレーション
1-2. サードパーティ製ウォレット
Qtumの管理だけを考慮すれば公式ウォレットかおすすめですが、他の仮想通貨とまとめて管理する場合は、サードパーティ製のウォレットのほうが使い勝手が良いかもしれません。
公式サイトには14種類のサードパーティ製ウォレットが掲載されています。その中から3つを紹介します。
Qtum Electrum

公式ウォレット以外でQtumに対応している唯一のデスクトップウォレットです。
ライトウォレットと呼ばれるもので、ブロックチェーンをすべてダウンロードする必要がないため必要な容量が小さく軽いのが特徴です。
Qtum上のトークンであるQRC20トークンやマルチシグ、Segwitにも対応しています。
▶【図解】マルチシグとは? 仕組みから対応済ウォレット・取引所まで
▶Segwitとは? ビットコインの問題点を一気に解決した技術
Trust Wallet

公式のスマホアプリはiOSに対応しておらず、iPhoneを使っている人には使えません。その点、Trust WalletはiOSとAndroidの両方に対応しています。
またイーサリアムやビットコイン、リップルなどにも対応していますので、それらを持っている人にとっては利便性が高いでしょう。
ABRA

Trust Walletと同じスマホアプリで、ビットコインやイーサリアム、リップルなどにも対応したウォレットです。
他にも価格を法定通貨に合わせたステーブルコインも含めて、計25種類もの仮想通貨に対応しています。
ただし、ビットコイン以外はABRAから送金できないようですので、注意が必要です。
1-3. ハードウェアウォレット
仮想通貨を安全に保管することを考えれば、ハードウェアウォレットが選択肢に浮かんでくるでしょう。
Qtumを保管することができることが公式に確認されているハードウェアウォレットには、次の2種類があります。
どちらも国内で名が知られていて日本語の情報も多いハードウェアウォレットです。
詳しくは次のサイトで紹介していますので、該当の箇所をご確認ください。
▶仮想通貨の安全保管にはハードウェアウォレット!お勧め4種と使い方
2. Qtumウォレット導入時の注意点
ウォレットの導入や使用は、それほど難しくないでしょう。
しかし、ときには高い金額を扱う可能性もあるツールですので、細心の注意を払わなければいけません。
ERC20トークンのQTUMに注意
じつは最初のQtumはイーサリアム上のERC20トークンでした。その後Qtumネットワークが整備されたあとにトークンスワップという形で現在のQTUMに交換されて今に至ります。
そのため、更新されていないサイトなどで古い情報が残っている場合がありますので、気を付けてください。
詐欺ウォレットに注意
Qtumの公式サイトでも注意喚起されていますが、偽のウォレットや偽のサイト、偽のサービスなどが横行しています。
ブログ上のリンクやSNSの情報などを信じてアクセスすると、フィッシング詐欺やウイルス、マルウェアなどの被害に遭うかもしれません。
必ず信頼のおけるところからウォレットを入手するようにしましょう。
バックアップは必須
仮想通貨の管理は自己責任です。
パソコンは壊れることがありますし、スマホも紛失するリスクがあります。ネットワークを使っている限り、ウイルスやマルウェアなどのリスクは消えません。
Qtumの公式デスクトップウォレット「Qtum Core」では、ブロックチェーン上の自分の資産へアクセスするための秘密鍵や生成されたウォレットアドレスをバックアップファイルとして保存しておくことができます。
スマホアプリでは、多くの場合リカバリーフレーズやパスフレーズと呼ばれる12個から24個の単語を使って秘密鍵を保存しておけます。
パソコンや携帯が物理的に壊れたりウイルスに冒されたりしたとしても、このバックアップファイルやフレーズがあればすべて元通りにすることができるのです。
不慮の事故はいつ起こるか分かりませんので、少しの手間を惜しまずにこれらのファイルやフレーズを必ずバックアップしておくようにしましょう。
長期保管ではコールドウォレットを導入
前章で紹介したハードウェアウォレットを含むコールドウォレットを利用すれば、資産をネットワークから隔離してハッキングやウイルスから守ることができます。
なお、コールドウォレットには、ハードウェアウォレットの他にペーパーウォレットもあります。以下の記事を参考に、導入を検討してみてください。
▶仮想通貨をハッキングから守る! コールドウォレットの作り方
3. Qtum公式ウォレット導入
ここからは、実際にQtumウォレットをインストールする手順を説明します。
Qtum Coreのインストールを画像付きで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
※ここからは、Windows10 64bit環境でのインストール画像です
3-1. インストール
まずは、公式サイトからインストール用のファイルをダウンロードして、実行します。
自分のパソコンの環境に合わせたファイルをダウンロード・実行しましょう。
[Next >]をクリックして次に進みましょう。
インストール先の確認です。問題なければそのまま[Next >]をクリックしてください。
