
リップル(XRP)はビットコインに比べて発行枚数が多い仮想通貨(暗号資産)ですが、実は減少しています。
これはXRP特有の性質ですが、今後XRPの価格にどのように作用するのでしょうか。
XRPがなぜこんなに多く発行されているのか、そして減少の理由と今後について見ていきましょう。
目次
1. 発行枚数と通貨の価値は無関係
XRPは2013年より発行が始まり、時価総額では世界第3位の仮想通貨となりました(2020年1月現在)。発行上限は1,000億万枚で、すでに上限まで発行済みです。
XRPの発行数1,000億万枚は、ビットコインの発行上限2,100万と比較して多いので、今後の価格上昇は期待できないのではという意見も散見されます。しかし発行枚数とその通貨の価値とは相関関係はありません。
リップル(XRP)の発行枚数が多い理由
XRPの発行枚数が多い理由は、XRPは送金システムとして開発された仮想通貨であり、決済を目的としたビットコインなどのほかの仮想通貨とは異なることが背景にあります。国際金融市場で送金に広く使用できるように、発行量が多く設定されたのです。
また、XRPはさらに追加発行される予定はありません。そのため発行数は多いものの、上限枚数の定められていない仮想通貨と比較すると、一定の価値は担保されるのではないかと考えられています。
XRPはほかの仮想通貨は想定された利用目的が異なることもあり、特徴的なシステムや性質を持ちます。XRPに投資を考えている場合は、将来性を判断するためにも特徴をしっかり押さえておきましょう。
1-1. XRPのしくみと特徴
まずはXRPがどのような仮想通貨であるのかをおさらいしておきましょう。
XRPは「リップル」と呼ばれることが多いのですが、リップルはXRPの発行会社の名前で通貨名および単位はXRPが正式名称です。XRPは、リップル社が発行するトークンで、独自の送金システム「リップルネットワーク」の中で手数料の決済手段として使用することを目的としています。最小単位は0.000001XRP(1drop)です。
ビットコインなどの主要仮想通貨では、通貨を管理する主体はありません。しかしXRPではリップル社が管理を行っています。
ブロックチェーンの代わりに独自の台帳「XRP Ledger」を使用
また取引の記録に用いられるのはブロックチェーンではなく、独自の分散型台帳「XRP Ledger」です。取引の承認には、リップル社のサーバー上で、リップル社が認めたバリデーターと呼ばれる承認権限を持つ人によって行われるRipple Protocol Consensus Algorithm(RPCA)が採用されています。
RPCAは、ネットワーク参加中の不特定多数に承認を委ねるProof of Workと異なり、承認に要する時間がかからないので、XRPの取引承認まではわずか4秒とスピーディーです。そのため、国際間送金におけるブリッジ通貨としても活用できます。
また承認はリップル社が認めたバリデーターに限られるため、PoWにおける51%攻撃の問題も生じません。加えて、リップルネットワークに接続するにはXRPの手数料の支払いが必要となるため、ネットワーク攻撃を受けにくいという点も特徴です。
1-2. XRPの新規発行は行われない
XRPはすでに発行が終了していますが、リップル社はさらなる新規発行を行わないことを表明しています。また、前述の通り承認にPoWを用いませんので、マイニングによる発掘のシステムもないため、今後、発行上限よりも通貨量が増えることはありません。
1-3. 流通量がコントロールされている
全量が発行済のXRPですが、他の仮想通貨と異なり、発行済の通貨すべてが市場に流通しているわけではありません。XRPの発行枚数1,000億XRPのうち、リップル社は約630億XRPを保有しています。
ここで問題とされてきたのが、XRP発行量の半数以上をリップル社が保有しているということでした。仮にリップル社が保有しているXRPを一気に放出すれば、価格が暴落するという危険性があるからです。そこで、リップル社は、2017年5月にロックアップ方針を発表しました。
1-4. XRPのロックアップ
ロックアップとは、エスクロー口座に一時的にXRPを凍結し、設定された期間は売買できなくすることをいいます。2017年12月8日には実際に550億のXRPがロックアップされました。
ロックアップは一時的に行われるもので、2018年1月から、毎月最大10億XRPのロックアップ解除が行われると発表され、実際に放出が行われています。ただし、この10億XRPは上限であり、必ずしも放出が行われるとは限りません。また、放出後使われなかったXRPは放出月の月末に再びロックアップされ、4年7か月が経過するまで流通が凍結されます。
このようなロックアップのシステムを利用して、XRPの流通量がコントロールされています。なお、リップル社は将来的にXRPの流動性が高まった場合には、流通量のコントロールは不要になると考えています。
2. XRPは少しずつ減っている
XRPの量は少しずつ減少しています。その様子はTURF POOLやXRP Chartsなどのサイトからも確認できます。
以下のグラフはある1日での、XRPの減少数をグラフにしたものです。

XRPが減少するのは、XRPが増えるしくみがなく、かつリップルネットワークを使用する際の手数料分の消滅が起こるからです。
XRPはすでに全量が発行済みで、今後の発行予定はありません。加えて、XRPはProof of Workによる承認の仕組みがありませんので、ビットコインのように取引にともなうマイニング報酬のように、新たなXRPが発生することもありません。
一方、リップルネットワーク利用の手数料として消費されたXRPは、再利用されずに消滅します。そのため将来的に減少は止まらず、XRPが普及するほど減少が進むことになります。手数料は非常に小さな額ですが、理論上は存在が消えることもありえるのです。
