
リップル(XRP)という仮想通貨(暗号資産)をご存知ですか? 名前は聞いたことがあるけれど、「よく分かっていない」という人も多いかもしれません。
仮想通貨XRPはリップル社が開発した仮想通貨です。オルトコイン(アルトコイン)の1つで、国際送金という既存の経済活動の一部を置き換えようと具体的に動き出している仮想通貨なのです。
今回は仮想通貨XRPの特徴や将来性などを詳しく解説していきます。XRPに少しでも将来性を感じたら、投資先としてぜひ検討してみてください。
目次
1. 仮想通貨XRPの概要
まずはXRPの基本的な情報をまとめておきましょう。
1-1. XRPの基本情報
通貨 | XRP |
発行上限 | 1000億枚 |
時価総額 | 約9148億円(2019年12月)※ |
決済速度 | 4秒 |
創設者(創業者) | リップル社 |
承認方式 | PoC |
ハッシュアルゴリズム | IOU |
公式サイト | https://ripple.com |
ホワイトペーパー | https://ripple.com/files/ripple_consensus_whitepaper.pdf |
ソースコード | https://github.com/ripple |
なお発行上限の1000億枚はすべて発行済みで、手数料などで使用されると破棄されます。このしくみによって流通枚数は減っていき、リップルの希少価値が徐々に上がっていくようになっているのです。
ただしそのままでは高騰する可能性がありますので、リップル社が6割程度の650億枚を自己保有しており徐々に開放することでむやみな高騰や暴落が起こらないように設計されています。
1-2. XRPはリップル社が管理する仮想通貨
XRPの話題になると、必ず「リップルは中央集権的だ」といった話を耳にしたことはありませんか?
リップルは中央集権的ではない?
仮想通貨XRPが中央集権的だと言われる理由には、次の2点が挙げられます。
リップル社の一存で暴落する懸念
発行済みXRPの6割以上である650億枚をリップル社が保有しているため、リップル社の思惑で大量に売却されて価格が暴落する懸念がある
承認者を管理するリップル社が絶対的管理者となっている
XRPの取引データを管理する「承認者」をリップル社が選定していることで、承認に対してリップル社が絶対的な管理者とする中央集権となっている
確かにこの2点の理由を見れば、XRPの価格や信頼性に対するリップル社の影響が大きすぎるため、XRPがリップル社の中央集権だと言われても仕方がないかもしれません。
しかし、この2点は言葉通りの内容ではないことをリップル社は宣言しています。
リップル社の一存で暴落する懸念
発行済みXRPの6割以上である650億枚をリップル社が保有しているのは確かです。しかし、リップル社は保有しているXRPをロックアップすることで、容易に市場へ投入することができなくしています。
ロックアップとはエスクローという法律に基づく第三者機関に期限付きで預けるしくみのこと。法的にも物理的にもXRPを動かせなくする措置です
リップルは2017年12月に550億枚がロックアップされており、毎年10億枚ずつ解除されるようになっています。この措置によって、保有者がリップル社であっても大量に放出できないようになっているのです。
▶リップル(XRP)のロックアップとは? 解除で価格はどうなる
承認者を管理するリップル社が絶対的管理者となっている
PoCは選定された承認者が取引の正当性を認証して台帳に記録するしくみです。
当初、承認者がリストアップされた「UNL(ユニークノードリスト)」にリップル社の関係者ばかり登録されていた点が問題視されていました。そこでリップル社では新たな承認者を募り、新しく追加するたびに古い承認者をリストから外すしくみを導入しています。
現在のUNLには、マイクロソフトや京都大学、MITなどが登録されており、リップル社の関係者は2割程度になっているのです。
これらの対策によってリップル社の影響力は確実に小さくなっており、「リップルは中央集権」と簡単には言い切れないようになっているのです。
▶リップル(XRP)がマイニング(採掘)できない理由・仕組みを解説
2. XRPのいまと未来
ここからはXRPの現状と今後の話をしていきましょう。現状を確認して将来を予測することで、価格動向が見えてくるかもしれません。
