ネム(XEM)のカタパルト|2019年下半期にアップデート予定

ネムの「カタパルト」。名前は聞いたことはあるけど、何がすごいのかは知らない。こんな人は多いのではないでしょうか。

カタパルトとはネムのアップデートのことで、ネムはより実用的なものへと変わっていきます。

この記事では処理速度やセキュリティの向上をはじめとするカタパルト実装によるメリットを紹介。カタパルトの与える影響やそれを実現する技術も解説します。

2019年5月公式リリース

2019年5月、ネム公式より、カタパルトの新機能についてのリリースがありました。

  • ネームスペース(Namespace)、モザイク(Mosaic)のアップデート
  • エイリアス(Aliases)の実装

これらのアップデートにより、NEMアカウントの利便性が飛躍的に向上することが期待されています。

NEM財団|NEM Catapult: Understanding Namespaces and Mosaics

また、専用モバイルウォレットの開発についても発表されています。

NEM財団|NEM SP Announcement:First Contract awarded to Hatio Innovations Private Ltd.

1. カタパルトの実装時期は未定

「結局カパタルトの実装はいつなの?」皆さんが最も気になっていることを開発元の現状と公式発表を元にお伝えします。

1-1. 開発元のテックビューロ社は解散

2018年10月10日、カタパルトの連携開発を行うテックビューロ社は、仮想通貨取引所Zaifをフィスコ仮想通貨取引所に事業譲渡すると発表し、会社解散の手続きを行いました。

Zaif|お客様預かり資産に関する金融支援 正式契約締結のお知らせ

理由は同年9月20に発表された約70億円相当の仮想通貨(*暗号資産)の流出によるものです。

70億円の損失額の中で約45億円はZaifユーザーの預かり資産だったため、50億円をフィスコグループが補填することになり、協議の結果、11月22日付で事業譲渡となりました。

*2018年12月の仮想通貨交換業等研究会による報告書において、呼び名を「暗号資産」とする内容が取りまとめられました(参考|「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)議事次第

テックビューロ社のプロダクト「mijin」はカタパルト実装済

テックビューロ社が開発する法人向けプライベートチェーン「mijin」には、ネムのブロックチェーン技術が利用されています。Mijinには、2018年5月にカタパルトが実装されました。

同じテックビューロ社が開発しているということもあり、ネムへのカタパルト実装と、mijinへのカタパルト実装が混同されることもありますが、2つは別のもの。またネムはパブリックチェーン、mijinはプライベートチェーンという違いがあります。

1-2. 【2019年3月29日】ロードマップ公開

しばらく公式発表のなかったカタパルトですが、2019年3月29日にネム財団からロードマップについて発表がありました。

NEM財団|NEM Foundation Catapult Roadmap and Visiongoogleドキュメント)

これによると、2019年第4Q(9月~12月)にはメインネットへのローンチが完了している予定です。リリースまでの内容を抜粋して紹介します。

時期 ステップ 内容
~2019年第3Q カタパルト事前テスト
  • ハードウェアウォレット(Ledger、Trezor)がカタパルトに対応
  • トランザクションほかネットワークアクティビティへのアクセスが誰でも可能に
2019年第3Q テストネット公開
  • モバイルウォレット、デスクトップウォレットがカタパルトに対応
  • PoCの開始
  • 新しいコンセンサスアルゴリズム(PoS+)
2019年第3Q~第4Q メインネットで公開
  • マルチレイヤ―マルチシグの実装
  • アグリゲートトランザクション実装
  • 改良版ハーべスティング実装
  • エイリアス実装
  • アカウントプロパティ実装
  • ネームスペース実装
  • モザイク実装
  • トランザクション手数料、ネットワーク利用手数料変更
  • スーパーノードの運用ルール決定
  • ブランディング等普及への戦略構築

なおNEM財団は開発は行っておらず、あくまで“NEM.io財団がどのようにカタパルトのコアプロジェクトに貢献をする計画かを説明するもの”としている点はご注意ください。