スタートメニューに追加するのであればそのまま、スタートメニューに追加したくないのであれば、「Do not create shortcuts」にチェックを付けて[Install]をクリックしてください。インストールが始まります。
インストールが完了したら、[Next >]をクリックします。インストール完了画面です。このまま[Finish]をクリックすると、Qtum Coreが起動します。
起動させたくないときは「Run Qtum Core」のチェックを外してから[Finish]をクリックしてください。
3-2. 起動と同期
Qtum Coreを起動すると、初回だけ次のようなWelcome画面が表示されます。
初回の起動時は、Qtumネットワークのブロックチェーンをダウンロードする場所を指定します。
Qtum Coreはフルノードと呼ばれるウォレットですので、ブロックチェーンをすべてダウンロードする必要があります。Welcome画面に書かれている通り、ブロックチェーンの格納場所には大きな容量が必要ですので余裕をもって設定するようにしてください。
[OK]をクリックすると、起動処理が始まります。チェックや読み込みなどで、起動までにしばらくかかる場合があります。
無事起動すると、ブロックチェーンのダウンロードが開始されます。
初回のブロックチェーンのダウンロードには数時間かかりますので、気長に待ちましょう。
同期完了までの推定残り時間が4日と表示されました。環境によると思いますが、時間がかかります。
この「同期」という処理はブロックチェーンを最新の状態にすることです。初回はブロックチェーンをすべてダウンロードするために時間がかかりますが、その後はそれほどかかりませんのでご安心ください。
ダウンロードが完了すると、ウォレットのインストールは完了です。
なお、ブロックチェーンのダウンロード中にウォレットの暗号化やバックアップを行うこともできます。先にやっておきたい人は、次の項をご覧ください。
ブロックチェーンのダウンロードが完了すると、バックアップをすすめる画面が出てきます。
ブロックチェーンのダウンロード中にこのあとの手順(ウォレットの暗号化)を実施していない場合は、なにもせずに閉じてください。
ウォレットの暗号化を行うとバックアップファイルも暗号化されてしまいますので、暗号化前と暗号化後ではバックアップファイルが違うものになります。そのため、暗号化するつもりであればこの時点でバックアップしても無駄になるでしょう。
3-3. ウォレットの暗号化
ウォレットを暗号化すると、起動時や送金時、ウォレットアドレスの生成などのタイミングでパスコードの入力を求められるため第三者が勝手に利用できなくなります。
仮想通貨の保管は自己責任ですので、不測の事態に備えて対応しておくことをおすすめします。
メニューから[Settings]-[Encrypt Wallet]を選択しましょう。
ロック解除用のパスコードの設定ウインドウが表示されますので、10文字以上の半角英数字を入力しましょう。
このパスコードを忘れるとQtum Coreの種々の操作ができなくなりますので、絶対に忘れないようにしてください。
警告文を確認して[Yes]ボタンをクリックすると、Qtum Coreウォレットが暗号化されます。暗号化されると元に戻すことはできません。
暗号化が完了すると、再度警告文が表示されます。バックアップファイルについての警告ですので、内容を確認して[OK]ボタンをクリックしてください。
左下のアイコンの一番左に追加された鍵のようなアイコンが、暗号化されていることを表しています。
このアイコンにマウスカーソルを当てると、暗号化とロックの現在の状態を教えてくれるので、確認してみましょう。
暗号化してすぐは、「ウォレットは暗号化されており、ロックされている」ことを表す文章が表示されています。
これで、ウォレットの暗号化は完了です。
ロックとマイニング(ステーキング)
Qtum Coreの暗号化を行うと同時にロックがかかり、秘密鍵を取り扱ったり送金したりするときにパスフレーズが必要になります。
これによって資産に関連する部分の操作のセキュリティ強化になりますが、同時にステーキング設定がOFF(マイニングをしない設定)になりますので、注意してください。
ステーキングを開始する場合は、設定を変更する必要があります。
3-4. バックアップ
ウォレットの暗号化まで済めば、最後の準備としてバックアップを行います。
仮想通貨は自己責任で管理しなければいけません。バックアップがなければいざというときにすべての資産を失うことになりますので、絶対に実施しておくようにしてください。
ブロックチェーンダウンロード直後の場合は、[Wallet backup]をクリックしてください。
もしくは、Qtum Coreの上部に並んでいるメニューから[File]-[Backup Wallet]を選択してください。
すると、保存先とファイル名を聞かれます。
任意のフォルダとファイル名を指定して[保存]をクリックしてください。
バックアップできたら、Qtum Coreの実行画面になります。
3-5. ウォレットへの入金
ウォレットが無事に起動したら、さっそくQTUMを入金しましょう。
ウォレットへ入金するには、以下のいずれかの方法でウォレットアドレスを確認し、取引所や他のウォレットからそこへ送金してください。
・[Receive]ボタンをクリック
