
暗号資産(仮想通貨)の現物取引とは、実際の仮想通貨を売買する取引のことです。仮想通貨にはその他にも、レバレッジ取引や先物取引といった取引方法があり、それぞれの違いを知っておくことで自分に合った取引方法を選ぶことができます。
今回の記事では、現物取引の概要やメリットとデメリット、レバレッジ取引や先物取引との違い、現物取引におすすめの取引所などを解説していきます。
目次
1. 現物取引とは?
この項目では、現物取引の概要、メリット、デメリットについて確認していきます。また、レバレッジ取引と先物取引との違いについても合わせて解説し ます。
1-1. 実際に仮想通貨を売買する取引のこと
仮想通貨の現物取引とは、実際に存在する仮想通貨を売買する取引のことです。
商品を購入したり売ったりする、一般的な取引のイメージで考えると分かりやすいでしょう。
たとえば、1万円の資金があり、それを使って仮想通貨の現物取引をする場合を考えてみましょう。この場合、最大で1万円に相当する仮想通貨を購入することが可能です。もちろん、購入した仮想通貨は売却することもできます。
取引形式は「販売所」と「取引所」の2種類
現物取引の取引形式は、「販売所」と「取引所」の2つの種類があります。
取引所と販売所の違い
- 販売所:販売会社(コインチェック、GMOコインなど)と仮想通貨の取引をする形式
- 取引所:ユーザー同士が直接仮想通貨の取引をする形式
以下の表は、2つの取引形式の概要、メリット、デメリットなどをまとめたものです。
メリット | |
販売所 | 注文方法が簡単で手軽に仮想通貨を取引できる |
取引所 | ユーザー同士の同意があれば取引が成立するので、価格設定の自由度が高い |
デメリット | |
販売所 | 取引価格を販売会社が決めるため価格設定の自由度が低い |
取引所 | 注文方法が難しい |
これから仮想通貨を始めるのであれば、手軽に利用できる「販売所」の方が適しています。ただし、価格設定が自由にできないので、「取引所」と比較するとやや割高になる傾向があるので注意が必要です。
価格にこだわるのであれば「取引所」を利用した方が良いでしょう。ただし注文方法が難しいので、操作面で不安がある人は避けた方が良いと言えます。
国内では「販売所」と「取引所」のどちらかの形式だけに対応している場合もあれば、2つの形式のどちらにも対応している場合もあります。
メリット
手元にある資金しか使えないので、リスクの幅が限定的になることは大きなメリットです。
どんなに価格が下がっても借金にならない
現物取引では自己資金以上の損失が出ないため、借金にならないというメリットがあります。自己資金以上の金額に相当する仮想通貨を購入できないことが、その理由です。
ただし、現物取引でも自己資金の範囲内では損失が出るので、取引時には過剰にリスクを取り過ぎないよう注意しましょう。
送金や決済で利用できる
現物取引の場合、仮想通貨の所有権を手に入れることになるので、その仮想通貨を送金や日常生活の決済で利用することが可能です。
単純に売買で利益を出すことだけでなく、他のことに使い道があることは、メリットの1つと言えるでしょう。
デメリット
自己資金を超えた金額で取引できない
現物取引では、持っている資金の範囲内でしか仮想通貨を売買できません。
レバレッジ取引という自分の資金以上の金額で取引できる方法もありますが、現物取引は手元の資金が1万円なら1万円分の仮想通貨しか買えません。
資金量が少なければ得られる利益も小さくなる可能性が高まります。そのため、この点は現物取引のデメリットと考えることができるのです。
価格上昇でしか利益を出せない
仮想通貨取引には「ショート(空売り)」といって、持っていない仮想通貨を売却したと仮定して、後から買い戻す投資手法があります。
ショートなら価格が下落した時に利益を出せますが、現物取引ではショートはできません。
現物取引では「まず買って後から売る」という順番でしか取引ができないので、利益を出せるのも価格が上昇した時だけです。
▶ビットコイン空売りとは?概要・やり方をトレーダーが徹底解説!