2-1. XRPは国際送金の無駄をなくす
XRPの主な存在理由は、国際送金のしくみを変えることです。
現在の国際送金は1977年5月に始まったもので、2001年から2004年にかけてクラウド化されました。しかしそこから大きな変革もなく、現在の常識に当てはめると無駄が多くコストのかかるしくみになっているのです。
例えば、日本からアメリカへみずほ銀行を利用して送金する場合、次の手数料がかかります。
送金時 | 送金手数料 | 5,500円 |
コルレス銀行(中継銀行)手数料 | 2,500円 | |
受金時 | 受金手数料 | 2,500円 |
為替手数料(最低2500円) | 送金額の0.05% |
単純に計算すると、10万円送金するための手数料は送受金合計で13,000円もかかることになります。
(参考:みずほ銀行 外国送金を利用したい)
XRPは、世界的に行われているこのような無駄を大きく低減するために作られました。そして、その先にある「価値のインターネット」を実現しようとしているのです。
もし同じ10万円をXRPで送金すれば、XRPの送金手数料、法定通貨とXRPの交換手数料の2つで済みます。
XRPを送金するための手数料である通常トランザクション手数料は10 drop(0.0001XRP)*ですので、手数料の合計は0.002円(2019年12月の相場20円で換算)ほどで済むでしょう。
(参考:https://xrpl.org/fee-voting.html
*dropとはXRPの最小単位のこと。1drop=0.00001XRP
国際送金のしくみ
銀行Aから海外の銀行Dへ国際送金するには、いくつもの銀行を仲介しなければいけません。
仲介銀行は通常の銀行の場合もありますが、コルレス銀行と呼ばれる仲介専用の銀行もあり、どちらにしても各銀行で送金手続きの時間と送金手数料が必要になります。それに加えて、為替手数料も必要になるでしょう。
その結果、国際送金には時間と高額な手数料がかかってしまうわけです。
XRPを使えば?
XRPを使うことでコルレス銀行は不要となり、銀行Aと銀行Dが直接やりとりできます。そのため手続きは1度で完了し、手数料もXRPの送金手数料程度に収まります。
また、為替手数料についてもXRPをブリッジ通貨とすることで驚くほど安くなるでしょう。
▶リップル(XRP)と銀行の提携は国際送金へ影響大!遅い高いを解決
2-2. XRP開発史
XRPの過去から現在までの変遷を知ることで、これからXRPがどうなっていくのか将来を予測することができるかもしれません。簡単な歴史と今後の計画まで紹介しましょう。
旧時代の国際送金を効率化したい
XRPは2004年、カナダ在住のRyan Fuggerが開発を開始しました。その目的は「国際送金にかかる時間と手間を省くこと」です。
最初から銀行間の国際送金をターゲットに開発されたということになります。
その後2011年に共同開発者のJed McCalebがPoCアルゴリズムの原型を作り出し、2012年に運用が開始されました。
▶ちなみにJed McCaleb氏は仮想通貨ステラルーメンの開発も行った
あらゆる台帳をつなげる
銀行の国際送金をターゲットにしているリップル社ですが、最終的な目的は「価値のインターネット」の実現としています。
そこでリップル社が作り出したのが「ILP(インターレジャープロトコル)」です。
(参考:GATEHUB)
ILPはリップル社が2015年に提唱したプロトコル(規格)で、現在W3C(World Wide Web Consortium)で国際標準化の作業が行われています。
このプロトコルに従うことで、世界中の銀行とビットコイン、証券や株などを瞬時にやりとりすることができるのです。
決済速度の向上
現在のXRPの取引承認にはUNLに登録されている承認者の90%より多い割合の承認が必要となっています。そのため、決済に時間がかかるリスクがあるのです。
リップル社は、2018年に発表された「コバルト」と呼ばれる新たな合意プロトコルの導入によって、承認に必要な割合を下げようと計画しています。
コバルトを導入することで、承認者の60%以上の同意で承認されることになり、XRPの決済速度が高速化してより多くの取引が遅延することなく行えるようになるのです。
(参考(PDF):Analysis of the XRP Ledger Consensus Protocol)
2-3. リップル活用の動き