またXRPの送金に使用するアドレスをアクティベート(有効化)する際にも、20XRPが消費されます。こちらも戻ることはありませんので、利用者が増えるほど消費量が増えていきます。
3. XRPの今後
減少し続けるとされるXRPですが、仮想通貨の価格はどう推移していくのでしょうか? また、将来性は期待できるのでしょうか。
3-1. XRPの今後の価格
XRPは今後、次第に流通量が減っていきますので、理論上は値上がりが期待できるという意見もありますが、確実なものではありません。
リップル社と金融機関などの提携のニュースなどが発表されると、価格が上昇する傾向が見られます。将来性が期待されていることが価格に反映されるのでしょう。実際に仮想通貨の投資家の間では、年単位で見た場合には価格の上昇が期待できるという予測をする人もいるようです。
3-2. XRPの将来性とリップルネットワーク
目下、仮想通貨が有価証券にあたるのかどうかという議論があります。仮に有価証券とされた場合、国家によってさまざまな規制を受け、自由度が損なわれるでしょう。その結果、将来性が期待できなくなるかもしれません。
しかしリップル社はそもそも、XRPを有価証券としては考えていません。XRPを含む国際送金システムリップルネットワークの普及を目指しています。
国際送金システム「リップルネットワーク」
リップルネットワークは、RippleNetを中心に、xCurrent、xRapid、xViaという3つの国際送金システムからできています。xCurrent、xRapid、xViaについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
xCurrentは、主に銀行に向けたソリューションで、ILP(Inter Ledger Protocol)技術を用いて銀行間の即時国際送金を実現します。ILPとは、異なる通貨や支払い手段のネットワークを接続するためのシステムです。
銀行間の双方向コミュニケーションがリアルタイムに可能となるので、迅速で確実な取引が可能となります。従来の金融システムでは、銀行間に仲介業者をはさむため、高額な手数料や時間を要しているだけでなく、人為的なミスにより送金エラーが発生してお金が消失するなど、不確実性もありました。xCurrent を利用すれば、銀行間の直接のやりとりが可能となりますので、このような問題点は解決されます。
xRapidは、国際間銀行取引の決済を行う場合にこれまで必要であった、現地通貨建ての決済口座を不要とするシステムです。流通量の確保が難しいマイナー通貨でも、XRPをブリッジ通貨として介することによって、スピーディーで少コストな送金が可能となります。
xViaは、リップルネットワーク利用者に向けて、決済のためのインターフェイスを提供するものです。金融機関以外の事業会社であっても、xViaを通じてxCurrentの機能を利用し、送金などが可能になります。
提携先は増加中、実証実験も
リップルネットワークはこのような画期的な製品から構成されており、IoV(Internet of Value:価値のインターネット)を目指しています。インターネットがコミュニケーションの枠組みを大きく変えたように、将来的にお金や価値の移動に大きな革命を起こすことを期待されています。
2019年11月には、提携顧客が300を超えたことをリップル社が発表。三菱UFJ銀行やSBIホールディングスなどでも実証実験が行われています。
ripple Insight|RippleNet Growth: Announcing More Than 300 Customers
日本経済新聞|国際送金を数分で 仮想通貨技術使い三菱UFJ銀など
SBIホールディングス|「Money Tap加盟店決済サービス」実証実験ならびにマネータップ株式会社の「電子決済等代行業」登録に関するお知らせ
更に、リップル社は2020年5月に公開した「Blockchain in Payments Report 2019」を通じて、金融サービスプロバイダーによるブロックチェーンベースの送金の幅広い導入を取り上げています。
coinpost | リップル社、ブロックチェーン送金と決済の導入状況レポートを公開
xCurrent自体にはXRPは不要ですので、XRPの将来性については意見が分かれるところではありますが、現実的にはxRapidの活用機会は多いでしょう。リップルネットワークは今後の金融システムを大きく変革するのではないかと考えられます。
なおILPはオープンソースのため、さまざまな業界で利用される可能性を秘めているものです。現在はW3C(World Wide Web Consortium)に開発・運用が移管されています。
ブランディング動画をリリース
リップル社では2019年10月からブランディングのための動画を公開中。#RunsOnRippleというハッシュタグで知名度の向上を図っています。
We’ve got it! Our new brand awareness campaign debuted today in two countries. Have you seen it in the wild? #RunsOnRipple pic.twitter.com/PAxZv2Miqq
— Ripple (@Ripple) October 21, 2019
まとめ
XRPはほかの仮想通貨と比べて発行枚数が多くなっていますが、イコール値上りが期待できないというわけではありません。
今後リップルネットワークの普及に伴い、XRPは国際間送金システムにおいて重要な役割を果たすと期待されています。このことは価格にも、ポジティブな影響となりえるのではないでしょうか。
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