1-2. レバレッジ取引と現物取引との違い
仮想通貨には現物取引だけでなく、レバレッジ取引と呼ばれる取引方法も存在します。この項目では、現物取引との違いを理解するために、レバレッジ取引の概要、メリット、デメリットを確認していきます。
レバレッジ取引は「自己資金より大きな金額を使える取引方法」
レバレッジ取引は 、自己資金よりも大きな金額を使い仮想通貨の売買ができる取引方法のことです。レバレッジと呼ばれる仕組みを使い、自己資金の数倍や数十倍といった大きな金額で取引を行います。
レバレッジ取引では大きな金額を運用するために、担保となる資金が必要になります。この資金のことを証拠金と呼びます。
▶ビットコインのレバレッジ取引とは? やり方&取引所をトレーダーが解説
メリット
現物取引にはないレバレッジ取引のメリットを紹介します。
自己資金だけでは狙えない大きな利益を狙える
レバレッジ取引は大きな利益を狙うことができます。
たとえば、自己資金が10万円で取引をし、10%の利益が出た場合を考えてみましょう。この場合、得られる利益は10万円の10%にあたる1万円です。一方で、レバレッジをかけて10倍の資金となる100万円で同じ取引をした場合、100万円の10%にあたる10万円が利益として出ることになります。
このように、レバレッジをかけて自己資金を大きくすることで、本来の資金で得られる利益よりも大きな利益を得ることができるのです。
下げ相場でも利益を出せる
レバレッジ取引では、下げ相場でも利益を出すことができます。現物取引と異なり、ショート(売り)から入ることができるためです。
ショートとは仮想通貨を売却したと仮定し、後から買い戻す投資手法です。現物取引では利用できず、価格が下落した時に利益を出せる点が特徴となっています。
▶仮想通貨FXのロング・ショートとは|投資銀行出身のトレーダーが解説
デメリット
メリットも多いレバレッジ取引ですがデメリットも多く、リスクも高くなります。
借金をする可能性がある
レバレッジ取引のデメリットは、借金をする可能性があることです。レバレッジをかけることで自己資金よりも大きな金額で取引することができ、場合によっては自己資金を超えた損失が出てしまう可能性があるからです。
たとえば、本来の自己資金が10万円で、レバレッジ10倍をかけて100万円の資金で取引する場合を考えてみましょう。もし価格が損失方向に20%変動すると、100万円の資金の20%にあたる20万円が損失として計上されることになります。
この場合、本来持っている資金は10万円ですが、それをさらに上回る20万円の損失が出たことになるので、10万円の借金をすることになってしまうのです。
ロスカットによって損失が強制的に確定される
強制的なロスカットが入る点も、レバレッジ取引のデメリットです。これによって、損失が強制的に確定されることになるからです。
現物取引では損失がいくら出ても、自分で売却するまで仮想通貨を保有することができます。一方で、レバレッジ取引ではロスカットという仕組みがあり、損失が一定水準以上に達すると仮想通貨が強制的に売却されることになります。
▶ビットコインのロスカットとは? 損をしない!計算方法を具体例で解説
持ち続けておくだけで手数料をとられる
レバレッジ取引では、仮想通貨を持ち続けておくだけで手数料がかかります。現物取引では仮想通貨を持ち続けても手数料が発生しないため、この点はレバレッジ取引のデメリットと言えます。
この手数料は「レバレッジ手数料」や「スワップポイント」と呼ばれることがあります。国内ではほとんどの取引所でこれらの手数料が発生するため、デメリットとして覚えておきましょう。
1-3. 先物取引と現物取引との違い
一部の仮想通貨取引所では、先物取引と呼ばれる取引方法も提供しています。この項目では、現物取引との違いを理解するために、先物取引の概要、メリット、デメリットを確認していきます。
先物取引は「期日までに売買する取引」
先物取引とは、期日までに決められた金額で売買することを約束した取引のことです。現物取引と大きく違う点は、取引の期日が定められていることです。
たとえば、1BTCを1週間後に100万円で購入すると約束した場合、期日が来れば1BTCを購入することになります。また、期日が来る前であれば、約束した取引内容でいつでも取引することも可能です。
▶ビットコイン先物とは? 概要・メリット・現物価格との関係性を解説
メリット
先物取引のメリットは、レバレッジ取引とほぼ同じです。
下落相場でも利益を出せる
先物取引のメリットには、下落相場でも利益を出せることが挙げられます。レバレッジ取引と同様に、ショートから入ることができるからです。
▶仮想通貨FXのロング・ショートとは|投資銀行出身のトレーダーが解説
デメリット
借金をする可能性がある
先物取引のデメリットは、借金をする可能性があることです。現物取引と違いレバレッジをかけ、自己資金以上の金額で取引ができるからです。
レバレッジ取引と同様に、自己資金以上の損失が出る可能性がある先物取引では、過剰にリスクを取る行為は危険です。十分に注意して取り組むようにしましょう。
2. 現物取引のやり方3STEP
この項目では、現物取引のやり方を確認していきましょう。現物取引のやり方は、大きく分けて以下の3STEPで行います。
取引所の2つの特徴(上限15字)
- STEP1. 取引所に口座を開設
- STEP2. 日本円を入金
- STEP3. 仮想通貨を購入
STEP1. 取引所に口座を開設