2. カタパルトとはバージョンアップのこと

ネムがカタパルトでパワーアップするイメージ

カタパルトはネムブロックチェーンのバージョンアップのことを指しています。カタパルトが実装されることの何がメリットなのか。それを可能にする技術はどのようなものなのかを解説していきます。

2-1. ネムをより便利に安全に使えるようになる

ネムにカタパルトが実装されることのメリットは大きく二つです。

  • 処理速度の向上
  • セキュリティレベルの向上

それでは具体的に詳しく見ていきます。

2-1-1. 処理速度の向上

カタパルトが実装されることで、ネムが承認できる取引のスピードが格段に上がります

まだテスト段階の数値しか公表されていませんが、ネムがテストで記録した処理件数を他の仮想通貨等と比較してみましょう。

決済手段 1秒当たりの処理件数
ビットコイン 7件
イーサリアム 15件
リップル 1,000件
VISA(クレジットカード) 4,000~6,000件
ネム(テスト段階) ~4,000件

この数値はあくまでプライベートチェーンでのテストにおける実績のため、カタパルトが実装されてもここまでのスピードは出ないかもしれません。

しかし少しでも決済が素早く完了するようになれば、レストランや小売店などでも使いやすくなるでしょう。

(参考)一般社団法人NEM JAPAN|Myth or Fact? 4,000 transactions per second on the private Catapult blockchain

2-1-2. セキュリティレベルの向上

ネムがカタパルトを実装するとセキュリティレベルが向上すると言われています。

このセキュリティに用いられる技術がマルチレベルマルチシグと呼ばれるものです。マルチシグと呼ばれる署名方法に似ていますが、より権限を分散させたセキュリティレベルの高い承認方法です。

2-2. カタパルトで実装予定の2つの技術

カタパルト実装による処理速度向上とセキュリティの向上を可能にする技術は、一体どのようなものなのでしょうか。

2-2-1. アグリゲートトランザクション

アグリゲートトランザクションとは複数の取引の処理を「同時に」行うことができる技術です。現在の取引のリスクを回避することができます。

■現在の取引の仕組み

例えばAさんがB商店に10000XEMを支払い、B商店がAさんに商品を送付するとします。

 

この場合、以下のトラブルが発生する可能性があります。

  • お金を支払ったのに商品が届かない
  • 商品を送ったのに代金が支払われない

支払う金額が高ければ高いほど取引のリスクは大きくなるため、取引の仲介者を置くことでトラブルを回避しようとします。

ヤフオクやメルカリなどが行っている「商品の送付を確認して代金を渡す」という仕組みがこれにあたります。

問題が解決されたように思えますが、悪意のある仲介業者が預かった代金を持ち逃げしないとも限りません。

■アグリゲートトランザクションでの取引の仕組み

アグリゲートトランザクションでは、仲介業者を必要としません

この技術を使うと、第三者(仲介業者)の信用に頼る必要がないため、仲介業者による持ち逃げなどのリスクもありません

■複数人の取引も同時に実行可能

 

アグリゲートランザクションでは上の図のように、複数人の取引を同時に実行することも可能です。

すべての取引が同時に実行されるので、順番にお金のやり取りをするより所要時間が大きく短縮されます。

2-2-2. マルチレベルマルチシグ

ネムにはマルチシグという仕組みがあります。「あらかじめ定めた4人のうち3人が認めなければ取引が行われない」というような複数人による署名を必要とする仕組みです。

カタパルトで実装予定のマルチレベルマルチシグは、マルチシグを何段階かの階層ごとに行います。

マルチレベルマルチシグのしくみ
1層目で必要とされる2/3の承認を満たすことが、2層目で必要とされる署名のうちの1つとみなされます。さらに2層目の2/2の署名を満たすことで、3層目で必要な署名の1つとなります。

このようなマルチシグの連続を作ることで、よりセキュリティを強固なものにしたのがマルチレベルマルチシグです。

参考:ネム財団HP

マルチシグとは
複数の鍵がないと送金ができないシステム。万が一1つの鍵を盗まれても、ほかの鍵を揃えなければ送金ができないので、不正送金の被害に遭うリスクを減らせます。

3. カタパルト実装で価格はどうなる?