「国際送金の合理化」という具体的な目的のために開発されたXRPを利用し、企業や大学が参加した実用的なプロジェクトが動き出しています。
具体的なプロジェクトが動いているということは、それだけXRPの信頼性があるということです。また、これらのプロジェクトが存在する限り、XRPの価値がなくなるというリスクは極めて小さいと考えられますし、プロジェクトが成功すれば価値が上がる可能性もあります。
代表的なプロジェクトを3つ紹介しましょう。
マネータップ
SBIホールディングとリップル社が提携してアジアで展開しているSBI Ripple Asiaが提供しているモバイル決済アプリです。
このアプリを使えば、リップルネットワークを利用して銀行間の送金を24時間365日いつでも簡単に行うことができるようになるのです。
送金先には口座番号以外に電話番号での指定QRコードを使った方法も利用することができます。
現在はSBI住信ネット銀行とスルガ銀行しか対応していていませんが、このアプリを含む内外為替一元化コンソーシアムというプロジェクトには三菱UFJ銀行やみずほ銀行、ゆうちょ銀行なども参加しており一大プロジェクトとなっています。
大学ブロックチェーン研究イニシアチブ(University Blockchain Research Initiative)
University Blockchain Research Initiative(公式サイト)
リップル社が世界中の大学と提携してブロックチェーン技術の研究開発を支援する財団法人です。2018年6月に世界の17の大学から始まり、その後日本からは東京大学と京都大学が加わっています。
各大学はリップル社からの資金援助を受け、ブロックチェーン技術の研究開発や人材開発のための新たなカリキュラムの創設などを行っています。
Level One Project
ビルゲイツ財団とリップル社が提携して展開しているプロジェクトで、銀行口座を持てないような人たちでもモバイルウォレットを使って送受金できるソフトウェア「Mojaloop」を提供しています。
3. XRPの取引のしくみ
そもそもXRPはどんなしくみで取引が行われているのでしょうか?
少し専門的になりますが他のオルトコインとの違いを実感できる内容ですので、ぜひお読みください。
リップル取引ではXRPは動かない
じつは、XRPの取引時はXRPの所有権が直接動くことはありません。XRPの取引でやりとりされるのは、IOUと呼ばれる借用書のようなものなのです。
例えば、AさんがBさんへ50XRP支払う場合、次のような手順で取引が行われます。
- AさんはBさんに50XRPを借りている借用書であるIOUがゲートウェイから発行される
- 発行されたIOUが正しいことをバリデータが承認する
- IOUの内容が台帳に記載されて取引が成立する
IOUとゲートウェイ
前項の手順に出てきたIOUとゲートウェイについて説明します。
IOUというのは、前項の通り借用書のようなものです。約束手形のようなものだと考えても良いかもしれません。IOUをやりとりすることで、XRPそのものを動かすことなく送金を行うのがXRPの取引なのです。
このIOUを発行することができるゲートウェイはリップル社の厳しい審査に合格した企業や団体で構成されており、それがIOUの信頼性を担保しています。
PoCとバリデータ
XRPのコンセンサスアルゴリズムであるPoCは、バリデータと呼ばれる承認者が事前に選定されており、バリデータの一定割合以上の承認が取れたら取引が成立するというものです。
ビットコインのPoW(プルーフオブワーク)のように膨大な計算量と時間を必要とせず、少ないコストで高速に処理することができます。
なお、バリデータは当初リップル社の関係者で構成されていましたが、現在では2割程度になっています。
▶仮想通貨リップル(XRP)の送金スピードを支えるPoCの仕組み
RCL(リップル・コンセンサス・レジャー)とブロックチェーン
XRPの台帳はRCLと呼ばれているもので、ビットコインのブロックチェーンとは少し違っています。
前項のようにRCLに記録されるのはIOUであり、ビットコインのように取引が格納されているブロックではありません。また、コインを新規発行することのないXRPはRCLに取引が記録されたとしてもXRPは発行されません。また、送金手数料についてもバリデータに支払われることはありません。