まず、仮想通貨取引所に口座を開設します。細かい内容は取引所によっても異なりますが、口座の開設は大きく分けて以下の手順で行います。
① 公式ページでメールアドレスを登録
② 名前や住所などの個人情報を登録
③ 本人確認書類のアップロード
④ ハガキを受け取る
④のハガキが届くまでには、2日から5日ほど時間がかかります。ただし、取引所によっては、④のハガキを受け取る手順が不要になる場合もあります。
たとえばCoincheckでは、「かんたん本人確認」という仕組みを採用しています。この仕組みを使うとネット上で口座開設の全ての手続きを完結することが可能で、最速即日で口座を開設することができます。
STEP2. 日本円を入金
続いて、日本円の入金を行います。入金方法は取引所によっても異なりますが、以下の3種類の方法が国内では多く採用されています。
銀行振込:銀行から指定された口座に振込する方法
クイック入金:インターネットバンキングを使った入金方法
コンビニ入金:コンビニのレジで支払い入金する方法
銀行振込は銀行の営業時間外の場合、口座の残高に反映されるまでに時間がかかります。クイック入金とコンビニ入金は、ほとんどの取引所で即時反映されるため、すぐに取引したい場合には適した入金方法です。
STEP3. 仮想通貨を購入
日本円の入金が完了したら、仮想通貨の購入を行います。以下の画面はCoincheckアプリの販売所における購入手順を解説した画面ですが、3つの手順で仮想通貨を購入することが可能です。
他の取引所でも販売所で仮想通貨を購入する場合、数回の短い手順で簡単に仮想通貨を購入することができます。
▶コインチェックで仮想通貨を購入! 手順・手数料・要注意点について
3. 現物取引ができる国内取引所
この項目では、現物取引ができる国内取引所を紹介していきます。
3-1. Coincheck(コインチェック)
銘柄数 | 12種類 |
取引形式 | 販売所 取引所(BTCのみ) |
取引手数料 | 販売所:無料 取引所:無料 |
どんな人におすすめ? | たくさんの仮想通貨を取引したい人 使いやすさを重視したい人 |
取引通貨数12種類! 国内唯一の取扱いも
Coincheckは現物取引の対応銘柄数が、国内最多の全12種類となっています。2020年3月には、国内では初となる仮想通貨クアンタム(QTUM)の取り扱いを開始したことでも、話題を集めました。
ビットコインやイーサリアムなど主要通貨を始め、ファクトム(FCT)など、国内でコインチェックしか取扱いのない仮想通貨もあります。
初心者でも使いやすいアプリ
また、AppStoreで4.3の高い評価を受けている使いやすいアプリも魅力の1つです。たくさんの仮想通貨を取引したいという人や、使いやすさを重視したい人には適していると言えます。
▶【初心者】コインチェックアプリの使い方ガイド|便利機能も解説
3-2. bitbank(ビットバンク)
銘柄数 | 6種類 |
取引形式 | 取引所 |
取引手数料 | メイカー:-0.02% テイカー:0.12% |
どんな人におすすめ? | 価格にこだわりたい人 コストを抑えた取引がしたい人 |
bitbankは全6種類の仮想通貨を、「取引所」の形式で現物取引することが可能です。
国内最安の「マイナス手数料」
取引板(注文を並べる板)に注文を出すメイカーの場合、取引手数料が-0.02%となるため、コストを抑えて取引することが可能です。
▶【10,000円取引すると2円もらえる!?】ビットバンクの手数料
取引量が多く、約定しやすい
また、2019年5月15日のCoinGecko調べによると、仮想通貨の取引量で国内No.1となっています。取引量が多いと注文が約定しやすく、自分の希望する価格で取引しやすくなります。
使いやすさを意識しながらも、コストを抑えて取引したい人などに適した取引所となっています。
4. 現物取引に関するQ&A
この項目では、現物取引に関してよくある質問と回答を解説していきます。
税金はかかる?
仮想通貨の取引で発生した利益は雑所得に分類され、年間で20万円を超えた場合に確定申告を行い税金の支払いが必要になります。これは現物取引だけでなく、レバレッジや先物取引でも同様です。
また、この雑所得には副業やフリマアプリで得た利益など、仮想通貨取引で得た利益以外も含まれるため注意が必要です。
▶仮想通貨の税率はどのくらい? 税金の計算方法や基礎知識を解説
借金をする可能性は?
現物取引では自分で借り入れをしない限り、借金をする可能性はありません。レバレッジ取引のように自己資金以上の金額を扱うことがないからです。
ただし、自己資金の範囲内で損失が出る可能性は十分にあります。借金のリスクがないからと言って自己資金を全て投じたり、生活費を削ったりなど、過剰にリスクを取る行為は危険なので控えるようにしましょう。
▶仮想通貨で借金を抱える要因と特徴・借金しないための対処方法を指南
まとめ
以上、仮想通貨の現物取引について解説してきました。改めて、今回の記事のポイントをまとめておきましょう。
- 現物取引は仮想通貨の所有権を売買する取引のこと
- レバレッジ取引との違いは自己資金以上の取引ができないこと
- 先物取引との違いは売買の期日があること
今回紹介したように、現物取引にも損失が出るリスクがあります。取引をする際には資金管理をしっかりとするなど、リスクを下げて取り組むよう心がけましょう。
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