ネムへのカタパルト実装については大きな動きがなく、ネムのブロックチェーンを利用したmijinにしか動きがありません。しかし同じ開発元でのカタパルト実装は、ネムの価格にも影響しています。

3-1. テストプログラム発表で大幅な値上がり

2017年11月6日午前、mijinへの「2.0 catapult」のテスト参加者募集が発表されました。

テックビューロ株式会社|テックビューロがブロックチェーン製品『mijin』の新バージョン『2.0 Catapult』のクローズドβテストプログラムを開始

このニュースを受けネムの価格は数時間で25%上昇。その後11月11日まで価格は上がり続けました。

市場はカタパルト発表を、ポジティブなニュースと受け止めたことがわかります。

3-2. 今後はどうなるか

2017年には仮想通貨が知名度を上げ年末にかけて全体的に値上がりを見せました。しかし2018年始めから仮想通貨の価格は下落し、低迷期に。ネムの価格も仮想通貨の全体的な価格と連動した動きをしていました。

3-2-1. mijinへのカタパルト実装

mijinへのカタパルト実装時のチャート
CoinMarketCapより

2018年5月14日早朝、mijin へのカタパルト実装が発表されました。

ネムの価格にも大きな影響を与えました。午後以降、取引量が増加し、価格は約10%上昇。同時期にはコンセンサス2018という仮想通貨カンファレンスが行われており、投資家の注目が集まっていたことも要因の一つではないでしょうか。

17日には発表前と同じ水準まで価格が戻りましたが、カタパルトへの期待の高さをうかがわせます。

3-2-1. ネム日本財団設立(2019/5/21情報更新)

※2019/5/21追記
一般社団法人NEM JAPAN(ネム財団日本法人)の事業がネム財団へ返却されました。今後、「NEM日本窓口」としてウェブサイト等での情報発信を行う予定とのことです。

仮想通貨Watch|日本法人NEM JAPAN、事業をNEM財団に返却

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2018年 11月28日に一般社団法人NEM JAPANが設立されました。

一般社団法人NEM JAPAN|一般社団法人NEM JAPAN設立のお知らせ

ネム日本財団はネムブロックチェーン技術の普及を促進するための非営利組織で、ブロックチェーン技術の導入を検討する企業にネムの技術や情報を提供しています。

一時、破産のニュースが広がりましたが、財団はこれを否定。「コミュニティの皆さまへ」と題されたリリースの中で、プロモーションからプロダクトへ重点を移すこと、より効率的で透明性の高い運営を目指した組織の再編を行うことを発表しました。

NEM JAPAN|コミュニティの皆さまへ

4. ネムを買う方法

ネムを実際に購入が可能な国内の取引所を紹介します。安全に仮想通貨を扱える取引所を選びましょう。

4-1. Zaif (取引所・販売所)

2018年9月20日に仮想通貨流出についての発表以降、フィスコ仮想通貨取引所に事業譲渡が行なわれました。新規口座の開設を一時停止していますが、取引所としても販売所としても利用は可能です。

取引通貨ペア

  • ネム/ビットコイン(取引所のみ)
  • ネム/日本円

4-2. CoinCheck(販売所)

2019年1月に仮想通貨交換業者として財務局へ登録が完了したコインチェック。販売所形式でのみの取り扱いです。

取引通貨ペア

  • ネム/日本円

4-3. DMM Bitcoin (販売所)

DMM Bitcoinは販売所形式での取り扱い。またネムのレバレッジ取引ができる国内唯一の取引所・販売所です。

取引通貨ペア

  • ネム/日本円
  • ネム/ビットコイン(レバレッジ取引のみ)

まとめ

ネムのカタパルトについて、時期や技術など幅広く紹介しました。

  • ネムへの実装時期は未定
  • カタパルト実装でネムのセキュリティが向上し、承認スピードがアップする

ネムのカタパルトの実装により、仮想通貨が日常で利用される社会に近づきます。サトシナカモトが描いた「非中央集権」の世界も遠くないのかもしれません。

実装の具体的な時期などの情報にしっかりアンテナを貼っておきましょう。