実行画面上の[Receive]ボタンを押すと、ウォレットアドレスのQRコードと文字列が表示されます。
文字列の隣にあるボタンでコピーできますので、アドレスを取得してください。
・メニューから選択
メニューの[Window]から[Receiving Address]を選択します。
ウォレットアドレスの一覧が表示されます。
使用するアドレスを選択して、左下の[コピー]ボタンをクリックすれば、ウォレットアドレスを取得できます。
3-6. ウォレットのアンロック
暗号化したウォレットを操作していると、アンロック画面が表示されてパスフレーズを入力しなければいけないシーンがいくつかあります。
このアンロックには2種類ありますので、説明しておきましょう。
ステーキング用アンロック
左下の「For staking only」のチェックを外さずにパスフレーズを入力するアンロックです。
この方法でアンロックした場合は一時的なロック解除になりますので、別のアンロックが必要な操作を行えば、またアンロック画面が表示されます。
ただし、ステーキング設定のON/OFF切り替えにパスフレーズは不要となっており、各種操作を制限しながらステーキングを行う状態にできるわけです。
ステーキング用アンロックでは、左下の鍵アイコンは次のようになっています。
少し見にくい変化かもしれませんが、鍵が少しだけ開いています。
鍵アイコンにマウスカーソルを当てると、状態を確認できます。「暗号化されたウォレットはステーキング用にアンロックされている」という意味の文言が表示されています。
このアンロックの利点は、起動したまま放置するステーキング中に意図せずロックが外れた状態になることを防げることです。
暗号化の完全アンロック
パスコードをその都度入力するのは安全ですが、連続して操作する場合などは利便性に欠けます。そのため完全にロックを外したくなるときもあるでしょう。
その場合は、メニューから[Settings]-[Unlock Wallet]を選択しましょう。
アンロック画面が表示されますので、「For staking only」のチェックを外してから、パスフレーズを入力してください。
左下の鍵アイコンが開いている状態になります。これがアンロックされた状態を示しています。
マウスカーソルを当てれば、「ウォレットは暗号化されており、アンロックされている」ということが確認できます。
ウォレットの再ロック
アンロックしたウォレットを再度ロック状態にするには、メニューから[Settings]-[Lock Wallet]を選択してください。
左下のアイコンがロック状態になっていればロックされています。
3-7. ウォレットの復旧
最後に、Qtum Coreのバックアップファイルからの復旧についても説明しておきましょう。
滅多に実施しないかもしれませんが、いざというときにできなければバックアップの意味がありません。パソコンを入れ替えた場合でも必要になりますので、1度は確認しておきたい操作です。
メニューから[File]-[Restore Wallet]を選択します。
復旧メニューが表示されますので、「Select wallet file to restore from」のそばにある[..]をクリックしてバックアップファイルを選択してください。
なお、ウォレットを暗号化した場合は、暗号化後に取得したバックアップファイルしか使えませんので注意してください。
「Choose wallet restore option」で「Restore file」を選択して、[OK]をクリックしましょう。
Qtum Coreが再起動時にバックアップファイルからパラメータを読み込んで起動する旨の警告文が表示されます。
[Yes]をクリックするとQtum Coreが終了しますので、再度起動すればバックアップからの復旧完了です。
なお、復旧時のオプション選択はそれぞれ次のような動作を行います。
Restore file | バックアップファイルからの復旧のみ |
Rebuild blockchain index | ブロックチェーンのインデックスを再構築してから復旧する |
Recover Transaction without metadata | トランザクションも復旧させてから復旧する |
Delete the local copy of the blockchain | パソコンに保存されているブロックチェーンのデータを削除してから復旧する |
まとめ
Qtumは時価総額36位(2020年3月11日:CoinMarketCap)にあり、知名度があるためQtumに対応したウォレットの種類もそこそこあります。
ただしQtumの本領の1つとも言えるステーキングを行えるのは、公式のデスクトップウォレットだけです。その点を考慮しなければ選択肢が大きく広がるでしょう。
- Qtum対応のウォレットは、公式サイトで紹介されている
- Qtumの公式ウォレットには、デスクトップ、スマホアプリ、Webと複数の環境が準備されている
- ステーキングを行うには、公式のデスクトップウォレットでなければいけない
- 公式のデスクトップウォレット以外はブロックチェーンをすべてダウンロードしないので軽い
- ウォレットの入手は、必ず正しいサイトから
- ウォレットのバックアップは必ずすること
コインチェックで取り扱いの始まったQtumへの投資を検討しているなら、自分に合ったウォレットを探しておきましょう。