バリデータは、公益性と社会貢献的な利益のためだけに協力しているのです。
4. XRPはどこで買える?
XRPは日本の取引所でも購入することができます。現在では、比較的多くの取引所で扱っていますが、代表的な4社を紹介します。
コインチェック
2018年に世間を騒がせたネムの流出事件で有名になりましたが、現在はマネックスグループの関連会社として再出発している仮想通貨取引所です。
見やすく使いやすいインターフェイスに定評があります。
購入方法 | 販売所 |
取引手数料 | 無料 |
入金手数料(日本円) | 銀行の振込手数料のみ |
出金手数料(日本円) | 407円 |
XRPは取引所内の販売所で購入することになりますので、枚数を設定するだけで簡単に購入することができます。
bitbank
XRP取引高が世界1位になったこともある取引所で、日本でも早い段階からXRPを取り扱っていました。
シンプルでありながら投資家にも満足できる取引ツールを提供している取引所です。
購入方法 | 取引所 | |
取引手数料 | メイカー※ | 取引額の-0.02% |
テイカー※ | 取引額の0.12% | |
入金手数料(日本円) | 銀行の振込手数料のみ | |
出金手数料(日本円) | 3万円未満 | 550円 |
3万円以上 | 770円 |
※メイカー:取引板に表示されていない金額で売買すること
テイカー:取引板に表示されている金額で売買すること
XRPの購入は取引板を使った取引になるため希望の金額で希望枚数を確実に購入できるわけではありませんが、比較的安値で購入することができます。
特に取引板にない金額を指定するメイカーで購入できれば、手数料がマイナスになりますのでお得です。
GMOコイン
GMOグループの取引所で、現物取引だけではなくFX取引も行うことができます。
また送金手数料が無料という点が珍しく、海外取引所を利用する人には好評です。
購入方法 | 販売所・取引所 | |
取引手数料 | メイカー※ | 取引額の-0.01% |
テイカー※ | 取引額の0.05% | |
取引手数料(販売所) | 無料 | |
入金手数料(日本円) | 銀行の振込手数料のみ | |
出金手数料(日本円) | 無料 |
XRPの購入については、板取引での取引と販売所の両方で買えます。
多少手間がかかってもできるだけ安く購入したいときは取引所で購入する方が良いかもしれません。販売所であれば、枚数を指定するだけでとても簡単に購入することができます。
bitFlyer
ビットコインの取引高が国内で1位になったこともあり、ユーザー数も日本有数を誇る大手の仮想通貨取引所です。
2019年12月2日から、取引所内の販売所でXRPを購入できるようになりました。
購入方法 | 販売所 | ||
取引手数料 | 無料 | ||
入金手数料 (日本円) |
住信SBIネット銀行 | 無料 | |
住信SBIネット銀行以外 | 330円 | ||
出金手数料 (日本円) |
三井住友銀行 | 3万円未満 | 220円 |
3万円以上 | 440円 | ||
三井住友銀行以外 | 3万円未満 | 550円 | |
3万円以上 | 770円 |
取引板による取引はできませんが、販売所で簡単に購入できるようになったため、bitFlyerに口座を持っている人は検討してみても良いでしょう。
まとめ
XRPは銀行間の国際送金を変える力を持った仮想通貨です。
その力に気が付いた国内の銀行がこぞってコンソーシアムに参加しており、その実現も現実を帯びている状態と言えるかもしれません。
- 仮想通貨XRPは国際送金を効率化するために生まれた
- リップル社は「価値のインターネット」の実現を目指している
- XRPは中央集権とは言い切れない
- リップルネットワークを使った送金アプリが実現している
- リップル社の理念に企業や大学などが協賛している
XRPはすでにいくつものプロジェクトが動き出し、金融の根幹に切り込もうとしています。投資対象として検討してみてはいかがでしょうか。
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